こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
DACやDAPで有名なオーディオブランド「Shanling」から、エントリー向けのNEW DAP「M1 Plus」が2024年9月に発売されました。

- ES9069Qを搭載
- 4.4mm & 3.5mm接続両対応
- 「SyncLink」によるリモートコントロール対応
- Bluetoothレシーバー機能付きでLDACやaptX HDをサポート
- 最大12.5時間再生ロングバッテリーを搭載
- DLNA、AirPlay対応
これだけの機能、このサイズ感で、価格は33,000円ととてもお手頃!
ただ、独自OSなので単体Spotifyなどのストリーミングサービスは直接再生はできません。ストリーミング派としては正直これだけだと選択肢に入らないんですよ。
ただ、このM1 Plus君、ちゃんとストリーミングサービスで聴けるんですよ!!!!
「どうせBluetoothレシーバーとしてなら使えるとかでしょ?」と考えるかもしれませんけど、Wi-Fi経由でちゃんと聴けます。AirPlayを使えば屋外でもほぼ劣化なしでストリーミングを楽しめるやつですよ。
音質も含めて果たしてどれほどの実力なのか、以前紹介したM0ProやM3 Ultraと比べながら検証していきましょう。
YouTube版はこちら
Shanling M1 Plus 外観・付属品
Shanling M1 Plusのパッケージはこちら。

開封するとこんな感じ。


- USB A to Type-Cケーブル
- ディスプレイ保護フィルム
- クイックスタートガイド
- 製品保証書
- マニュアル
保護フィルムは付属でついてきますが、ケースは別売りとなります。
ちなみに別売りのケースはこちら。価格は1,980円。

価格に対して質感もなかなかよく、ラフに持ち運べるようになるので、長く使われたい方はケースも買うことをおすすめします。
本体は8万クラスのM5 Ultraをそのままコンパクトにしたかのようなデザイン。DAPはこれくらいのサイズ感が一番好きなんですよね〜。

カラーバリエーションはブラックとシルバーの2色です。

M0Pro、M3Ultraと比べるとこの通り。

さすがにM0Proには負けますけど、4.4mm搭載DAPとしてはかなりコンパクトです。
右側面には電源ボタン兼ボリュームノブ。LEDも同じく備わっています。

左側面には「戻る」「再生」「進む」の3つのボタン。

底面にはmicroSDカードスロットと、USB Type-Cのコネクタ。

SDカードスロットにはカバーはついていないので、水やゴミの混入には注意。
天面には4,4mmバランス端子と、通常の3.5mmイヤホンジャックが備わっています。

重さは118.5g。iPhone 15 Proが180gほど、M3 Ultraが200gほどなので、それらと比べると約1/2程の軽さです。

Shanling M1 Plus / M0Pro / M3 Ultra スペック比較
スペック項目 | M1 Plus | M0Pro | M3 Ultra |
---|---|---|---|
DACチップ | ES9069Q | ES9219C×2 | ES9219C×2 |
OS / CPU | MTouch2.0(独自OS) | MTouch OS(独自OS) | Android 10 / Snapdragon665 |
ストレージ | なし MicroSDカード(理論値2TBまで) | なし MicroSDカードスロット×1(最大2TB) | 32GB + MicroSDカード |
ネットワーク リモートコントロール | DLNA、AirPlay SyncLink | SyncLink | DLNA、AirPlay SyncLink |
バッテリー容量 | 2100mAh | 650mAh | 3500mAh |
連続再生時間 | アンバランス:12.5時間 バランス:10時間 24時間(Bluetooth送信) | アンバランス:14.5時間 バランス:10時間 | アンバランス:20.5時間 バランス:14.5時間 |
出力系統 | 3.5mm / 4.4mm / Lint Out SPDIF同軸デジタル | 3.5mm / 別売りアダプタ使用で4.4mm | 3.5mm / 4.4mm |
Bluetooth Ver | 5.2 | 5.0 | 5.0 |
Bluetooth対応コーデック(送信) | LDAC、aptXHD、aptX、AAC、SBC | LDAC / aptX / AAC / SBC | LHDC / aptX HD / apt X / SBC |
Bluetooth対応コーデック(受信) | LDAC、aptXHD、aptX、AAC、SBC | LDAC / AAC / SBC | LDAC / SBC |
音声対応形式 | 最大768kHz / 32bit DSD 512ハードウェアデコード | 最大384kHz / 32bitまでのPCM, DSD128(5.6MHz) | 最大384kHz / 32bitまでのPCM, DSD128(5.6MHz) |
出力レベル | 3.5mmシングル出力: 最大195mW@32Ω 4.4mmバランス出力: 最大661mW@32Ω | 3.5mmシングル出力: 最大90mW@32Ω 4.4mmバランス出力: 最大236mW@32Ω | 3.5mmシングル出力: 最大140mW @32Ω 4.4mmバランス出力: 最大260mW@32Ω |
THD+N | 3.5mmシングル出力:0.0007%@32Ω 4.4mmバランス出力:0.0007%@32Ω | 3.5mmシングル出力:0.0006% 4.4mmバランス出力:0.0004% | 3.5mmシングル出力:0.0007% 4.4mmバランス出力:0.0005% |
ダイナミックレンジ | 3.5mmシングル出力:122dB@32Ω 4.4mmバランス出力:122dB@32Ω | 3.5mmシングル出力:119 dB 4.4mmバランス出力:121 dB | 3.5mmシングル出力:121dB 4.4mmバランス出力:124dB |
チャンネルセパレーション | 3.5mmシングル出力:74dB@32Ω 4.4mmバランス出力:100dB@32Ω | 3.5mmシングル出力:72 dB 4.4mmバランス出力:109 dB | 3.5mmシングル出力:75dB@32Ω 4.4mmバランス出力:115dB@32 Ω |
S/N比 | 3.5mmシングル出力:122dB@32Ω 4.4mmバランス出力:122dB@32Ω | 3.5mmシングル出力:118 dB @32Ω 4.4mmバランス出力:119 dB @32Ω | 3.5mmシングル出力:121dB 4.4mmバランス出力:124dB |
出力インピーダンス | 3.5mmシングル出力:0.6Ω 4.4mmバランス出力:1.2Ω | 3.5mmシングル出力:0.4Ω 4.4mmバランス出力:0.8Ω | <1Ω |
価格 | 33,660円 | 22,770円 | 65,340円 |
Shanling M1 Plus レビュー
音質|Android非搭載ならではのコスパの高さ
Shanling M1 Plusの音質ですが、さすがAndroid非搭載DAPですね。今までレビューしてきた3万〜4万クラスのDAPと比べてもかなり音質は良い方です。

- イヤホン:DUNU Davinci(4.4mm バランス接続)、final A5000(3.5mm アンバランス接続)
- ヘッドホン:HD 620S(4.4mm バランス接続)
- アプリ:純正アプリ
- ゲイン:ハイゲイン
音の特徴は次のとおりです。
4.2
音質
音の傾向はクセのないニュートラルな音に、Shanlingらしいナチュラルさをスパイス的に散りばめられた聴きやすい音作りです。
高域は粒立ちがよくて刺さりを感じさせない柔らかな印象。伸びやかさと艶やかさを両立させた上質な高音。
中域は他の帯域と調和したナチュラルな音作り。ボーカルは主張しすぎず、かといって引っ込みすぎず、程よい距離感で鳴らします。
低音は主張しすぎないけど、しっかりと空気感のある迫力を再現した立体的な低音。平面的になりすぎないのも評価が高いです。
M0Pro比べると出力の差や解像度の高さ低域の深みの違いが歴然ですね。パッと聴きでM1 Plusの方が音質が良いと感じました。 3万円台としてはかなりの実力じゃないかしら?
6万円クラスのM3 Ultraと比べると、やはりM3 Ultraの方が中高域の粒立ちがさらに良く全体的に高解像度のように感じますね。M1 Plusの方がもう少し荒々しくてパワフルです。
ただ、価格差が3万ほどあるのに対して大きな違いを感じさせない実力を持っています。Android非搭載だからこそ、音質にコストを振れるからなんでしょうね。
シャキッとした歯切れの良さを求める場合は、iBasso DX180の方がおすすめですけど、ナチュラルでクセのない音が好みならShanlingの方がおすすめですね。
出力もかなり高め
スペック上では661mW@32Ωなので出力もかなり高めなんですよ。なのでイヤホンだけでなく、ある程度のヘッドホンでもバランス接続であれば鳴らし切れます。

たとえば、この前レビューしたSENNHEISERのHD 620Sもインピーダンス150Ω、音圧感度が110dBほどですけど、バランスケーブルを追加すれば満足できるレベルまで出力できます。欲を言えば据え置きDAC/アンプは欲しくなりますけどね。
ただ、このサイズにしてはビックリするほど出力高いですよ。
USB-DACとしても使える
また、USB-DACとしても使えるので、そのままパソコンに繋げて、有線イヤホンやヘッドホンを使って高音質で音楽を聴くことも可能です。

外ではDAP、家の中では据え置きUSB-DACといった二刀流の使い方もできます。
スマホとも接続できるので、落ち着いた環境であればスマホとUSB接続をして、ストリーミングサービスを音質劣化なしで楽しむことができます。
外でもストリーミングサービスをほぼ劣化なしで聴ける
そしてM1 Plusの一番の強みと感じた点が、AirPlay 2に対応しているという点。
この機能を使えば、Android非搭載ながらもiPhoneからストリーミングサービスを無線でほぼ非圧縮で聴けるようになるんですよ。

今回は「iPhone 15 Pro」+「楽天モバイル」の環境で検証してますが、楽天モバイルはテザリングサービスを無料で使えるので、iPhoneのモバイルネットワーク内にM1 Plusを接続してAirPlay 2で聴けるようになります。
この方法で接続すればBluetoothレシーバーのような感覚で使えるのに、音源はほぼ損失なし&スマホでサクサク操作という最高すぎる環境ができます。
念のためやり方を書いておきます。
iPhone側:「設定」→「インターネット共有」→「ほかの人の接続を許可」
M1 Plus側:「設定」→「ネットワークサービス」→「Wi-Fi」→「iPhoneの端末のSSIDを選択してパスワードを入力」→「ネットワークサービス」→「AirPlayのトグルスイッチをON」
ただし、AirPlayはApple製品の独自機能になるため、Androidユーザーの方はこの接続方式は使えません。ここが残念。
Androidの場合だとM1 PlusがLDACの受信にも対応しているので、Bluetoothレシーバーとして使うことになりそうです。他にも良い方法があれば教えてっ!
AirPlayのデメリットはなにかある?
AirPlayで使う上でのデメリットについてですが。
接続は安定していましたが、スマホ側の通信が安定しない場所だと音楽も途切れ途切れになってしまいますね。
またモバイル通信が完全に届かないところだと、AirPlayも解除されてしまってM1 Plusとの接続が途切れてしまうことがありました。
契約している通信会社や使用しているスマホ次第では音途切れも激しくなってしまう可能性があるため、できれば自宅やカフェ・オフィスなど通信が安定した場所で聴くことをおすすめします。
また、M1 Plusで直接再生しているわけではないので、Android搭載機のようにストリーミングサービスから音源をダウンロードしてオフラインで聴くことはできません。
あとはネットワーク経由とはいえAirPlay2は完全に劣化なしということでもなく、48kHz/24Bitにダウンコンバートされてしまいます。ネイティブで聴くよりも少し音質差を感じますが、Bluetooth接続と比べれば解像度は断然高いです。
AirPlay→ドングルDACへの運用も可能
M1 PlusはUSB出力にも対応しているので、ドングルDACへの接続も可能です。
先ほど紹介したAirPlayと合わせて、スマホに直接ドングルDACを接続せずともスマホ操作でサクサクとほぼ劣化なしでストリーミング音源を聴くこともできます。
つまり、ボクの大好きなiBasso DC-Eliteを使ってもバッテリーをちゅーちゅーされることなく、スマホの利便性も悪くなることなく、ワイヤレスなのにほぼ劣化なしでDC-Eliteを聴ける環境ができるというわけですよ。

またAndroid非搭載なので余計な回路も通ることがなく、ビットパーフェクトでDC-Elite側に伝送できます(AirPlayでダウンコンバートはされているけど)
いろんな環境でDC-Eliteを使ってきましたけど、今のところM1 Plusがベストかもしれません。AirPlayがマジラクすぎる。
バッテリー検証のために、AirPlay経由でDC-Eliteに繋いでバランス接続で鳴らし続けてみましたが、だいたい4〜5時間くらいですかね? いろんな要因が入るので正確には測りにくいです。
M0 Proで同じ検証をしたことがありましたが、2時間くらいでバッテリー切れを起こしてしまったので、それよりは長持ちします。
ただし、Wi-FiとBluetoothの両立はできない
ただし、Wi-FiとBluetoothの両立はできません。
BluetoothをONにするとWI-FiはOFFになるし、Wi-FiをONにするとBluetoothはOFFになります。なに、この仕様。

どちらも使うという方は、毎回設定を切り替える必要があるので煩わしく感じるかもしれません。
内蔵音源派の方はSyncLinkが使える
「ストリーミングは聴かん!」というダウンロード派/リッピング派の方には「SyncLink」という内蔵音源をスマホ側から操作して選曲できる便利な機能も備わっています。
使い方ですが、「Eddict Player」というShanling公式アプリをまずはダウンロードしましょう。
次にM1 Plusの「設定」→「ワイヤレス設定」→「SyncLink」→「Bluetooth or Wi-Fi」を選択しましょう。Wi-Fiだとうまくいかなかったので、ボクはBluetoothで検証しました。

次にスマホのEddict Playerから、ホーム画面から画面左端から右ニスワイプしてメニューバーを表示し、「SyncLink」をタップします。

次の画面で、利用可能なデバイスに「Shanling M1 Plus」が表示されているので、こちらをタップします。

これでスマホとM1 PlusをSyncLynk経由で接続完了しました。
するとEddict Playerから内蔵音源にアクセスできるようになり、スマホからワイヤレスで操作できるようになります。
内蔵音源派の方にとっては便利な機能なので、ぜひ使ってみてください。ただアーティストやアルバムの仕分けがうまくいっていないことが多いので、フォルダ検索で再生した方がよいかも……。
ワイヤレスイヤホンと接続した場合
M1 PlusはLDACによる送信も可能なので、ワイヤレスイヤホンも高音質で聴くことができます。

この手のDAPって通信性能が悪くて、ワイヤレスイヤホンを使っても割と途切れやすい物が多いんですけど、スマホに近いレベルで安定していましたね。
iPhoneユーザーの場合だとLDACは使えないので、LDAC送信用のDAPとして使うのもありだと思います。
ギャップレス再生対応
その他の特徴として、ギャップレス再生に対応しています。

M3XやM3 Ultraでは、純正プレイヤーだとギャップレス再生はできないのですが、Android非搭載モデルは対応しています。
普段純正プレイヤーを使っていて、ストリーミングを使うことがなく、リッピング音源やハイレゾのダウンロード音源のみを聴くという方はM3UltraよりもM1 Plusのほうがおすすめです。
起動時間がめちゃくちゃ早い
あとM1 Plus君、起動時間もめちゃくちゃ早いです。

M3 Ultraの場合、Androidを搭載しているので起動時間が長く、電源を入れはじめてから20〜30秒ほど掛かってしまいます。
対して、M1 Plusは約3秒くらいで起動します。ここが独自OSモデルのよいところ。
サッと取り出してサッと聴けます。
設定項目も多数

細かな設定も本体でできます。例えば以下のような設定項目があります。
- 最大音量の制限
- 起動時の音量設定
- ギャップレス再生のON・OFF
- イコライザー設定
- ゲインの「LOW」と「HIGH」の切り替え
- ゲインリプレイ
- フィルター設定
- 音量の左右バランスの設定
- リピートやシャッフルなどの再生設定
- etc……
- Bluetooth設定
- SyncLink
- バックライトの明るさ
- バックライトのオフ
- オートスタンバイ、オートシャットダウンまでの時間設定
- スリープタイマー設定
- USBモードの設定
- ボリュームロック
- ダブルクリック、トリプルクリック時の操作割り振り
- DSDの出力設定
- USBオーディオ接続時の音量調整を「固定」か「可変」家の設定
- ラインアウトのON・OFF
- 車載モードのON・OFF
- etc
イコライザー設定も10バンド±6dBと、かなり細かく設定できますし、フィルター設定やゲイン設定まで完備。
自動電源OFFまでの時間も細かく設定できるので、バッテリーの節約にも繋がります。
その他イマイチな点
最後にイマイチな点ですが、選曲時に画面をスクロールする際、ちょっと下に行きたいだけなのに最下部までビャーンと行ってしまって細かな挙動ができないんですよね。
M0Proも同じような挙動でしたが、M1 Plusの方が画面が大きくスクロールの頻度もそこまで高くないので、M0Proほどの不便さは感じません。
Shanling M1 Plus まとめ
総合評価
4.8/5
M1 Plus

- 価格とサイズに対して音質と出力はレベルが高い
- テザリングでAirPlayを屋外でも使えてストリーミングも聴ける
- 3万円台で3.5mm / 4.4mm接続両対応
- 小型で携帯性抜群
- 純正ケースの質感とデザインが良い
- 操作時にスクロールの挙動が敏感すぎ
- 内蔵ストレージ非搭載
- SDカードスロットカバーがついていない
4.3
音質
4.8
携帯性
4.5
拡張性
4.5
利便性
- 予算3〜5万程度でDAPを探している
- ストリーミングサービスは使わない内蔵音源派の方
- iPhoneでテザリングを使えるストリーミング派の方
いや〜独自OSとAirPlayの組み合わせめちゃめちゃ良いですね!
独自OSだからこそ起動はめちゃめちゃ早いしバッテリー持ちは良いし、AirPlay経由だからiPhoneでサクサク選曲できるし、小型で軽いから携帯性も抜群ですし。
M1 Plus単体でも音質は良いですけど、上位クラスのUSB-DACを接続することでさらに音質もグレードアップもできますし。
特殊な使い方もしれませんけど、iPhoneユーザーでテザリングが使える方にとってはめちゃ良い選択肢ですよこれ。
もちろんストリーミング派だけでなく、内蔵音源で聴く派の方にもおすすめです。というか多分メインターゲットはそっちで、ボクの使い方がおかしいだけかもしれん。意地でもストリーミングサービスで聴きたいんや。


コメント