こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
最近ポータブルオーディオ界隈では、スマートフォンに直結し、まるでイヤホンケーブルの延長線のように使える小型のDACアンプが流行ってきていますね。
気持ちわかりますよ。わざわざ音楽プレイヤーを持ち運ぶ必要なく、いつも使ってるスマートフォン一台でいい音で聴けるんだもの。
5,000円台で買えるiBasso DC03が定番ですが、DAPで有名なAstell&KernからもPEE51という直結型DACが発売し、予約殺到で生産が追いつかなくなるほど人気のようですね。
今回は中国のDAPメーカーShanling(シャンリン)より、約1万円で買えるバランス端子付きの小型DACアンプ『UA2』をご紹介します。
10万以上の据え置きアンプにも採用されたことのあるDACチップ『ES9038Q2M』を搭載し、端子は3.5mmアンバランス端子と2.5mmバランス端子どちらも採用。
これで約12000円で買えるというかなりのコストパフォーマンスの高さを誇るDACアンプです。
今回はこちらのShanling UA2を先に輸入し、実機を使って深掘りレビューしていきます。ぜひ、参考にして見てください!
総合評価
4.5/5
- 豊かな中低域
- 広がりのあるウォームサウンド
- 情報量が多く、密度のある音
- iPhoneでも使える
- iOSのみだと音量調整が難しい
3.9
音質
4.3
携帯性
4.3
拡張性
4.3
利便性
Shanling UA2 概要
Shanling UA2 の特徴はこちら。
- USB-Cを採用したスマートフォン向け小型ポタアン
- 3.5mmアンバランス/2.5mmバランス端子どちらも搭載
- PCM:768kHz/32bit / DSD:512(22.4MHz)まで対応
- DACチップは据え置き機にも採用される『ES9038Q2M』を搭載
個人的には3.5mmと2.5mmどちらも使えて1万前後で買えるという点が素晴らしいと感じました。
PCMは768kHz、DSDは22.4MHzまで対応し、再生できない音源はないと言えるほど。むしろ音源探す方が難しいわ。
スペックは前機種のUA1とiBassoのDC03と比べてみました。
スペック一覧 | UA2 | UA1 | DC03 |
---|---|---|---|
本体サイズ(mm) | 54 × 18 × 9 | 39 x 15 x 9 | 40×15 |
重量 | 12.6g | 8.3g | 11g |
DACチップ | ES9038Q2M | ES9218P | CS43131×2 |
オペアンプ | RT6863 | 不明 | 不明 |
THD+N | <0.0008% | 0.001% | <0.00028% (32Ω負荷時, 1.2Vrms) |
出力レベル | シングル:125mW バランス:195mW | 80mW | 80mW |
S/N比 | シングル:121dB バランス:116dB | 119dB | 127dB |
ダイナミックレンジ | シングル:120dB バランス:116dB | 119dB | 不明 |
周波数特性 | 20Hz~50kHz +/-0.5dB | 20Hz-50kHz | 20Hz~40kHz +/-0.5dB |
クロストーク | シングル:76dB バランス:109dB | 77dB | 不明 |
出力インピーダンス | <0.8Ω <1.6Ω | <0.5Ω | 0.12Ω |
対応ビットレート | PCM:768kHz/32bit DSD:512(22.4MHz) | PCM:768kHz/32bit DSD:256(11.2MHz) | PCM:384kHz/32bit DSD:256(11.2MHz) |
出力はUA2がシングルエンド(3.5mm)でも125mWとかなり高出力である程度のヘッドホンでも鳴らしきれそうですね。
S/N比はDC03が上ですが、細かなスペックは聴いてみて自分が良いと感じるかで判断するので個人的には気にしていないです。
カラーバリエーションはなく、ブラックの一色のみ。
それでは開封していきましょう。
Shanling UA2 レビュー
外箱・付属品
Shanling UA2の外箱はこちら。正方形のコンパクトなパッケージです。
開封してみるとこんな感じ。本体とUSB-Aアダプターがお目見え。
付属品はこちら。
- USB Type C to C ケーブル
- USB Type A to Cアダプター
- クイックスタートガイド
USB-C to USB-C ケーブルは布巻きの短めのケーブルが付属。個人的にはケーブル長がもう少し短めでもよかったかな。
パソコンに接続するときは付属のUSB-C to Aアダプターを使えば接続できます。
ユーザーガイドはまさかの日本語対応。国内版しか日本語対応していないかと思いましたが、輸入盤でも日本語に対応しているんですね。
本体をチェック
Shanling UA2の本体は金属筐体。32bit/768kHz DSD512の印字とハイレゾロゴシールが貼り付けられています。
天面には3.5mmジャックと2.5mmバランス端子、真ん中には再生フォーマットを示すLEDランプが搭載。底面にはデバイス接続用のUSB-Cメス端子が搭載しています。
側面にはUSBモード切り替えボタンが搭載。
古いAndroid端末やNintendo Switchと接続する際、そのまま接続すると認識されないのですが、MODEボタンを長押ししながら接続すると認識するようになります。
付属のUSB Type Cケーブルを装着するとこんな感じです。
DC03と比較するとケーブルを含め一回り大きめですね。
携帯性や取り回しの良さはDC03に軍配が上がるかなといった印象ですが、特別取り回しが悪いわけでもないです。
FitEarのイヤホンケースにイヤホンとUA2を一緒に入れてみると、ギリギリ収まるくらいの大きさ。
Xiaomi Redmi Note 9sに装着するとこんな感じです。
ジーンズのポケットにスマートフォンと一緒に入れるとこんな感じ。ポケットから少し出てしまいますね。
実際に運用してみるとイヤホンケーブルの延長で使える感覚ではなく、あきらかにアンプがくっついているような重みは感じますね。
DC03と比べるとやや重みや取り回しの悪さは感じますが、運用には特に問題は感じません
情報量が豊かな濃密サウンド
それではメインである音質のチェックをしていきましょう。
試聴環境は以下の通りです。
- スマートフォン:Redmi Note 9s
- 再生アプリ:Amazon Music HD
- イヤホン:カナルワークス CW-L52
一聴して感じたことはとにかく情報量が豊かで、一音一音が濃密なサウンド。
はじめは低音が強めで重心が低めのサウンドに感じましたが、デフォルトでハイゲイン設定になっていたため、後述するアプリ設定でローゲインに変えればもう少しフラット寄りになりました。
高音は伸びやかというより滑らかな印象。刺さりを一切なくし、聴いていて心地よいと思える音を重要視したような音作りです。
アコースティックギターの弦を爪弾く音も、1弦ごとではなく”ギターを楽器一体”として聴いているような印象。B&Wのヘッドホン『P7』のような音に近いイメージ。
かと思えばハイハットやシンバルの音はとても伸びやかで金物の残響感がとても心地よいですね。
中域はとにかく濃密で厚みのあるサウンド。アジカンなどの骨太で重厚なギターサウンドとの相性が良く、ギターの残響音がフロアに広がっている様をリアルに感じ取ることができます。
ボーカルは情報量の多い中域のなかでも埋もれず、楽器隊との距離感をフラットに立ち回りながら存在感を放ちます。
低域の締まりはやや甘めですが、広がりや厚みはかなりのもの。楽曲の重心をドシッと支え、曲自体の雰囲気を重視しながら豊かさを加えてくれます。
サカナクションやPerfumeなどのキック音がズンッとくるテクノサウンドとの相性は普通ですが、星野源や藤井風のメロウなサウンドや、アジカンやヨルシカ、【Alexandros】などの重厚なバンドサウンドの相性が特に良いと感じました。
高音 | (3.8) |
中音 | (3.8) |
低音 | (4.1) |
解像度 | (4.0) |
迫力 | (4.0) |
とにかく音が濃密!超好みのサウンドだわ!
バランス接続だと
UA1を2.5mmバランス接続で聴いてみると、濃厚なサウンドはそのままにL/Rに音がクッキリと別れたような感じです。
ノイズ感も少なくなり、締まりもUP。より一音一音を感じやすくなりますね。UA1の性質は変えずに「バランス化しました!」って感じの音作りです。
出力も高くなるため、ヘッドホンユーザーの方や多ドライバーイヤホンユーザーの方でもう少し出力が欲しい方はバランス接続のほうがいいかもしれません。
個人的にはアンバランス派。
UA2とUA1、DC03を比べると
UA1とDC03を比べてみた感想を比較表で表すと以下のとおりです。
スペック一覧 | UA2 | UA1 | DC03 |
---|---|---|---|
高音 | (3.8) | (3.6) | (3.9) |
中音 | (3.8) | (3.8) | (3.8) |
低音 | (4.1) | (3.6) | (3.9) |
解像度 | (4.0) | (3.8) | (4.0) |
迫力 | (4.0) | (3.7) | (3.7) |
傾向 | 濃密でややウォーム寄り | フラット | 硬めでメリハリのあるサウンド |
出力レベル | シングル:125mW バランス:195mW | 80mW | 80mW |
端子 | 3.5mm/2.5mm | 3.5mm | 3.5mm |
価格 | 10,000円前後予想 | ¥5,720 | ¥6,820 |
エントリーモデルのUA1と比べるとUA2はやはり全体的に音質が上。
UA1はフラットで柔らかな印象がありましたが、UA2は情報量が豊かで厚みあるのサウンドになりましたね。
DC03と比べるとUA2と解像度は同程度。ストリングスの自然さや伸びやかさはDC03のほうが上手のように感じますが、音が硬めでやや刺さりを感じることも。
また、DC03はiOSに正式に対応していないため、OTGアダプターを噛ませても動作が不安定になることがあります。
UA2は全体的に角が取れた濃厚でまろやかなサウンドのため、情報量の多さや音の豊かさを感じたい方はUA2がおすすめでしょう。
まとめるとこんな感じです。
- UA1 → とにかく安く買いたい
- DC03 → 硬めで高解像度系の音が好み、コスパ重視
- UA2 → 濃厚で厚みのあるサウンドが好み
ぼくはウォームな音が好きなのでUA2派!
ちなみにShanling M3Xと比べると、解像度や音の緻密さなど全体的にグレードは下がるようには感じますね。やはり単体DAP強しです。
発熱はややあり
UA2をしばらく使っていると、若干本体が熱くなってきます。
iBassoの前作『DC02』のように「あつっ!」と感じるほどではないですが、「あったか〜い」ってくらいの熱さです。
アプリを使えば細かな音量調整やゲイン設定ができる
UA2はAndroidスマートフォンと接続した際、細かな音量調整が難しくなりますが、公式アプリを使うことによってゲイン設定や音量の細かな調整ができるようになります。
アプリは以下の『Eddict Player』が公式で配信されているものになります。
iOS向けにもアプリ用意されていますが、UA2は認識しないという致命的な仕様です。
*本アプリは現状の最新バージョン(V1.0.15)では「日本語」をサポートしておりません。
*現状ではiOS版のアプリで「SyncLink」機能を利用することができません。今後予定しているアップデートで対応予定となります。
*現状の最新バージョン(V1.0.15)では「UA1」との接続に問題が発生することが確認されています。
*iOS版のアプリでは端末の制限により「UA1/UA2」との連携機能を利用することができません。
引用元:Eddict Player アプリについて/株式会社MUSIN(Shanlingの国内代理店)
iPhoneユーザーの方はUA2の細かな設定ができないためご注意ください。
まず、アプリを入れたての状態だと中国語でなにがなんやらな状態なので言語を変えておきましょう。
左上のハンバーガーメニューを開いて歯車マークを押すと設定項目が開きます。
一番上の項目をタップすると”言語設定”に移行するのでそこからEnglishに設定しておきましょう。
ちなみに日本語というの表記はありますが、押してもサポート外ということで設定できません。なんでやねーん。
トップ画面に戻り、再びハンバーガーメニューから『USB Cntrol』を押すと『UA2』の表記が出てくるので、UA2を接続した状態でタップしましょう。
するとUA2の細かな設定画面が表示されます。
アプリでできることは
- 最大音量設定
- 音量アップ時の細かな音量設定
- デジタルフィルター
- ゲイン設定
- 左右の音量バランス設定
こちらの5つになります。
デフォルトだと『ハイゲイン』設定でボリューム調整もMAX『64』になっているため、イヤホンで聴くと細かな音量調整が難しくなります。
感度の高いイヤホンで聴く場合は『ローゲイン』に変更し、ボリュームを30ほどにしておくと音量調整がしやすくなります。
デジタルフィルターは7つほど項目がありますが、ほんの少し音のニュアンスが変わる程度で正直どれがいいか全くわかりません。
直感的に良いと感じた『Hybrid fast roll-off filter』にしていますが、各項目がどのように変わるのか詳しい方教えてください…。
このようにアプリでUA2の細かな設定ができるようになり、手持ちのイヤホンに合わせた最適な調整が可能になります。
ちなみにAndroidアプリで調整しておけばiPhoneに接続した際にも設定が引き継がれます。
iPhoneユーザーの方は手持ちのAndroidデバイスで設定するか、Andoirdをもっている知人にアプリを入れて調整してもらうのもおすすめです。
Shanling UA2をiPhoneで使う方法
Shanling UA2はiOSに公式で対応していると謳ってはいますが、付属のケーブルはUSB Type Cのため、そのままでは使うことができません。
Lightning to USB-Cのケーブルも対応したものはかなり少ないですが、AliExpressで販売しているLightning変換OTGアダプター「TC28i」を使えば接続できます。
Amazon Music HDでも問題なく再生できていますね。
Androidと比べると細かな音量調整が難しくなりますが、あらかじめAndroidアプリで調整しておくことでは一応解決はできます。無理やりですけど…。
ハイゲイン設定だと通信ノイズを拾ってしまうのか、電車内だと雑音が混じることが少しありましたね。
それでもiBassoのDC03よりも動作は安定し、音量調整もしやすいのでiPhoneでも割と不便なく使えます。
Lightning to USB-C OTGアダプターは一つ持っておけば店頭でDACアンプを聴き比べたい時なんかにも便利ですよ。
Shanling UA2 まとめ
Shanling UA2のレビューをまとめると以下の通りです。
総合評価
4.5/5
- 豊かな中低域
- 広がりのあるウォームサウンド
- 情報量が多く、密度のある音
- iPhoneでも使える
- iOSのみだと音量調整が難しい
3.9
音質
4.3
携帯性
4.3
拡張性
4.3
利便性
直結型DACで濃密なサウンドを求めるならコレだ!
- スマートフォン、iPhoneを高音質化したい
- 濃密で滑らかなサウンドが好み
- 手頃な価格でハイレゾやバランス化を試したい
- コンパクトなDACでイヤホン・ヘッドホンを高出力で鳴らし切りたい
Shanling UA2は高音質で濃密なサウンドを手に入れたい方におすすめの直結型DACです。
1万円前後で3.5mmだけでなく2.5mmバランス端子も使え、ハイレゾからDSDまであらゆる音源を試せるのも強み。
DC03と比べると価格が少し高めですが、DC03よりiPhoneでの動作も安定しており音量調整もまだしやすいです。
Android端末さえあれば設定を引き継いで細かなゲイン調整までできるので、iPhoneユーザーでAndoidデバイスも持っている方は特におすすめです。
個人的にはめちゃめちゃ満足のDACだった!
以上、Shanling UA2のレビューをお送りしました!
初回分はLightning to USB-Cケーブルがキャンペーンでついてくるみたいなので、お早めに!
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