こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回はPolyというメーカーから登場した「Voyager Free 60+」というワイヤレスイヤホンを紹介します。
Polyというメーカーをあまり聞いたことがない人も多いと思うんですよ、ボクも知らなかったんで。
実はヘッドセットで有名な「Plantronics」が「Polycom」を買収し、その後生まれたブランドが「Poly」になるんですよ。そのPolyをパソコンで有名なHPが買収して今の形になります。
つまり実質「Plantronics」です。
Plantronicsについてはe☆イヤホン時代にもめちゃめちゃ売れていた記憶があって、通話用ヘッドセット=Plantronicsなイメージだったんですよね。
世界的にも有名なメーカーで、アポロ11号で月面着後に第一声を伝えたのがPlantronicsのヘッドセットらしいです。これは説明会で初めて知りました。
宇宙での通信となるとかなりの耐久性が必要だったり、安定した通信性能が必要だったりするのですが、それをクリアするほどの実力があります。
いまでも宇宙ステーションや航空機の管制塔などでもPlantronicsのヘッドセットが使われています。
そのPlanteonicsがお送りする完全ワイヤレスイヤホンというわけですよ。
前置きが長くなりましたが、今回はこちらの「Voyager Free 60+」がどのような製品か徹底解説していきます。
YouTube版はこちら
Voyager Free 60+の機能について
- 片側3つのマイクによりノイズを伝えずにクリアな音声を届ける
- WindSmart技術により風の強い日でも野外で使用可能
- 2段階のアクティブノイズキャンセリング・外音取り込み機能に対応
- 10mmドライバーを搭載
- マルチポイントに対応
- TeamsやZoomの認証、Google Meetでも動作保証あり
- コントロールパネル付きの充電ケース(60+UC)
- 飛行機内でも聴けるトランスミッター機能を搭載
- USBアダプター経由
通話機能特化、ドングル内臓、トランスミッター機能など、音楽鑑賞向けというよりビジネスユースに特化したイヤホンという感じですね。
スマート充電ケースも搭載で、利便性はかなり高そうな印象です。
Voyager Free 60+ 外観・付属品
それではVoyager Free 60+の外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ
Voyager Free 60+のパッケージはダンボール調で業務用感が漂うエコデザイン。一周回ってダンボールの方がおしゃれに見えてきた。
開封するとこんな感じ。
付属品
- 充電ケーブル
- イヤーチップ(S/M/L)
- トラベルケース
- マニュアル
充電ケース・本体
Voyager Free 60+の特徴の一つが、このスマート機能付きの充電ケース。最近この手のタイプが多くなってきましたね。
ここで本体を含めたバッテリー残量の確認、再生・停止、音量の調整、ペアリング、ノイズキャンセリングや外音モードの切り替えができます。
TOPに表示する操作項目を変更することも可能で、よく行う操作をTOPにしておけば、ワンアクションで音量調整や再生停止が可能になったりします。
側面にはpolyのロゴが入っています。厚みはけっこうありますね……。
充電端子はUSB Type Cに対応。
さらにワイヤレス充電にも対応しています。
ワイヤレス充電を一度使い出すと「充電しているつもりがないのに、いつも満充電になってる!」のような感覚で使えるので本当に便利ですよ。
ちなみに初心者の方にはAnkerのワイヤレス充電器がとりあえずおすすめです。安い割に品質も良く、問題なく充電ができますよ!
充電ケースを開けるとこんな感じ。
持ち手部分が広くとられているため、かなり取り出しやすいです。
また充電ケースの中にUSBアダプター「BT700」も付属。このアダプターをつかうことでペアリングせずともパソコンに接続ができたりします。
イヤホンとアダプターが上下で収納されていて、どちらも取り出しやすいように工夫されていますね。ここは評価が高い。
USBアダプターが刺すだけで接続完了するので、わざわざペアリングする必要もないので超ラクですよ。
イヤホンはスティック部が長めのスマートデザイン。
内側にはPolyのロゴが入っています。
片側に3つのマイクが内蔵されていて、「WindSmart技術」で風切音を最小限に抑えつつ、背景ノイズを削減して音声をクリアに引き出す仕様。
底面にもマイクが備わっており、スティック部分も長くて口元との距離が近く、より肉声に近い声を伝えることができそうです。
再生時間は本体8時間/ケース込み24時間、連続通話時間は5.5時間/ケース込みで16.5時間となっています。十分実用的な再生時間ですね。
ちなみに保証期間も2年間付いていて安心です。
ノズルとイヤーピースはAirPods Proのように専用設計になっていて、他社のイヤーピースは使えません。その代わりイヤーピースの質感は結構良さそう。
最後に重さですが、総重量は80.3g、本体片耳の重量は5.8gです。
ディスプレイ付きなのでケース込みだと重ためですが、本体は一般的なワイヤレスイヤホンと変わらず。
Voyager Free 60+の製品ラインナップ
Voyager Free 60+には、USBアダプターと標準の充電ケースがついたノーマルモデル。
USBアダプターのみが付属したUC。
そしてタッチスクリーン付き充電ケースに対応した+UC。
こちらの3製品があります。
当たり前ですけど、機能が増えれば増えるほど、価格も上がっていきます。
Voyager Free 60+ レビュー
装着感|閉塞感が少ない
Voyager Free 60+の装着感はなかなかいい感じですね。カナル型だけど閉塞感が少なくてセミオープン型のような着け心地ですね。
実際に装着してみるとこんな感じ。スティック部分が長くて、まさにビジネスユースな見た目。
前から見たらこんな感じです。
他のカナル型イヤホンのように、装着しながら喋っても自分の声が頭に響くような感覚が少なく、通話時も不快感が少ないように感じましたね。
反面、耳へのホールド力はイマイチで、走ると耳から落ちそうで怖いですね。歩きでもたまに落ちそうになります
装着感 | (4.0) |
通話品質について
マイク音声も実際に録音してみました。以下の音声をよければチェックしてみてくださいね!
Voyager Free 60+ 無音
Voyager Free 60+ 雑音あり
Voyager Free 60+ USBアダプター経由
通話に特化しているだけはあり、他のワイヤレスイヤホンと比べても声の帯域がとても聞き取りやすいように感じます。
扇風機も当ててみましたけど、風切音を抑えつつも声だけを浮き彫りにしてくれますね。
ただ、音量が大きめのノイズだとマイクに割と入ってきてしまうので、工事現場や騒がしい環境での通話だとVoyager 5200のような片耳タイプのヘッドセットを買った方が良さそうですね。
あとUSBアダプターを使ってもマイク品質が良くなるわけでもなさそうですね。Bluetooth接続時と変わらない気がする。
通話品質 | (4.8) |
充電ケースのミュート機能が便利
スマート充電ケースは「別にどっちでも……」という方が多いかと思いますが、Voyager Free 60+のスマート充電ケースにはとても実用的な機能が備わっていました。
Voyager Free 60+を使って通話をすると、スマート充電ケースのアイコンがミュートボタンに変更されます。これが便利なんですよ。
イヤホンでもミュートの操作が割り振られていたりするんですけど、いざ通話となるとどのボタンがミュートだったか忘れてしまうことが多いんですよ。
イヤホンによっては操作を間違えると、そのまま終話になるものもありますし、それは避けたいからできるだけ通話中にイヤホンを触りたくないんですよね。
Voyager Free 60+は、充電ケースの画面をタップするだけでミュートとミュート解除を1ボタンで切り替えられるから、操作を間違える心配がないんですよね。この仕様は評価が高い。
ノイズキャンセリング|なかなかの強さ
ノイズキャンセリング性能はなかなかに高めで、オンとオフの差をしっかりと感じられます。
低音のゴォオオオと響く音に対してしっかり遮音してくれるので、通勤時や新幹線や飛行機を利用した出張時でも活躍してくれそうです。
高域側に対する遮音性もなかなかで、キーボードのタイピング音も耳にツンとくる感じもなく、程よく遮音してくれます。
ただ、屋外で使うと風切り音が少し気になりましたかね。
アプリでノイズキャンセリングの設定を「適応型」と「標準」から切り替えることも可能です。
適応型にすると、周りの雑音の大きさに応じてノイズキャンセリングレベルを自動で調整してくれるようになります。
ノイズキャンセリング | (4.3) |
外音取り込み|声を自然に取り入れられる
外音取り込み機能はけっこう優秀で、周りの音を自然に取り入れてくれますね。
声の帯域は特にクリアに拾ってくれるみたいで、イヤホンをつけた状態でも相手の声がハッキリと聞こえてきます。
さらにアプリでは「環境」「スピーチ」の2つから設定可能で、スピーチにすると周りの雑音は抑制しつつ、声だけを浮き彫りにして取り込んでくれます。
聞こえ方は「環境」の方が自然で好みかな〜。
外音取り込み | (4.5) |
操作性|やや慣れが必要
Voyager Free 60+の操作性は、やや慣れが必要なように感じました。
操作はスティック部の裏に小さなボタンがあって、そこを摘むだけで操作ができるので、誤動作も少ない印象でした。
音量操作も音楽を流している状態であれば調整可能。また珍しく、ノイキャンや外音取り込みの切り替えもスワイプ操作で行います。
アプリではスワイプ操作に対して「音楽停止中」「音楽再生中」の2項目にカスタマイズが可能というこちらもめずらしい仕様。
ただ、音量調整を「音楽再生中」に音量調整を割り振ってしまうと、音楽を再生している間はノイキャンや外音取り込みの切り替えができない状態になってしまいます。ここがやや不便に感じましたね。
アプリについて
アプリの「Poly Lens」は細かな点までカスタマイズができます。
ミュート通知音の種類や2番目の着信が入った際の通知音、着信音やサイドトーン(通話中に聞こえる自分の声の音量の調整)、装着時に着信仁王等する機能など、通話に関するカスタマイズが多いですね。
アプリまで通話特化になっているイヤホンはなかなかないですよ。
ドングル接続を含めたマルチポイント接続もできる
ドングル接続ができるだけでなく、ドングル接続とマルチポイントの併用も可能です。
スマホと繋いで音楽を聴いていて、途中でパソコン側で音声や通話をしたいと思ったら、わざわざペアリングをしなおさずとも、そのまま音楽を再生したり通話を始めるだけで音声がパソコン側に切り替わります。
2つのデバイスを使い分けしたい時にも便利ですね。
ただし、Bluetooth接続で2台 / ドングルで1台、合計3台接続の接続はできず、最大2台までの接続となります。
音の遅延について
Voyager Free 60+の映像と音声のズレですが、動画を見る分には問題なしですかね。
アダプター経由だと遅延がなくなるかと思いきや、むしろ遅延が少し多くなるように感じました。
また、低遅延モードは搭載していないので、ゲーム用途には不向きなようです。
音質|声がとても聞き取りやすい
Voyager Free 60+の音質ですが、通話特化なのでイマイチなのでは?と思ってましたけど、思ったよりは悪くないですね。
今回はiPhone 15 ProでAAC接続、イコライザーはデフォルトで設定されていた「バス」で検証しています。
Voyager Free 60+の音の特長は次のとおりです。
4.3
高音
4.4
中音
4.3
低音
通話特化のイヤホンということもあってボーカルラインはとてもキレイで、歌詞も一音一句逃さずに聴き取れます。通話中でも相手の声を聞き漏らすことも少なそうです。
高域は刺さり感がなくマイルドに抑えられた聴きやすいサウンドです。ストリングスやアコースティック編成の楽曲の伸びやかさを表現するのはやや苦手ですが、中高域帯のピアノなんかはむしろ得意。
低音はデフォルトの「バス」で聴くと、ボーカル帯域はとても明瞭でマスクはせず、低域側に立体感のある迫力を加えるような印象でした。
Amazonレビューだと低音が不足しているといったコメントもありましたが、むしろ低音は出ているように感じました。
「フラット」にすると低音の量感が少し控えめになりますけど、こちらでもバランスがいいですね。
「ブライト」は低音が少なすぎてシャカシャカとするので、こちらはおすすめできないですね。
ボクは「バス」が一番好みでしたね。
音場が意外と広めで、広い空間のなかで立体的に鳴らすような3Dのような音場感ですね。
おすすめジャンルはポップスと、あとは動画や音声コンテンツ、語学学習とかですかね。とにかく声がとても聞き取りやすいです。
音楽鑑賞メインの製品ではないので、価格に対してそこまで音質が良いというわけでもないですが、逆に音質に拘らない方にとっては「ふつうにイイ」と思えるようなレベルです。
充電ケースをトランスミッターとして使える
最後にVoyager Free 60+にめっちゃいいな〜!と思う機能がが備わっていまして、付属のUSB-C to USB-3.5mm音声ケーブルを使うことで、3.5mm側に差し込んだデバイスの音声をイヤホン側に伝送することができるのですよ。
何が便利かというと、飛行機の中でワイヤレスイヤホンが使えるようになるんですよね。
ボクもこの前飛行機で音楽でも聴こうかな〜と思ってワイヤレスイヤホンを持ち込んだんですけど、そもそもネットが使えないからストリーミングで聴けないやんっていう。
で、座席の前の画面で映画でも見ようと思ったけど、有線イヤホンを忘れちゃって、座席においているコンテンツの尊厳を破壊する劣悪チープヘッドホンで聴くしかなかったんですよね。
こんな時にトランスミッター機能があれば、画面の横に備わっているイヤホンジャックに刺すだけでワイヤレスイヤホンで映画を楽しめるようになるんですよね〜。
しかも接続がめっちゃシンプルで、USB-C to USB-3.5mm音声ケーブルを充電ケース側に刺すだけで、自動的に接続先がトランスミッター側に切り替わるのですよ。余計な設定がないのも評価が高いです。
この機能はぜひ他のメーカーさんも真似していただきたいと思いました。
気になる点
気になる点は、価格がとにかく高いという点ですかね。スマート充電ケース付きのモデルだと50,380円もします。
スマート充電機能やUSBアダプターが必要ないという方は、充電ケースのみのタイプが32,780円で購入できますので、ベーシックモデルを検討するのもおすすめです。
Voyager Free 60+ まとめ
Voyager Free 60+をまとめると以下のとおりです。
総合評価
4/5
Voyager Free 60+
- 完全ワイヤレスの中では高い通話性能
- アプリを開かずとも充電ケースで設定ができる
- 充電ケースのミュートボタンが便利
- 充電ケースのトランスミッター機能が便利
- USBアダプターでパソコンとも気軽に接続できる
- 価格が高い
- 操作に慣れが必要
- 価格に対して音質はイマイチ
- aptXまでしか対応していない
4.3
高音
4.4
中音
4.4
低音
4.0
装着感
4.3
ノイズキャンセリング
4.5
外音取り込み
4.8
マイク性能
4.6
利便性
Bluetooth | 5.3 | 最大再生時間 ※ANC ON時 | 本体8時間/ ケース込み24時間 |
コーデック | SBC,AAC,aptX | 充電時間 | フル充電時間2時間 3時間(チャージケース) 15分で約1時間の通話が可能 |
ドライバー | 10mm ダイナミック型 | 充電端子 | Type C Qi ワイヤレス充電 |
専用アプリ | ◯ | 防水 | IP54 |
ノイズキャンセリング | ◯ | 質量 ※片耳/ケース | 5.8g/52.6g |
外音取り込み | ◯ | ゲームモード | – |
自動装着検出 | ◯ | 保証 | 2年 |
マルチポイント | ◯ | 公式サイト | こちら |
Voyager Free 60+はこんな人におすすめ
- ビジネス用途/通話用途に特化したワイヤレスイヤホンを探している
- 予算はあまり気にせず、とにかく通話の利便性を高めたい
- 出張で飛行機に乗ることが多い
Voyager Free 60+は単純にマイク性能が高いだけではなく、通話を含めてビジネスユースに特化したイヤホンのように感じましたね。
充電ケースあたりのギミックは役に立つものが多かったですね。ミュートボタンとトランスミッター機能は特に良かった
以上のような用途でイヤホンを使いたいと考えている方は、ぜひ検討してみてください。
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