ボクも2023年ベストバイ1位として紹介した金属コア入りの神イヤピ「COREIR -コレイル-」に、ついに完全ワイヤレスイヤホン向けに特化した軸の短いバージョンが登場しました。
それが今回紹介する「Pentaconn COREIR mini -ペンタコン コレイル ミニ – STAINLESS STEEL」です。

コレイルといえば2023年に発売してオーディオ界隈でとても話題になったイヤーピースで、2ペアで3,850円もするのにe☆イヤホンやAmazomでも売り切れが続出していましたね。
その後素材違いでアルミ合金を採用した「Pentaconn COREIR -ペンタコン コレイル – AL ALLOY」も発売し、こちらも大人気のイヤーピースとなりました。
そして今回紹介する新製品「Pentaconn COREIR mini」は軸が短くなっただけではなく、素材も初代と2世代目とは異なる「ステンレススチール」を採用したイヤーピースとなります。
今回は販売元の日本ディックスさんより紹介用に提供いただいたので、実機を使ってどのイヤホンに使えるか? どのような音の変化があるのか? など検証していきましょう。
COREIRについて
COREIRの特徴は、イヤーピースのなかに「金属コア」を内蔵している特殊な構造で、初代のコレイルは5円玉とかにも使われる黄銅が入っていました。
この構造で音の出口の形状を固定して、音を安定させるだけでなく、金属コア特有の「響き」もイヤホンに与えることができるイヤーピースとなっています。
ただ、黄銅は素材的に緑化しやすくボクのコレイルも緑っぽいサビが出てきて見た目が残念なことに……。

次に発売したPentaconn COREIR -ペンタコン コレイル – AL ALLOYにアルミ合金を採用。アルミ合金は緑化しないので、初代コレイルのように変色はしにくいしれないですね。

真鍮よりも響きが抑えられて、渇きのある粒立ちの良い高音を表現するようになりました。
ただ、どちらのコレイルも軸が長いため、SONY WF-1000XM5やTechnics EAH-AZ80 / 100を除く、ほとんどの完全ワイヤレスイヤホンでは使えないという弱点がありました。
そこで登場したのが今回の「Pentaconn COREIR mini」。

従来のCOREIRは軸長が9.4mmでしたが、 今回紹介するPentaconn COREIR miniは軸長が8.1mmと短くなったため、ワイヤレスイヤホンをケースに収納する際にイヤーピースが干渉しにくくなりました。

そのため従来のCOREIRでは使えなかったGemini II、JBL TOUR PRO 3などケースの収納部が狭いモデルでも干渉せず使えるようになったはず!
Pentaconn COREIR mini 外観チェック
それではPentaconn COREIR miniの外観をチェックしてみましょう。
パッケージはこんな感じ。今回は1ペアしか入っていません。

各サイズ並べてみるとこんな感じ。サイズごとに色分けされているのでわかりやすいです。

表面は滑り止め加工が施されている吸着性の高い素材を採用。
耳道内部との接着面積を広げるため、傘部の形状を専用設計としているようです。
これによりフィット感が向上し、ワイヤレスイヤホンの落下防止と、遮音性向上によるパッシブノイズキャンセリング、アクティブノイズキャンセリング効果向上に貢献しました。
金属コアにはステンレススチールを採用。

金属コアの全長を抑えつつ、従来の金属効果を維持するために、硬度が高く響きの優れたステンレススチールを採用したようです。
金属コアには従来のコレイル同様に色付きのシリコン製クッションパーツを配置。

これによりイヤホン側のノズルと直接衝突するのを防ぎつつ、サイズ判別をしやすくしています。
寸法比較
仕様 | Pentaconn COREIR mini STAINLESS STEEL | Pentaconn COREIR AL ALLOY | COREIR BRASS |
---|---|---|---|
金属コア | ステンレススチール | アルミ合金 | 黄銅 |
軸・傘部素材 | シリコン | シリコン | シリコン |
高さ | 8.1 mm | 9.4 mm | 9.4 mm |
軸内径 | 3.6 mm | 4.4 mm | 4.4 mm |
対応ノズル径 | Φ3.6~4.5 mm | Φ4.5~5.5 mm | Φ4.5~5.5 mm |
直径 L (Red) | 13.6 mm | 14.0 mm | 14.0 mm |
直径 M (Yellow) | 12.8 mm | 13.0 mm | 13.0 mm |
直径 MS (Blue) | 12.2 mm | 12.0 mm | 12.0 mm |
直径 S (Black) | 11.4 mm | 11.0 mm | 11.0 mm |
どの完全ワイヤレスイヤホンで使える?
ワイヤレスイヤホン | 適合可否(Lサイズで検証) |
---|---|
AirPods Pro | × |
ソニー / WF-1000XM5 / WF-1000XM4 | ◯ |
Technics / EAH-AZ80 | ◯ |
SENNHEISER / MOMENTUM True Wiresless 4 | ◯ |
JBL TOUR PRO 3 | △(ノズルがゆるい) |
B&W Pi8 / Pi6 | △(ノズルがゆるい) |
DEVIALET / GEMINI II | ◯ |
AVIOT ピヤホン 7 | ×(ノズルに装着できない) |
DENON / PerL Pro | ×(ノズルに装着できない) |
EarFun Air Pro 4 | ◯ |
NUARL / Inovatör | ◯ |
軸が長いCOREIRではWF-1000XシリーズやTechnics EAH-AZシリーズを除く、ほとんどのイヤホンではケースに干渉してアウトでしたが、Pentaconn COREIR miniであればほぼケースに干渉せずに使えるではありませんか。
他社イヤーピースがほとんど使えないJBL TOUR PRO 3も干渉せずに使えたのは驚きましたね。
日本ディックスによると、今まで干渉していたワイヤレスイヤホンの約70%が使用可能になったとのこと。
AirPods ProはAZLAのイヤーピースに付属しているアダプターを使って検証しましたが、ギリギリケースに干渉して使えませんでしたね……。AirPodsでCOREIRを使えるかと期待してましたが、残念っ!
Pentaconn COREIR mini STAINLESS STEEL レビュー
それでは実際に試してみましょう。
今回はおもにJBL TOUR PRO 3を使って検証しています。
装着感について
まず装着感の変化についてですが、評価的には安定性や密閉性は◎、圧迫感は△って感じでしょうかね。
表面が滑り止めのような加工が施されていることと、傘部の面積が広く取られていることもあって、純正で付いてくるイヤーピースと比べれば装着感はかなり安定しやすくなると思います。

また軸長が短くなったこともあり、従来のCOREIRと比べてイヤーピースだけで支えるような形ではなく、イヤホン本体とイヤーピース部両方で支えるような形になって装着感がより安定しやすくなりました。
ただ、軸長を少しでも短くさせるためか、従来のCOREIRと比べて先端のシリコン部のクッション性が薄くなっているんですよ。

そのため金属コア部の硬度が直接耳穴周辺に押し付けられる形になるため圧迫感が強く、耳が痛くなるのが早く感じました。
TOUR PRO 3は左耳が30分ほど着けていただけで少し痛みが発生してきましたね。
耳の痛くなりやすさは耳の形状や合わせるイヤホンによって異なると思いますので一概には言えませんが、ボクは従来のCOREIRよりも痛くなりやすいように感じました。
耳の奥までぎゅっと押し込まず、密閉できる程度に浅めに装着した方がいいかもしれません。
Svanar Wirelessのような少し浅めに装着するようなイヤホンであれば痛みは発生しにくかったです。
音の変化について
音の変化についてですが、今までのCOREIRのなかでは一番バランスの良い変化かもしれません。
COREIR BRASSは余韻たっぷりで全体的に高域寄りになってキラッ!シャキっ!とした感じの音でした。一番音の変化がわかりやすいモデルでしたが、合わせるイヤホンによっては高域がキツくなることもありました。
次モデルのAL ALLOYは低域にズッシリとした迫力が加わり、高域にはアルミならではの渇きと粒立ち感のある余韻が乗るような感じ。こちらは合わせるイヤホンによっては低域に重心が傾きすぎることがありましたね。
COREIR mini STAINLESS STEELの場合は、高域はBRASSほど煌びやかではないですが、AL ALLOYほど乾いた感じではなく、ほどよい煌びやかさや金属的な響きを加えてくれます。
低域はAL ALLOYほどドッシリとした迫力は加えませんが、中低域を広げすぎずにタイトに鳴らしてくれますね。
中域は従来のCOREIRよりもノズルからの距離が近くなった影響か、より勢いと厚みを感じられる音になっていますね。
中高域にもハリの良さと金属コアの余韻が乗ることで、純正イヤーピースもより色気のある歌声を聴かせてくれるようになりますね。
低域・中域・高域のそれぞれの主張が少し強くなり、その上で余韻を加えるようなチューニングになります。
あくまで音の変化を楽しむものであって、どのイヤホンに着けても「音が良くなる!」ようなものではないので注意。
イイ音と感じるかどうかは合わせるイヤホンや好みの音次第です。
色々な完全ワイヤレスイヤホンで試してみた
ここまではCOREIR mini STAINLESS STEELに変えることによる音の変化についてフォーカスして紹介しましたが、ここからは各ワイヤレスイヤホンに装着した時のボクの個人的な感想をお伝えします。
JBL TOUR PRO 3
まずはTOUR PRO 3に装着して検証してみましたが、こちらは従来のJBLサウンドに上記で伝えたような響きが加わるような印象でした。

元々フレッシュだった音にPentaconn COREIR miniを装着することで、よりハデ目になりつつも、今までのJBLにはなかった上品さが加わるように感じました。
ただただ元気よく声を張っていた子が、急に色気のある声を出すようになった感じ。
低域もさらにタイトになることで、JBLのハデ目なサウンドがよりハデハデになりますね。
ただノズルへのグリップがやや弱めで、うまく装着できなかったり、耳から外した時にイヤーピースが耳の中に残ってしまうことが何度かありました。
Technics EAH-AZ100
次にTechnics EAH-AZ100で試してみましたが、こちらは音を華やかにしつつも低域側にも高域側にも寄らず、中域に厚みを持たせてくれるようになりますね。
この組み合わせもかなりおすすめ。

Pentaconn COREIR AL ALLOYだと低域に寄りすぎるし、COREIR BRASSだと高域が煌びやかになりすぎるし……と感じていた方にはちょうどイイと思いますよ。
また軸が短くなったことで従来のCOREIRと比べてイヤーピースだけでなくイヤホン全体で支えるような装着感になるので、密閉感もアップしますし安定もしますね。
ただTOUR PRO 3と同じく耳穴への圧迫感はやや強くなる感じはありますね。長時間イヤホンをつけて作業される方は純正イヤーピースの方がいいかも。
EAH-AZ100に使うイヤーピースをPentaconn COREIR AL ALLOYにしようかCOREIR BRASSにしようか迷ってましたけど、Pentaconn COREIR miniがベストかも。
EAH-AZ100だけでなくAZ80ユーザーにもおすすめですよ。
Devialet Gemini II
次にDevialet Gemini IIに装着して検証してみました。

一番この組み合わせに期待していたのですが、個人的な感想としては「(・3・) あるぇー」って感じです。
Gemini IIの強みは高域の繊細な伸びやかさなのですが、その高域がキツくなりすぎて少し耳障りに感じてしまうんですよね。
最近はMADOOのMDX30をノズルの奥まで挿入して無理やり使っていたのですが、MDX30の方がGEMINI IIの強みを伸ばせていて好みでしたね。
ただ装着感はとても安定するようになりますね。音の好み次第ではアリかと。ボクはナシ。
B&W Pi8
Pi8も試しましたが、こちらもイマイチでしたね。

Pi8はノズルが細すぎて、COREIR mini STAINLESS STEELを装着するとイヤーピースとノズルの間に隙間が空いてしまうんですよ。
その影響で密閉度が下がってしまって低音が逃げたり高域がシャリついたりしてしまうんですよね。
Pi8は純正イヤーピース以外良いイヤーピースが見つかりません……。
SENNHEISER MOMENTUM True Wireless 4
この組み合わせは神……。素晴らしき変化……。

SENNHEISER MOMENTUM True Wireless 4の伸びやかで繊細な高域に煌びやかさが加わることで、ボーカルを中心にとても華やかな音になります。
MOMENTUM True Wireless 4の音ってダークさがあってサウンドパーソナライゼーションで調整しないとやや苦手な音だったんですけど、陰気臭いキャラから一気にキラキラとした王子様かのようにキャラが変わりますよ。この変化は楽しい。
元から得意だったサックスやハイハット、シンバルの音にキレの良さが加わって、スモーキーなジャズだけでなくビッグバンド系との相性が良くなります。
GEMINI IIも同じような変化のはずなのに、あっちの方が刺激が強くて高域がキツく感じるんですよね。
ノズルへのグリップも高くてTOUR PRO 3みたいに耳穴で残ったりもしないですし、密閉度も高くて装着感も安定しますし、これは個人的MOMENTUM True Wireless 4のベストイヤーピースを更新したかもしれません。
ただ自然な伸びやかさがなくなり煌びやかな表現になるので、やはり音の好み次第にはなると思います。
HiFiMAN Svanar Wireless
MOMENTUM True Wireless 4クラス、いやそれ以上におすすめの組み合わせがHiFiMAN Svanar Wireless。
従来のCOREIRだとケースに干渉して使えませんでしたが、COREIR mini STAINLESS STEELであればケースにも干渉せず使えます! 感動!

全体的にSvanar Wirelessの強みを伸ばすような変化で、上品で艶やかな中高域がさらに磨きがかかり、より美しく華やかな歌声を響かせるようになります。
低域にもタイトな迫力も加わりよりダイナミックに、高域もキツくなるギリギリラインで煌びやか。ただ楽曲によっては刺さりは感じます。宇多田ヒカルの「Beautiful World」は高域がキツくなりすぎてダメだった。
この組み合わせで宇多田ヒカルの「真夏の通り雨」を聴いたらボーカルとピアノの音が美しすぎて鳥肌ものですよ。ロックやEDMはモタつきますけどね。バラード系がおすすめ。
女性ボーカルが得意そうに聞こえるかもしれませんが、男性ボーカルもとても色っぽくなるのでおすすめですよ。SIRUPの「Loop」とか、藤井風の「満ちてゆく」、米津玄師の「地球儀」のような低く儚げな男性バラードはかなり得意です。
Svanar Wirelessは利便性が悪すぎてしばらく使ってませんでしたが、この組み合わせがあまりに強すぎて久々1軍に戻そうかと思うレベルです。
接続安定性の悪さはLDACを使わず、あえてiPhoneのAACで接続してカバーじゃ。
NUARL / Inovatör
最後にNUARL Inovatörで試しましたが、こちらもスパイス的に高域側に煌びやかさが乗ってくれますね。

MEMSドライバーだとサラッとしすぎて刺激が薄い高音に煌びやかさが加わり、低域にも迫力が加わることで、メリハリ感のある音に変化しましたね。この変化はかなり好み。
純正イヤーピースよりも装着感も安定しやすくなりましたね。
注意事項
最後に日本ディックスさんから3つの注意事項だけいただいていますので、以下に掲載しておきます。
※本製品の金属コアはステンレス素材を使用しております。金属アレルギーをお持ちの方や、その可能性がある方、お肌が敏感な方はご使用をお控えください。
※本製品に使用している金属部品は、強い力を加えるとシリコン部品から外れる場合があります。
※本製品とお使いになるノズルの嵌合と充電ケースに干渉しないことをご確認の上、ご使用ください。
まとめ
総合評価
5/5
Pentaconn COREIR mini STAINLESS STEEL

- 音がとても華やかになる
- ほとんどのワイヤレスイヤホンでケースに干渉せずに使える
- 密閉度が高く装着感も安定する
- 耳が痒くなりにくい
- サイズ別に色分けされていてわかりやすい
- 先端のクッション性が低く圧迫感がやや強め
- イヤホンの音に響きや華やかさを加えたい
- COREIRの音の変化大好きだけど愛用のTWSには使えなかった
- イヤホンの密閉度を高めたい
- EAH-AZ100 / MTW4 / Svanar Wireless / Inovatörユーザー
今回のCOREIRもめちゃめちゃ売れると思う。
いろんなワイヤレスイヤホンに使えますし、音の変化も今までのCOREIRの中ではバランスが良く、音の傾向を変えすぎずに華やかさや余韻を加えたい時にはピッタリだと思います。
純正の柔らかいイヤーピースと比べると圧迫感は強いので長時間イヤホンを装着しっぱなしの方は痛みを感じやすいかもしれませんが、音の変化はとても楽しいイヤーピースなので、気になった方はぜひ購入してみてください。
ちなみに前作、前々作と発売日付近で速攻売り切れているので、確実に手に入れたい方は予約をおすすめします。


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