こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回はHiFiMANから音質にこだわりすぎたワイヤレスイヤホン」「Svanar Wireless」をレビューします。
価格は完全ワイヤレスなのに79,860円!
高ーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!
今回はHiFiMANさんにレビューしたいってアプローチして、無理やりサンプルを送ってもらいました。
YouTube版はこちら
HIFIMAN Svanar Wireless 概要
このイヤホンコンセプトが凄くて、同社の有線イヤホンで「Svanar」という約23万円のフラグシップモデルがあるのですが、それと同じく同社の「EF400」という85000円ほどするヘッドホンアンプを組み合わせた音に、約95%近い音質を達成できたとのことなんですよ。
つまり? (230,000円+85000円)×95% = 約30万円相当の音質が出るということですよ! 多分でないけど。
Svanar Wirelessは、最近よくみるDAC搭載型のワイヤレスイヤホンなんですが、そのDACにはなんと「ヒマラヤDAC」を採用しています。
この「ヒマラヤDAC」めちゃくちゃすごいDACです。
本来だったらDACチップに他メーカーの汎用的なチップを採用することがほとんどなんですけど、このヒマラヤDACはHiFiMANが完全に自社開発したDACなんですよ。
このDACが「R2R形式」と呼ばれるものを採用していて、説明すると長くなるので超ざっくり伝えますけど、ハイグレードのDACに採用されることの多いデジタルっぽさが少ないアナログな音が特徴の形式ってところでしょうか。
アスキーさんの記事がめっちゃ詳しく説明していますよ。
この前レビューしたCayin RU7の前モデルである「RU6」もR2R形式を採用しているDAC回路を採用していましたし、最近だとAstell & Kernの30万クラスのDAPのSE300にも、このR2R方式のDAC回路が採用されていましたね。
ヒマラヤDACは、R2R形式を採用しつつワイヤレスイヤホンも搭載できるほど小さく設計した独自DAC回路って感じですね。
さらにアンプモジュールを搭載して、DACからアンプにかけてフルバランス構成で制作された音質にこだわりすぎたワイヤレスイヤホンという感じですね。
Svanar Wirelessひとつで、バランス端子を搭載したドングル型DACと有線イヤホンのような音を、完全ワイヤレスで体感できるという感じですね!
ど変態すぎる。
HIFIMAN Svanar Wireless 外観・付属品
それではHIFIMAN Svanar Wirelessの外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ|
HIFIMAN Svanar Wirelessのパッケージはこちら。一見イヤホンかどうかもわからない。
開封するといきなり本体が出てきます。
付属品|
- イヤーピース8ペア
- USB A to C ケーブル
イヤーピースは通常のシリコンタイプからフォームタイプ、ダブルフランジタイプまでかなり豊富に入っていますね。
充電ケース・本体
充電ケースはこちら。
形状がエグい。絶対ポケットに入れたら膨らむ。現代アート展で飾っていても不思議じゃない。
何角形だよ。
16角形だよ!
他のワイヤレスイヤホンと比べるとこんな感じ。うん、大きい。
底面には充電用のUSB-C端子が備わっています。
意外にもワイヤレス充電に対応しています。
充電ケースは前からパカっと上に開くような感じ。開き方が指輪のソレ。
ケースを開けて立たせてみると、価格相応の貫禄があってカッコいいですね。
本体も普通に取り出しやすいです。
デザインはシルバーチャリオッツみたいな西洋の甲冑ハウジング。
横から見ても厚みがすんごいすんごい。
内側はエルゴノミクスデザインを採用していて、カスタムIEMのように耳の形状にあわせた設計になっています。
素材はカーボンファイバーを使用しているみたいで、軽量化をはかっているとのこと。見た目に対して装着感は良さそうです。
ノズルは金属ノズルを採用。やや短め。
充電ケースの収納部はやや浅めで、使えるイヤーピースは少し選びそうな感じです。
コレイルはほんの少し干渉しますが、SednaEarfit MAX StandardはOKでした。正直コレイルとの相性はイマイチなように感じましたね。低音多くなりすぎる。
スペックは次の通りです。
最大再生時間は本体7時間、ケース込みで28時間ですが、HiFiモードにしないと中のヒマラヤDACを使わないみたいなんですよ。
なんで、ほとんどの方がHiFiモードで使用するかと思います。
となると、実質本体4時間、ケース込み16時間ですね。
ちょっと短い。
重さですが、総重量は100.2g、本体片耳の重量は8.1gです。
完全ワイヤレスイヤホンとしては超重い。
HIFIMAN Svanar Wireless レビュー
装着感|意外といいぞっ
装着感 | (4.5) |
まず装着感ですが、このゴツさに対して意外といいですね! さすがエルゴノミクスデザイン。
実際に装着してみるとこんな感じ。一見ふつうのワイヤレスイヤホンのようにも見えなくはないかな?
前から見ると、わりと飛び出していますね。
これ、かなりフィットしていましてね、頭を振っても全然落ちる気しないんですよ。
2〜3時間くらいで痛みが発生してくる感じですかね。EAH-AZ80ほどではないですけど、重さが耳全体に分散されているような感じで
ただ、本体はかなり大きめなことには変わりないので、耳が小さい人は要注意だと思います。
音質|現状NO.1
で、本題の音質ですが、これは2023年6月時点では全完全ワイヤレスイヤホンの中でNO.1を名乗ってもOKですね!
単純に音質だけで評価すれば、個人的にお気に入りのDenon PerL Proを超えてます!価格も2~3万くらい高いですけどね!!
今回はXpera 5ⅣでLDACの音質優先接続で検証しました。
HIFIMAN Svanar Wirelessの音の特長は次のとおりです。
5.0
高音
5.0
中音
5.0
低音
- 高音:伸びやかさや煌びやかさというよりは、情報量や純度の高さが特徴の高音ですね。ワイヤレス特有のデジタル感も滑らかな音で隠して、とても上質にしっとりと聴かせる感覚ですね。刺さりも一切ありません。逆に刺激もないので、メタルを鋭くスピーディーに鳴らすのは苦手。
- 中音:厚みと深みのある音で、ワイヤレスでは荒くなりがちな描写も丁寧に描きつつ、異なる周波数帯のつながりも滑らかですね。ボーカルだけが際立つような感じではなく、ピアノやギターとか同じ帯域の楽器隊がフラットなバランスで一つの部屋で鳴らしているような感覚です。
- 低音:中低域寄りで厚みはたっぷりとあって、優しくしっとりと鳴らしますね。一聴して膨れがちに感じる低音も、聴き込めば音の深みや細部まで丁寧に描写していることがわかります。
- 音場:なかなかに広めで、優しくフワッと広がっていきつつ豊かな低音も聞かせるナチュラルかつダイナミックな音場感。
- 傾向:HiFiMANらしいというかヒマラヤDACらしい極ウォームなサウンド。全体的に中低域から中高域ラインに音が集まっている感じのカマボコ型傾向。かといってボーカルが目立った感じでもなく、中高域と中低域にフォーカスを当てたドンシャリ?って感じが近いですかね。
得意なジャンル
- バラード
- ジャズ
- ポップス
- ソウル
しっとりした楽曲が得意で、楽曲の雰囲気は壊さずに優しく聴かせるような感覚です。以前レビューしたDACのRU7に傾向はかなり近いですね。音数が多くて激しい楽曲は苦手ですが、宇多田ヒカルのバラードや、古い楽曲だとビル・エヴァンス・トリオなんかも、昔のレコーディングされた古き良き感覚を壊さずに、上質なスピーカーで聴いているような感覚に浸らせてくれます。
ワイヤレスというよりは、DAC+有線イヤホンをケーブルがない状態で聴いているような感覚に近いと思いました。
じゃあ有線イヤホンと比べるとどこまで音質良いの?と感じた方もいると思うので、同じR2Rを搭載したDACの「RU6」と「SeeAudio Bravery AE」の約8万円コスパ最強セットと聴き比べてみました。
結果、やっぱり有線環境の方が断然上ですね……。
有線の方が2ランクくらい上の解像度感というか、ワイヤレスではないがゆえに音がもっと緻密で高域から低域までレンジも広かったですね。
Svanar Wirelessは感覚的にはDACとイヤホンを合わせると3万−5万ほどの実力かな?と思います。
ただ、これだけの音質をケーブルレスで楽しめるという点と、HiFiMANのサウンドをオールインワンで楽しめるのがSvanar Wirelessの1番の強みかなと思います。
ノイズキャンセリング|元々の遮音性が高い
ノイズキャンセリング自体はそれなりに実用的ですかね。公式では最大-35dBの遮音効果はあるようです。
ノイズキャンセリング | (4.0) |
ANCモードにすると、周りの雑音レベルも少なくなりますし、電車内で使うと走行音もある程度防いでくれるようになります。
ただ、先にも伝えた通りノイズキャンセリングモードにすると、中のヒマラヤDACを使えなくなってしまって、「音質は良いけど他のワイヤレスイヤホンと同じような高解像度系のサウンド」になってしまうんですよね。
最高品質を音質を求めてSvanar Wirelessを使っているのに、音質を妥協するモードで使うのはちょっと意味わからないので、僕はノイズキャンセリングモードは使うことはないでしょうね。
というか、本体自体の遮音性がなかなか高いので、ノイズキャンセリングモードが使えなくても不便はとくにありません。
こちらも参考にしてくださいね
【最強はこれ!】ノイズキャンセリング対応完全ワイヤレスイヤホンおすすめランキングTOP10
外音取り込み|効いているかどうかわからないレベル
外音取り込み | (1.0) |
外音取り込み機能ですが、ヤバいです。
冗談抜きで効いているかどうかわからないレベルです。
評点1点つけたの初めてだよ!!
ONにしても、周りの音も自分の声もめーっちゃこもっていて、HiFiモードとの差分がほとんどないように感じますからね。外音取り込みモードなのに耳栓している状態と変わらないです。
本気で効いているかわからなかったから、HiFiMANさんに一回確認しましたからね。ちゃんと外音取り込みモードになっているようでした。
実質外音取り込みモードは備わっていないと考えましょう。
こちらも参考にしてくださいね
操作性|わりと操作しやすい
操作性は意外と良くて、それなりに操作しやすいですね。
ハウジングがタッチパネルになっていて、タップすると高めの音で「ピッ」と鳴ってくれます。
タップした回数に応じて「ピッピッ」と鳴ってくれるので、自分が何回タップしたかも分かりやすいです。
操作方法一覧は次のとおりです。
音量調整はできませんが、それ以外の基本操作はできますね。
ノイズキャンセリングモードの切り替えが3秒長押ししないといけないのはちょっと長く感じるかな……。
ただ、アプリがないので自分好みにカスタマイズができないんですよ。ここが残念!
通話品質|意外と良くて驚いた
HIFIMAN Svanar Wirelessのマイク性能ですが、これはなかなかに良いですね。
マイク音声も実際に録音してみました。以下の音声をよければチェックしてみてくださいね!
外音取り込み機能からは想像できないくらい音声がキレイに収録できており、バックのノイズもなかなかに掻き消えています。
機能性はあまり期待していなかっただけに、このマイク品質の高さに驚かされました。
通話品質 | (4.5) |
こちらも参考にしてくださいね
音の遅延|動画を見る分には違和感なし
音の遅延は意外と少なくて驚きました!
LDACで接続しても、動画視聴時はほとんど遅延が発生しないですね。
ライブ動画を見ても違和感なく視聴できます。
ただ、接続状況次第では遅延が発生するかもしれないのでご注意ください。
HIFIMAN Svanar Wireless まとめ
HIFIMAN Svanar Wirelessをまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.5/5
- 音質は全ワイヤレスイヤホン中No.1クラス
- ヒマラヤDACならではの滑らかでアナログライクなサウンドを体感できる
- 装着感がなかなか良い
- マイク性能もなかなか良い
- LDACだとたまに接続が途切れる
- 価格がとにかく高い
- 外音取り込み機能が効いているかわからないレベル
- アプリは非対応
5.0
高音
5.0
中音
5.0
低音
4.5
装着感
3.5
ノイズキャンセリング
1.0
外音取り込み
4.5
マイク性能
3.0
利便性
Bluetooth | 5.2 | 最大再生時間 ※HiFiモード | 本体4時間/ ケース込み16時間 |
コーデック | SBC,AAC,LDAC | 充電時間 | 不明 |
ドライバー | ダイナミック型 | 充電端子 | Type C Qi |
専用アプリ | ◯ | 防水 | IPX5 |
ノイズキャンセリング | ◯ | 質量 ※片耳/ケース込 | 8g/99.7g |
外音取り込み | ◯ | ゲームモード | – |
自動装着検出 | ◯ | 保証 | 1年 |
マルチポイント | – | 公式サイト | こちら |
HIFIMAN Svanar Wirelessはこんな人におすすめ
- 音質が一番良い完全ワイヤレスイヤホンが欲しい
- 暖かみのあるアナログな音が好み
- HiFiMANファン
音は確かにすばらしいです。現存する完全ワイヤレスイヤホンではNo.1でいいと思います。
この前レビューしたPerL Proと比べても、単純な音質の凄みとしてはSvanar Wirelessのほうが上でしたね!
価格も上ですけど。
バランスの良さとか機能性の高さ、万人受けのしやすさ、音場感ではPerL Pro。
音の滑らかさや解像度感、暖かみのあるウォームなサウンドが好みで、予算問わずに装着感と音質よければ全てよし!って方であればSvaner Wirelessって感じですね。
線のないDAC+有線イヤホンって感覚に一番近いです。アプリとかは対応していないけど、持ち前の音作りの良さだけで特化してきましたね。HiFiMANのそういうところが好き。
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