こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
神イヤピとして以前紹介した「コレイル」。軸に金属コアを内蔵し、音に余韻感を加えてイヤホンの音を華やかにする神イヤーピースです。
この製品が発売当初から非常に注目度が高くて、一時期は品切れがしばらく続いていたほど人気のある製品なんですよ。
ボクもYouTubeで紹介しましたけど、イヤーピースなのに28万回再生されるというバズり方をしておりました。
そのコレイルを発売する日本ディックスから、ブランド初のイヤホンが登場しました!
それが今回紹介する「Scyne α01」です。
金属筐体による造形が美しい職人芸のような設計で、もちろんメイドインジャパン。
初イヤホンでありつつも価格は132,000円とかなり本格的なオーディオマニア向けの製品となっています。
今回は日本ディックスさんより紹介用にお送りいただいたので、どのような音質なのにか?どんなジャンルに合うのか?検証していきましょう。
▼動画版はこちら▼
日本ディックス Scyne α01 概要・外観・付属品
それではScyne α01の外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ
日本ディックス Scyne α01のパッケージはこちら。高級ブランド品のようにシンプルかつ洗練されたデザインです。
付属品
- Pentaconn COREIR -AL ALLOY- (S/MS/M/L)
- シリコーン製イヤーチップ (S/M/L)
- イヤホンケース
- クリーニングクロス
- 取扱説明書 / 保証書
イヤーピースは以前神イヤピとして紹介した金属コア入りのイヤーピース「Pentaconn COREIR -AL ALLOY-」が付属。
このイヤーピースは凄くて、イヤホンの音に金属的な響きを加えて華やかにしてくれるんですよ。Technicsのワイヤレスイヤホン「EAH-AZ80」と組み合わせてめちゃめちゃ愛用しています。
初代の黄銅コレイルではなく、アルミ合金仕様のコレイルなので緑化する心配もありません。
イヤホンケースはややソフトなタイプを採用。
開封するとこんな感じ。個人的にはもう少しハードなタイプがほしかったかな〜。
本体・ケーブル
Scyne α01の本体はこちら。金属の重厚感と丸みを持たせたデザインで高級感を演出。耳にフィットしやすいリングデザインと筐体の小型化も実現し、長時間装着しても快適な付け心地です。
内側はこんな感じ。
筐体には真鍮+プラチナめっきを採用。響きを改善するために真鍮は成分構成から見直しされており、真鍮の豊かな低域を残しつつクセが少なく篭り感のないラインを見極めて選定。
その真鍮に変色などにも強いプラチナの耐久性を組み合わせ、長く愛用できる筐体を実現しています。また、ニッケルフリーの下地メッキで金属アレルギーの心配も軽減されています。
ドライバー構成はLCPドーム+LSRを使った10.2mmの複合振動板を採用。こちらには音の歪みや余計な付帯音を抑える工夫が凝らされています。
LCP(液晶ポリマー)ドームは、軽さと硬さを兼ね備えた素材で、音の伝達をクリアに。そして、エッジ部分には柔らかく動きやすいLSR(液体シリコン)を採用。これにより、フラットな周波数特性と自然な響きを実現しています。
また、磁束密度1.4Tを超える「N55」というネオジムマグネットが搭載。これにより、音のレスポンスが格段に向上し、立ち上がりが速く、余韻の再現も正確。音楽のディテールがしっかりと感じられるようになっているとのことです。
イヤホンの内部設計は3Dプリンターを使い、内部形状を試作・検討。フロント部分の構造は高域でのピークやディップを抑える設計がされており、クリアで広がりのある音場が楽しめるようになっています。
内部には空気圧をコントロールする「ダブルリアチャンバー」構造を採用。これにより、低音のタイトさと高域の繊細さが際立ち、音楽全体の解像度が向上しています。
またETLというHDSS技術を採用音響モジュールをイヤホン内部に搭載することで、反射波を適切に吸収・放射。これが振動板に不要な影響を与えないようにするため、歪みの少ない自然な音が実現されています。
内部配線には、PentaconnのPC-TripleC線材を使用し、解像度が高くクリアな音を届けます。
着脱端子は耐久性の高さと抵抗の低さで定評のある「Pentaconnear」を採用。
リケーブルの汎用性は低めですが、個人的には一番信頼している着脱端子です。今回はより高音質であるOFCタイプを採用しているようです。
ノズル部はおおよそ一般的な口径ですね。大体のイヤーピースは使えるかと。
ケーブルには本機に合わせた銀コート6NOFC線材4芯ケーブルを採用。表面の質感が良く、とてもしなやかで高級感があるケーブルですね。
耳掛け部はストレートタイプになっていますね。めずらしい。
分岐部も金属筐体を採用。ロゴの印字などはありません。
プラグは自社製の4.4mmバランスL字プラグを採用。めちゃめちゃ質感が高い。
本体とケーブルを装着するとこんな感じ。
筐体から内部構造、ケーブルやプラグにかけて、一つ一つの質感が非常に高いイヤホンです。
日本ディックス Scyne α01の概要・スペック
スペック | Scyne α01 |
---|---|
ドライバー構成 | Φ10.2 mm LCPドーム+低硬度LSRエッジ複合振動板 +N55グレード ネオジムマグネット磁気回路 |
テクノロジー | 独自フロント形状 / ダブルリアチャンバー構造 / HDSS技術 |
筐体 | 独自成分構成 真鍮 ( CNC切削 )+プラチナめっき |
再生可能周波数帯域 | 10 Hz ~ 22 kHz |
インピーダンス | 16Ω |
音圧感度 | 110dB |
コネクタ | Pentaconn ear コネクタ |
ケーブル | 6N OFC 4芯 銀コート銅線 |
プラグ | Φ4.4 mm L型金めっき 5極プラグ (バランス接続) |
重量 | 約8.6 g(イヤホン片側) |
付属品 | □Pentaconn COREIR -AL ALLOY- (S/MS/M/L) □シリコーン製イヤーチップ (S/M/L) □イヤホンケース □クリーニングクロス □取扱説明書 / 保証書 |
日本ディックス Scyne α01 レビュー
装着感|安定した装着感
装着感についてですが、金属筐体でユニークな形状のイヤホンにしてはなかなか良好ですね。
実際に装着してみるとこんな感じ。筐体に備わるイヤーフィンのおかげで耳から落ちることもなく、安定した装着感です。
前から見たらこんな感じ。
遮音性はカナル型イヤホンとしては普通レベル、電車の中で使うと楽曲を聴いていても走行音がやや入ってきてしまうような感覚です。
金属筐体にしては本体も重すぎることなく、良好なフィット感かつ軽快に使えるように感じました。
気になる点としては金属筐体なので冬に使うと耳がヒヤッとすることと、イヤーフィン部が硬質な素材のため、長時間装着していると耳がやや痛くなりやすいという点でしょうかね。
装着感 | (4.5) |
音質|美しさが際立つ繊細なサウンド
Scyne α01の音質ですが、まさにコレイルをそのままイヤホンにしたような感じ。全身コレイルみたいな音ですよ。
- DAP:SONY NW-WM1AM2
- アプリ:Apple Music
- 接続方式:4.4mmバランス接続
- イヤーピース:Pentaconn COREIR -AL ALLOY-
- エージング:100時間ほど
日本ディックス Scyne α01の音の特長は次のとおりです。
※10万〜20万円の有線イヤホンを基準とした評価軸です
4.6
高音
4.5
中音
4.6
低音
音の傾向
音の傾向は真鍮ハウジングならではの余韻感を重視しつつ、繊細なタッチで仕上げられた寒色系の美しい音作り。硬質な音でありつつも刺激感の抑えらた優しいサウンドという印象ですね。
解像度
解像度感は同価格帯の中では甘めで、どちらかといえば音の一体感や素材による響きの美しさを重視しているように感じます。
音場
音場はなかなかに広めで、金属筐体による余韻が自然に広がっていくような感覚ですね。定位は甘めなのでモニターやゲーミング用途には向いていないと思います。
左右でキッパリ分けるようなステレオ高解像度サウンドとは正反対で、スピーカーで聴いているような音が前方にフワッと広がるような自然な音場の作り方です。
オーケストラ編成のライブアルバムを聴くと、ホール全体の空気が響くようなあの音を見事に再現してくれるのですよ。これは感動ものですよ。
打ち込みよりもアコースティック編成一発録り系のほうが向いているように思いました。
高域
高域は意外と上までキリっとは伸びきらずに中高域ラインで留めつつ、響きを加えながら鳴らすような感じですね。
シンバルやアコースティックギターなどの超高域はまろやかで優しい音に聞こえますね。
ピアノやシンセサイザー、ハイトーン系ボイスにあたる中高域でとんでもなく美しく聴こえるラインがあって、そのラインを突き続ける楽曲との相性がめちゃめちゃいいんですよ。
中域
中域は高域と同じく繊細で明瞭な印象で他の帯域と比べると半歩ほど引いたような距離感ですね。
女性ボーカルはややドライな印象でありつつも自然な響きを加えてくれるような感じです。ピークは抑えられているので、ハイトーン系ボイスの場合はやや伸び切らない感覚はあります。
意外と男性ボーカルの方力強く前に出てくるような感覚がありますね。とくに「米津玄師」のような低めのボーカルは深みのある声で色っぽく聴かせてくれます。
低域
低域は鳴り方がかなり特殊ですね。「ズンっ」ではなく、「ボワン」って感じ。ベースラインは粘りのある迫力で躍動感高く奏でてくれますね。
勢いのある迫力は控えめではありますが、中低域を豊かに広げ続ける優しくも深みのある低音という感じでしょうかね。レスポンスもナローな印象で、EDMやヒップホップには向いていないように感じます。
逆にオーケストラやサウンドトラックの場合は深みのある壮大な低音を広げてくれますね。
おすすめのジャンル
個人的に一番おすすめのジャンルはポストロック・エレクトロニカ系でしょうか。その中でも北欧系のキラキラとしたシンセサウンドの中で奏でるストリングスや、トイピアノ、鉄琴、鈴など、金物系の繊細に鳴るような楽曲はかなり得意なように感じましたね。「シガー・ロス」「mum」あたりとかおすすめ。
あとはオーケストラやサウンドトラック全般といったところでしょうかね。全体的に繊細なタッチなので、アップテンポのロックやポップスも卒なくはこなしますが得意ではないように感じました。
シリコンイヤーピースで聴くと
次に付属のシリコンイヤーピースで聴いてみましたが、Pentaconn COREIR -AL ALLOY-ではやや伸びが悪かったボーカルが自然に伸びるようになって、音の傾向も全体的にフラット寄りになりましたね。
うん、シリコンイヤーピースを使った方がバランスが良くて聴きやすくね?
Pentaconn COREIR -AL ALLOY-ので聴いていた時よりもジャンルは選ばず、ジャズからクラシック、ロック、ポップスまでわりとなんでもいけるようになりました。EDMやヒップホップを聴くにはちょっとおとなしすぎるかな?
あとあと確認してみると、チューニングはどうもシリコンイヤーピースの方で行なっているみたいです。そりゃこっちの方がバランスええわな。COREIRが付属していたらそっちを使いたくなるやん……。
無理にCOREIRを使わなくてもイイです。むしろシリコンイヤーピースを使った方が好みという方が多いかも。
あえてCOREIR BRASSに変えるのもあり
今回付属しているイヤーピースが「Pentaconn COREIR -AL ALLOY-」なので、煌びやかな音を加えつつも少し低域寄りの傾向になります。
そこであえて初代の「COREIR BRASS」の変更することで、Scyne α01の少し伸び切らなかった高域に華やかさが加わって、さらにキレイめでキレの良い音に仕上げてくれるようになります。
むしろCOREIR BRASSでチューニングを合わせてない?って思うくらいこっちの方が好みなんだけど。Scyne α01の繊細で美しい高域の良さをさらに伸ばして、ボーカルもめちゃ伸びやかに感じます。
ちなみに2024年11月21日から、COREIR BRASSが各サイズ1ペアずつ付いてくるバンドルキャンペーンが開催しています。
e☆イヤホンで展開している試聴機も、この期間の間はCOREIR BRASSを付けておいてもいいんじゃないかな。Scyne α01の印象がけっこう変わりますよ。
こちら数量限定らしいですが、まあ価格だけにすぐには無くならないと思いますので、じっくり検討してみてください。
日本ディックス Scyne α01 まとめ
日本ディックス Scyne α01をまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.5/5
Scyne α01
※10万〜20万円の有線イヤホンを基準とした評価軸です
- 余韻たっぷりの繊細なサウンド
- スピーカーライクな音場感
- ビルドクオリティが高い
- 金属筐体にしては装着感が軽快
- コレイルが付属する
- 3.5mmケーブルが付属していない
- 音の好みは選ぶ
4.6
高音
4.5
中音
4.6
低音
4.5
解像度
4.5
迫力
4.5
装着感
総評して万能なようにみえて、かなり個性が強いイヤホンのように感じましたね。
曲によってはとても美しく聴こえますし、曲によってはおとなしすぎるようにも感じるような音で、試聴する楽曲や音の好みによっても評価は分かれそうです。
ただ、金属筐体ならではの美しい余韻感と繊細で優しい音を両立したスピーカーライクな音作りは唯一無二なので、ハマる人にはめちゃめちゃハマると思います。これくらい個性が強い方が面白いですね。
COREIR BRASSのバンドルキャンペーンも開催していますので、気になっていた方はこの機会に検討してみてください。まあ高い製品なので、できれば専門店などで試聴してから検討することをおすすめします。
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