個性派揃いの変態ども|Kineraの4製品「Plutus Beast」「PhoenixCall」「Verdandi」「Loki」をまとめてレビュー

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Kineraという中華イヤホンメーカーがあるのですが、わりと前からe☆イヤホンでも取り扱いのあるメーカーなんですけど、ぶっちゃけ個人的にはパッとしなかったんですよね。

ただ、最近のKineraの新製品がなかなか価格に対してドライバー構成がエグいですし、ハイエンドはハイエンドでぶっ飛んでいるんですよね。

今回はエントリーラインの「Kinera Celest」より1万円台で買える2製品「Plutus Beast」と「PhoenixCall」、そしてハイエンドラインの「Kinera Imperial」より「Verdandi」と「Loki」の4製品をまとめてレビューします。

製品貸出:HiFiGO

目次
かじかじ
元イヤホン専門店スタッフ
オーディオ販売歴9年。元々イヤホン専門店で店長やWEBマーケを担当してました。

イヤホンをレビューすることは空気を吸うようなものだと思ってます。


2024年1月時点で月間100万PV。
YouTubeチャンネル登録者は7万人ほど

Kinera4製品まとめてレビュー

ちなみに今回は全てエージングは200時間以上行っており、DAPはiBasso DX260、イヤーピースは基本付属のシリコンで行っています。

Kinera Celest Plutus Beast|もはやサブウーファーのような振動

Plutus Beastは1BC(骨伝導)+1BA+1SPD(スクエア平面ドライバー)というかなり個性的なドライバー構成の有線イヤホン。

価格は89$(執筆時点では13,374円)とドライバー構成に対してかなりお手頃価格!

最近イヤホン界隈でもちょっと話題になっていた製品です。

スペックは次のとおりです。

スペック一覧Kinera Celest Plutus Beast
ドライバー1BC(骨伝導)+1BA+1SPD(スクエア平面ドライバー)
インピーダンス 
再生周波数帯域20-20KHz
音圧感度108dB/mW
プラグ形状3.5mm or 4.4mm
コード長約1.2m
リケーブル対応0.78mm 2-pin
リモコンマイクマイク付きモデルもあり
付属品シリコンイヤーピース 3ペア
シリコンイヤーピース 3ペア
2pinケーブル
ユーザーガイド

ケーブル側は埋め込み型の2pinを採用していますが、本体側はフラット2pinタイプです。ピンが若干緩めなのが気になる。

ちなみに骨伝導ユニットを搭載している影響か、本体を弾いた時に「バイン」と震えるような感覚があります。

音の特徴はこちらです。

音の特長

4.4

高音

4.3

中音

4.4

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
フラット
高域寄り

その音質ですが、価格を考えればかなり良いと感じるのと同時に、ものすごい特殊な鳴り方をするような感覚です。骨伝導ドライバーの鳴り方がとてもユニーク!

骨伝導ドライバー搭載機だと「BQEYZ Winter」というイヤホンが有名なのですが、あれは高域の補完用に骨伝導ドライバーを採用されているのに対して、Plutus Beastの骨伝導はもはやサブウーファー。

すんごい量感を出しているわけでもないのに、空気を揺らすのような振動をがみみに伝わるような弾む低音が特徴。骨伝導ドライバーが低音だけでなく筐体を振動させる役目を果たしているのかと思います。

ただ、重低音ゴリゴリさの下品な重厚さのようなものはなく、低音の量感はほどほどで中高域とのバランスも保っているんですよね。ただ、低音の空気の揺らす感覚がスゴイ、そんな感じ。

低音ゴリゴリ系だとSee AudioのRINKOも同じような類ですが、RINKOはまさにゴリゴリの重低音という感じ。Plutus Beastは空気を揺らす立体的な低音という感じでしょうかね。RINKOの方がまだイヤホンらしい音という感じはします。

中高域は10mmのスクエア平面ドライバーとBAが担当。大型の平面ドライバーのような超高域を抜け感の良い音というわけではなく、中高域ラインをキッ!と攻めるような感覚。

なのでアコギやシンバルといった鋭く伸びるような音は苦手。シンセサイザーやピアノ、ボーカルあたりの中高域をピーキーに鳴らすようなタイプです。

PerfumeやYOASOBIのエレクトロサウンドを聴くと一気にクラブさながらのゴリゴリサウンドになって超楽しいです。個人的に好きなアーティストだとDE DE MOUSEあたりはとても楽しく聴けました。

ただ、ゲインと音量調整がわりとシビアで、ゲインが高すぎるとボーカルがうるさくなるし、かといってゲインが低すぎると低音の臨場感が薄くなってしまうんですよね。個人的にはもう少し鳴らしにくいくらいの方が好みですかね。

ダイナミックドライバーが搭載していないからか、各ドライバーのつながりがなくそのまま個性を発揮しあっているのに、イヤホンの音としては完成しているような感覚です。スリーピースバンドで例えると凛として時雨か八十八ヶ所巡礼みたいな感じ。

個性がとにかくスゴいイヤホンですが、単純に15,000円以下でこのドライバー構成はスゴイと思います。

Kinera Celest Phoenixcall

Phoenixcallは1DD+2BA+2FPD(Flat Panel Driver)の5ドライバー構成にも関わらず2万円以下で買えるモデルです。

スペックはこちらの通り。

スペック一覧Kinera Celest Phoenixcall
ドライバー1DD+2BA+2FPD(Flat Panel Driver)
インピーダンス 32Ω
再生周波数帯域20Hz-40KHz
音圧感度106±3dB
プラグ形状3.5mm or 4.4mm
ケーブル8芯 5N銅銀メッキ ケーブル
リケーブル対応0.78mm 2pin
リモコンマイク
付属品シリコンイヤーピース 3ペア
シリコンイヤーピース 3ペア
2pinケーブル
ユーザーガイド

まずケーブルの配色よ。血かよ。配色エグすぎるだろ。一応クリア色もあるみたいなんですけど、多分そっちの方がふつうにキレイでかっこいいと思います。

着脱端子はフラットタイプの2pinを採用しています。

音の特徴はこちらの通り。

音の特長

4.5

高音

4.4

中音

4.5

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
設定次第
高域寄り

その音はThe・ドンシャリという感じの傾向。ドンのシャリですわ。そしてこちらも価格を考えれば音質はなかなか良いです。

高域は硬質でとてもキラびやかな音。Plutus Beastのように中高域が攻めてくるような感じではなく、高域〜超高域にかけて歯切れ良くシャキシャキと鳴らすような感覚。かといってサ行が刺さるような感覚も少なめです。

低域は骨伝導ユニットを採用しているわけではないので、Plutus Beastのような空気を揺らすような感覚はないですが、締まりのある低音でスナップ感良くズンっと鳴らすような感じですね。

高域と低域がかなりハデめなので、中域はやや引っ込んだような感覚はありますが、かといってボーカルが埋れたりはしません。

レスポンスが良いので、スピード感が溢れるロックやメタルなんかと相性が良さそうですね。解像度感もとても高いです。

音の一体感があるような感じではなく、それぞれのドライバーが個性を発揮しあっているような感覚に聴こえますね。その影響で強い個性が生まれているようにも感じます。

同価格帯だとLetShuoer S12Proや、水月雨 KATOなどがありますが、音の自然さや伸びの良さはS12 Pro、余韻の美しさや心地よさのようなものはKATOに軍配が上がるような感覚ですね。

Phoenixcallはもっと暴力的で、キレの良さと解像度感重視って感じでしょうかね。

音の好みは選ぶと思いますが、しっかりと価格以上の実力を見せつけてくれるイヤホンのように感じました。

てか思ったけど、Kinera Celest ブランドかなり個性的なイヤホン多くない?もしかして他のイヤホンもそんな感じ?

Kinera Imperial Verdandi

Verdandiは「2EST+2BA+1DD+1BC」の6ドライバー搭載のモデルです。

こちらはKineraのハイエンドブランド「Kinera Imperial」のモデルで、その価格は約$1,199、日本だと18万円ほどです。

すみません、一気に価格が上がりました。

スペックはこちら。

スペック一覧Kinera Imperial Verdandi
ドライバー1BC+ 2BA +2EST + 1DD
インピーダンス 32Ω
再生周波数帯域20Hz – 40kHz
音圧感度103dB
プラグ形状3.5mm
4.4mm
ケーブル単結晶銅+4N純銀ミックス線ケーブル
リケーブル対応2Pin
リモコンマイク
付属品シリコンイヤーピース3ペア
フォームイヤーピース2ペア
イヤーピース final Type E 5ペア
イヤーピース AZLA Sedna Earfit Crystal SS,MS,ML
クリーニングブラシ
ケース
クリーニングクロス
マニュアル

こちらもPlutus Beastと同様に筐体を叩くとバインとした震えがありますね。

ケーブルは本体カラーにマッチした青い皮膜のものを採用しており、線材は単結晶銅+4N純銀ミックス線。

またプラグは交換可能で、3.5mm、4.4mmどちらも付属品のみで使用できます。

音の特徴はこちらの通り。

音の特長

※10万円以上のイヤホンに対する評価軸です

4.7

高音

4.8

中音

4.7

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
高域寄り

その音質ですが、低価格モデルとは異なり個性が少なめのバランスがとれた音が特徴のように感じました。音の傾向はフラット寄りの弱ドンシャリ型のサウンドという印象。

Plutus Beastと同様に低域に骨伝導ユニットを採用しており、空気を震わすような低音で楽曲を下支えするような感覚ですね。

もちろんですがPlutus Beastよりも低域のレンジも広くなって解像度感もさらにアップしており、低音をより彩りよく豊かに鳴らせるようになりましたね。華やかな低音って感じ。

バンドサウンドのベースだとあまり骨伝導ユニットがいい感じに震えてくれないので、エレクトロのサブベースの方が合うような感覚がありますね。

ただ、ビリーアイリッシュの「bad guy」だとサブベースの周波数が低すぎるのか臨場感が控えめになってしまいますね。個人的にはSIRUPの「LOOP」くらいがちょうどよかった

高域には2つのEST(静電ドライバー)を採用しているため、Plutus Beastよりも非常に粒立ちが良く、伸びやかな音を鳴らすようになりましたね。まあ価格は16万ほど差がありますけど。

クラシック音源でストリングスを聴いた時の伸びは価格を考えればイマイチ。生楽器系よりはシンセサイザーやギターなどの電子音の方が向いているように感じました。

中域は低域と高域とは別の部屋で鳴っているような分離感の良い音で、Plutus Beastのようにボーカルもキツくなりすぎない感覚です。同価格帯の中ではボーカルを軸に聴かせるようなタイプで距離感も近めですね。

音場は広いですが、豊かに表現しつつもTHIE AUDIO Prestigeのように定位の良さを重視するモニター的なアプローチのように感じました。音場だけはですけど。

骨伝導ユニットの影響で音のバランスはPlutus Beastに近い感覚がありますが、Phoenixcallのようにレスポンスがよく歯切れの良いサウンドですね。

全体的に躍動感があって明るく華やかなサウンドなので、アニソンやEDM、エレクトロ全般との相性は良く感じました。ただ、価格にしてはジャンルは選ぶかな〜という印象はありましたね。

同価格帯ならクラシック・ジャズに特化するならゼンハイザー IE 900、ロックやポップスを締まりの良い音で楽しく聴きたいならHype 10、もっとカチッとモニターサウンドで聴きたいならPrestige。そしてボーカルとストリングスを超伸びやかに聴きたいならMADOO Typ 821が良いかと思いました。

個人的な好みでハイエンドを購入するとすれば、Verdandiは絶対に選ばない。

Kinera Imperial Loki

LokiはKnowles製のBAをミッドに4基、ハイに2基、Sonion製の静電ドライバーを4基、そして低域用の6mmダイナミックドライバーを1基、最後に超低域用の骨伝導ドライバーを1基、合計12ドライバを搭載したKinera Imperialブランドのフラッグシップモデルです。

価格はなんと468,000円! 買えるかぁっ!!

スペックはこちら。

スペック一覧Kinera Imperial Loki
ドライバー1DD+6BA+4EST+1BC 合計12ドライバ
インピーダンス 12Ω
再生周波数帯域20Hz~50KHz
音圧感度107dB
プラグ形状3.5mm
4.4mm
ケーブルEffect Audio Ares Sケーブル
線材:UP-OCC Pure Copper

②Kinera Custom Loki Cable
線材:Litz Gold-plated 6N OCC & Litz Silver-plated 6N OCC
リケーブル対応2Pin
リモコンマイク
付属品Final Type E Tips x 5 (SS/S/M/L/LL)
AZLA SednaEarfit Crystal x 3 (SS/MS/ML)
Spinfit CP145 Tips x 3
Symbio F Foam Tips x 2
Effect Audio Cable, EA 4.4mm
KINERA Custom Cable 4.4mm
本皮イヤホンケース
クリーニングブラシ
ユーザーマニュアル
サンキューカード
デザインバックグラウンド紹介カード

面白い仕様で、ケーブルが「Kinera Custom Loki Cable」と「Effect Audio製のUP-OCC高純度銅線4芯ケーブル」の2つのケーブルが付属しているんですよね。

イヤーピースも「AZLA SednaEarfit Crystal、「FinalType E」「Spinfit CP145」「Symbio F Foam」が付属と、イヤーピースオールスターズのような構成になっています。

着脱端子は2pinを採用。

プラグはVerdandiのように付け替えはできないタイプでした。

音質ですが、正統派の極地のようなサウンドのように感じましたね。

音の特長

※10万円以上のイヤホンに対する評価軸です

5.0

高音

5.0

中音

5.0

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
フラット
高域寄り

まずEffect Audioのケーブルで聴いてみましたが、確かに音質はスゴイ。そりゃ40万円だもの、スゴくないと困る。

Kinera Imperial Verdandiの音のバランスを整え、個性を主張し合っていた各ドライバーが一人の指導者によって統率されたような感覚。今回聴いた中では一番”まとまり”のある音のように感じました。

それでいて各ドライバーの個性もちゃんと活かせていて、高域は静電ドライバーらしい自然な伸びを、低域は骨伝導ドライバーらしい臨場感を、ダイナミックドライバーで豊かさを、BAで解像度感を、それぞれの得意な音でお互いをカバーしあっている感覚です。

いろんなジャンルを聴いてみましたが、さすがに苦手なジャンルがないですね! ジャズ・クラシック・ロック・ポップス・EDM、マジでなんでもいけます。Verdandiのようにジャンルを選ばず、全てを最上級の音で再現してきますね。

MISIAの「つつみ込むように・・・Jazz Best版」を聴いてみましたけど、イントロのトランペットの音が全部耳で追えすぎて逆に気持ち悪かったですもん。

まさに多ドライバーを得意とするKineraの集大成という感じの音ですが、超高価格帯にある”インパクト”のようなものは少なめのように感じました。

SP3000+AURA(総額100万円)で聴いたイヤホンとしては異質の音の凄みや、OriolusのMellianus JP(単体57万円)を聴いた時の決して自分の環境では体感できないような感動のようなものは少なめ。あいつらは価格関係なく欲しいと思わせる魔力があります。

Lokiはどちらかといえば今まで聴いてきたイヤホンの延長線としての凄さという印象ですかね。46万払ってでも欲しいと思わせるほどの魔力は感じませんでした。

Kinera Custom Loki Cableに変えてみると印象が変わった

次にケーブルを黒色のKinera Custom Loki Cableに変えてみると、わりとスッキリフラット系だった音に厚みとパワフルさが加わったような感覚になりましたね。

感覚的には解像度重視のモニターサウンドから、一気にリスニング向けのアナログなサウンドに変わったような感覚。断然Kinera Custom Loki Cableの方が好きや。

このケーブルを使えば、超高価格帯を体感した時の”凄み”を感じられたような気がしました。ケーブルで音変わりすぎやろ。

e☆イヤホンの試聴機がどちらのケーブルで用意されているかわかりませんが、店舗やイベントで試聴する際は個人的に黒色のKinera Custom Loki Cableでぜひ聴いてみて欲しいと思いましたね。

この価格帯になると、DAP側が原因でイヤホンの実力を最大まで発揮できないんじゃないかなと思ってきますね。多分10〜20万円台のDAPじゃ本領発揮できないやつや、SP3000(58万円)が欲しい。

Kinera4製品まとめ

スクロールできます
商品名
Plutus Beast
Phoenixcall
Verdandi
Loki
総合
評価

(4.7)

(4.5)

(4.0)

(4.0)
ドライバー構成1BC+1BA+1SPD1DD+2BA+2FPD1BC+ 2BA +2EST + 1DD1DD+6BA+4EST+1BC
価格13,600円19,800円180,000円ほど468,000円

個人的にはPlutus Beastが価格に対しての評価が一番高いように感じました。13,000円でこの実力はなかなかだと思います。

VerdandiLokiもモチロン良い音なのですが、同じ価格を払うなら違うものを購入するかな〜という印象でした。

それにしても、Kineraは各ドライバーの個性をそのまま活かすような感覚ですね。Kiwi Earsは多ドライバーでもナチュラルさを重視するような感覚なのに、Kineraはわりと剥き出しのドライバー感があります。

あと、悪い意味で鳴らしやすいイヤホンが多くて、ちょうど良いゲインや音量を調整するのが難しいように感じました。

単体でゲイン調整や音量調整ができないドングルDACだと、ちょうど良い音を作るのがマジで難しいので、できればDAPか細かな調整ができるドングルDACを使う方が良いと思います。AK HC2とかムリゲーになりますよ。

かなり個性派揃いのメーカーですが、エントリーラインはコスパがとても高いので一聴の価値ありだと思います。

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