こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回は中華イヤホン界でも人気の高いLETSHUOERから、約4万円で買えるニューミドルクラス「Cadenza4」を紹介します。
Knowles製2BA、Sonion製BA、ベリリウムコート振動板デュアルチャンバーダイナミックドライバーを搭載した3BA+1DD構成となっています。
LETSHUOERといえば、約2万円という価格で高価格帯のイヤホンにも搭載されることの多い平面駆動型ドライバーを低価格でいち早く導入し、その音質が評価されて話題になったブランドです。
有名な機種だとS12とかS12 Proなどがありますね。以前レビューしましたけど、あれはかなり良かったです。
今回は珍しく平面駆動型を封印し、ダイナミック型とBA型のハイブリッド構成となっていますが、4万円台の新たなリファレンスとなり得そうなほどバランスの良い音でとても好印象でした。
今回はLETSHUOERさんから直接レビューの依頼をいただいたので、5万円クラスのS15やS12 Proなどと比較しながら検証していきます。
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Cadenza4 外観・付属品
それでは外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ
パッケージはS15と同様に紙っぽい質感でなかなか高級感があります。
開封するとこんな感じで、引き出し付きの2段構造になっています。パッケージのこだわりがすごい。
付属品
- シリコンイヤーピース2 種(S/M/L 各2ペア)合計6ペア
- ケーブル 2.5mm / 3.5mm / 4.4mmプラグ
- キャリーケース
- 保証書
イヤーピースは傘がソフトな半透明タイプと、傘がややハードめの白色タイプの2種類が付属。
キャリーケースはマットな質感の丸型ケースがついてきます。実用性はともかくかっこいい。
本体・ケーブル
Cadenza4のイヤホン本体はS15でも採用された3Dプリントによる設計が施されています。
内側はこの通りどシンプル。
S15は価格にしてはデザインが安っぽい感じがあったけど、Cadenza4は配色もマットホワイトの配色も相まってイイ感じのミニマル感がありますね。
ドライバーにはクロスオーバー制御が加えられており、3Dプリントによるシェルと一体成形された3つの音導管によるチューニングが行われています。
ケーブルは着脱も可能で、コネクタは0.78mm 2pin仕様。
ノズル部は金属管なども採用されておらず、3Dプリントの筐体のまま。やや太めのノズルではありますが、大体のイヤーピースは使えるかと。
ケーブルは392本の線材で構成される高純度単結晶銅銀メッキ線ケーブルを採用。
コネクタ部は形状固定型の耳掛けタイプを採用。
分岐部のデザインがめっちゃかっこいい。アジャスターもついています。
プラグは根元で取り外し可能で、付属の2.5mm、3.5mm、4.4mmプラグを付け替えることでアンバランス接続・バランス接続を気軽に切り替えることができます。
ボクは基本4.4mmで運用することになるかと思います。
本体とケーブルを装着するとこんな感じ。見た目が美しい!
Cadenza4の概要・スペック
製品仕様は以下の通りです。公式サイトから引用しました。
Cadenza4 レビュー
装着感|軽くて安定しやすい
Cadenza4の装着感ですが、以前紹介したS15と同様に良好です。
実際につけてみるとこんな感じ。
前からの飛び出しは少なめ。
本体もそこまで大きくなく、圧迫感もそこまでないので、長時間使っていても耳も痛くなりにくいですね。本体も軽いんで装着感も安定しやすいです。
あとS12やS12Proのように金属筐体ではないので、冬場に使っても耳がヒヤッとしないのもGoodポイントです。
装着感 | (4.5) |
音質|ニュートラル系優等生
Cadenza4の音質ですが、とてもバランスの整った優等生という印象でしょうか。4万円台前半ということを考えても、その音質は価格以上のものを持ち合わせているように感じました。
最近話題になることの多い4〜5万クラスの有線イヤホンと並べて聴き比べても、十分対抗できる実力があります。
Cadenza4の音の特長は次のとおりです。
4.8
高音
4.9
中音
4.7
低音
帯域ごとの偏りが少なくクセのないニュートラルサウンドのように感じました。けっこう明るめの音で、少しボーカルが強調されるようにも感じますね。フラットというよりは少しかまぼこ型というかW字っぽい感じ。
高域は華やかでやや寒色気味の音作り。BA3基のハイブリッド型にしては音がキツくならず、繋がりが滑らかで耳にストレスを与えない優しいカチッとサウンドという感覚です。ゆえに刺激感は少なめ。
弦楽器・管楽器、シンバル、シンセサイザーなど楽器を問わず、録音環境に対して率直にその音を引き出すような感覚です。
中域ラインはとても分離感が高く、サビで音圧が高まった状態でも、重厚なエレキギターを耳でちゃんと追い切れますね。かといってモニターっぽくならず、ほどよい余韻や艶やかさを加えながらリスニングライクに鳴らす感覚ですね。
ボーカルラインも非常に伸びやかで、こもり感ゼロの超クリアネスサウンド。ボーカルを中心に聴くならCadenza4はとても良い選択肢かと。傾向的にはAdoのようなガナリ感の強いボーカルよりは、YOASOBIのような付帯する音が少ない薄めのボーカルの方が合っている気がしました。
低域はS15と比べると迫力は控えめですが、解像度感はとても高く明瞭でスナップ感の良い低音という印象です。
低域が広がる前にスッと減衰していくような感覚で、ウッドベースを豊かに響かせるよりはエレキベースを小気味よく鳴らす方が得意なように感じましたね。バスドラムも同じく付帯音を加えずに「ドンッ」と瞬発性のある音で鳴らします。
得意なジャンルは基本なんでもOKですがボーカルラインが映えるので、ポップス全般やアニソンがおすすめですかね。
S12 Proと比べると
S12Proと比べると、やはり価格差だけの実力差はありますね。
Cadenza 4はS12 Proの平面ドライバーのような伸びやかさを持ちつつ、中高域帯の解像度感や低域の深みや粒立ちの良さが1〜2レベルほど上です。
音場もS12 Proと比べても横方向に広がっている感覚があり、定位感も増しています。
価格差があるので実力が上なのが当たり前ですが、S12 Proもかなりコスパが高い製品なので大きな差はないかと思っていましたが、意外と一聴して実力の違いがわかるレベルでした。
といってもS12 Proは最近2万円以下で買えることがほとんどですし、同価格帯では実力は今でもかなり高い方なのでふつうにおすすめです。
S15と比べると
同価格帯の近いイヤホンしたS15(57,000円)と比較した場合、音の傾向は似ていますがドライバーの違いによる出音の違いが顕著に現れますね。
S15のドライバーには第3世代の14.8mmの平面磁界駆動型ダイナミックドライバーと、LETSHUOER独自に開発した「R-Sonic」技術を搭載した6mmパッシブフィルタモジュールを搭載しています。平面ドライバーとサブウーファーの2つを搭載している感じですね。
S15はCadenza4と比べて音が全体的に伸びやかで立体的。とくに低域のバスドラムやベースラインはすべての音に空気を揺らすような迫力を付与するような感覚です。
低域と高域はキツくはなりませんがハデめな音で、ボーカルラインはCadenza4と比べると少し埋もれる感じはありますね。
Cadenza4は平面的で瞬発的な音という印象でしょうか。解像度感はCadenza4の方が高めなように感じました。
ジャズやオーケストラ、ヒップホップ、ラウドロックなど重厚で広がりのある低音が必要なジャンルはS15、ロックやポップスなどスピード感が必要なジャンルはCadenza4が合っているかと。
個人的にはS15の立体的な音の方が凄みを感じて好きな音なのですが、Cadenza4のコスパの高さとボーカルの映える高解像度サウンドも捨てがたいようにも感じましたね。
Cadenza4 まとめ
Cadenza4をまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.9/5
Cadenza4
- バランスの整ったニュートラルなサウンド
- 4万円台としては解像度がかなり高い
- ボーカルラインが特に明瞭
- ミニマルで美しい外観
- プラグの付けかえで気軽にバランス化可能
- とくになし
4.8
高音
4.9
中音
4.7
低音
4.8
解像度
4.5
迫力
4.5
装着感
Cadenza4はこんな人におすすめ
4万円台前半の定番イヤホンは最近少ないですが、その価格帯ではかなり上位クラスの実力のように感じました。5万円台前半あたりの製品とも十分対抗しえるかと。
ボーカルラインを明るく明瞭に鳴らしつつも、クセのないニュートラルなサウンドが特徴なので、歌モノメインで聴かれる方には特におすすめです。
以上! Cadenza4のレビューをお送りしました。
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