こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
オーディ界隈で最近特に人気のある中国のブランド「Shanling(シャンリン)」より、2021年8月に発売されたBluetooth対応アンプ「UP5」を今回ご紹介します。
このアンプのスゴイところは、まじで「全部入り」なんですよ。
- 3.5mmジャックだけでなく、2.5mm/4.4mmバランス端子まで搭載
- BluetoothコーデックはLDAC、LHDC、aptX HDなど高音質コーデックに対応
- PCMは384kHz/32bitに対応
- さらにDSD、MQAにも対応
Bluetoothはもちろんのこと、音源もPCMやDSD、MQAまで対応、イヤホンジャックも2.5mm、4.4mmどちらにも対応。
繋げられないデバイスもない、聴けない音源もない、使えないイヤホンやケーブルもない。
それでいて音質が良く、本体もコンパクトで、再生時間も長いという全てを高水準でこなす完璧超人なわけです。
ということで今回はこちらのUP5を購入してきましたので、実機を使ってレビューしていきます。
ぜひ最後までご覧くださいませ。
総合評価
4.5/5
UP5
- ワイヤレスでありつつもナチュラルで聴き馴染みの良いサウンド
- 有線でさらに高音質に
- 2.5mm/4.4mmなどあらゆる端子に対応
- あらゆる音源に対応
- ボリューム周りの質がイマイチ
- アプリの動作が不安定
4.3
音質
3.8
操作性
4.5
バッテリー
4.0
利便性
Shanling UP5 概要・スペック
UP5の特徴はこちら。
- Bluetoothチップ「QCC5120」を搭載
- 384kHz/32bit PCM、DSD256、MQAのファイルをサポート
- ESS社「ES9219C」をデュアル構成で採用
- 2.5mm、3.5mm、4.4mm 3種の出力系統
- 最大15時間の再生時間
特徴を一言でざっくりとまとめますと、「どんな音源、どんなデバイス、そしてどんな端子でもサポートする全部入りの高音質Bluetooth対応DACアンプ」という感じですね!
スペックはこちら!
スペック一覧 | UP5 |
---|---|
DACチップ | ES9219C x2 |
対応ビットレート | PCM:384kHz/32bit DSD256 MQA対応 |
オペアンプ | ダイナミックドライバー |
再生時間 | 4.4mm / 2.5mm:11時間 3.5mm:15時間 |
コーデック | LDAC, LHDC, aptX HD, aptX LL,aptX, AAC ,SBC |
出力レベル | 4.4mm/2.5mm:240 mW @ 32Ω 3,5mm(デュアルDAC):112 mW @32Ω 3,5mm(シングルDAC):112 mW @32Ω |
S/N比 | dB |
ダイナミックレンジ | 3.5mm3極 |
周波数特性 | 1.2m |
本体サイズ(mm) | 68 x 39 x 14.5 mm |
重量 | 50g |
保証期間 | 1年 |
それでは開封していきましょう
Shanling UP5 外観・付属品
UP5のパッケージは黒地背景に、赤文字で大きくモデル名が掲載されています。
開封すると本体が出てきました。今回中古で購入したので、新品時と状態が違うかもしれません。
- ケース
- USB-C to C ケーブル
- USB-C to Aアダプター
- マニュアル
ありがたいことに付属でレザー調のケースが付属しています。これがあればポケットの中に入れてラフに使っても、傷がつく心配がなさそう!
あとはUSB-C to Cのケーブルも付属しています。これはAndroidスマホと有線接続したいときに使えますね。
本来だったらUSB-Cを従来のUSB-Aに変換するためのアダプターもついていますが、今回中古で購入したため付いておらず。
あとはマニュアルといったところです。
本体は特に装飾のないシンプルなデザイン。いかにもオーディオ機器って感じですね。
サイズはかなり小さく、手の中にもスッポリと収まるほどのサイズ感です。
完全ワイヤレスイヤホンと比べてもこんな感じで、薄めの筐体のため胸ポケットに入れて運用もできますね。
側面にはボリュームノブと、逆側には再生ボタンが備わっています。
天面にはイヤホンジャックがズラリ。この筐体のコンパクトさで3つもイヤホンジャックを搭載するのはすごい。
専用ケーブルで4.4mm、または2.5mmで使うことによって、さらに高出力・高音質で聴くことができます。
底面にはUSB-C端子が搭載しており、ここから充電や有線でのデジタル接続が可能になります。
背面にはハイレゾロゴの表記があります。白黒のハイレゾマークはめずらしい。
最後に重さですが、総重量50.7gです。単3電池2個分くらいの重さですね。ポケットに入れても全然軽いです。
外観・付属品のチェックはこのあたりにして、実際にUP5を使ってみましょう。
Shanling UP5 レビュー
音質|ニュートラルで自然なサウンド
UP5の音質は味付けが少なく自然でニュートラルなサウンドのように感じました。ワイヤレスアンプとしてはかなりの実力ですね!
音の特徴はつぎのとおりです。
- 音質:低音〜高音までどこかの帯域が突出することなく、フラットに鳴らす。
- 音場:広くも狭くもなくふつう。
- 傾向:繊細すぎずパワフルすぎず、少し柔らかめで聴き馴染みの良いサウンド。
- 解像度:ワイヤレスタイプとしては非常に高め。
得意なジャンル
- オールジャンル
イヤホンの特性を壊さず、少しだけ余韻感と音の柔らかさを加えたナチュラルなサウンドのように感じましたね。音の傾向は、同社のM3Xとよく似ているように感じました。
アンプに関してはいままで有線主義でしたが、有線アンプの1万円クラスの音質をワイヤレス環境で再現できているような感覚です。ワイヤレスで約2万円ほどでこの音質を出せるのはすごいですね!
ちなみに以下の記事で、iFi-Audio Go Bluと比較した記事もありますので、どちらがいいか迷っている方は参考にしてみてくださいね!
結論から言うと、だいたい同等クラスだったので好みの問題って感じです。
出力もかなり高め
UP5の出力はかなり高めで、ミドルクラスのヘッドホンであれば、余裕を持った状態で鳴らし切ることができます。
TAGO-STUDIO T3-01であれば余裕で、SENNHERISER HD 660 Sだとギリギリ鳴らせているような感じですかね。
据え置き用としても使えるので、自宅ではヘッドホン派という方でも、UP5一つあればある程度のヘッドホンであればしっかりとハリの良い音で鳴らしてくれます。
有線接続ならさらに高音質に
BTR5はBluetoothによるワイヤレス接続だけでなく、有線接続でも聴くことができます。
有線だとワイヤレスとは違い音の損失がないため、さらに純度が高く高密度のサウンドで聴けたように感じました。
「Bluetoothがメイン」と言う感じでもなく、「Bluetooth・有線どちらもメイン」って感じですかね。
自宅ではパソコンと繋いでDAC替わりに、外出先ではワイヤレスで運用してポータブルに特化、といった使い方ができるので音質だけでなく利便性も最高です。
ちなみにiPhoneは公式でも謳っていますが、接続しても認識しませんでした。
操作性|ボリューム操作が不安定
項目 | 操作方法(デフォルト) |
---|---|
再生/停止 | 再生ボタンをシングルクリック |
曲送り | 再生ボタンをダブルクリック |
曲戻し | 再生ボタンをトリプルクリック |
メニュー画面の表示 | 再生ボタンを2秒間長押し |
ボリューム調整 | 多機能ホイールを回す |
ペアリング | 多機能ホイールを電源オフの状態から⾧押しをし続ける or多機能ホイールを2回連続でクリック |
電源ON/OFF | 多機能ホイールを3秒間⾧押し |
UP5は本体のみで曲送りから再生/停止、ボリューム調整など必要な操作は全て行えます。
ボリュームノブや再生ボタンの質感はふつうといったところで、Go Bluのような思わず操作をしたくなるようなラグジュアリー感は一切なしですね。
オーディオ機器として必要最低限の装飾に抑えたような感じです。
気になったのはボリュームノブを回して音量を上げようとしたとき、たまに音量が下がってしまうこともあります。
これは不具合かどうかはわかりませんが、なんだか動作の不安定さが否めない感じですね。
ゲイン設定やイコライザー設定もできる
UP5は再生ボタンを2秒間長押しすることによってゲイン設定やイコライザー設定などを本体のみで変更することができます。
できること一覧は次の通りです。
- ゲイン設定→LOWゲインとHIGHゲインを切り替える
- DACモード→シングルDAC、デュアルDACと切り替えることができる。デュアルDACにするとさらに高出力に。
- フィルター選択→Linear phase fast roll-offとApodizing Ultra Fast Roll-Offの2つから選べる。正直違いがわからりにくい。
- EQ→「POPS」や「JAZZ」など複数のイコライザー設定から選べる
- 車載モード→USBから通電された際にONになる機能(だと思われる)
- UAC→「1.0」と「2.0」が選べる。UAC1.0にするとSwitchとかでも使えるらしいが、正直使わない。UAC2.0なら384kHz 24bit DSD256などの音源に対応できる
- etc…
iFi-AudioのGo Bluとは違い、ゲイン設定やDACモードの変更など、イヤホンに合わせて適正な出力に変更ができるので、「ちょうど良い出力」を調整しやすいですね。
それ以外の設定は正直使わないかな? という印象でした。
アプリ|あまり必要を感じない
UP5は「Eddict Player」というアプリが用意されています。
アプリでは上記で説明したゲイン設定やイコライザー設定をスマートフォン側でも操作できたり、ファームウェアアップデートを行えます。
しかし、英語表記で使うのに急に中国語になったり、ゲイン設定をONにしたいのにアプリ上ではONになっていないのに、本体側では反映されていたりと、いろいろと使いにくいように感じました。
ファームウェアアップデートもアプリから行うとなんかエラーが出るし、うーん……なんだか不安定な印象でした。
UP5で網羅的にどんな機能を使えるか把握するときにはいいかもしれませんね。
UP5 まとめ
総合評価
4.5/5
UP5
- ワイヤレスでありつつもナチュラルで聴き馴染みの良いサウンド
- 有線でさらに高音質に
- 2.5mm/4.4mmなどあらゆる端子に対応
- あらゆる音源に対応
- ボリューム周りの質がイマイチ
- アプリの動作が不安定
4.3
音質
3.8
操作性
4.5
バッテリー
4.0
利便性
- ワイヤレスでも有線イヤホンを使って高音質で音楽を楽しみたい
- 2.5mm・4.4mmケーブルなど複数の対応ケーブルやイヤホンを所持している
- 据え置きでもポータブルでも使えるオールインワンモデルが欲しい
UP5はあらゆる端子、あらゆる音源、あらゆる接続方式に対応しており、これひとつでなんでも高音質化できるDACアンプです。
ボリューム周りの質感や、アプリの不安定さなど課題は残りますが、それ以外を除けば非常に完成度は高いように感じました。
iF Go BluやFiiO BTR5とどちらが良いか迷う方も多いかと思いますが、音源や端子へのサポート面と、音のナチュラルさをで選ぶならUP5はおすすめですよ!
以上、Shanling UP5のご紹介でした。
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