こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
最近スマートフォンに直接つなげてイヤホンケーブルの延長線感覚で使えるデバイス直結型の小型DACが人気になってきていますね。
そんな中、高級オーディオプレイヤーで有名なAstell&Kern(アステル&ケルン)からついにスマートフォンの直結型の小型DACが2021年4月に発売しました。
それがこちらのPEE51。予約していた分がようやく到着しました。
Astell&Kernはriver(アイリバー)の高級プレイヤーブランドですが、今まで5万円以上の音楽プレイヤーばかり発売してきましたが、今回は約1万4000円と同社ブランドではかなりお手頃価格に。
実際に試してみると1万円台でもAKクオリティは損なわず、原音に忠実のリアルサウンドを提供しているように感じました。
今回はこちらのAstell&Kern PEE51を実機を使って深掘りレビューしていきます。
ぜひ最後までご覧ください。
総合評価
4.5/5
- 1万円台でAKサウンドを実現
- スマートフォンを手軽に高音質化できる
- ボーカルのリアルさがすごい
- 本体が重たく取り回しがイマイチ
- iPhone接続時は変換アダプタが必要
4.4
音質
3.5
携帯性
3.0
拡張性
3.5
利便性
他の小型DAC、アンプとの比較はこちらの記事をご覧ください。
Astell&Kern PEE51 概要
Astell&Kern PEE51の特徴はこちら。
- USB-Cを採用したスマートフォン向け小型ポタアン
- PCM:384kHz/32bit / DSD:256(11.2MHz)まで対応
- DACチップは『CS43198』をL/R独立したデュアル構成で搭載
- 小型ながら高出力と高S/N、低歪化を実現
- バッテリー要らずでスマートフォンやパソコンと接続するだけで使用できる
- 高耐久性でノイズにも強いカスタムメイドの4芯ケーブルを搭載
- 光と影のデザインコンセプトの採用とフルメタルハウジング
DACチップはシーラスロジック社の『CS43198』をデュアル構成で搭載。
こちらのDACチップは、かつて『声DAP』と評されたAstell&KernのSR15、およびSR25と同じ構成になっています。
ボーカルの表現力にもかなりの期待ができそうです。
スペックはこちら。
スペック一覧 | PEE51 |
---|---|
本体サイズ(mm) | USBプラグ部:12 × 20 × 8.2 本体:17 × 50 × 10.3 |
重量 | 25g |
ケーブル長 | 約6cm |
DACチップ | CS43198 x 2 |
オペアンプ | RT6863 |
THD+N | 0.0004% (@1kHz) |
出力レベル | 2Vrms (負荷なし) |
S/N比 | 118dB (@1kHz) |
周波数特性 | ±0.03dB (Condition : 20Hz~20kHz) |
IMD | 0.0003% (800Hz 10kHz (4:1)) |
出力インピーダンス | 2Ω |
対応ビットレート | PCM:384kHz/32bit DSD:256(11.2MHz) |
それでは開封していきましょう。
Astell&Kern PEE51 レビュー
外箱・付属品
Astell&Kern PEE51の外箱はこちら。従来のAKシリーズらしい黒を基調としたシックなパッケージングです。
開封してみるとこんな感じ。クッション性の高い緩衝材に厳重に仕舞われています。
付属品一覧はこちら。
- マニュアル
- 保証書
付属品は特になく、マニュアルと保証書のみとなっています。
搭載端子がUSB-Cのため、USB-Aしかないパソコンとの接続は別途アダプターが必要なのでご注意ください。
本体をチェック
PEE51の本体は亜鉛合金を用いたフルメタルボディを採用。
『光と影』をデザインコンセプトとし、無機質でマテリアルとしての美しさがある多角形デザイン。
AKシリーズらしい、高級感を漂わせるデザインですね。
裏には『Astell&Kern』のロゴと、伏せていますが製造番号が印字されています。厚みもそこまでありません。
USB-Cコネクタ側も多角形デザインおしゃれ。裏面はフラット仕様になっています。
イヤホンジャック側は装飾がなく、フルメタルボディの素材感をそのまま引き出したような美しいデザイン。
ケーブルはカスタムメイドの4芯ケーブルを採用、アラミド繊維を使用し、最大200Nの張力にも耐えれる高耐久仕様です。
アラミド繊維ってなんぞや?と思いましたが、消防士の防火衣や防弾ベストにも使われる耐久性の高い繊維みたいですね。耐久性めっちゃ高そう。
また、4芯の各ケーブルごとに個別のシールド処理が施されており、めちゃめちゃノイズに強い仕様になっているようです。
ケーブルの取り外しやサードパーティー性のケーブルを使えなくて残念ですが、耐久性・品質ともにハイグレードでなんの心配もいらなさそうですね。
Xiaomi Redmi Note 9sに装着するとこんな感じ。デバイスに接続すると天面のLEDランプが白色に光ります。
コネクタ部が結構太めのため、お使いのスマートフォンケースによって干渉する可能性があります。
僕が使っているスマートフォンケースでもかなりギリギリでした。
ジーンズのポケットに入れて使うとこんな感じ。ポケットのフチがPEE51の重さを分散してくれています。
ケーブルが短いため、イヤホンケーブルの延長線のような感覚で使えるので、取り回しが良い印象です。
FitEarのイヤホンケースに入れてみるとこんな感じ。ケーブル長も短いので余裕で仕舞えますね。
ここまでまとめると、本体に傷がつきやすいのが気になりますが、それ以外は取り回しもよく運用もしやすい印象。
ケーブルも高耐久性素材でノイズにも強く、品質にもかなりこだわっているように感じました。
音質|ボーカルの再現性がすごすぎる
それではメインである音質のチェックをしていきましょう。
試聴環境は以下の通りです。
- スマートフォン:Redmi Note 9s
- 再生アプリ:Amazon Music HD
- イヤホン:カナルワークス CW-L52
聴いた瞬間に「AKサウンドだ」と確信できるようなチューニング。
アーティストの録音環境をニュートラルに引き出すようなクオリティを1万円中盤の小型DACで実現してくれます。
特にすごいと思ったのがボーカルライン。音声という域を超えて、スタジオでマイク越しにアーティストが歌っているのが情景で浮かんでくるかのようなリアルすぎる音声を再現してくれますね。
ずっと真夜中でいいのに。の「MILABO」を試聴しましたが、ボーカルのACAねさん、自分の目の前にあるスタジオで歌ってますね。そう錯覚するくらいのボーカルの生々しさ。
このボーカルに対する洗練されたサウンドクオリティはさすがAstell&Kernといったところでしょうか。
ボーカル以外の音作りもかなりもの。レンジが広く高域から低域まで幅広い帯域を鳴らしてくれます。
エントリーモデルのiBasso DC03と比べても、解像度や原音に対する忠実度は1−2ランク上。
足さない、引かない、ありのままを伝えてくれるAstell&Kernのサウンドを1万円台前半で体感できるコストパフォーマンスの高さ。
気軽にAKサウンドを体感したい方や、DAPを持たずにスマートフォン一台で完結したいと考えている方には良い選択肢になるのではないでしょうか。
筆者自身はAKシリーズを買い続けてきたわけではないのですが、最低でも5万円近くするAKサウンドをこの価格で体感できるのは革命的だと思います。
高音 | (4.2) |
中音 | (4.5) |
低音 | (4.2) |
解像度 | (4.3) |
迫力 | (4.0) |
ボーカルの純度が凄まじすぎる!
他のDACと比較すると?
PEE51と今手持ちのShanling UA2とiBasso DC03と比較してみました。
筐体の大きさはDC03 << PEE51 << UA2。
DC03は超小型で取り回し最強ですね。UA2と比べるとPEE51はケーブル長は短く、取り回しは良く感じました。
重さを比較するとDC03(8.6g) <<UA2 (17.0g) << PEE51(28.8g)とPEE51が一番重量があります。
ただ、1番重たいと言ってもズシっとくる感じはなく、アンプのことを気にせずにイヤホンの延長として使えるような印象です。
音質やその他スペックの比較については以下の表をご覧ください。
スペック一覧 | PEE51 | UA2 | DC03 |
---|---|---|---|
高音 | (4.2) | (3.8) | (3.9) |
中音 | (4.5) | (3.8) | (3.8) |
低音 | (4.2) | (4.1) | (3.9) |
解像度 | (4.3) | (4.0) | (4.0) |
迫力 | (4.0) | (4.0) | (3.7) |
傾向 | ニュートラルで原音重視 | 濃密でややウォーム寄り | 硬めでメリハリのあるサウンド |
出力レベル | 2Vrms (負荷なし) ※125mW32Ω時 | シングル:125mW バランス:195mW | 80mW |
端子 | 3.5mm | 3.5mm/2.5mm | 3.5mm |
アプリ | × | ○ | ○ |
価格 | 14980円 | 10,000円前後予想 | 6,820円 |
価格が価格なだけはあり、PEE51はDC03と比べても明らかに実力は上。
ボーカルの質はもちろんのこと、レンジの広さや一音一音の密度や解像度はPEE51に軍配が上がります。
UA2は音の一体感や楽曲の柔らかな余韻作りなど音の豊かに溢れるDACですが、音の再現性と原音への忠実さやボーカルのリアルさはPEE51が間違いなく上ですね。
ただ、UA2はアプリで細かなゲイン設定(Androidアプリのみ対応)や2.5mmのバランスジャックも搭載しているので、手持ちのイヤホンへの出力最適化や拡張性は高いです。
各製品はこんな人におすすめです。
- PEE51 → ボーカル重視、原音重視、AKシリーズファン
- UA2 → 音の豊かさ重視、2.5mmバランスを使いたい、細かなゲイン設定をしたい
- DC03 → 硬めで高解像度系の音が好み、コスパ重視
予算があればPEE51がおすすめ!
発熱はそこまでない
Astell&Kern PEE51はしばらく使っていると本体が若干暖かくなってきますが、熱っと感じるまでは発熱しません。
むしろこの手のアンプとしてはかなり熱が抑えられていますね。
PEE51をiPhoneで使う方法
PEE51は公式でもiOSにはサポートしておらず、iPhoneでの使用は考慮されていません。
しかし、別売りのLighing to USB-C OTGアダプターを使うことによって、iPhone XR(iOS14.5.1)でも動作の確認ができました。
ただ、USB-CからLightningに変換するOTGアダプターってAMAZONでもなかなか販売していないんですよね。
そこでおすすめが、AliExpressで販売しているLightning変換OTGアダプター「TC28i」。
こちらを使えば、USB-C端子を音声信号を残しながらLightningに変換することができます。
使い方は簡単でOTGアダプターをPEE51に接続し、そのままiPhoneに繋げるだけ。
Amazon Music HDで検証しましたが、24bit/192kHzで再生できています。差し込むタイミングなどによって再生中の音質がダウングレードすることもあり、若干不安定さもありますね。
音量調整もAndroidと同様にでき、致命的な不具合はありませんが、ちょいちょい音途切れはありますね。
iPhoneを操作しながら聴いていると不安定なことが多いためご注意ください。
Twitterを開きながら聴いていると音途切れが多い気がします。
IPhoneユーザーの方はOTGアダプターをひとつ持っておけば他の製品との比較にも使えて便利ですよ。
Astell&Kern PEE51 まとめ
PEE51のレビューをまとめると以下の通りです。
総合評価
4.5/5
- 1万円台でAKサウンドを実現
- スマートフォンを手軽に高音質化できる
- ボーカルのリアルさがすごい
- 本体が重たく取り回しがイマイチ
- iPhone接続時は変換アダプタが必要
4.4
音質
3.5
携帯性
3.0
拡張性
3.5
利便性
スマートフォンを本格AKプレイヤーにしたい方におすすめ
PEE51はこんな人におすすめ!
- スマートフォンを手軽に超高音質化したい方
- ボーカルをとにかくリアルに聴きたい方
- ニュートラルで高解像度のサウンドが好きな方
- AKシリーズのファンの方
Astell&Kern PEE51は手持ちのスマートフォンをAKクオリティの高音質サウンドに進化させてくれる小型DACです。
約1万4000円でこの音質を体感できるのは素晴らしいコストパフォーマンスですね。
取り回しもよく、イヤホンケーブルの延長線のような感覚で使えるので、お手軽に高音質にしたい方にめちゃめちゃおすすめのDACですよ!
自己責任にはなりますが、OTGアダプターを使えばiOSでも使えるので、iPhoneユーザーの方はぜひ試してみてくださいね。
AKファン、ボーカル好きの方必見の小型DACです!
以上、PEE51のレビューをお送りしました!
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