こんにちは、元イヤホン専門店スタッフのかじかじ (@kajet_jt)です。
2020年、こちらのブログで数々の完全ワイヤレスイヤホンをレビューをしてきましたが、今年のベストバイが決まりました。それがこちら!
XROUND VERSA(バーサ)
- クラウドファンディングで1400万円の支援金を集め開発された期待の台湾発のTWS
- 圧倒的音場の広さ、独自技術による3Dチューニング
- 約14,000円という価格で、音質・性能ともにバケモノ級のコスパ
XROUNDは台湾発のオーディオブランドで音響設計エンジニアと、音響マニアによって設立。まだまだ新鋭メーカーのため製品は少ないですが、サラウンド効果を体感できる「XPUMP」や、音楽とゲームに特化した”二刀流”の有線イヤホン「AERO」など、独自路線の特徴的な商品を開発してきました。
今回はXROUND初の完全ワイヤレスイヤホン「VERSA」のレビューをしていきます!試聴機はメーカーからご提供いただけたものですが、提供いただかなくてもこの音を聴けば自分で買ってましたね。本当に良い商品だったのでかなり長文になりましたが、最後までご覧ください!
XROUND VERSA レビュー
スペック一覧
スペック一覧 | VERSA |
---|---|
Bluetooth | 5.0 |
コーデック | SBC,AAC,aptX |
防水規格 | IP67 |
ドライバー | 6mm |
質量 | ケース:40g 本体:4.5g |
再生時間 | 本体のみ:8時間 ケース込:32時間 |
充電時間 | 表記なし |
充電端子 | USB Type C ワイヤレス充電 |
ノイズキャンセリング | × |
外音取り込み | × |
カラーバリエーションはブラック、ホワイトの2色
付属品:充電ケーブル、イヤーピース2種類、イヤーフック、マニュアル
- 15㎝ Type-C 充電ケーブル1本
- 説明書
- シリコンイヤーフック3セットSML+ノンイヤーフックシリコンカバー
- Spinfit可動式コンフォートイヤーピース3セットSML
- VERSA遮音イヤーピース3セットSML
XROUND VERSAの付属品はType-C 充電ケーブル、イヤーフック、イヤーピース6ペアと豊富に揃っています。
イヤーピースは2種類付属
XROUND VERSAに付属するイヤーピースは遮音性に特化したノーマルタイプと、装着感に特化したSpinfit製のイヤーピースの2種類入っています。
Spinfit製のものがおそらくCP360という完全ワイヤレスイヤホン向けの大人気イヤーピースだと思われますが、軸が茶色でXROUND VERSA向けの特注デザインになっています。
イヤーフックはL、M、S、ノーの4ペア
イヤーフックは「L、M、S、ノー」の4ペア付属。
充電ケースもイヤーフックの形状に沿った設計のため、毎回つけ外す心配もありません。デフォルトではLサイズが装着されています。
個人的にはLサイズが一番フィットしました。
充電ケース:プラスチック感のあるチープなデザイン
XROUND VERSAの充電ケースはプラスチック感があり少しチープさを感じてしまいます。ロゴのおかげで少し高級感は出ています。
AirPods Proと比べるとやや大きく感じますが重量が40gと軽く、ズボンのポケットにいれてもかさばらないため、ポータブル性は良好です。
充電:USB TypeC、そしてQi(ワイヤレス充電)対応
充電端子はUSB TypeC。さらにQI(ワイヤレス充電)にも対応しています!
5W、7.5W、10W急速充電にそれぞれ対応しており、お手持ちのワイヤレス充電機に乗せるだけで簡単充電できます!この価格でワイヤレス充電まで対応させるのは珍しいですね!ワイヤレス充電使いとしては非常にありがてぇ…!
このブログで何度も伝えていますが、ワイヤレス充電はマジで便利なんで一度使ってみてください。充電したつもりがないのに、常にイヤホンが満充電になっているような感覚です!
再生時間:本体のみ8時間、ケース込み32時間
XROUND VERSAの最大時間は本体のみで8時間とかなり高寿命。長時間音楽を聴きっぱなしでも、出張や旅行など長時間の移動、仕事中に音楽を流しっぱなしでもバッテリーが切れる心配がありません。
充電ケース込みでも32時間再生ができるし、ワイヤレス充電にも対応していますし、バッテリー周りは一切不満なしですね。
本体:4.5gと非常に軽量
XROUND VERSAのイヤホン本体にはXROUNDのロゴがあしらわれており、なんだか重低音をゴリゴリだしてくれそうな見た目です。
本体の重量が4.5g(平均は5g〜6g)と非常に軽く、ストレスのない付け心地を提供してくれます。
ノズル径は5.4mm くびれ部は4.4mm
XROUND VERSAのノズル径は5.4mm、くびれ部は4.4mmと一般的なサイズ。
充電ケースのイヤーピース収納部も深く、完全ワイヤレスイヤホン向けであれば、人気の高いSednaEarfit Light Shortやディープマウントイヤーピースなど、やや軸が長いイヤーピースでも充電ケースに干渉することなく装着できます。
操作方法
▽音楽再生
- 再生/停止 → L or R側を1回押す
- 曲送り → L側を2回押す
- 曲戻し → L側を3回押す
- 音量を上げる → R側を3回押す
- 音量を下げる → L側を2回押す
▽通話
- 電話を受ける → L or R側を1回押す
- 着信拒否 → L or R側を2回押す
- 通話終了 → L or R側を1回押す
▽その他
- 音声アシスタント → L or R側を2秒間長押し
- 電源を切る → L側 or R側を5秒間長押し
※両イヤホンの電源を着る場合は、両方とも長押しする必要があります。
XROUND VERSAは本体に搭載している物理ボタンで、音量から曲送りまであらゆる操作が可能です。
ただ、実際に使ってみると物理ボタンの位置が直感的にわかりづらく、やや操作をしにくい印象がありました。慣れれば問題はないと思います。
ペアリングは簡単!取り出したらすぐペアリングモード
初回起動時はケースから取り出すだけで、自動的にペアリングモードになります。
ペアリングはこちらで完了です。「オートペアリング」に対応しているため、次回以降はケースから取り出すだけで自動的に電源オン→スマホと接続されます。
再度ペアリングモードにする際は、電源オフの状態でボタンを3秒間長押しするとペアリングモードになります。
両耳のペアリングがうまくいかなくなったらリセットをしよう
両耳同士の接続がうまくいかない場合は、一度リセットしてみましょう。
- 電源オフの状態でL,R両方のボタンを10秒間押す
- 5回連続して案内音、それから「パワーオン」と流れます。
- 「TWS コネクティドゥ」と流れたら、出荷状態になります。
※出荷状態に戻すときは、充電ケースに戻さないようにしてください。
こちらでリセット完了です。
片耳でも使える。
XROUND VERSAはどちらか片側をケースに戻せば、LRどちらでも片側のみの使用ができます。
装着感:付属のイヤーフィンでぴったりフィット!軽いし落ちる気がしない!
装着感 |
XROUND VERSAは本体重量が4.5gと軽量で形状も耳の中に収まりやすく、イヤーフィンもついていて付属イヤーピースは装着感に定評のある「Spinfit」を採用。耳にフィットさせるために一切妥協なしのラインナップです。
実際に装着してみると、どれだけ激しい動きをしても一切落ちる気がせず、本体も軽量のため異物感のない超快適な着け心地です!ジョギングやスポーツ、ダンス中にガンガン使っても外れる心配がなさそうですね!
遮音性も高くノイズキャンセリング機能がついていなくても、周りの音をシャットアウトしてくれます。欲を言えば外音取り込み機能が欲しかったかな?
一度、仕事から帰ってきてから寝る前まで約5時間ずっと付けっぱなしにしてみましたが、痒みや痛みを感じることがほぼなく、ずっと良好な装着感で音楽を聴いていられました。
音質:縦にも横にも広がる音場、雑味がなく繊細な表現もできる、つまり最高
高音 | |
中音 | |
低音 |
XROUND VERSAの音質について、一聴して「とにかく音場が広っ!」と感じました。完全ワイヤレスイヤホンの中で一番音場が広いのでは?と思わせるくらいの広さです。
この音場については、「音の抜けが良く横に広がる」と「ひとつひとつの楽器が立体的に縦に広がる」の2つの意味で広く、3D感のある特徴的な音作りです。なぜこんなに音場に広いのかというと公式サイトを一度見てみましょう。
VERSAのチューニングでは3DのCSD図を使って残響とフェードを調整。32bit Qualcomm KalimbaTM高性能DSPでより細かく低/中/高音特性をチューニング、緻密に聴感を強化し、高音質を客観的に数値化しました。
XROUND VERSA商品ページより
なるほど!わからん!!
簡単に言えば、波形を見ながら残響音をめっちゃ調整したんだと思います!イコライザーなしでこの音場の広さは本当にすごい!
各帯域の鳴り方については、”すごい重低音出しまっせ”って感じの見た目なんですけど、見た目に反してフラット傾向です。意外ですよね。ヒップホップやEDMなど、電子的な重低音が響くジャンルは少し物足りなく感じると思います。
解像度はかなり高く、音場の広さの中に各楽器をひとつひとつ感じ取れる細かな表現が得意です。高域の伸びが良くアコースティックな楽器からロックなどの荒々しいシンバル音まで伸びやかに鳴らします。
ボーカルや主旋律などの中域ラインもクリアで、他楽器に埋もれずしっかりと分離しながら艶やかに奏でてくれます。おすすめのジャンルはロック、ポップス、ジャズ、クラシックあたりですね。
なによりワイヤレスイヤホン特有の高域の雑味が一切なく、低域から高域まで刺さりなく自然でスムース。音場も含め約14,000円という価格で、この表現力の高さには脱帽です。一気にXROUNDさんのファンになりました。
他の1万円以下/前後の完全ワイヤレスイヤホンとの音質比較はこちらの記事をご覧ください。
2種類のイヤーピースを聴き比べてみた
VERSAには「Spinfit可動式コンフォートイヤーピース」「VERSA遮音イヤーピース」の2種類が入っているので、それぞれ装着してみました。
「VERSA遮音イヤーピース」はその名の通り遮音性と密閉度UP
まず、「VERSA遮音イヤーピース」で聴いてみました。Spinfitと比べると耳内部の設置面積が広く、密閉度が高まります。
それによって、Spinfitと比べる遮音性の高さと中低域の量感が多くなったように感じました。
「Spinfit可動式コンフォートイヤーピース」は装着感の良さと音のスナップ感UP
次に、「Spinfit可動式コンフォートイヤーピース」を装着してみました。
遮音イヤーピースと比べると、耳の奥まで挿入しやすく素材の違いもあり、異物感のない安定した装着感を得られます。
遮音イヤーピースと比べると密閉感がやや薄いため、中低域の量感がやや少なくなったように感じますが、中高域はフレッシュかつクリアに聴こえます。
個人的には「Spinfit可動式コンフォートイヤーピース」の装着感と音が好みなのでこちらのLサイズを使っています。
防水性:水洗いもできるレベル
XROUND VERSAの防水・防塵レベルはIP67。見方はこんな感じです。
- IP6〇(粉塵が内部に侵入しない)
- IP〇7(30分以内であれば水につけても壊れない)
※充電ケースは防水防塵仕様ではありませんのでご注意ください
つまり防水防塵最強です!砂浜でジョギングしても、お風呂に落としてしまっても安心です!
ちなみに装着した状態でお風呂も入り、そのまま頭も洗いましたが全く問題ありませんでした。ただし自己責任で!
通話品質
マイク性能 |
XROUND VERSAのマイク性能は、ノイズが少なく鮮明に声が聞こえやすいように感じました。ハイレベルMEMSマイクを搭載しており、風切り音や環境音も集音しにくい印象です。
同価格帯の完全ワイヤレスイヤホンと比べると明らかに音声がクリアであり、テレワークなどでも相手に不快感を与えることなく通話ができそうです。
音途切れ:ごく稀に発生する
音途切れ |
XROUND VERSAを通勤時に使用しましたが、電車内で1度だけ途切れたことがありました。耳に装着した状態で本体を手で覆ってみると、たまに途切れる程度のようです。
その一度っきりでそれ以降は一切なかったので、接続性でストレスを感じることはないです。
遅延:接続コーデックによってはズレがほぼない!
遅延の少なさ |
XROUND VERSAの音と映像の遅延具合は、AACで接続した時と、apt-Xで接続した時とで遅延具合が異なります。
iPhoneで使用する場合はAACでの接続となりますが、やや遅延が大きくライブ映像を見ても口元と声が合っていないことがわかります。
しかし、Macbookにてapt-Xで接続した際は、ほぼズレがありませんでした。
遅延についてはコーデックによっても異なり、接続するデバイスによっても異なるため、あくまで参考程度にご覧ください。
XROUND VERSAと他のイヤホンを比較
価格帯や性能が近く、一緒に検討されやすいであろう「AVIOT TE-D01d MK2」と「ag TWS04K」と比較しました。
比較表 | VERSA | TE-D01d MK2 | TWS04K |
---|---|---|---|
Bluetooth | 5.0 | 5.0 | 5.0 |
コーデック | SBC,AAC,aptX | SBC,AAC,aptX | SBC,AAC,aptX |
防水規格 | IP67 | IPX5 | IPX7 |
質量 | ケース:44g 本体:4.5g | ケース:93g 本体:7g | ケース:90g 本体:5g |
再生時間 | 本体のみ:8時間 ケース込:32時間 | 本体のみ:11時間 ケース込:120時間 | 本体のみ:9時間 ケース込:180時間 |
充電端子 | USB-C ワイヤレス充電 | USB-C ワイヤレス充電 | USB-C |
ノイキャン | × | × | × |
外音取り込み | × | ○ | × |
VERSA TE-D01d MK2 比較
- バッテリー周りはTE-D01d MK2が強い、ポータブル性や装着感はVERSAが強い
- 音の傾向は似ているが、VERSAのほうが音場は広く三次元的な鳴り方
- どちらかしか買えないなら、筆者はVERSAを選ぶ
VERSAとTE-D01d MK2を比較してみました。
スペックについてはTE-D01d MK2は、最大再生時間が本体のみで11時間、ケース込で120時間再生ができ、ワイヤレス充電も対応。モバイルバッテリー機能もありとバッテリー周りが最強です。
対してVERSAは、再生時間がTE-D01d MK2と比べると短いですが、ケースや本体の軽さや装着感の良さ、防水防塵面の強さなどは軍配が上がります。
音質についてはどちらも傾向はかなり似通っています。どちらも低域は必要十分の量感やスナップ感がありながらも、中高域を伸びやかかつフレッシュに鳴らしてくれます。
明確な違いは音場の広さ。TE-D01d MK2は横に広がる二次元的な広さですが、VERSAはTE-D01d MK2以上に横に広がりながらも、さらに縦にも広がる三次元的な広さがあります。
音質や軽量設計による持ち運びやすさ、装着感の良さなど総合的に踏まえ、どちらかしか買えないとなったら僕はVERSAを選びます。
VERSA TWS04K 比較
- バッテリー周りはTWS04Kが強い、ポータブル性や装着感はVERSAが強い
- どちらかを選べと言われたら、筆者でもすごく悩む(ぎりぎりでVERSA選ぶかな)
- 中低音派ならTWS04K、フラットさと音場を求めるならVERSA
次にVERSAとTE-D01d MK2を比較してみました。
TWS04Kは最大再生時間が本体のみで9時間、ケース込で180時間再生ができモバイルバッテリー機能も搭載。TE-D01d mk2との比較と同様、ポータブル性や装着感はVERSAに軍配が上がります。
音質についてはそれぞれ傾向が大きく異なります。TWS04KはVERSAと比べると、重心が低く厚みのある中低域を近い音場感で出します。ボーカルや中高域を一切マスクせずに、かなり沈み込むような重低音まで鳴らしきるので、ヒップホップやテクノ、最近のブラックミュージックテイストのPOPSなどとの相性が抜群です。
VERSAはTWS04Kと比べると低音の量感が少ないですが、中高域はさらに伸びやかで、横にも縦にも広がる音場が特徴です。こちらはロックやポップス、ジャズやクラシックなど、打ち込み系以外のジャンルが得意のように感じます。
こちらの2機種で比較すると、どちらかしか買えないとなったらとても迷います…。ケースの持ち運びやすさや装着感の良さ、あとは個人的に好きなジャンルを考えるとギリギリVERSAを選ぶと思います。どちらを購入しても後悔はないかと!
XROUND VERSA まとめ
総合評価
5/5
VERSA
- 音場の広さに感動する
- 意外とフラットな傾向で繊細な表現もできる
- フィット感が最高
- 防水性も高い
- ワイヤレス充電にも対応
- 圧倒的コスパの高さ
- 外音取り込み機能が欲しかった
4.6
高音
4.3
中音
3.8
低音
4.3
解像度
4.9
コスパ
4.8
利便性
べた褒めですが、本当に良い製品でした!唯一外音取り込み機能は欲しかったなと思ったくらいです。それでコストが上がって価格が上がるくらいなら、むしろ無しでも大丈夫です!
こんな人におすすめ!
- 完全ワイヤレスイヤホンを探していて、予算は1万円前後
- 耳につけていても落ちる心配がなくて、スポーツとかでもたまに使いたい
- できるだけコンパクトで持ち運びやすく、再生時間も長いものが欲しい
- ロックとかJ-POPを聴くけど、音が良くてライブのような臨場感のあるものが欲しい
XROUND VERSAは14,000円ほどと完全ワイヤレスイヤホンとしてはある程度の価格帯ながらも、スペックや音質、利便性などあらゆる面で非常に高いコストパフォーマンスを発揮してくれます。音場の広さには本当に驚きますよ!
個人的には2020年で今のところベストバイの完全ワイヤレスイヤホンです!これからガッツリ自分の愛機として使っていこうと思います!
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