こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
Shanlingから久々の1万円台で買えるエントリー向けのDACが登場しました!
それが今回紹介する「UA4」です。
前作のUA3も優秀でしたが、見た目がすんごい芋っぽい感じだったんですよね……。
そのUA3が都会に染まり、垢抜けた姿で帰ってきました。なんとディスプレイ付きです。ヒュー!!!!
「どうしたん? 話聞こうか?」とさりげなく聞いてきそうなくらいスタイリッシュになりましたね。
UA4の特徴は次のとおりです。
- 3.5mm / 4.4mm端子どちらも備えたスマートフォン向け小型DAC
- DACチップはESS社の新しいフラッグシップチップ「ES9069Q」を採用
- フルパワー独立オペアンプ「RT6863」をデュアル採用
- ポリマータンタルコンデンサを6基搭載
- 物理ボタンとディスプレイを搭載し、本体のみで細かな設定が可能。
- ケーブルは交換式
- 価格は16,830円
3.5mm / 4.4mmバランス接続端子を備えつつ、ケーブルも着脱式で、本体のみでもボリューム調整可能、そしてディスプレイ搭載と、DACとしての利便性は最強クラス!
ディスプレイがついているなら、DAC系のアプリが使えないiPhoneユーザーにもめちゃくちゃおすすめなんじゃないかな。
こちらのUA4の実力がどれほどのものなのか、前作のUA3や近い価格帯のDC04PROと比べながら検証していきます。
YouTube版はこちら
Shanling UA4 外観・付属品・スペック
Shanling UA4のパッケージは白地のシンプルなパッケージ。パッケージもなんだかスタイリッシュに感じる。
下からかパッと開くようになっています。
開封したらこんな感じ。
付属品一覧は次のとおりです。
- USB-C to Cケーブル
- USB-C to Aアダプター
- ハイレゾシール
- マニュアル
18芯の高純度無酸素銅線を採用したケーブルを標準搭載しています。質は良さそうなのでUSB-Cで使える方はこのケーブルで運用しても良いかと。
ただ、付属品にLightning to USB-Cケーブルは用意されていないため、iPhone 14以前のユーザーの場合は別途購入する必要があります。
Shanling L3というLightning to USB-Cケーブルを使えば動作しますので、iPhoneユーザーの方はこちらをお買い求めください。
アルミニウム合金を採用しており、軽量かつ剛性の高い筐体となっています。
角の取れた角丸ボディで、スマートフォンと干渉しても傷がつく心配も少なそうです。
底面には他の機器と接続するためのUSB-C端子が備わっています。
天面には3.5mmイヤホンジャックと、4.4mmバランス接続端子が備わっています。
どちらのジャックも、挿入時は固すぎず柔らかすぎずといった感じでしょうか。若干引っ掛かりはありますが……。
表面上部には0.87インチ有機ELディスプレイを搭載しており、ここからゲインやデジタルフィルターの調整などが可能です。
ディスプレイ搭載モデルは筐体が大きいものが多かったのですが、ここまでコンパクトに仕上げるのはすごい。
DC04PROやUA3と比べてもほぼ大きさ変わらないですからね。同じディスプレイ搭載機のUA5と比べると超コンパクトになりましたね。
側面には3つのメカニカルボタンを採用し、再生/停止/ボリュームコントロールを行うことができます。
最後に重さですが21.5g、前作のUA3が22.0gなのでやや軽くなっていますね。
UA4、UA3、DC04PROのスペックを比較
スペック一覧 | Shanling UA4 | Shanling UA3 | iBasso DC04PRO |
---|---|---|---|
DACチップ | ES9069Q | AK4493SEQ | CS43131 × 2 |
対応ビットレート | PCM 768kHz / 32 bit DSD 512 | PCM 768kHz / 32 bit DSD 512 | PCM 384kHz / 32bit DSD 256 |
デジタルフィルター | 8種類のフィルターに対応 | 6種類のフィルターに対応 | 5種類のフィルターに対応 |
ゲイン調整 | 2段階(Low / High) | 2段階(Low / High) | 3段階(Low / midium / High) |
ディスプレイ | ◯ | – | – |
物理ボタン | 3ボタン | 3ボタン | 2ボタン |
UACモードの切り替え | UAC1.0 / 2.0 | UAC1.0 / 2.0 | – |
オペアンプ | RT6863×2 | RT6863×2 | RT6863×2 |
出力レベル | 3.5mm:137mW @32Ω 4.4mm:227mW @32Ω | 3.5mm:125mW @32Ω 4.4mm:210mW @32Ω | 3.5mm:125mW @32Ω 4.4mm:280mW @32Ω |
THD+N | 3.5mm:0.0008% @32Ω 4.4mm:0.0008% @32Ω | 3.5mm:0.0004% @32Ω 4.4mm:0.0003% @32Ω | 3.5mm: 0.00018% (300Ω負荷) 4.4mm: 0.00013% (300Ω負荷) |
S/N比 | 3.5mm:119dB @32Ω 4.4mm:120dB @32Ω | 3.5mm:119dB @32Ω 4.4mm:120dB @32Ω | 3.5mm: 127dB 4.4mm: 131dB |
ダイナミックレンジ | 3.5mm:119dB @32Ω 4.4mm:120dB @32Ω | 3.5mm:119dB @32Ω 4.4mm:120dB @32Ω | 3.5mm:126dB @32Ω 4.4mm:131dB @32Ω |
出力インピーダンス | 3.5mm:<0.4Ω 4.4mm:<0.8Ω | 3.5mm:0.4Ω 4.4mm:0.8Ω | 3.5mm:0.2Ω 4.4mm:0.4Ω |
重さ | 約20.8g | 約 20.5g | 約 21g |
価格 | 16,830円 | 15,620円 | 15,840円 |
スペックから見ると、計測値的に優秀なのはDC04PROですが、フィルターやディスプレイ搭載、UACモードの切り替えなど利便性的に優秀なのはUA4という感じですね。
計測値=音質が良い(良く感じる)とは限らないので、実際に聴いてみた感想をお伝えしていきたいと思います。
Shanling UA4 レビュー
それではShanling UA4をしばらく使ってみましたので、詳細なレビューをお送りします。
本体のみで超細かなボリューム操作ができる
UA4は本体部にボリューム/再生ボタンが備わっており、本体側のみで細かなボリューム調整ができます。
DACはデバイス側でしか調整できず、イヤホンが爆音になってしまうことも多いですからねー。この仕様はありがたい。
0~100段階と超細かく調整できるので、DACを使っていて音がうるさく感じたり、絶妙な音量に調整できない方にはとても良い選択肢だと思います。
また設定で「ハードウェア側(UA4)」と「ソフトウェア側(スマートフォン側)」どちらの音量を調整するか設定ができます。
アプリなしで本体設定が可能
前作のUA3はアプリを使わないとゲインやデジタルフィルターの調整ができず、またiPhoneだとアプリは使えませんでしたが、UA4はディスプレイを搭載しているおかげで本体のみで細かな設定が可能です。
この点がUA4の一番の強みのように感じます。
- ゲイン調整
- 8種類のFilter設定
- key modeの変更
- フォントの変更
- L/Rの音量バランス設定
- 画面の明るさの調整
- スクリーン点灯時間の設定
- 画面の反転
- アイドルタイムの変更
ゲイン調整が可能
ゲインはLowとHighの調整の2つから選択が可能です。
この切り替えひとつで、イヤホンやヘッドホンの特性を引き出せるかどうかに大きく影響することも。小型のDACにおいてゲイン調整がとくに大事だと思っています。
前作のUA3はアプリ経由じゃないとゲインの切り替えができませんでしたが、本体のみで切り替えができるようになったのは強い!
デジタルフィルターは8種類
8種類のデジタルフィルター設定も備わっており、音の傾向をほんの少しシャープにしたり、ウォームにしたりといった調整が可能です。
どれを選んだとしても音質は大きくは変化しませんが、スパイス的に音の傾向を変更できるのは強みです。
Key Mode
先ほども伝えた通り「DAC側のボリュームの調整」「デバイス側のボリューム調整」の他に、UA4で曲送り・曲戻しができる「Track Up/Down」の3つの設定から選べます。
ボクはDAC側で細かく調整したいので、DAC側のボリュームの調整にしていますね。
その他設定
その他にフォントの設定や、画面の明るさの調整、L/Rのバランスの調整、画面の反転なども可能です。
アプリでできることも全く同じなので、アプリもダウンロードする必要はありません。
携帯性はふつう
携帯性はおおよそ1万円台のDACと大きさがそこまで変わらないので、だいたい普通くらい。
重みでややプラプラとしてしまうので、この前紹介したMagSafe対応のDACアクセサリー「DAC Pocket」を使えば、取り回しよく運用できます。
詳しくは以前紹介した記事をご覧いただきたいですが、MagSafeを使えるiPhoneユーザーに超絶おすすめです。
Nintendo Switchなどのゲーム機との接続も可能
UA4はUACモードの切り替えも可能なので、Nintendo SwitchやPS5などのゲーム機にも接続が可能です。
デバイスに接続する際に、真ん中のマルチファンクションボタンを押したままデバイスに接続すれば、UAC1.0で接続されます。
UA4を使って高音質でゲームをすることも可能です。
音質|ナチュラルにグレードアップ
UA4の音質ですが、こちらは大体価格相応くらいの実力。パソコンやスマホに有線イヤホンを直差しして聴くよりも大幅に音質はアップしますね。
ちなみにYouTubeで良くコメントをいただくことがあるのですが、この手のDACはワイヤレスイヤホン・ヘッドホンなどの音質を良くする効果はありません。
あくまで有線イヤホン・ヘッドホン用とお考えください。
音の特徴は次のとおりです。
4,2
音質
音の傾向はいつものShanlingらしいナチュラルテイストで、イヤホンの特性を大きく変えずに、音の深みや緻密さを加えるような音作りです。
高域の刺さりはなく、低域の量感も増えすぎず、純粋に「音質」を底上げしたかのようですね。スマホやパソコン直差しに比べると、ボーカルも楽器隊もとても明瞭になったようにも感じます。
少し柔らかめでありつつクセもないので、どんなイヤホンにも合わせやすいですね。
イヤホンの特性を大きく変えずにナチュラルな音で聴きたいという方におすすめです。
MG100と組み合わせてみた
同時期に発売したShanlingの新しい有線「MG100」と組み合わせて使ってみましたけど、やはりShanling同士ということもあって相性が良いですね。
MG100の簡易レビューにはなってしまいますが、こちらもなかなか良いですね。
同社の1万円台のエントリーモデルの「SONO」の正統上位モデルという印象で、少し引っ込んでいたボーカルラインが前に出るようになり、全体的にレンジも広がって音のつながりも滑らかになったような印象を受けますね。
強い個性や強みのようなものはないですが、余韻感たっぷりの音でナチュラルに鳴らすShanlingらしいサウンドという印象でしたね。
あと本体がとても軽くて、装着感もとても安定していたのが好印象でした。
出力について
出力についてもなかなかに高く、イヤホンであればアンバランス接続、バランス接続問わず問題なく鳴らせるでしょう。
ヘッドホンでもTAGO STUDIO T3-01のバランス接続くらいであれば余裕で鳴らし切れます。
HD 660S2でも試しましたが、ある程度は鳴らせますが欲を言えばもう少し出力が欲しいかなといったところですね。
UA3と比べると
UA3と比較した場合、音質だけの評価に関しては大きく変わらず、UA4の方がやや上かな?という印象でしたね。音の傾向はおおよそは同じですが、若干だけ異なるような印象です。
UA3の方が少し音の厚みがあり、わずかにパワフルな印象を受けました。UA4はUA3よりもボワ付きが少なく、繊細で解像度感高く鳴らせているような感覚ですね。
音質が大きく向上したわけではないので、あくまでディスプレイが搭載されてアプリなしでも設定ができ、見た目のスタイリッシュになったという点が一番のメリットかなと思います。
DC04PROと比べると
DC04PROと比べた場合、こちらは音の傾向が異なる印象でしたね。実力的には大体同じくらいかな?という印象です。
DC04PROの方が歯切れが良くて瑞々しい音で鳴らすような印象で、まさにiBassoらしい音という感じ。
UA4は全体的にナチュラルでフラット、少し柔らかめに鳴らすような癖のないサウンドで、こちらもShanlingらしい音という感じですね。
計測値的にはDC04PROの方が優秀そうに見えますが、実際に聴いてみるとほぼ差がない感じでしたね。
こればっかりは好みの音の傾向や、好みのジャンル次第なので、どちらを選んでも問題ないかと。
ただ、iPhoneユーザーはアプリなしでディスプレイで細かな設定ができるので、UA4の方がおすすめかと思います。
Shanling UA4 まとめ
総合評価
4.8/5
UA4
- イヤホン特性を変えないナチュラルサウンド
- 3.5mm / 4.4mmどちらでも使える
- 本体で細かなボリューム調整ができる
- 本体のみでゲインやデジタルフィルターの調整ができる
- 強いて言えば付属でケースが欲しかった
4.2
音質
4.0
携帯性
4.5
拡張性
5.0
利便性
- 有線イヤホンユーザーでスマートフォンの音質を良くしたい方
- 4.4mmバランス接続を試してみたい方
- ナチュラルで柔らかいサウンドが好きな方
- iPhoneユーザー
音質だけで言えば価格相応だと思いますが、本体がそこまで大きくないのにも関わらずディスプレイ搭載で、アプリを使わずとも本体設定が細かくできるなど利便性は最強クラス!
とくにiPhoneの場合はDAC関連アプリは使えないので、この点は大きな強みになるでしょう。
予算1万円ほどで、iPhoneの音をもっと良くしたいと考えているユーザーにとって、UA4はとても良い選択肢になりえそうですね。
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