こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回はオーディオ界隈でもコスパの高さと音質の良さから人気の高いKiwi Earsから、1万円台で買える有線イヤホン「Singolo」と、1万円以下で買えるエントリーDAC「Allegro」を紹介します。
2つ合わせても約2万円ほどで買えるので、これからポータブルオーディオの世界に浸りたい方には沼の入り口となり得るセットともいえるでしょう。
それぞれどれほどの実力か、今回は販売元のLinsoulさんより提供いただいたので、実機を使って紹介していきます。
Singolo 概要
Singoloはイヤホンマニアは知らない人がいないほど世界で有名なオーディオ評論家の「Crinacle」とのコラボモデル。
YouTubeを見ていただいたらわかるのですが、登録者が28万人もいる方なんですよ。YouTubeだけではなく周波数測定データベースをサイトで公開しており、イヤホンの音の違いを視覚化して評価してきた方です。
今回は、そのCrinacle氏がSingoloの設計開発に専門知識を提供して作成したモデルとなっています。
フェイスプレートは水彩画かのように美しいデザイン。
シェルも透明感が高く、内側までレジンがみっちり充填されていることがわかります。
ケーブル着脱部はフラットタイプの2pinを採用。
ドライバー構成は、高品質なLCP(液晶ポリマー)振動板を用いた11mmカスタムダイナミックドライバーを採用。
そして一番注目すべきポイントはKARS(Kiwi Acoustic Resonance System)という機構。車から顔面が生えた3Dアニメのことではないですよ。
ハウジングの上部を見るとわかるのですが、ウニョウニョとした迷路のような音導菅が見えるかと思いますがこれがKARS。
この機構で空気の流れをコントロールして低音域の出力を調整するフィルターです。SHUREのSE846とかにも似たような機構がありましたね。それを1万円台のイヤホンで採用してくるのはすごい。
その音質については後半に解説します
ケーブルはクリア色で細めの2pin OFCケーブルを採用。価格に対して質感は少しチープ。ちなみに3.5mmオンリーです。
イヤーピースはクリアタイプとブラックタイプが用意されていますが、どちらもペラッペラ。イヤーピースは別のものを用意した方が良さそうですね。
- 周波数応答:20Hz-20KHz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:108dB
- ケーブル:0.78mm2pin 3.5mmジャック
Allegro 概要
続いてドングルDACの「Allegro」の概要をお伝えします。
とにかく目を引くのは、このファミコンのコントローラー風の見た目。なぜこのデザインにした。
矢印キーとかボタンで操作できそうに見えるでしょ? 残念! これはフェイクだ! 操作できないどころかボタンを押すことさえできない、完全な飾り!
ちなみに操作ボタンは上部の+、-ボタンのみです。
1万円以下という価格でありつつ、3.5mmアンバランス接続、4.4mmバランス接続どちらも備えています。
サイズ感もとても小さく、水月雨のDawn Proより少し大きいくらいのサイズ感。ただ見た目に対してけっこうズッシリとした重みがあります。
付属品はUSB-C to Cケーブルのみが付属しています。本体のサイズ感に対して、かなりガッシリしてる。
スペックは以下の通りです。
■ スペック | |
---|---|
DACチップ | ES9028Q2M |
対応フォーマット | PCM(最大 32bit/384kHz), DSD(DSD256, DSD128, DSD64) |
THD+N | 0.0015% (32Ω) |
出力 | 3.5mm:70mW@32Ω 4.4mm:155mW@32Ω |
SN比 | 123dB |
周波数特性 | 20Hz ~ 40kHz |
ノイズフロア | <1μV |
インジケーター表示 | 青:PCM 赤:DSD |
重量 | 約20g |
入力端子 | USB Type-C |
出力端子 | 3.5mm / 4.4mm |
付属品 | ・USB Type-Cケーブル ・取扱説明書 |
価格だけはあって出力はそこまで高くないですね。1万円クラスだと3.5mm接続時でも120mW@32Ωほどありますし。
ヘッドホンや多ドライバー構成のイヤホンなど、出力が必要な製品と合わせるのはおすすめしないですね。
Singolo レビュー
Singolo 音質について
Singoloの音質ですが、究極の”ふつう”という感じでしょうか。Kiwi Earsはナチュラルでクセが少ないイヤホンが多いのですが、その中とくにクセが少ないザ・ナチュラル・オブ・イヤホンという印象を受けました。
ナチュラル超えて”凪”って感じ。
- スマホ・DAC:iPhone 15 Pro → Allegro
- アプリ:Apple Music
- 接続方式:3.5バランス接続
- イヤーピース:付属シリコンイヤーピース
- エージング:100時間ほど
4.3
高音
4.4
中音
4.3
低音
音の傾向はフラットで刺激感が少ないリスニングサウンドという感じでしょうか。カチッとしたモニターサウンドのような感じではありません。
高域は刺激感がかなり少なく、優しくサラッとした感じの高音ですね。音の粒立ちは良いですが、シャキッとキレの良さやキラキラとした華やかさを求めたい方には物足りなく感じるかと思います。実際にボクももう少し刺激感が欲しくなりました。
中域のボーカルラインはかなり伸びやかでナチュラルに聴かせるような感覚。ボーカルの刺さり感がなく、優しく艶感良く聴かせてくれます。ボーカルの明瞭さや聴きやすさがSingoloの一番の強みな気がする。ただピークラインの刺激感はやや薄め。
低域はKARSと11mm口径のドライバーの影響が大きいのか、そこまで量感は多くないのにも関わらず、空気を纏った立体的でスケール感があるような印象ですね。
低域も広がりすぎずにタイトさを保ったまま、奥行きを感じるような立体感のある低音を鳴らしてくれますね。ボワつかない立体的な低音って感じなので、ボーカルラインを一切阻害させない感じがあります。
音場は低域のスケール感の影響か、少し広めのように感じますね。
ジャンル基本何でもOKですけど、ボーカルものメインで聴くならおすすめです。ロックやメタル、エレクトロなどで音のキレや刺激感を求めたい場合は他にも選択肢があるように感じましたね。
FortezaやMelodyと比較すると?
同社の同価格帯だと、こちらも最近発売された「Forteza」がありますが、こちらはSingoloと比べて音場が全体的に近めでエネルギッシュな音のように感じますね。
高域はSingoloと比べると解像度感は少し雑ですが、キラキラとした刺激感が加えられていてパワフル。かといってこちらも刺さり感があるような音ではないです。
低域はSingoloのような立体感や解像度感の高さはありませんが、その分離感はこちらの方が上のように感じます。中域の滑らかさやボーカルラインの質感もSingoloの方が上。
価格差は約4000円ほどですが、音の好み的にはFortezaのはずなんですけど、ボクが選ぶとすればSingoloかな〜。
次に14800円で販売しているMelodyと比べた場合、Singoloと比べて一聴しての音質の良さはMelodyの方が良く感じると思います。
大口径平面駆動ドライバーを搭載している影響か、高域の伸びやかさが15000円以下の有線イヤホンのなかでも素晴らしく、広大で抜け感の良い音が特徴。
中低域も豊かで心地よく鳴らすのですが、上流側(DAP・DAC)によってその出音は左右されるようで、出力が低いとやや平面的で物足りなく感じるかも。Allegroでも出力は若干足りません。あと装着感が浅めでイマイチという点もデメリットでしょうか。
対してSingoloはスマホ直差しでもイイ音で鳴ってくれるので、上流がどのようなものを所持しているのかで選ぶのも良いかと。
万能性とボーカルの質感を重視、それでいて上流の環境がそこまで整っていない場合はSingoro。高域の伸びの良さや低域の深さなどスケール感を重視して、上流の環境も揃っているならMelodyって感じでしょうかね。
装着感
ちなみに装着感についてはやや浅め。付属のイヤーピースの軸が短くてふにゃふにゃだから、しっかりと支えてくれないような感じになります。
本体自体の装着感は特に悪くないので、SpinFit W1か、SednaEarFit ORIGINあたりに変えることをおすすめします。
装着感 | (4.0) |
バーチャル試聴
YouTube版ではダミーヘッドによるバーチャル試聴も行っています。
Allegro レビュー
Allegro 音質
Allegroの音質についてですが、見た目はともかく価格に対する音質は良い方だと思います。
- スマホ・DAC:iPhone 15 Pro → Allegro
- アプリ:Apple Music
- 接続方式:3.5バランス接続
- イヤーピース:付属シリコンイヤーピース
- エージング:100時間ほど
3.9
音質
Xperoa 5Ⅳに直差しした時と比べ、音の輪郭がクッキリとして全体的に音に厚みが加わったように感じますね。スマホ直差しよりは確実にパワーアップしていることはわかります。
同価格帯のDACと比べても音が滑らかかつパワフルな印象で、音も硬質になりすぎず、Kiwi Earsらしいアナログライクでナチュラルな印象がありますね。
4.4mm接続時も音の傾向やバランスは変わらず、出力を増やして少し分離感がましたような感じになりますね。
使いやすさや見た目などはともかく、単純に音質だけを考えるなら、価格に対してなかなかの実力はあるかと思います。
ホワイトノイズが全然ない
出力が低い影響か、高感度系のイヤホンを使ってもホワイトノイズが全然気になりません。
出力が高いDACを使うと「サー」というホワイトノイズが目立ったりするものが多い中、Allegroはノイズに悩まされることなくストレスフリーで使えます。
独立ボリュームで音量調整を細かくできる
もう一つよかった点が、ボリューム調整が本体側とスマートフォン側で分かれているという点。
iPhoneで使う場合、独立ボリュームじゃないと一つボリュームをアップしただけで音量が上がりすぎたりするので、この仕様はありがたいです。
ゲイン設定やアプリなどは非対応
1万円クラスだとゲイン設定やデジタルフィルター、アプリによる設定など、細かくカスタマイズできるものもありますが、Allegroはそのような設定はありません。
元々の出力がそこまで高くないので、まあゲイン設定はなくても問題ないかな〜。
4.4mm側はやや硬め
4.4mm側にジャックを挿入する際、わりと硬めでガリガリとした挿入感になってしまいます。1万円以下の4.4mm搭載DACはコスト的に仕方がないのか、どうしても質感が悪目ですね。
商品名 まとめ
商品名をまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.5/5
Shingolo
- クセのないナチュラルなサウンド
- ボーカルラインがとても明瞭
- 立体的でスケール感のある低音
- 付属イヤーピースがチープ
- 高域の刺激感が薄め
4.3
高音
4.4
中音
4.3
低音
4.3
解像度
4.3
迫力
4.0
装着感
総合評価
4.8/5
Allegro
- スマホ直差しよりも音質と出力を改善できる
- 1万円以下で3.5mm / 4.4mmどちらも使える
- ホワイトノイズがとても少ない
- 細かなボリューム調整が可能
- 出力が低め
- 見た目がファミコン
3.8
音質
4.8
携帯性
4.0
拡張性
4.8
利便性
それぞれKiwiEarsらしいナチュラルでバランスの良い音質で、クセのないサウンドが好きな方にはハマると思います。
もう少し刺激感や個性が欲しいという方は他にも選択肢があるかもしれないですけどね。
どちらも1万円前後としてはおすすめしやすい製品なので、音の傾向が合いそうだと感じた方は検討してみてください。
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