こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
ついにウチにもやってきました、超ハイエンドワイヤレスイヤホン「FoKus Prestige」。価格は定価で114,880円!
もう高いとかそういうレベルじゃない。貴族向けワイヤレスイヤホンや。
さすがに10万円のワイヤレスイヤホンを買う気にはならず、レビューをしたいと思いつつも見て見ぬフリをしていましたが、なんとエミライさんからプレゼントいただけました。
Noble Audioには特注仕様の「Universal Prestige」シリーズという有線イヤホンのラインナップがあるのですが、それをモチーフにFoKusシリーズに「Prestige」の名を冠して、スタビライズド・ウッドを纏った究極のワイヤレスイヤホンが「FoKus Prestige」というわけですよ。
今回は歴代FoKusシリーズとも比較しつ、最近発売したFalcon MAXや他のハイエンドワイヤレスイヤホンとも比較しながら紹介していきます。
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FoKus Prestigeの概要
FoKus Prestigeは前作の「FoKus Mystique」をベースとして更なる高みを目指し改良を重ね、イヤホンの内部構成を再設計し、ユーザーのフィードバックを元に、チューニングに携わる音の魔術師こと「ジョン・モールトン」氏によって再チューニングが行われているモデルです。
- Knowles製 BAドライバー 2基と大口径8.2mmダイナミックドライバー1基のハイブリッド構成
- 2色のスタビライズド・ウッドフィニッシュを採用
- SBC/AAC/aptX/aptX adaptive等、様々なBluetooth Audioコーデックに対応
- 一人ひとりに最適なリスニング体験をもたらすパーソナルモードを搭載
とまあこんな感じです。基本性能はFoKus Mystiqueと同じで、デザインとチューニングが異なるモデルという感じですかね。
FoKus Prestige 外観・付属品
それではFoKus Prestigeの外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ
FoKus PrestigeのパッケージはNobleとしては珍しい青と白のグラーデーションデザイン。
開封するとこんな感じ。
付属品
- ポーチ
- イヤーピース ノーマル3ペア
- イヤーピース ダブルフランジ3ペア
- マニュアル
イヤーピースはノーマルタイプとダブルフランジタイプの2種類が付属していますが、これはどちらをつけていただいても大丈夫かと。ボクはダブルフランジタイプの方が好みでしたかね。
充電ケース・本体
充電ケースはもはや工芸品。ぶっちゃけこれだけで4万円くらい取られてるやる。
ちなみにNobleのオーダーメイドイヤホンでもウィザードデザインという同じようなオプションがあるのですが、そのオプションだけで68000円もします。そう考えると価格は納得?
側面も底面もすべてスタビライズド・ウッドで構成されています。ちなみにスタビライズド・ウッドとは、樹脂(レジン)を浸透・硬化させることで安定化と強度の向上を図った木材のことです。
カラーはブラックとブルーの2色ありますが、今回はブルーをお送りいただきました。ブラックもかなりかっこいい。
ポケットに収まる程度の大きさではありますが、他社のワイヤレスイヤホンと比べても厚みが少しありますね。
ちなみにFoKkus Mystique、FoKus Pro、Falcon MAXと比べるとこんな感じ。他のモデルもデザインが大概すごかったのに、Prestigeになってさらに遠慮がなくなった感じがする。
充電端子はUSB Type Cに対応しているのですが、端子がケースの奥側にあって、ほぼ付属のケーブル以外は干渉してしまうんですよ。これがけっこう致命的。
ほんでワイヤレス充電にはもちろん対応していませんし、充電周りはけっこう困るかも。
充電ケースを開けるとこんな感じ。神秘的!
FoKus Mystiqueよりも本体の飛び出しが大きくなっていて、取り出しやすくなっています。
ただ、10万円もするので外で本体を取り出すのはめっっっっちゃ怖いです。コンクリートで落としたら絶対割れるか欠けるやん。
イヤホン本体もケースと同じくスタビライズド・ウッドを採用したデザインで、筐体全体がまさにカスタムIEM版のウィザードデザインのようになっています。
内側まで反映されているからすごい。デザインに対するコストの掛け方が半端ない。
FoKkus Mystique、FoKus Pro、Falcon MAXと比べるとこんな感じ。
カスタムIEMのように、耳の形状に合わせて凸凹とした造形になっていて装着感も良さそうです。
再生時間は本体9~10時間とFoKus Mystiqueよりも3時間ほど伸びていますね! ケースは本体をやく2.5回分満充電にできるようです。合計35時間くらいかな?
防水性能は相変わらず備わっていません。
ノズルは前作同様にかなり太めなので、他社のイヤーピースだとノズルにハマらないものが結構あります。
最後に重さですが、総重量は70.7g、本体片耳の重量は7.1gです。
見た目に対して以外とそこまで重たくない。
Noble Audio FoKus Prestige レビュー
装着感|安定したフィット感と高い遮音性
FoKus Prestigeの装着感ですが、前作のFoKus Mystiqueよりも良くなっている気がしましたね。
カスタムIEM感がより増しているような感覚で、ボクの耳だとさらにフィットしやすくなりました!
実際に装着してみるとこんな感じ。超ド派手なデザインなので、髪の毛が短い人だと「あの人ヤバいイヤホンつけてる」って思われそう。
前からの飛び出しは前作よりも若干長くなっている感じがありますね。
あと、遮音性がめちゃくちゃ高いですね!ノイズキャンセリングなしでも音楽を流していれば電車の走行音が全然耳に入ってきません。
これはノイズキャンセリングなしでも全然いけますね。
ただ、ジョギング用途では一切おすすめしません。防水性能もないですし、落としたら10万がパーです。
装着感 | (4.8) |
音質|Mystiqueをさらに磨き上げたサウンド
FoKus Prestigeの音質ですが、まあそりゃあさすがの実力ですよ。あれだけ音質の良かったFoKus Mystiqueの音質をさらに超えてきます。
今回の検証ではXperia 5ⅣでaptX Adaptiveで接続して検証しました。エージングは50時間ほど行っています。
FoKus Prestigeの音の特長は次のとおりです。
4.8
高音
5.0
中音
5.0
低音
基本ベースはFoKus Mystiqueですが、その音をさらに磨き上げた感じですかね。
音の傾向は低域寄りの迫力重視のチューニング。全体的にやや分析的な傾向で艶感や響きのようなものが少なく、録音環境に対して率直に音を引き出すような感覚です。
一番特徴的なのは低音! とにかく量感たっぷりで、ベースラインはベンベン跳ねますし、バスドラムはリズム隊を聴いていてとにかく楽しいイヤホンです。「小綺麗な音とかどうでもいいから俺の低音を聴け!」と言わんばかりの暴力的な低音をゴリゴリ耳に響かせてきますね。
低音の量感に対して高音の解像度感も高く、一音一音を粒立ち良く奏でますね。ただ、ストリングス系の自然な高域の伸びが少し苦手な気がします。
中音ラインは厚みたっぷりの豊かで情報量の多いサウンドです。同帯域に対しての音の分離がとても良く、ボーカルと同帯域のギターやピアノ、シンセサイザーの音も見事に聴きわけができます。
音場はこの価格帯としては珍しくやや近めで、抜け感もそこまでありません。イヤモニ的な感覚に近いですね。
得意なジャンルはFoKus Mystiqueと同じくエレクトロやロック系全般、あとはヒップホップやシティポップとかですかね。
PerfumeやYOASOBI、Adoあたりのエレクトロ系トラックはかなり得意な感じです。一番エグいのは米津玄師の「KICK BACK」。低音ブリブリすぎて頭ぶっ飛びます。あとVaundyの「不可幸力」もおすすめです。
高域の繊細さより低音の迫力を重視したい!という方には超おすすめの選択肢かと。
FoKus MystiqueやFoKus Pro、FALCON MAXと比べると
オーディオイベントのポタフェスで聴いた時はMystiqueとProのちょうど間くらいの音に感じたのですが、実際にじっくり聴いてみるとMystiqueの中低域をさらに強化したような感じでしたね。
FoKus Mystiqueと比べると、低域〜中域にかけての解像度感が少し向上している印象を受けましたね。そしてさらに低域側にさらに重心が寄っているように感じです。もっと暴力的な量感になっていますね。この低音でも中高域がそこまで埋もれないからすごい。
久しぶりにFoKus PROを出して聴き比べてみましたが、やはりFoKus PROよりも中低域の解像度感は上がっていますね。
FALCON MAXと比べると、全体的な解像度感や中低域の厚み、音の迫力などはFoKus FoKus Prestigeの方が上なのですが、高域の伸びだけはFALCON MAXの方が良く感じますね。MEMSドライバーの恩恵がスゴイ。
次世代のFoKusシリーズがMEMSドライバー搭載したら、音質最強のイヤホンが誕生するのではと思っています。
他のワイヤレスイヤホンと比べると
HiFiMANのSvanar Wirelessと比べてみましたが、価格は上でも音質は敵わないように感じました。ヒマラヤDAC +アンプモジュールを搭載して、DACからアンプにかけてフルバランス構成のワイヤレスイヤホンですからね。
ただSvanar Wirelessは響きの良いしっとりサウンド、FoKus Prestigeは低音ゴリゴリの高解像度サウンドと傾向が異なるので、好みの差はあるかと思います。まあSvanar Wirelessは接続安定性も利便性も致命的ですが……。
たとえばAdoの「唱」をSvanar Wirelessで聴くと「もっと低音よこせ!」ってなるし、「私は最強」をFoKus Prestigeを聴くと「高音の伸びが足りんわ!」ってなるんですよ。
結局、音の好みと普段聴く楽曲次第なんですよね〜。
Gemini IIと比べると高域の伸びの良さや音の繊細さはGemini IIの方が上、低域〜中域の解像度感や情報量の多さはFoKus Prestigeが上という感じでしょうか。こちらも圧倒的にPrestigeが上というわけではなく音質の好みの差程度って感じでしょうか。
ただ、FoKus Prestigeの悪魔のような低音のゴリゴリさは他のワイヤレスイヤホンにも真似できないかと。脳内麻薬ダラダラ溢れるような感覚で、この低音に慣れてしまうと他のイヤホンの低音が足りなく感じるので危険です。
外音取り込み|質は良くない。
FoKus Prestigeの外音取り込みはあんまり良くないですね。とりあえず相手の声を質の悪いマイクで拾っているって感じです。
まあ、音楽を止めていれば相手の声を聞き取れるレベルではあるので、ないよりはマシです。
もう一点気になるのが、切り替わりの遅さ。左を長押しすれば外音取り込みモードに切り替わるのですが、3秒間くらい長押ししないと切り替わらないんですよね。
あと外音取り込み時に左のマイク部分を塞ぐと「ピィィィィ」と大きな音が鳴ります。なにこれ仕様……?
外音取り込みは初代はついていなかったので、その機能があるだけマシかな?レベルですね。
外音取り込み | (3.0) |
操作性|普通
FoKus Prestigeの操作性は、まあ普通ですね。
操作はタッチパネルで行いますが、感度は良すぎず悪すぎずちょうど良い感じです。ただ操作のレスポンスは悪めですね。
操作方法一覧は次のとおりです。
項目 | 操作方法(デフォルト) |
---|---|
再生/停止 | L or R側を1回タップ |
曲送り | R側を3回タップ |
曲戻し | R側を2回タップ |
音量を上げる | L側を3回タップ |
音量を下げる | L側を2回タップ |
電話を受ける | 着信中にL or R側を1回タップ |
着信拒否 | 着信中にL or R側を長押し |
通話終了 | 通話中にL or R側を長押し |
外音モードの切り替え | L側を長押し |
音声アシスタント | R側を長押し |
ダブルクリックの反応も良すぎず、たまに反応しないこともあったりと、全体に渡って「普通」って感じですね。
特に外音取り込みモードの切り替え以外は大きなストレスは抱えることはないですかね。
操作はアプリでもカスタマイズ可能で、ダブルクリックとトリプルクリックのみ変更可能です。
長押しやシングルタップなどの変更はできないので、カスタマイズ性は少なめですね。
アプリについて
アプリでできることは次のとおりです。
- イコライザ設定
- カスタムUi(操作方法の変更)
- 通知オンや操作音、表示言語の設定など
- ファームウェアアップデート
主な機能としてはイコライザーと操作方法の変更といったところでしょうか。
イコライザーはプリセットが6種類と、個人の耳に対して最適化を行うパーソナルモードがあります。
パーソナルモードはアプリで聴覚検査をして、自分にぴったりのイコライザーを作るアプリなのですが、なぜか毎回納得のいくイコライザーを作れないんですよね。
なんだかんだデフォルトのゴリゴリ低音も気に入っているので、イコライザーはオフにしています。
通話品質|そこまで良くない
FoKus Prestigeのマイク性能ですが、そこまで高くはないですね。
マイク音声も実際に録音してみました。以下の音声をよければチェックしてみてくださいね!
マイク性能はあまり良くはないです。無音時は割とクリアに聞こえますが、雑音があるとノイズを拾いやすいですね。
通話品質 | (3.5) |
音の遅延|映像ならほぼ遅延がない
FoKus Prestigeの映像と音声のズレですが、こちらも動画を見る分には問題なしですね。
PVやライブ映像を見ても、ほとんどズレが気にならず楽しめます。
低音の迫力がすごいので、ライブ映像も現場さながらの臨場感をイヤホン越しに味わえますね。
遅延の少なさ | (4.0) |
FoKus Prestige まとめ
FoKus Prestigeをまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.5/5
- 完全ワイヤレス最高峰の音質の良さ
- 低音の迫力と深みがスゴイ
- 小さな音量でも音圧をしっかり感じる
- 再生時間が長い
- 装着感がとても良い
- ノイズキャンセリングなしでも高い遮音性
- 見た目が工芸品
- 高い、あまりに高すぎる
- 機能性はほぼないに等しい
- 耐水性能が備わっていない
- 充電時に純正以外のケーブルはケースに干渉する
4.8
高音
5.0
中音
5.0
低音
4.8
装着感
–
ノイズキャンセリング
3.0
外音取り込み
3.5
マイク性能
3.0
利便性
Bluetooth | 5.2 | 最大再生時間 | 本体9~10時間/ ケース2.5回分 |
コーデック | SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive(上限:48kHz/24bit) | 充電時間 | 本体1.5時間 ケース1.5時間 |
ドライバー | 2BA+1DD ハイブリッド型 | 充電端子 | Type C |
専用アプリ | ◯ | 防水 | – |
ノイズキャンセリング | – | 質量 ※片耳/ケース込 | 情報なし |
外音取り込み | ◯ | ゲームモード | – |
自動装着検出 | – | 保証 | 1年 |
マルチポイント | – | 公式サイト | こちら |
FoKus Prestigeはこんな人におすすめ
- 予算度外視でとにかく音質が良い完全ワイヤレスイヤホンを探している
- とにかく低音がゴリゴリの高音質イヤホンが欲しい
- エレクトロ、ロック、ヒップホップ、シティポップなどを好んで聴く
- 見た目の美しさに惹かれた
そりゃまあ音質は良いですよ、10万ですもの。ただ、10万円もするのだから救済措置みたいなものは欲しいですね。修理時にバッテリー交換対応とか、そもそも有線でも使えるとか。
ワイヤレスイヤホンはバッテリーや性能の問題で2〜3年で買い替えることがほとんどですからねー。そこに10万円を掛けられるかどうかは人次第ですね。
FoKus PrestigeはカスタムIEMで6万のウィザードデザインを頼む時と同じような感覚で、その唯一無二のデザインとその音質を予算度外視で楽しむイヤホンだと思います。
ホント低音がとにかくエグいので、我こそは低音厨だ!という方はぜひ聴いてみてください。
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