こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回はSoftEarsの最新ミドルクラス有線イヤホン「Volume S」を紹介します。

2DD(ダイナミックドライバー)+2BA(バランスドアーマチュアドライバー)を搭載したモデルで、先行で販売している海外でもレビュアーが高く評価しているようですね。
Softearsは2017年に設立された中国のハイエンドイヤホンメーカーで、どのモデルも非常に品質が良く、知る人ぞ知る新鋭メーカーです。
個人的にはコスパ重視というよりは品質重視というイメージですね。
Volume Sを早速使ってみましたけど、ボク的にはかなり好印象ですね。コレは日本でも人気が出ると思います。
今回はSoftears製品を取り扱うJaben Japan(ジェイベン・ジャパン)さんより紹介依頼をいただいたので、実機を使ってどれほどの実力か検証していきます。
▼動画版はこちら▼
Softears Volume S 外観・付属品
それではSoftears Volume Sの外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ
Softears Volume Sのパッケージはこちら。イヤモニの形状がシルエットで映し出されたミニマルなデザインでかっこいい。


- ヘッドホンケーブル
- 3.5mmプラグ
- 4.4mmプラグ
- 調整ツール
- U.C.イヤーピース 3ペア
- シリコンイヤーピース
- 収納ケース
- ダストペーパー
- ポータブルバッグ
- ユーザーマニュアル
- ブランドカード
付属品
イヤーピースは通常のシリコンイヤーピースと、オリジナルの「U.C.イヤーピース」が3ペア付属してきます。

リキッドシリコン素材を採用したイヤーピースで、耳への吸着性がとても高く、それでいて音質も損なわせずにストレートに音を伝えられます。
3ペアで2880円もしますが、e☆イヤホンのレビューでも14件中オール☆5というかなり評価の高いイヤーピースですよ。今回はこちらのイヤーピースをメインに使いましょうかね。


イヤホンケースは合皮かな?レザー調のケースでめちゃめちゃ質感が高いですね。

内側はブラウン色で緩衝材のような役割も果たしていますし、ハウジング保護用のポーチも入っていますし、付属品の充実度がすごい。

欲を言えば内側にメッシュポケットが欲しかったかな。
本体・ケーブル
Softears Volume Sのイヤホン本体はこちら。デザインめちゃめちゃかっこよくない?

アルミニウムとカーボンファイバーを融合したフェイスプレートを採用しています。Softearsのロゴデザインが超おしゃれなんよね。

プレートの淵にはよく見ると長細い溝のようなものがあるのですが、こちらは「スリット型通気孔」と呼ばれるもの。こちらで空気の流れをコントロールしてナチュラルでパワフルな低域を再現できるそうです。

本体は3Dプリンティングによるエルゴノミクスデザインを採用し、耳の形にあわせて設計されています。本体もかなり軽いです。

ダイナミックドライバーにはアクティブとパッシブの2つのダイナミックドライバーを組み合わせています。
パッシブドライバーの振動膜にはウール素材を採用し低域以外の周波数なノイズを吸収。
アクティブドライバーにはチタン製のものを採用し、サスペンションにはシリコンを搭載。稼働振幅が大きく歪みを小さくしているようです。
このウールとチタンの組み合わせがSoftearsが目指す低域とマッチしていたようです。

またBAの1基には、自社開発のフルレンジドライバーを採用。

もう1基にはK3003やER-4Bなど古き名機にも使われたバランスドアーマチュアドライバーを採用しているようです。
このように2DD+2BAというシンプルな構成でありつつも、ドライバーにはかなりのこだわりを持って制作されていることがわかります。
これらのドライバーをそれぞれ3つの音導管で独立させた3Way構成になっているようですね。

その3Way構造に対してRCチューニングネットワークテクノロイジーによって余分な信号を取り除き、周波数帯域全体にわたって均等にインピーダンスを配分しています。
音導管の伝送経路も可能な限り短くして折り曲げも最小にして、極力レイテンシーを低く抑えているようです。
イヤホンに興味がない人からすれば「なに言ってんだおめー」って思うかもしれませんが簡単に伝えると、「このイヤホンめちゃめちゃ内部構造とチューニングこだわっとるよ」ってことです。
それだけではなく、フェイスプレートのスイッチを切り替えることで2つのチューニングが楽しめます。

右に回すと高インピーダンスの「ポップスモード」、左に回すと低インピーダンスの「クラシックモード」となります。
ボク的にはインピーダンスが高い方がクラシックのイメージがありましたけど、こっちの方がポップスモードなんですね。どおりで高インピーダンス側の方が好みの音だわ。
着脱部は完全な埋め込み型になっていますね。リケーブルされる場合はケーブルによってはうまく差し込めない可能性もあるので注意。

ノズルは本体と一体成形化されていますね。くびれもなくフラットなノズルになっています。

ノズル内部は音導管が剥き出しになっているので、耳垢の混入には注意が必要です。
ケーブルにはOFC純銅線60本を組み合わせた素材を採用。

ソフトに編み込まれたパラコード構造を採用していて、取り回しはとても良く耐久性も高い仕様になっています。
コネクタ部も埋め込み型に対応していますね。

耳掛け部は形状固定型。
分岐部には透明のアジャスターがついています。

プラグは3.5mm / 4.4mmの交換が可能で、装着部もネジ式だからポロッと取れてしまう心配もありません。

本体とケーブルを装着するとこんな感じ。

付属品・本体デザイン、ケーブル、いずれも非常に質感が高く、ビルドクオリティにおいてはボク的には満点です。
Softears Volume Sの概要・スペック

高インピーダンスモードでも31.2Ωとそこまで数値が高いわけではなく、3.5mm接続でスマホ直結でも出力は十分確保できているように感じました。
Softears Volume S レビュー
装着感|とても軽くて安定している
Softears Volume Sの装着感はかなり良い方だと思います。
実際に装着してみるとこんな感じ。やはりデザインがかっこいい。

前から見るとこんな感じ。

本体が軽く、シェルも耳の形に沿った形状をしているおかげで、屋外で使ってもかなり安定していますし痛くもなりにくいですね。
また、シェルには樹脂素材を採用しているおかげで冬場に使ってもヒヤッとしないのもいいですね。
遮音性も高く、有線イヤホンの装着感としてはまったく不満のないレベルでした。
付属のUCイヤーピースのおかげで、さらに安定してくれますね。
装着感とは関係ないけど、タッチノイズは入りにやすいように感じましたね。
装着感 | (4.8) |
音質|ベストオブニュートラルサウンド
Softears Volume Sの音質について、これは4〜6万クラスの有線イヤホンのなかで個人的に1〜2位を争うほど好きな音でしたね。素晴らしい音質の良さというかバランスの良さです。
クセも少ないので万人受けしやすいですし、かなり人気が出るモデルになると思いますよ。
- DAP:SONY NW-WM1AM2
- アプリ:Apple Music
- 接続方式:4.4mmバランス接続
- イヤーピース:U.C.イヤーピース
- エージング:100時間ほど
- チューニングモード:ポップスモード(高インピーダンス)

Softears Volume Sの音の特長は次のとおりです。
6万円以下の有線イヤホンを基準とした評価軸です
4.9
高音
4.9
中音
4.9
低音
音の傾向
音の傾向はとにかくニュートラルでナチュラル。全体域においての音の見渡しが良く、どの帯域も違和感なく満遍なく聴ける万能さを持ち合わせています。
スッキリとしているわけでもなく、モニターみたいなカチッとした音というわけでもないんですよ。
かといってクセが少なくて飽きるような音というわけでもなく、各帯域が滑らかに調和しあった音楽的で美しい音なんですよ。
レスポンスも早く一音一音もスナップ感良く鳴らしつもメリハリ感は強すぎず、ウォーム寄りにもクール寄りにもならず、”ど真ん中”で突いてきます。
チューニングのバランスがとにかく素晴らしい。
高域
高域はBAの特性をとても上手に引き出せているように感じました。
まるでプラナー(平面)ドライバーかのように伸びやかな音と、BA2基ならではの粒立ちの良さを両立した非常に高解像度でナチュラルな高域です。
BA特有のキツさや単独で鳴っているような感覚が抑えられ、他の帯域と調和しながらスムースに鳴らせています。他の帯域に高域がマスクされてしまっている感覚もありません。
ハイハットやアコギの音など金属楽器・管楽器・弦楽器問わず、小気味よく程よく刺激を加えながらカリッとシャープ鳴りますし、シンセサイザーもキラキラとした音も美しく響き渡ります。
生楽器・電子楽器問わずに、各楽器の特性をうまく引き出しながらニュートラルに鳴らしてくれますね。
中域
フラットすぎてボーカルが薄くなったりもせず、かといって中域が膨れすぎてモッサリとしたりもしません。
女性ボーカル〜低めの男性ボーカルまで不得意なゾーンがなく、自然な歌声を聴かせます。どちらかといえば男性ボーカルの方が得意かな?とは感じました。
ハイトーン系ボイスは少し音圧が薄めに感じてしまうかも。「YOASOBI」や「ずっと真夜中でいいのに。」を聴いていると、もう少しピークをギリギリで攻め続けるようなは鋭さは欲しいと感じることもありました。
低域
低域も中域〜高域同様にナチュラルに広がる音という印象でしょうか。レスポンスも早く、解像度の高さと深みのバランスも良いですね。
今まで紹介してきた4〜6万円クラスの有線イヤホンと比べると量感や主張は控えめで、縁の下の力持ち的なポジションではあります。ただ、ドッシリとした迫力もちゃんと持ち合わせていますね。
迫力を出しすぎず締めすぎず、中低域もある程度膨らみをもたせつつ、ブーミーすぎずウォームすぎず”ちょうどいい”低音って感じです。
極端にメリハリの効いた低音ではないので、迫力が欲しい人や重低音ゴリゴリが好みの方には他にも選択肢はありますが、中高域とのバランスの取れた音が好みならVolume Sはアリだと思います。
音場
音場はやや広めな印象で、外に抜けていくような自然な伸びやかさと、モニター系のような定位感の良さを両立したような空間表現です。
チューニングモードを変えると
ここまでは高インピーダンス(ポップスモード)時の音の評価でしたが、次に低インピーダンス(クラシックモード)で聴いてみましょう。
高インピーダンスモードでもニュートラルな音のように感じましたが、低インピーダンスの方が少し低域寄りな音のように感じます。オーケストラを聴くと、その違いがわかりやすいですね。
低インピーダンスモードだと低域も深みが増し、より臨場感の溢れるサウンドになります。また音場もやや広くて各楽器隊ごとの見渡しが良くなります。
また、ボーカルなどの主旋律をメインとするのではなく、オケ全体にフォーカスを合わせるようなバランスにもなりますね。
中高域の煌びやかさや勢いは損なわれるので、ロック・ポップスを聴くならやはり高インピーダンスの方が良いとは思いました。
低インピーダンスモード時は出力が高過ぎてしまうので、あわせるDACやDAPによってはゲインの調整や3.5mmアンバランス接続で接続した方ががバランスは良くなるかもしれません。
ボクはNW-WM1AM2と組み合わせて聴くときは、あえて3.5mm接続にしてハイゲインにした方がちょうど良い出力になった気がしました。
どちらのモードが良いかは音の好みや聴くジャンル次第ですね。ボクはロックやポップスを好んで聴くので高インピーダンス派ですが、クラシック・オーケストラにおいては低インピーダンスモードの方が間違いなく良く感じました。
おすすめのジャンル
おすすめジャンルですが、マジでなんでもOKです。
ただでさえクセが少なくて様々なジャンルにあわせられるのに、チューニングモードの変更でロック・ポップス寄りにも、ジャズ・クラシック寄りにもできるので、あらゆるジャンルにあわせられます。
ただ低域がゴリゴリと出るようなタイプではないので、EDMやヒップホップ・ラウドロックなどを重低音ゴリゴリで聴きたい方にとっては他にも選択肢はあると思います。
Softears Volume S まとめ
Softears Volume Sをまとめると以下のとおりです。
総合評価
5/5
Volume S

- ニュートラルで万人受けしやすいサウンド
- 2つのチューニングモードでさまざまなジャンルに合わせられる
- 3.5mm / 4.4mm接続両対応
- 付属品が充実している
- 付属イヤーピースの質が高い
- ビルドクオリティが全体的に高い
- 本体が軽く装着感がとても安定する
- 耳掛け式にしてはタッチノイズが少し入りやすい
4.9
高音
4.9
中音
4.9
低音
4.9
解像度
4.7
迫力
4.8
装着感
Softears Sはこんな人におすすめ
Volume Sはまさにベスト・オブ・ニュートラルなイヤホンのように感じました。
同価格帯のなかでもズバ抜けて解像度が高いとか、コスパが高いとかそういうわけではないですけど、このニュートラルさのおかげであらゆる人におすすめしやすいイヤホンのように感じました。
この価格帯で今まで紹介してきたイヤホンは、どれも個性が強かったり濃厚系だったりしたものが多いなか、Volume Sはチューニングも2通り使えますし、万人ウケしやすい音ですし、マジで万能です。
個人的には4〜6万クラスだと1〜2位を争うほど良く感じたイヤホンなので、ぜひとも専門店やオーディオイベントなどで一度聴いてみてください。
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