評価:4.5
こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
創業110年!超老舗日本のオーディオブランド『DENON(デノン)』より、初の完全ワイヤレスイヤホン『AH-C830NCW』を今回はご紹介します。
サウンドチューニングには70万円クラスのアンプなど、高級オーディオラインの制作に携わるDENONのサウンドマスター『山内慎一』氏が担当し、完全ワイヤレスでありつつも非常にピュアなサウンドが期待できそうです。
見た目の安っぽさと同社初の完全ワイヤレスということもあり、DENONさんには正直申し訳ないですが全然期待はしていませんでした。
しかし、一聴してみるとそのサウンドクオリティの高さに驚かされましたね。
なぜ、この筐体からこんな澄み切るような音が出るのか不思議でなりませんでした。
今回はこちらのAH-C830NCWを購入していきましたので、実機を使ってレビューしていきます。
ぜひ最後までご覧くださいませ。
総合評価
4.5 /5
- ナチュラルで純度の高いサウンド
- 音質だけで見れば3万クラス
- 軽快な装着感
- 高い通話性能
- アプリに非対応
- ノイズキャンセリング性能がイマイチ
- 見た目がちょっと安っぽい
- 再生時間がやや短め
4.8
高音
4.9
中音
4.6
低音
4.0
装着感
3.8
ノイズキャンセリング
4.0
外音取り込み
4.5
マイク性能
3.5
利便性
Bluetooth | 5.0 | 最大再生時間 ※ANC ON時 | 本体4.8時間/ ケース込み19時間 |
コーデック | SBC,AAC | 充電時間 | 約2時間 |
ドライバー | 11×10mm ダイナミック型 | 充電端子 | Type C |
専用アプリ | ◯ | 防水 | IPX4 |
ノイズキャンセリング | ◯ | 質量 ※片耳/ケース込 | 5.3g/43g |
外音取り込み | ◯ | ゲームモード | – |
自動装着検出 | ◯ | 保証 | 1年 |
マルチポイント | – | 公式サイト | こちら |
DENON AH-C830NCW 概要
- デノンのHi-Fiサウンドを完全ワイヤレスに
- ノイズキャンセリング&周囲音ミックス機能
- 片側3つのマイクとビームフォーミング技術、エコーキャンセリング技術による高い通話性能
- 軽やかで心地よい装着感
- 片側使用にも対応
目指した音は「Vivid & Spacious」。直訳すると鮮やかで広大な音という感じですかね。
「音楽に没頭できる音」、あるいは「曲を聴き始めたら、終わりまでずっと聴いていたいと思える音」をコンセプトに制作された完全ワイヤレスイヤホンです。
カラーバリエーションはブラックとホワイトの2色となります。
DENON AH-C830NCW 外観・付属品
パッケージ
AH-C830NCWのパッケージはこんな感じ。シンプル。
開封してみると充電ケースが出てきましたね。
付属品|イヤーピース、USB Type Cケーブル、マニュアル
- イヤーピース(シリコン製)3ペア
- USB Type Cケーブル
- マニュアル
付属品一覧は必要最小限にとどめられたシンプルな構成です。
イヤーピースはシリコン製のものが本体装着分を含め、S/M/Lの3ペア付属。
特に特徴はない汎用品って感じですね。
USBケーブルは短めので取り回しの良いype Cケーブルが付属します。マジックテープ付き。
充電ケース・本体
AH-C830NCWの充電ケースはこちら
天面が斜面状になっているユニークな形状ですね。
天面にはDENONのメーカーロゴが印字されています。
最近発売された他の完全ワイヤレスイヤホンと比べても平均的な大きさ。
個人的にはもう少し筐体が薄かったら携帯性が良かったのになとは感じました。
背面には充電端子であるUSB Type C端子が搭載。そしてペアリングモード時に使用するファンクションボタンが備わっています。
充電ケースを開けるとこんな感じ。
充電ケースから本体がわりと飛び出ているので取り出しやすいですね。
本体がスティック型ということもあって、充電ケースにすっぽりと収まってくれます。
再生時間はノイズキャンセリングON時、本体のみで4.8時間、ケース込みで19時間と最近の完全ワイヤレスイヤホンとしては結構短め。
通勤通学くらいであれば支障はないですが、BGM感覚で長時間音楽を聴いてたい方は途中でバッテリーが切れてしまう心配もありそうですね。
イヤホン本体はスティック型と呼ばれる形状で、下部にアンテナが伸びたような形状。
アンテナ部にはDENONのロゴと、底面は銀色で覆われたマイク部が備わっています。
内側は耳の形に沿った設計になっているので、装着時のフィット感は良さそうな印象です。
また、AH-C830NCWはIPX4相当の防水に対応しています。
ノズルはやや短めで平均的な口径。開口部にはフィルターがついています。
SpinFit CP360であれば問題なく装着できましたが、SednaEarfit Light Shortだと軸が長すぎて干渉してしまいます。
サードパーティー製のイヤーピースを使う場合は、軸が短めじゃないと充電ケースに干渉してしまうので注意が必要です。
最後に重さですが、総重量は51.8g、本体片耳で5.0gです。
まあ、重たすぎず軽すぎず平均的な重たさといったところですね。
DENON AH-C830NCW レビュー
それでは外観・付属品のチェックを終えたところで、実際にAH-C830NCWを使ってみましょう!
装着感|軽快で軽やかな装着感
AH-C830NCWの装着感は軽快で浅めの装着感で、長時間装着していても耳が痛くなりにくい印象でした。
前から見ても飛び出しが目立たず、ピアノブラック調の本体カラーも相まってスタイリッシュな印象ではあります。
軽快な装着感ではありますが、密閉感が少ないので周りの音は遮音しにくい印象ではありました。
電車の中で聞くと周りの音が結構耳に入ってくると思います。
頭を振っても耳から落ちる気配もなく、防水性能もIPX4相当もあるのでジョギング用途でも問題なく使えそうです。
装着感 | (4.0) |
音質|2万円以下のTWSとは思えないピュアでナチュラルなサウンド
AH-C830NCWの音質はとても2万円以下とは思えないようなピュアなサウンドで、3万円クラスの完全ワイヤレスに匹敵するかのような澄み切った音作りです。
ジャンル的にはジャズ・クラシック・バラードなど生楽器系などアナログライクなサウンドとの相性抜群で、ありのままの音をナチュラルに響かせるような拡がるようなサウンド。
音場がとにっかくめちゃくちゃ広くて、完全ワイヤレスイヤホンでここまで広い音場は初めて聴いたかも。
縦に広いというよりかは横に広い音場で、ストリングスの音が横にスゥ〜っと伸び切っている感じですね。
ロックとかポップスとか聞く場合はWF-1000XM4や、Tour Pro+ TWSがおすすめですが、ジャズ・クラシック・バラードならAH-C830NCWは最強ですよ。
なんでしょうね、ニュアンスだけで言えばピュアオーディオの音をそのまま完全ワイヤレスに詰め込んだような音のように感じますね。
コーデックはSBCとAACにしか対応していませんが、そんなことを一切感じさせない破綻が少なくクリーンなサウンドのように感じましたね。
逆にこれでLDACに対応していたらどれだけ音が良かったんだろう……。
同価格帯だとCX Plus True Wirelessがライバル機にはなってくると思うんですが、CX Plus True Wirelessはボーカルが遠めで楽器隊が中心の音作りです。
比較してみると、音のナチュラルさやボーカルの自然さはAH-C830NCWの方が圧倒的に上のように感じましたね。
2万円以下という価格でありつつ、2021年の音質が良かった完全ワイヤレスイヤホンランキングでも上位に組み込めるほどの実力を持っているように感じました。
テクニクスのEAH-AZ60とどっちがいいか迷ったけど、音質だけで見ればどちらも同じレベル。
響きや余韻の良さで見ればEAH-AZ60、音の自然さやナチュラルさはAH-C830NCWの方が上という印象でしたね。
音質最強クラスと思っていた完全ワイヤレスイヤホンと比べても、同等かジャンルによってはそれ以上に実力があるのがすごいですね。
高音 | (4.8) |
中音 | (4.9) |
低音 | (4.6) |
こちらも参考にしてくださいね
操作|感度はほどよいけど音量操作ができない
AH-C830NCWの操作はタッチパネルで行います。
操作方法一覧は以下をご覧ください。
項目 | 操作方法(デフォルト) |
---|---|
再生/停止 | R側を1回タップ |
曲送り | R側を2回タップ |
曲戻し | R側を3回タップ |
電話を受ける | 着信中にL or R側を2回タップ |
着信拒否 | 着信中にL or R側を長押し |
通話終了 | 通話中にL orR側を2回タップ |
ミュート・ミュート解除 | 通話中にL or R側を5秒間長押し |
通話中のノイズレベルの調整 | 通話中にR側を3回タップ |
外音モードの切り替え | L側を1回タップ |
音声アシスタント | R側を1タップ後に長押し |
ペアリングモードへの移行 | L側を1タップ後に長押し |
再生・停止、曲送り・戻し、ノイズキャンセリングの切り替えなどは行えますが、本体のみで音量操作ができません。
タッチパネルの感度はほどよく、思い通りの操作はしやすい印象ではありましたね。
ただ、イヤホン装着時に誤ってタップしてしまうことは何度かありました。
アプリ|対応していない
AH-C830NCWはアプリに対応していないので、操作やイコライザーのカスタマイズをすることができません。
ファームウェアアップデートの対応ができないので、ノイキャンが強くなったり、通話性能が上がったりなど、そういった成長性がないところは残念なポイントではあります。
ノイズキャンセリング|高音の遮音性が悪い
AH-C830NCWのノイズキャンセリング性能についてですが、人の声はしっかりと遮音してくれますが、高音に対しての遮音性が悪いように感じました。
車や電車の走行音、雑踏音の高音が遮音されないような印象で、弾き語りなど静かな楽曲を聴いていると、高音の「サァー」とした音が結構入ってきます。
遮音目的でAH-C830NCWを購入するのはおすすめはしません。
ノイズキャンセリング | (3.8) |
こちらも参考にしてくださいね
外音取り込み|それなりには自然に聞こえる
AH-C830NCWの外音取り込み性能についてですが、それなりには自然に聞こえるかな? といった印象ではあります。
ただ、装着した状態でコンビニに行くと店員さんの声がちょっと聞こえにくいこともあり、お会計がスムーズにいかないこともあります。
音楽を止めていれば普通に会話もできるし、そのまま日常生活も送れるレベルには取り込んでくれますね。
外音取り込み | (4.0) |
こちらも参考にしてくださいね
通話品質|ノイズ対策がなかなかすごい
AH-C830NCWの通話品質についてですが、録音してみましたので以下の音声をよければチェックしてみてください。
カフェ店内の騒がしい音をバックで流していたのですが、ノイズがほとんど消えているではありませんか。
声もなかなかに聞こえやすく、通話性能はかなり高いように感じました。
屋外やオフィスでの通話、あとは家の中で生活音を聞かれたくない環境でのテレワークで活躍できそうに感じました。
通話品質 | (4.5) |
こちらも参考にしてくださいね
音の遅延|ライブ映像やPVだと違和感はほぼない
AH-C830NCWの映像と音声のズレですが、ライブ映像やPVのような鑑賞向けの作品ではほとんど違和感なく視聴できるように感じました。
スマホゲームだとさすがに違和感があり、FPSをするとタップしてから1テンポ遅れて銃声がなるような感じでした。
やはりゲームをするならゲーミングモードや低遅延モードを搭載したイヤホンのほうがおすすめになってきます。
ライブ映像を楽しむなら音質の良さと音場の広さも相まって、おすすめのイヤホンのように感じました。
遅延の少なさ | (4.5) |
AH-C830NCWにおすすめのイヤーピース
AH-C830NCWに個人的におすすめと感じたイヤーピースは、JVCのスパイラルドット++というイヤーピースです。
スパイラルドット++にすると、純正品より音の伸びやかさと解像度感、広がりが増したように感じましたね。
AH-C830NCWの特徴をさらに伸ばすかのように変化しましたね。
今回はMサイズで検証しましたが、ギリギリ充電ケースに干渉することもありませんでしたが、それ以上のサイズだともしかしたら干渉するかも……。
Mサイズ以下なら使えるので、さらに音の変化を楽しみたい方はAH-C830NCWを購入後に検討してみてくださいね。
DENON AH-C830NCW まとめ
AH-C830NCWをまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.5 /5
- ナチュラルで純度の高いサウンド
- 音質だけで見れば3万クラス
- 軽快な装着感
- 高い通話性能
- アプリに非対応
- ノイズキャンセリング性能がイマイチ
- 見た目がちょっと安っぽい
- 再生時間がやや短め
4.8
高音
4.9
中音
4.6
低音
4.0
装着感
3.8
ノイズキャンセリング
4.0
外音取り込み
4.5
マイク性能
3.5
利便性
Bluetooth | 5.0 | 最大再生時間 ※ANC ON時 | 本体4.8時間/ ケース込み19時間 |
コーデック | SBC,AAC | 充電時間 | 約2時間 |
ドライバー | 11×10mm ダイナミック型 | 充電端子 | Type C |
専用アプリ | ◯ | 防水 | IPX4 |
ノイズキャンセリング | ◯ | 質量 ※片耳/ケース込 | 5.3g/43g |
外音取り込み | ◯ | ゲームモード | – |
自動装着検出 | ◯ | 保証 | 1年 |
マルチポイント | – | 公式サイト | こちら |
こんな人におすすめ
- 性能より音質にこだわりたい方
- ジャズ・クラシック・バラードが好き
※タブで切り替えができます
AH-C830NCWは他の性能はある程度でいいから、とにかく音質にこだわりたいという方におすすめのイヤホンだと感じました。
その代わりノイキャンは一部帯域が苦手で、再生時間も短く、アプリにも対応していないなど利便性にやや欠ける部分もあるので、機能性を求める方には他にも選択肢があるかと感じました。
かなりナチュラルなサウンドなので、ロックやEDMなどゴリゴリの電子サウンドはJBLのTour Pro+ TWSなど他の選択肢がありますが、ジャズ・クラシックなど生楽器系のジャンルはめちゃめちゃ得意ですよ。
以上!AH-C830NCWのレビューをお送りしました。
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コメント
コメント一覧 (2件)
こんにちは。
もう少しでSednaEarfit Light Shortを買うところでした。
ありがとうございます。
付属のイヤーピースが少し残念ですね。
これのせいでノイキャンの性能が過小評価される気がします。
今のところnuarl n6pro2に同梱されてたBlock Ear+に交換してますがなかなか良いですよ。
音質は音楽を聴く上では今のところ文句無しですね。
話し声も良く響いて聞こえるのでオンライン会議等にはあまり向かないかもしれません。
それはそうとイヤホン単独でペアリングモードにできますよ。
左を2回タップ(2回目は5秒長押し)です。
のぶさんコメントありがとうございます!
Sednaが購入までギリギリ間に合ってよかったです!
Black Ear+もいい感じなんですね!試してみます!
ペアリングモード手動でできたんですね;;
マニュアルを読み漏れてました、気をつけます;;