【三神合体!!】DAP・DAC・電源ユニットをドッキングしたオーディオシステム「ONIX Miracle」を試す

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こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。

今回はオーディオ界のゲートガーディアン、3つのユニットが合体したオーディオプレイヤー「ONIX Miracle」を紹介します。

なにこれどういう構成?って思うかもしれませんが、一番上がDAP、真ん中がUSB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ、一番下が専用電源ユニットとなっています。

一つひとつ別売りではなく、3つセットで「ONIX Miracle」となっています。

ONIX(オニキス)とは1979年創業のイギリスのオーディオブランドで、90年代は人気を博したようですが現在は香港の会社に買収されています。

今回は人気オーディオブランド「Shanling」とのコラボモデルとなっており、コンセプトや設計をONIXが行い、製造や開発をShanlingが行なっているようですね。

今回は代理店のMUSINさんから紹介用に一時的に貸し出しいただいたので、実機を使って良かった点やイマイチな点などを紹介していきます。

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目次
かじかじ
元イヤホン専門店スタッフ
オーディオ販売歴9年。元々イヤホン専門店で店長やWEBマーケを担当してました。

イヤホンをレビューすることは空気を吸うようなものだと思ってます。


2024年1月時点で月間100万PV。
YouTubeチャンネル登録者は7万人ほど

ONIX Miracle 外観・付属品・仕様など

ONIX Miracleの構成はこんな感じで、DAP部の「XM10」DACアンプ部の「XP10」、そして電源部の「XPS10」の3つのユニットに分かれています。

この3つを融合することでONIX Miracleを特殊召喚できます。

付属品一覧
USB-A -USB-Cケーブル
XP10 –XPS10用電源コード
XM10用 4.4mmバランスアダプター
MicroSDカードリーダー
電源ケーブル
取扱説明書
  1. XP10 –XPS10用電源コード
  2. USB-A -USB-Cケーブル
  3. 電源ケーブル
  4. XM10用 4.4mmバランスアダプター
  5. MicroSDカードリーダー
  6. 取扱説明書
  7. 製品保証書

XPS10とXP10を繋ぐためのコードは独自のものを採用しています。

このケーブルひとつでXP10とXM10に電源を共有できるようになっています。別々に電源を繋ぐ必要はありません。

XM10(DAP部)

まずDAP部分であるXM10を見ていきましょう。

XM10(DAP部)

液晶サイズはかなり大きく、サイズは6 inch、解像度は2160×1080のものを採用。液晶もとても綺麗ですね。

OSはAndroid10、SoCにはSnapdragon 665を採用。DACチップには旭化成エレクトロニクス製AKM4493SEQを搭載しています。

Androidベースなので、Apple MusicやAmazon Musicも使用できます。

内蔵ストレージは64GBとなっていますが、microSDカードで増設可能です。

手で持つと横幅が広すぎてハンドリングはやや悪目のように感じます。iPhone 15 Proと比べてもこの通り。

iPhone 15 Proと比較

ただ他のハイエンドDAPと比べると厚みはそこまでなく、本体も軽いように感じます。

iBasso DX260と比較

右側面にはボリュームノブ兼電源ボタンが備わっています。

ボリュームもカリカリと質感高く動くような感じで回し心地も良好。誤動作の心配も少なそうです。

左側面には再生停止・選曲ボタンが備わっています。

天面にはなにもなし。

底面にはUSB-C端子、microSDカードスロット、3.5mmヘッドホンジャックが備わっています。

あれ、4.4mmバランス端子は備わっていないの? と思うかもしれませんが、付属の4.4mm変換ケーブルを使うことでバランス接続ができるようになります。

付属の4.4mm変換ケーブルを使うことでバランス化可能

気軽に4.4mm接続で使いたい方は、XM10を単体で使う場合はちょっと不便。筐体に厚みが出ても良かったから4.4mmバランス端子は備えて欲しかったかなー。

XM10の底面をXP10の天面USB-C端子に接続することで、XP10側にデータを出力できます。

XP10(DAC・アンプ部)

次にXP10側をチェックしていきましょう。

DACチップはES9039PROとXM10とは異なるチップを搭載しています。XM10に搭載していたDACチップよりもグレードは高く、Shanlingの据え置きDAC「EH3」にも採用されていますね。

前面には4pinXLR、4.4mm端子のバランス端子、そして6.3mと3.5mmのアンバランス端子が備わっています。とりあえずほとんどのヘッドホンジャックには対応しています。

ヘッドホンジャックの隣にはINPUTノブが搭載しており、こちらでで入力を切り替えることが可能です。

ボリュームは無段階でヌルヌルと動く高級アンプらしい質感でとても好み。ボリュームは0〜100まで調整可能。

ボリュームはヌルヌル動く

天面のUSB-Cドッキング部はこんな感じ。XM10専用のサイズにはなっていますが、iPhoneも一応挿入できます。ただ、XP10側では認識しません。

天面には液晶兼タッチパネルが搭載されており、こちらからゲインやモードの変更、イコライザー設定やソースの切り替えなどが可能です。

「イヤホンモード」と「ヘッドホンモード」の2種類から選択できるのですが、イヤホンモードにすると細かな音量調整が可能になり、ヘッドホンモードだと音量の振れ幅が大きくなる代わりに高出力でヘッドホンを駆動できます。

「イヤホンモード」と「ヘッドホンモード」の2種類から選択可能

ゲインも「Low」「Medium」「High」の3種類から選択が可能。

ゲインも「Low」「Medium」「High」の3種類から選択が可能

タッチパネルからイコライザーの設定やデジタルフィルターの変更も可能です。

イコライザー設定
デジタルフィルター設定

背面には入出力端子がズラリ。左からアナログRCA入力、XLR・RCA出力、同軸デジタル入出力・光の入出力、USBドライブポート(Type-A)、USBデジタル入力(Type-C)、電源ユニット・XPS10と接続するための専用端子を搭載。

入出力端子がずらり

基本はXM10をドッキングして使うことになるかと思いますが、スマホの音源をUSB-C経由で聴くこともできます。

電源はXPS10と繋ぐ前提になっているので、XP10単体での駆動はできない仕様になっています。

XPS10(電源部)

最後に電源部のXPS10をチェックしていきましょう。

前面にはタッチパネルが備わっており、設定電圧・電流値・ワット数が常時表示されています。

電源ユニットでなんの操作がいるの? と思うかもしれませんが、これXP10への給電電圧を変更できる「電圧コントロール機能」が備わっているます。

ボリュームノブで操作をして、12~24Vの間で電圧を指定することが可能になっています。

また±0.5までの微調整もできる「マイクロアジャスト機能」も搭載しています。

0.1刻みでも調整可能

このように電圧を上げることでダイナミックなサウンドにしたり、電圧を下げることで落ち着いたトーンの音にしたりと、電源部から音を調整できるようになる。

背面は電源スイッチ、AC IN、DC OUT(XP10に接続する端子)とシンプルな構成です。

背面はシンプル

この3つを繋げて、究極完全体ONIX Miracleが誕生するというわけですよ。

ONIX Miracle スペック比較

項目XM10XP10
ディスプレイサイズ6 inch3.18 inch タッチスクリーン
ディスプレイ解像度2160×1080
DACチップAKM AK4493SEQESS ES9039PRO
連続再生時間最大18時間(動作状況により変動します)
Bluetooth Ver双方向性Bluetooth 5.0Bluetooth 5.0 (受信のみ)
Bluetoothコーデック送信:LDAC / LHDC / aptXHD / aptX / SBC
受信:LDAC / SBC
受信のみ:LDAC / aptX / aptXHD / SBC
対応サンプリングレートPCM 768 kHz / 32 bit
DSD 512
PCM 768 kHz / 32 bit
DSD 512
USBデジタルUSB Type-C(入出力対応)USB Type-C(入力対応)
出力端子シングルエンド:3.5mm
付属4.4mmバランスアダプタにて4.4mm対応
シングルエンド:3.5mm & 6.35mm
バランス:4.4mm & XLR
Optical / Coaxial SPDIF
入力端子USB Type-CUSB Type-C / Optical / Coaxial
RCA
出力レベル(シングルエンド出力)2V @32Ω(125mW @32Ω)7.5V @32Ω(1757mW)
8.2V @300Ω(224mW)
出力レベル(バランス出力)2.72V@32Ω(230mW @32Ω)13.5V @32Ω(5600mW)
16V @300Ω(850mW)
周波数特性(シングルエンド出力)20Hz –40kHz(-0.7dB)20Hz -40kHz(-0.5dB)
周波数特性(バランス出力)20Hz-40kHz (-0.7dB)20Hz -40kHz(-0.5dB)
THD+N(シングルエンド出力)0.0004% @ 32Ω (A特性@1V)0.0006% @32Ω(A特性)
THD+N(バランス出力)0.0003% @32Ω(A特性 @2V)0.0003% @32Ω(A特性)
ダイナミックレンジ(シングルエンド出力)119dB @32Ω(A特性)121dB @32Ω(A特性)
ダイナミックレンジ(バランス出力)120dB @ 32Ω(A特性)124dB @32Ω(A特性)
チャンネルセパレーション(シングルエンド出力)69dB @32Ω73dB @32Ω
チャンネルセパレーション(バランス出力)110dB @32Ω111dB @32Ω
S/N比(シングルエンド出力)119dB @32Ω(A特性)121dB@32Ω(A特性)
S/N比(バランス出力)120dB @32Ω (A特性)124dB @32Ω(A特性)
出力インピーダンス(シングルエンド出力)0.4Ω0.4Ω
出力インピーダンス(バランス出力)0.8Ω2.4Ω

ONIX Miracleを使ってみた感想

それでは、ONIX Miracleを実際に使ってみて、良かった点や気になった点、音質についてなどを紹介していきます。

操作はDAPとしてはサクサク

XM10単体の操作性はSnapdragon 665を搭載していることもあり、DAPとしては快適に操作ができます。

DAPとしてはわりとサクサク

Amazon MusicやApple Musicを使ってみましたが、スマホレベルとまではいかないですけど、DAPとしては十分サクサクです。

操作周りはストレスを溜めずに使えるかと思います。

電源のON/OFFが連動する

3つのユニットのいずれかの電源を切ると、連動して他のユニットの電源も切れるような仕様になっています。

ひとつを電源OFFにしたら、連動して他のユニットも電源OFFになる。

DAP・DAC・アンプなどそれぞれ別々の機器を使っている場合、それぞれの電源を一つずつ切っていくのがわずらわしいこともありますが、ONIX Miracleであれば電源ON/OFFも気軽にできます。

音質|格上の実力

ONIX Miracleの音質についてですが、まあこれだけ贅沢な仕様になっているから音質はさすがの一言ですよ。他のDAP単体とはレベルが違います。

今回の検証では以下の環境で検証しました。

検証環境
  • ヘッドホン:HD 800 S、HD 660S2、T3-01
  • イヤホン:IE 900、A5000、Performer 8
  • アプリ:純正アプリ、Amazon Music
  • 電圧:24V

音の特徴は次のとおりです。

音の特長

5.0

音質

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低音寄り
フラット
高音寄り

解像度感がとてつもなく高く、超細かい粒子が見えるような状態から音として形成されていく様まで体感できるような音です。

ノイズ感も少なく音の余韻や吐息まで”見える”ような感覚で、一つひとつの楽器を耳で追う必要もなく、何気なく聴いているだけでも各パートがどのように弾いているのかが手に取るようにわかるように聴こえますね。

音の傾向的にはややウォームで、ほどよく余韻感のある瑞々しい音作りといった印象でしょうか。Hi-Fi系のカチッとした高解像度サウンドという感じではなく、A級アンプのようにアナログ感のある音でありつつも、細部に至る音の描写がとても丁寧な音というイメージです。

サイズを度外視して音質に極振りしただけはあり、20万〜30万クラスのDAPと比べても格上と思わせるほどの音質の良さを持ち合わせています。単体でONIX Miracleに勝てるDAPはほとんど存在しないかと。

高価格帯DAC・アンプの中では駆動力は少し控えめ?

30万〜50万クラスのDACアンプと比べると駆動力はやや控えめなのか、ヘッドホンモード+ハイゲインでHD 800 Sを繋いでみたのですが、超高価格帯のDACやアンプに繋いだ時のような躍動感と深みのある音を再現できませんでしたね。

HD 800 SやFocal Utopiaのような駆動力次第で実力を最大限に発揮できるタイプのヘッドホンとは相性はそこまで良くないように感じました。

ただ、あくまで30万〜50万クラスのDACと比べた場合の評価ではあるので、HD 800 Sを繋いでもふつうに音質は良いですよ?

意外とT3-01HD 660S2といった音量が少しとりやすいヘッドホンとの相性の方が良く感じましたね。T3-01が一番良く感じましたもの。

むしろイヤホンで聴く方がおすすめ?

ONIX Miracleはヘッドホンだけでなく、意外とイヤホンメインで使うのもおすすめですよ。

この手のDAC・アンプって出力が高すぎて、イヤホンと組み合わせると音が暴れたりうるさくなったりしがちなんですよ。

ONIX Miracleはイヤホンに合わせたゲイン調整や、イヤホンモードによる細かな音量調整も可能で、まるでDAPのようにイヤホンに最適化した出力で聴くことができます。

ノイズ感も非常に少なく、50万クラスのDAPにも勝る音質を提供してくれるので、据え置き環境で聴きたいイヤホンユーザーの方には特に推せる製品です。

ONIX XM10(DAPのみ)単体の音質はどれくらい?

XM10単体だとやはり音質はかなり落ちますね。

所持しているDAPと聴き比べてみましたが、M3 Ultra < XM10 <<< DX 260という実力差のように感じたので、大体7万〜9万円クラスの音質といったところでしょうか。

M3 Ultra XM10 DX 260

他のモデルと比べてもボーカルの明瞭さと艶やかさが特徴で、3セットで聴く音とはまた異なる印象です。

据え置きメインで使うことが多いのであれば問題はありませんが、屋外でDAPとして使うことが多い場合はコスパ最悪なんでおすすめしません。

ONIX Miracle まとめ

総合評価

4.5/5

ONIX Miracle

  • ノイズ感の少ない高解像度アナログサウンド
  • イヤホンでも細かなゲイン・音量調整が
    しやすい
  • 電源のON/OFFが連動する
  • 本体操作がサクサク
  • DAP単体だと変換プラグを使わないと4.4mmバランス接続ができない
  • DAP単体の実力は感覚7〜9万円クラス
  • 価格が高い

5.0

音質

4.0

携帯性

4.5

拡張性

4.5

利便性

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低音寄り
フラット
高音寄り
こんな人におすすめ
  • 予算問わずにDAPとDACどちらも購入したいと考えている
  • 据え置き環境で音楽を聴くことが多い
  • アナログライクなサウンドが好み
  • 据え置き環境で高音質で有線イヤホンを聴きたい

DAP部の取り外しができるオールインワンシステムという珍しい製品ですが、その筐体と価格に見合った実力のある製品のように感じました。

ちなみに価格は58万円。クソ高いです。DAPに8万、DACアンプに30万、電源システムに20万くらいの予算がかけられていると思えば妥当……?

でも音は本当に良いので、アンプと電源部のみのセットにして価格をもう少し抑えて、昔のiPhone用のトランスポーターみたいにどんなスマホでも上部にドッキングできるような仕様にした製品とかも作ってほしいですね。

さすがに高いんで「超おすすめ!ぜったい買うべき!」とは言えませんが、MUSINさんでレンタルサービスも行っているみたいなので、自宅でゆっくりとONIX Miracleの実力を体感することもできます。

イベントでも聴けるかと思いますので、機会があればお手持ちのイヤホンを繋いで聴いてみてください。

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