こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
かつて「もはや有線」と評価したワイヤレスイヤホン、final「ZE3000」にノイズキャンセリングなどの機能大幅に追加された後継機が登場しました。
それが今回紹介する「ZE3000 SV」です。
先行で提供いただいて1週間ほど使わせてもらいましたけど、この子ね、かなりいいですよ。最近のfinal製品だと一番アタリ。
今のところ(2024年12月時点)15000円以下までのワイヤレスイヤホンだとNo.1候補。
- 進化した自社開発ドライバー「f-Core SV」搭載
- 筐体内部圧力の最適化する「f-LINKポート」搭載
- 音質と遮音性能を両立した「コンフォートANC」搭載
- 高音質コーデック「LDAC」対応
- 「ゲーミングモード」搭載
- マルチポイントやアプリに対応
- 価格は12800円
2万円以下ではかなり音質が良かったZE3000に様々な機能を追加しつつ、なぜか価格は3000円安くなっています。
今回はこちらのZE3000 SVを前作のZE3000とも比べながら検証していきましょう。
▼動画版はこちら▼
ZE3000 SV 外観・付属品
それではZE3000 SVの外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ
ZE3000 SVのパッケージはいつも通りのfinalらしい感じ。
開封するとこんな感じ。
付属品
- final TYPE E 完全ワイヤレス専用仕様 SS/S/M/L/LLサイズ
- マニュアル
イヤーピースはfinal TYPE E 完全ワイヤレス専用仕様が5サイズ付属。
密閉感を高めつつもメリハリ感のあるサウンドに変化させるイヤーピースで個人的にも気に入っています。
ちなみに充電用のUSB-Cケーブルは付属していません。最近ケーブルが付属していないイヤホンも多くなってきましたね。
充電ケース・本体
ZE3000 SVの充電ケースはこちらで、前作同様に皮脂汚れや傷が目立ちにくいシボ塗装仕上が施されています。この素材感がイイんですよね。
ZE3000と比べてさらに小さく、コロンとした見た目に変化しましたね。
ケースのデザインだけで比較するなら前作の方が好きだけど、利便性は今作の方が良いでしょうね。
厚みはほぼ同じくらいです。
充電端子はUSB Type Cに対応。
ワイヤレス充電には残念ながら対応していません。
充電ケースを開けるとこんな感じ。
ケースから本体が大きく飛び出した状態なので、とても取り出しやすいですね。
イヤホン本体について、前作は角ついたイヤモニ型の形状でしたが、今作は充電ケースのデザインと同様にコロンとした丸っこい筐体に変更されました。
ZE3000と比べても耳の小さな方でもフィットしやすくなったかと。ただ、デザイン的には前作の方がやっぱり好み。
イヤホン本体にもシボ塗装仕上が施されているので、皮脂や傷などが目立ちにくいようになっています。
内側は耳の形に合わせた凹凸のある形状になっています。
ノズルはややくびれが細めの正円形デザインになっています。
付属のイヤーピースが優秀なので、サードパーティー製のイヤーピースを使う必要はないかと。
最後に重さですが、総重量は38.7g、本体片耳の重量は4.3gとワイヤレスイヤホンとしては超軽めです。
ZE3000 SVとZE3000のスペックを比較
Spec | ZE3000 SV | ZE3000 |
---|---|---|
通信方式 | Bluetooth® 5.3 | Bluetooth® 5.2 |
ドライバー | 10mmダイナミックドライバー f-Core SV | 6mmダイナミックドライバー f-Core for Wireless |
対応 コーデック | SBC、AAC、LDAC | SBC、AAC、Qualcomm® aptX™、aptX™ Adaptive |
連続音楽 再生時間 | イヤホン本体 最大約7時間 充電ケース込み 最大約28時間 | イヤホン本体 最大7時間 ケース込み 最大35時間 |
充電時間 | イヤホン本体 約1.5時間 充電ケース込み 約1.5時間 ※イヤホン本体は急速充電に対応し、10分の充電で約1時間使用可能 | イヤホン本体 約1.5時間 充電ケース 約2時間 |
防水性能 | IPX4 | IPX4 |
ノイズ キャンセリング | ◯ | – |
外音取り込み | ◯ | – |
マルチポイント | ◯ | – |
ゲーミング モード | ◯ | – |
アプリ | ◯ | – |
付属品 | 充電ケース、イヤーピース(TYPE E 完全ワイヤレス専用仕様 5サイズ) | 充電ケース、final TYPE E 完全ワイヤレス専用仕様 SS/S/M/L/LLサイズ、USB TypeC 充電用ケーブル |
公式ストア発売価格 | 12,800円(税込) | 15,800円(税込) |
このように見比べてみると、前作から機能性が大幅にパワーアップしていることがわかりますね。
対応コーデックもaptX系列からLDACに変更されましたので、一部のDAPやGalaxy、Pixelユーザーでも高音質で聴きやすくなりました。
ZE3000 SV レビュー
装着感|小ぶりで圧迫感が少ない
ZE3000 SVの装着感について、実際に装着してみるとこんな感じ。
前から見た時の飛び出し感も少なめです。
耳へのフィット感や密閉感は前作のZE3000の方が良かったように感じますね。その代わり前作は圧迫感が少しありますけど。
ZE3000 SVは小ぶりで圧迫感が少なく、耳の小さな方でもフィットさせやすくなったように感じましたね。
どちらが良いかは人次第だと思いますけど、ボクは前作のフィット感の方が好みかな〜。
装着感 | (4.3) |
音質|15000円以下ではかなり良い
ZE3000 SVの音質についてですが、12800円という価格と機能性を考えればかなり良い方だと思います。
ただ、ZE3000と全く同じ音ではありません。実力的には前作のZE3000の方が好みではあります。
それでも、ZE3000 SVも高く評価していますね。
今回の検証ではLDACとの検証にはXperia 1Ⅵ、AAC接続での検証ではiPhone 15 Proを使っています。
ZE3000 SVの音の特長は次のとおりです。
4.4
高音
4.3
中音
4.3
低音
音の傾向はZE3000のフラットなサウンドと比べると、低域の量感増えて高域も少し強調された弱ドンシャリ傾向になっています。
高域はfinal特有のサラッと伸びるような音で、同価格帯のワイヤレスイヤホンと比べてもとてもクリアに感じますね。ZE3000と比べると伸びは控えめで鋭めの音になっているように感じました。
中域は繊細な印象ですが、ZE3000よりもボーカルに力強さを感じますね。女性ボーカルのピークラインは少し上擦りますが、それがイイ意味での刺激感になっていますね。
低域はZE3000よりも多めで主張も激しくなりましたね。前作のフラットな傾向が好みの方だと低域が多すぎるように感じるかもしれませんが、ノリ良く楽しく聴きたい方はこのチューニングの方が合うかも。ボクも低域の音作りはZE3000SVの方が好みですね。
音場はZE3000と比べると明らかに狭くなっていますね。前作の方が横方向にさらに伸びやかに音を広げてくれていましたが、今作はワイヤレスイヤホンとしてはふつうレベルの音場になっています。
ここまではXperia1Ⅵ、またはFiiO BT11経由で聴いた時の評価ですが、iPhoneのAAC接続だと高域が少し抑えられてまろやかな音になりますね。LDACの方がやはり音質は良いですけど、AAC接続でも全然アリかと。
前作のZE3000はどちらかといえば弾き語りやジャズなどアコースティック系の楽曲全般が得意な印象でしたが、ZE3000SVは少しドンシャリ傾向になったおかげか、ロックやポップスもノリ良く楽しく聴けるようになりましたね。
ZE3000が価格にしては音質が優秀すぎたので、音質面だけで比べると負けているように感じました。
ZE3000と比べるからダメなのだよ。あの子は価格に対して音質が優秀すぎるのだよ。その代わりノイズキャンセリングやマルチポイントとかの機能性は一切ないけど。
ZE3000SVになって機能性が大幅に改善されていますし、ZE3000よりも3000円も安くなっていますし、ZE3000SV単体で定価で評価するなら、音質はかなり良いと思うんですよ。
イコライザーで調整も可能
ドンシャリ傾向が苦手で、ZE3000の方がフラットな傾向にしたいという方は、アプリのイコライザーを使って低域の量感を減らすこともできます。
前作のZE3000のようなフラット傾向にはできますが、調整しても完全に同じ音にはならないです。
イコライザーの7バンドに対して±6dBで調整可能。精度も高く、なかなか思い通りの音に仕上げることができますね。
ただ、一度OFFに戻すとイコライザーがリセットされるのやめて……。多分アップデートで改善されるとは思うけど。
ちなみにプリセットイコライザーは用意されていません。
ノイズキャンセリング|ほどほどに優秀
ZE3000 SVのノイズキャンセリングはめっちゃ強いってほどでもないですけど、ほどほどに優秀ですね。
ノイズキャンセリング非搭載のZE3000と比べると、電車の走行音のような下から「ゴォぉぉぉ」と響く音がなかなか軽減できていますね。通勤中はわりと快適に音楽を楽しめるようになるかと。
中高域は遮音しきれておらずに残る印象はありますけど、音楽を聴いていれば気にならない程度になります。ただクラシックなど静かな楽曲だと気になるかもしれませんけど。
やはり屋外ではノイズキャンセリング搭載機の方が、より音楽に集中しやすくなりますね。
ただ、そのままだと風切音が大きめで、風が弱い日でも敏感に「びゅおおお」という音が入ってきてしまいます。
本体を2秒長押しすると「ウインドカットモード」になるのですが、そちらに切り替えれば風切音も入ってこなくなります。
ノイズキャンセリング | (4.0) |
外音取り込み|イマイチ
ZE3000 SVの外音取り込みは性能はイマイチですね。
OFFと外音取り込みモードとの違いがわかりにくくて、ONにしても周りの音はこもったままです。声が少し聞こえやすくなったくらい?
アプリでは「ながら聴きモード」という表記になっていますけど、ながら聴きしても相手が何を言っているかわからない状態になるかと。
とりあえず音楽を止めていればギリギリ会話ができるくらいの取り込み量って感じですね。
外音取り込み | (3.0) |
操作性|前作よりも良好に
ZE3000 SVの操作性については、前作のZE3000よりも良くなっていますね。
ZE3000はタッチの感度が敏感で、よく誤操作をしてしまっていましたが、ZE3000SVは感度がほど良くなって誤操作が少なくなりましたね。
操作方法一覧は次のとおりです。
項目 | 操作方法(デフォルト) |
---|---|
再生/停止 | R側を1回タップ |
曲送り | R側を3回タップ |
曲戻し | L側を3回タップ |
音量を上げる | R側を2回タップ |
音量を下げる | L側を2回タップ |
外音モードの切り替え | L側を1回タップ |
風切音低減 | L or R側を長押し |
音声アシスタント | L or R側を5回タップ |
ペアリングモードへの移行 | 充電ケースのボタンを長押し |
個人的にはOFFを挟まずにノイズキャンセリング↔︎外音取り込みで切り替えができるのと、長押しで風切音軽減モードに移行できるのが良い仕様だと思いました。
ただ、アプリで好みの操作にカスタマイズはできないのが残念ですかね。
アプリについて
ZE3000 SVはアプリに対応しています。
アプリでできることは次のとおりです。
- ノイズコントロール
→ON/OFF、ノイズキャンセリング、ウインドカット、ながら聴きから選べる - 7バンドイコライザー
- ゲーミングモードのON/OFF
- マルチポイントのON/OFF
- 音声ガイダンスの設定
- タッチセンサーのON/OFF
- 説明書やよくある質問の確認
- ファームウェアアップデート
カスタマイズ性はそこまで高くはないですが、イコライザー、ゲーミングモード、マルチポイントあたりの切り替えはするかとは思います。
ちなみにファームウェアアップデートをしないとLDACで接続できないので、必ずアプリをダウンロードしてアップデートしておきましょう。
マルチポイントの挙動について
マルチポイントの挙動についてチェックしましたが、iPhoneとXperia両方に接続して電源OFF→電源ONにすると、ちゃんと2台とも自動で接続されました。
ただ、アプリでマルチポイントをONにするとLDACでの接続はできなくなるので注意。
LDACかマルチポイント、どちらかしか選べないのは辛い……。接続安定性を確保するためには仕方ないんだろうけど……。
接続安定性について
LDAC接続時の接続安定性についてもチェックしてみましたが、少し途切れやすいように感じましたね。
接続安定性のテストはFiiO BT11で行いました。
ストレスが溜まるほどでもないのですが、一度途切れると接続が復帰するまで少し時間がかかることがありました。
電車や街中だとさらに接続が不安定になりますね。
接続が安定性ない場合は、スマホの場合はLDACの接続優先(330kbps~990kbpsの可変)モードか、もしくはAAC接続に切り替える方がよいでしょうね。
通話品質|イマイチ
マイク音声も実際に録音してみました。以下の音声をよければチェックしてみてくださいね!
音声はこもっているし、雑音は入りやすいし、マイク性能はイマイチのように感じましたね。
通話用途には向いていないかと。
通話品質 | (3.0) |
音の遅延|ゲーミングモードが優秀
ZE3000 SVの映像と音声のズレですが、ゲーミングモードOFFだとYouTubeなどの映像コンテンツを見るくらいならほぼ違和感なし。
次にゲーミングモードをONにして音ゲーをしてみましたが、思った以上にタップのタイミングが合いますね。
FPSもカジュアルにはプレイできるくらい遅延が少ないです。
またLDACとゲーミングモード、どちらも使えるのも地味に嬉しいポイントです。
有線レベルまで遅延を少なくして本格的にゲームがしたい方は、VR3000 Wirelessの方がおすすめです。
ZE3000 SV まとめ
ZE3000 SVをまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.8/5
ZE3000 SV
- 15000円以下だと音質はかなり良い
- LDACが使える
- マルチポイント対応
- ゲーミングモードの遅延がかなり少なめ
- LDACとマルチポイントの併用ができない
- 装着センサー非対応
- ワイヤレス充電非対応
- 外音取り込み機能がイマイチ
- マイク性能はイマイチ
4.4
高音
4.3
中音
4.3
低音
4.3
装着感
4.0
ノイズキャンセリング
3.0
外音取り込み
3.0
マイク性能
4.3
利便性
Bluetooth | 5.3 | 最大再生時間 | 本体7時間/ ケース込み28時間 |
コーデック | SBC,AAC,LDAC | 充電時間 | イヤホン本体 約1.5時間 充電ケース 約1.5時間 |
ドライバー | 10mm ダイナミック型 | 充電端子 | Type C |
専用アプリ | ◯ | 防水 | IPX4 |
ノイズキャンセリング | ◯ | 質量 ※片耳/ケース込 | 表記なし |
外音取り込み | ◯ | ゲームモード | ◯ |
自動装着検出 | – | 保証 | 1年 |
マルチポイント | ◯ | 公式サイト | こちら |
ZE3000 SVはこんな人におすすめ
- 予算15000円ほどでワイヤレスイヤホンを探している
- 機能性よりも音質を重視したい
- ZE3000の音は気に入っているけど、機能性もある程度重視したい
- finalの音が好き
個人的にですけど、15000円以下で音質重視で選ぶならベストな選択肢のように感じましたね。
セール価格で2万円クラスのイヤホンが15000円以下くらいになると太刀打ちできないかもしれませんが、定価で比較するなら現状15000円以下ならイチオシです。
ZE3000と比べると音質では負けますけど、機能性は大幅に良くなってるし、その上で安くなっているし、かなりコスパは高いと思います。
最近発売されたfinal製品のなかでも特におすすめのイヤホンなので、予算1万円ほどでワイヤレスイヤホンを買おうと思っている方は、ぜひZE3000 SVを検討してみてください。
おすすめ記事
コメント