評価:4.3
こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
Shanlingが2021年に発売され、売り切れ続出で話題になったドングル型のDAC「UA2」に上位モデルが発表されました。
それが今回紹介する「UA5」です。
- 3.5mmアンバランス、4.4mmバランス端子を採用
- ES9038Q2M DACチップを2基搭載
- 専用アンプチップ「Ricore RE6863」を2基搭載
- ドングル型としては珍しいバッテリーを搭載したハイブリッドバッテリーパワーモード
- 液晶を搭載し、アプリを使わずにカスタマイズできる
3.5mm、4.4mmの2つの端子を搭載しているのはありがたいですね!
さらに、液晶画面を搭載することで、本体のみでゲイン調整などが可能に。アプリを経由せずともカスタマイズが可能になりました。
ユニークな点として、ドングル型では珍しいバッテリーを内蔵しているとのことです。本体にバッテリーを備えることにより、スマホ側のバッテリーを減らさずクリーンな音を伝えられるとのこと。
前作のUA2から考えると驚くべき進化です。
今回メーカーからレビュー用に提供してもらえましたので、実機を使って前作や他製品との比較をレビューしていきます。
ぜひ最後までご覧ください。
総合評価
4.3/5
UA5
- 臨場感のあふれるダイナミックなサウンド
- 解像度も高くレンジも広い
- 本体のみで設定変更が可能
- 細かな音量調整ができる
- iPhoneでも使える
- 価格が高い
4.4
音質
3.8
携帯性
4.3
拡張性
4.5
利便性
動画版はこちら
Shanling UA5 外観・付属品
Shanling UA5のパッケージは本体のシルエットに、ボリュームノブだけ金色であしらわれたオシャレなデザイン。
開封するとモノグラムデザインの内箱に、本体とアダプターが付属しています。
- USB-C to Cケーブル
- USB-A to Cアダプター
- Lightning to USB-C ケーブル(初回生産分限定)
- マニュアル
USB-A to Cアダプターが付属していますが、これはUSB-A端子を採用したパソコンなどと使うためのものですね。
両端がUSB-Cになった短めのケーブルが付属します。これはAndroidスマートフォンと接続する用。
さらに、初回生産分のみではありますが、iPhoneと接続する時に使えるLightning to USB-Cケーブルも付属します。
ケーブルも質感がよくしなやかで、音質・利便性ともにグレードが高そうです。
UA5の本体は、最近のドングル型DACとしては、やや大きめの筐体。
液晶やボリュームノブも備わっており、操作性に優れた設計になっています。
底面はUSB-C端子が備わっています。こちらの端子で本体の充電と、外部デバイスへの接続を行います。
ジャック部は一般的に使われる3.5mmだけでなく、さらに高音質で聴ける4.4mmバランス端子も搭載。
専用ケーブルやイヤホンを使えば、高音質かつ高出力の音を体感できますよ!
ちなみに前作の「UA2」と、FiiOの「KA3」と比べると、次の画像のようなサイズ感の違いがあります。
やはり、他のDACと比べてもひとまわりサイズが大きめですね。
最後に重さですが、ケーブルを除く本体のみで29.0g。
UA2が12.8gなので、2倍以上の重さになっています。取り回しは気になるところですが、果たして。
Shanling UA5とUA2のスペックを比較
UA5とUA2のスペックを比較すると、次のとおりです。
スペック一覧 | UA5 | UA2 |
---|---|---|
重量 | 29g | 12.6g |
DACチップ | ES9038Q2M x2 | ES9038Q2M |
オペアンプ | RT6863 ×2 | RT6863 |
バッテリー | 220mAh | デバイス側給電のみ |
THD+N | <0.0005% | <0.0008% |
出力レベル | シングル:137mW バランス:211mW | シングル:125mW バランス:195mW |
SPDIF (同軸デジタル出力) | ◯ | – |
S/N比 | シングル:121dB バランス:119dB | シングル:121dB バランス:116dB |
ダイナミックレンジ | シングル:120dB バランス:116dB | シングル:120dB バランス:116dB |
周波数特性 | 20Hz~50kHz +/-0.5dB | 20Hz~50kHz +/-0.5dB |
クロストーク | シングル:77dB バランス:110dB | シングル:76dB バランス:109dB |
出力インピーダンス | <0.8Ω <1.6Ω | <0.8Ω <1.6Ω |
対応音源 | PCM:768kHz/32bit DSD:512(22.4MHz) | PCM:768kHz/32bit DSD:512(22.4MHz) |
前作のUA2と比較すると、DACチップやオペアンプの種類は変えずにデュアルに。バッテリーも搭載した物量攻めの構成に仕上げています。
音源はMQAには対応していないため、MQA愛好家の方やTIDALユーザーは注意。
意外だったのが「同軸デジタル出力」も搭載している点でしょうか。UA5経由で他のDAC内蔵アンプに接続しやすくなりますね。
Shanling UA5 レビュー
音質|This is 臨場感
Shanling UA5の音質は一言で伝えると、「これぞ臨場感!」とでも言うべき深みと迫力のあるサウンドでしょうか。前作のUA2の良さをさらに引き出したかのような音作りです。
音の特徴は次のとおりです。
4.4
音質
- 音質:密度のある濃厚なサウンドで、情報量が多め。レンジが広く深みのあるアナログライクな豊かなサウンドですね。。臨場感も高く、ロック系であれば重厚なサウンドをかき鳴らしてくれます。
- 音場:他のDACと比べ少し広め。余韻や抜けの良い広さとは異なり、中低域帯が低いところから横に広がっていくようなダイナミックな音場の広さです。
- 傾向:重心が低域寄りでパワフルな傾向です。そのなかでも音の粒立ちが滑らかで、聴き心地を重視したようなチューニングです。
得意なジャンル
- ポップス
- ヒップホップ
- ジャズ
- ハードロック
全体的に重心が低めかつ臨場感の溢れるサウンドということもあり、重厚なロックや、ヒップホップ、ジャズ、ブラックミュージック系との相性が抜群!
低域のビートを効かせつつ緻密で滑らかなアナログ感の溢れるサウンドを聴かせてくれますね。
豊かな低域の中でも中高域は埋もれず、ボーカルもナチュラルに鳴らします。邦楽だと「藤井風」や、後期の「ONE OK ROCK」のようなスタジアム感のあるロックとの相性が特に良いですね。
洋楽だとMUSEやFoo Fitersなどの重厚なロックサウンド、マッシヴ・アタックやThe Internetなどトリップホップ系との相性も良く感じました。
スピード感のあるカチッとしたサウンドが好きな方は、他の選択肢があるように感じましたが、広がりと深みを感じる臨場感の溢れるサウンドならUA5がおすすめですよ!
他のDACと比べると?
UA5と前作のUA2と比べると低域の深みやレンジの広さが増し、よりダイナミックなサウンドになったように感じました。
個人的にはUA2の正統進化系のような音作りのように感じましたね。
FiiO KA3と比べると、音のスピード感や立ち上がりの良さはKA3の方が上のように感じます。
UA5はKA3のような音の解像度感や緻密さを持ちつつ、臨場感やレンジの広さをさらに広大にしたような印象です。
手元にないので詳細な聴き比べはしていないのですが、以前販売していたPAW S1の音をリスニング寄りに寄せたような印象でしょうか。
コスパという意味ではUA2やKA3の方が良いと思いますが、スマートフォンでも音質を妥協したくない方はUA5をえら
携帯性|大きいけど意外と気にならない
UA5を使っていて感じた点が、見た目の大きさのわりに意外と取り回しが良いということ。
ポケットに入れてiPhoneに接続した状態で運用すると、本体だけが外に出た状態になりますが、重たくてブラブラとしすぎない程度。
DC05やUA2など、他の小型DACと比べて、特別取り回しが良いというわけではありません。しかし、意外と本体の大きさや重さが気にならないと感じましたね。
FitEarなどの少し大型のイヤホンケースであれば、イヤホンと合わせて問題なく収納もできます。
100段階の音量調整がステキ!
UA5はデバイス側とは連動しない100段階のボリューム調整が備わっています。本体上部のボリュームダイヤルをくるくると回すことで、細かな音量調整ができます。
ダイヤルの回し具合の滑らかで、価格相応の高級感を味わえますね。
iPhoneでDACを使うと、音量が上がりすぎたり下がりすぎたりと細かな音量調整が難しい場合が多いのですよ。
イヤホンや環境に合わせた細かな音量調整ができるので、 好みの音量にしやすいのがステキですね!
アプリなしでゲイン調整やカスタマイズができる
UA5は液晶画面を備えたことで、アプリなしでもカスタマイズができるようになりました。
カスタマイズできる項目は次のとおりです。
- DACモードの切り替え(シングルorデュアル)
- バッテリーモードの切り替え(ON or OFF)
- ゲイン調整(Low or High)
- フィルター設定(7種類)
- 左右の音量バランスの調整
- SPDIF(同軸デジタル出力)の切り替え(ON or OFF)
- 画面がOFFになるまでのタイマー設定
- 画面輝度の設定
- 画面表示角度の変更
- ファームウェアアップデート
DACモードの切り替えは、シングル or デュアルの選択が可能。デュアルにすると、内部のDACを2つ使う運用になり、より高出力で鳴らします。
バッテリーモードはONにしておくと、内部のバッテリーで運用するようになるため、スマートフォン側のバッテリーが給電されすぎず長持ちに。音質への影響はよく聴かないとわかりにくいかも。
ゲイン設定はLowとHighから選べますが、これは合わせるイヤホンや、音の好みによって使い分けるのがいいかと思います。
デジタルフィルターも7種類備わっており、音のニュアンスをほんの少し変化してくれます。個人的には「Hybrid」という設定にしています。
その他画面表示の設定や、同軸デジタル出力のON/OFFなど、本来ならアプリで設定をしないといけないところ、本体のみであらゆるカスタマイズができます。
iPhoneだとアプリを使ってもUA5を認識しなかったので、デバイスに依存せずにカスタマイズができるのは便利です。
出力の大きさは?
最後に出力についてですが、手持ちのヘッドホンで試したところ、TAGO STUDIO T3-01(80Ω)だといい感じにドライブできていました。
しかし、SENNHEISER HD 660 S(150Ω)だと、音圧が少し薄いように感じ、鳴らしきれていない印象でしたね。
ドングル型のDACとしては決して出力は低くないと思いますが、大型のヘッドホンを鳴らしきるには、もう少し出力が必要だと感じました。
ちなみにイヤホンであれば、どの機種でも問題なく鳴らせます。出力が高いと感じたら、本体設定でゲインをLowにするのがおすすめです。
Shanling UA5 まとめ
総合評価
4.3/5
UA5
- 臨場感のあふれるダイナミックなサウンド
- 解像度も高くレンジも広い
- 本体のみで設定変更が可能
- 細かな音量調整ができる
- iPhoneでも使える
- 価格が高い
4.4
音質
3.8
携帯性
4.3
拡張性
4.5
利便性
Shanling UA5はこんな人におすすめ
- スマートフォンでとにかく良い音質で聴きたい
- 重厚でダイナミックなサウンドが好き
- 自分好みの設定や音量にカスタマイズしやすいDACが欲しい
Shanling UA5はiPhoneやスマートフォンを使って、気軽に高音質で臨場感のあるサウンドを聴きたい方におすすめだと感じました。
音質は大人気プレイヤーShanling M3Xをも凌駕する実力もあり、申し分なし。
液晶画面が搭載したことにより、イヤホンや自分の好みにあわせてカスタマイズしやすくなり、利便性もさらにアップ。
なにより、ボリュームノブもついているので、スマートフォンでDACを使う時にストレスが溜まりがちな音量調整も細かく設定できますよ!
ドングル型のDACでも音質に妥協したくない方におすすめです!
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