こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
このサイズでスマホの音を最高に音質を向上させるドングル型DACが登場しました!
それが今回紹介するiBasso「DC-Elite」です。
この子はマジですごかったです。15万円以下くらいまでのDAPは全部食われるくらいの音質はありますよ。
- ROHM社製のDACチップ「BD34301EKV」をドングル型で初搭載
- iBasso“MAX”技術を踏襲
- iBasso自社開発4セクションステップアッテネーターを搭載
- フラッグシッププレーヤーに匹敵するオーディオ回路を搭載
- 自社開発のFPGA技術+NDKフェムトクロック水晶発振器
- 3.5mm & SPDIF + 4.4mm デュアルコネクション設計
ROHM社製のチップと据え置きクラスに搭載されるようなアッテネーターを搭載してこのサイズは逆にすごい。変態。
この構成をパッと見て気づく人は気づくかもしれませんが、46万クラスの超弩級ハイエンドDAP「DX320MAX Ti」と同じ構成を組み込んでいるのですよ。この小さな筐体に!
まあ、DX320MAX TiはROHMのBD34301EKVをクアッド搭載しているので、全く同じ構成ではないですけどね。
今回はこのDC-Eliteを代理店のMUSINさんから先行で提供いただいたので、実機を使って良かった点やイマイチな点などお伝えしていきます。
YouTube版はこちら
DC-Elite 概要・スペック
項目 | DC-Elite | DC04Pro | DX320MAX Ti |
---|---|---|---|
DACチップ | ROHM BD34301EKV | CS43131 × 2 | ROHM BD34301EKV × 4 |
対応フォーマット | PCM:最大768kHz/32bit、DSD512 | PCM:最大384kHz/32bit、DSD256 | PCM:最大768kHz/32bit、DSD512 |
出力系統 | 3.5mm、4.4mm | 3.5mm、4.4mm | 3.5mm、4.4mm |
同軸デジタル出力 | 最大768kHz/32bit | – | 最大24bit/384kHz、DoP DSD128 |
4.4mmバランス出力 | 最大出力:4.6Vrms、280mW@32Ω | 最大出力:3.0Vrms(32Ω負荷) | 最大出力:9.0VRMS(300Ω負荷) |
3.5mmシングルエンド出力 | 最大出力:2.28Vrms、162mW@32Ω | 最大出力:2.0Vrms(32Ω負荷) | 最大出力:4.5VRMS(300Ω負荷) |
S/N比 | 117dB – 121dB | 127dBA – 131dBA | 122dB – 125dB |
ダイナミックレンジ | 115dB – 118dB | 126dBA – 128dBA | 122dB – 125dB |
価格(税込) | 73,260円 | 15,840円 | 460,350円 |
DC-Elite 外観・付属品
DC-Eliteのパッケージはこちら。
ドングル型DACのパッケージじゃねぇ。ミドルクラスDAPのパッケージやん。
- 専用レザーケース
- USB Type-C to Type-C ケーブル
- USB Type-C to Lightning ケーブル
- USB Type-C to USB-A アダプタ
- クイックスタートガイド兼 製品保証書
はじめからケースがついているのは良心的すぎる!しかもダークグリーンでけっこうかっこいい。
またLightningケーブルも付属でつけてくれるので、追加投資なしでiPhoneと接続できるのもいいですね。
本体はこちら。DC-Eliteのロゴとハイレゾシールが貼っています。
DC04PROと比べるとひと回り大きいですが、中に入っている構成を見ると「逆によくこのサイズに押し込めたな」という感想の方が大きいです。
天面にはアナログボリュームを採用したボリュームノブと入力用USB-C端子。
底面には3.5mm、4.4mmイヤホン端子が備わっています。
側面はボタンが備わっていますが、ここでSPDIFモードの切り替えと、0dB、-1dB、-2dB、-3dBとクリックするごとに細かな音量調整ができます。
この音量調整がとても便利なんで、また後半お伝えします。
逆サイドはラウンド加工になっています。
裏面には何もなしですね。
重さは60.5g。
DC04PROが21gなので、約3倍の重さ。見た目通りズシっときます。
DC-Elite レビュー
音質|まさに”ミニMAX”
DC-Eliteの音質ですが、まさにミニMAXという感じの音でしょうか。
現存するドングル型DACでは、格の違いを見せつけるほどの最強さ。
さすがにDX220-320MAXと全く同じレベルまでは難しいですが、同じような傾向、同じようなスケール感を表現できているような感覚です。
感覚ですが、15万円クラスのDAPとは対抗できるかそれ以上の音質はあるように感じました。20万クラスには対抗できない感じですが。
今回の検証では以下の環境で行いました。
- デバイス→iPhone 15 Pro
- イヤホン→A5000、SA6MK2、IE900S
- ヘッドホン→T3-01、HD 660S2、HD800S
音の特徴は次のとおりです。
5.0
音質
今の評価軸だとドングル型DACとしては余裕の5点満点評価。正直今の評価軸なら5点を超えているレベルです。
それほどまでに他のドングル型DACと比べても格が違います。
音質はiBassoのMAXシリーズらしく、少し硬質でありつつダイナミックな音を鳴らすスケール感のあるサウンド。
一音一音の音をダイナミックにしつつ細かな音も拾い上げる鮮やかな音作りという感じですね。
高域の伸びは価格相応といった感じではありますが(といっても価格相応に良い)、硬質かつ粒立つ良く鳴らしますね。鋭さと勢いを付与するような感覚です。
中域は一音一音にパワー感が加えられ、厚みのある音に進化します。ボヤけた厚みではなく、しっかり音の芯を持ちつつ芯ごと太くするような感覚ですね。
低音には臨場感や深みが加えられて勢いも増しつつ、ブーミーにはならず楽曲の輪郭を保ちながら迫力も向上させています。
また音場も全体的に広がり、奥行き感が増しているような感覚がありますね。
ただただ余韻感を加えた音場の広さではなく、楽曲が持つ本来の音情報を上下左右に広げて定位感良く再現するような感覚に近いですね。
これらの音の特徴が組み合わさって、MAXシリーズの音を踏襲する”スケール感”につながるというわけですよ。
King GnuのSPECIALZを聴いてみたら、イントロの残響感のあるギター、サブベースの重い臨場感、「カンッ」と鳴らすパーカッションのアタック感、井口さんの儚くもパワー感のあるボーカルまで全ての音に深みや凄みが足されて、いつもの1.5倍カッコよく聴こえましたね。
DC-Eliteを聴いた後に他のDACに変えたら、けっこう平面的に聴こえますからね。罪なDACよ……。
まとめると、めちゃめちゃいいですコレ。この音のまま据え置きDACアンプを出してください。
エグい出力の高さ
出力はドングル型DACとしてエグいレベルで高いですね。
HD660S2(インピーダンス300Ω)が余裕でドライブできます。
あれほど据え置き環境でも鳴らしにくいピッドホン1でも、バランス接続なら意外と鳴らせます。
HD800Sでも本領発揮はできていないにしても、それなりにドライブできている感じがあるのでスゴイ。
かといってイヤホンで使っても出力が高すぎるというわけでもなく、よほど高感度のイヤホンでもない限りはいい感じに音量バランスを取れます。
ボリューム変更時に音途切れが発生する
ただ、音量調整の仕様は残念です。
ボリュームを1メモリ調整するごとに音が途切れます。しかも中途半端な位置でボリュームを止めると左右のバランスもおかしくなります。
これはDX320MAXにも搭載した24段4セクションステップアッテネーターを搭載した影響ですね。
説明書の注意書きにもある通り、アッテネーターというパーツの仕様上、ダイヤルを1段階動かすごとに抵抗値が内部でスイッチされるため、ボリューム調整時に音飛びやノイズが発生します。
ただ、このアッテネーターのおかげで音の損失がなくノイズも少ないMAXサウンドを再現できているので仕方なし。
このアッテネーターのおかげでこのサウンドを体感できるんだ!と考えたら意外と気にならなくなります。
PR的な意味ではなく、けっこうマジで。
イヤホンでも細かな音量調整がしやすい
ボリュームは24段階で調整されますが、「出力が高いからイヤホンだと細かな音量調整は難しいのでは?」と思う方もいるかと思います。
ご安心ください! このDC-Elite、めちゃめちゃ音量の微調整がしやすいです。
というのも、サイドボタンがアナログボリュームとは独立した微調整用のボリューム機構を備えていまして、1クリックするごとに「-0dB」「-1dB」「-2dB」「-3dB」と調整してくれます。
ボリュームノブで調整する際に「このボリュームとこのボリュームの間くらいの音量が欲しいんだよなー!」って感じる時にサイドボタンを押してあげると、超細かく微調整ができます。
このサイドボタンで調整をすれば音途切れもないですし、絶妙な音量にもできますし、良いことづくめですよ。
めちゃめちゃユーザー想いの仕様だと思います。
ただ、高感度すぎるイヤホンだと、やはり音量調整が難しくなるので注意。
ちなみにボリュームの調整は、iPhoneと接続時はデバイス側で音量の調整はできませんでしたが、Xperia 5Ⅳでの接続時はデバイス側でも音量調整ができました。
ホワイトノイズは少なめ
ホワイトノイズはこの手のドングル型DACにしては少なめですね。
これだけ出力が高ければ、アコースティック編成の静かな楽曲を流した際に無音部分で「サーーーーー」とホワイトノイズが大きめに乗ることが多いのですが、DC-Eliteは出力の高さに対してホワイトノイズがそこまで目立ちません。
まあ細かな音量調整ができて出力も低いDAPの方がホワイトノイズは少ないですが、よほど高感度なイヤホンを所持していない限りDC-Eliteでも気にならないかと。
スマホと組み合わせると……
ここまで音質面やボリューム周りなどを伝えてきましたが、次は実際にスマホで使った時の利便性について紹介します。
外出先で使う場合、取り回しはイマイチですね。でかいし重いです。
そもそもバッテリーが結構吸われていくので、スマホ側のバッテリーも早く無くなっていきますし、スマホにでっかいデバイスをブラブラくっつけたままネットを見るのもしんどいです。
できれば外で使う場合は、再生専用のAndroidデバイスやDAPなどを用意してあげた方が使いやすいと思います。
自宅やカフェなどゆったりと音楽を楽しめる場所がある場合は、スマホ直結でも良いと思いますよ。
M0Proとの組み合わせがヤベェ
M0Proとの組み合わせはサイズ感もマッチしてヤベェです。
サイズは超コンパクトなのに、音質はハイエンドクラスといった最強のポータブル環境が完成します。
ストリーミング環境を必要としない方は、この使い方が結構ベストなのでは?
しかもM0ProはBluetoothレシーバー機能もあるのでスマホ側のBluetoothを受信して、USB接続でM0ProとDC-Eliteを繋げて、DC-Eliteを実質ワイヤレスで駆動させるという方法もできます。
対応スマホであればLDACでも接続できますよ! この方法ならApple Musicなどのストリーミング音源も再生できます。ただ、1曲目の頭が途切れます。
あと、M0Proはバッテリー容量が少ないため、DC-Eliteに繋げていると1時間半〜2時間くらいで充電が切れます……。通勤時の往復ならギリギリ……?
トランスポーターとしてはとても優秀なのに、バッテリーが残念っ!
この際DAC機能はいらないから、小型でバッテリーも大容量でサクサク動かせるSocだけ搭載したDAPを発売してくれないかな。
据え置きDACとして使うのもおすすめ
ここまでポータブル用途でDC-Eliteの使い方を紹介してきましたが、据え置き環境で使うのものおすすめです。
Windowsでは試していないのでわかりませんが、MacBookならそのままUSB接続で繋げればUSB-DAC兼アンプとして使えます。
DC-Elite一台で屋外から屋内まで上質サウンドを気軽に楽しめるのが強みです。
アプリでできることは?
DC-Eliteは「iBasso UAC」というアプリに対応しています。
ただし、アプリはAndroid端末でしか使えないのでご注意ください。iPhoneでは使えません。
アプリでは以下の設定が可能です。
- デジタルフィルターの調整(2種類)
- ボリュームの調整(0dB ~ -3dB)
- DSD Filter(Low、Mid、High)
- PCMとDSDの音量マッチ設定
- SPDIFモードのON・OFF
ボリュームの調整とSPDIFの切り替えは本体のみでもできるので、アプリが必須というわでもないですね。
その他気になるところは?
ボリューム以外に気になるところはボク自身はないですが、UAC2.0→1.0への切り替えができない点は人によっては気になるかも。
1.0に切り替えることで、Switchなどの家庭用ゲーム機でも使えるDACもあるのですが、DC-Eliteにはそのような設定はありません。
あとはゲイン設定がないのも少し気になりましたが、手持ちのイヤホンで試してみたところ問題なく音量の微調整もできたので特に不便は感じませんでした。
DC-Elite まとめ
総合評価
5/5
DC-Elite
- 15万円〜のDAPと対抗できる音質の良さ
- ホワイトノイズがとても少ない
- ボタンで細かな音量調整ができる
- 大型ヘッドホンでも鳴らし切れる出力の高さ
- 付属でケースがついてくる
- ドングル型DACとしては大型
- ボリュームを変更するたびに音が途切れる
- iPhoneでアプリを使えない
- デバイス側のバッテリーを吸われる
- 家庭用ゲーム機では使えない
5.0
音質
3.5
携帯性
4.3
拡張性
4.3
利便性
- ドングル型DACで現状一番音質が良いものが欲しい
- スケール感のあるダイナミックな音が好み
- できるだけ価格を抑えてハイエンドクラスの音質を手に入れたい
ドングル型DACとしての格の違いを見せつける最高峰の製品が誕生しましたね。まさにミニDX320MAX!
正直価格は高いですし、ボリューム切り替え時は音途切れしますし、ドングル型DACとしてはデカいです。
ただ、音を聴けば価格はむしろ安く感じますし、ボリュームの仕様も仕方ないと思えるし、ボリュームこのサイズでこの出力の高さは逆に驚きます
音質の良さが全てを解決してくれるバケモノです。
またDAPと違ってAndroidバージョンやSoCには依存せず、スマホや接続デバイスさえサクサク動かせれば時代遅れにならずに高音質で聴き続けられるのもドングル型DACの強みです。
ボクも余裕の一軍入りですね。いつかMAXシリーズと考えていましたが、手頃な価格でMAXシリーズの音を聴けるようになったような感覚ですね。
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