こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
Shanlingの大人気エントリーDAP「M3」シリーズの最新機種「M3 Plus」が6月20日に解禁しました!6月27日に発売となります。

「M3 Ultra」→「M3 Plus」って名称だけで見ればダウングレードしてない?って思うかもしれませんが、ちゃんとアップグレードされています。
主な特徴は次のとおりです。
- CS43198を4基採用 Quad DAC回路
- OPA1612+SGM8262フルバランスアンプ回路
- 3.5mm+4.4mmバランス接続対応
- 800mW @32Ωハイパワー設計
- Snapdragon 665 4GB RAM
- Android13 OSに対応
- DLNA、AirPlay、SyncLinkに対応
前作の「M3 Ultra」との主な違いは、DACチップがESS社ではなくCirrus Logic社になっているという点。
またCS43198を4基というエントリー機でありつつも攻めた構成になっていて、出力も800mW @32ΩとM3Ultraよりも3倍ほど出力が高くなっています。
構成的にはiBasso DX180に近いですが、価格は62,370円とM3 Plusの方が13,000円ほど安くなっていますね。なんだったらM3 Ultraより安い。かなりコスパは良いのでは?
今回はM3 PlusをShanling代理店のMUSINさんから紹介用に提供いただいたので、M3 UltraやDX180と比べながらどれほどの実力なのかチェックしていきましょう。
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M3 Plus 外観・付属品
M3 Plusのパッケージはこちら。最近のShanlingは若干ゴテっとしたデザインになってる。

開封するとこんな感じ。


- TPUクリアケース
- スクリーンプロテクター
- 充電用USBケーブル
- クイックスタートガイド
- 製品保証書
付属品にスクリーンプロテクターとクリアケースが付属しているため、追加で付属品を買わなくてもとりあえずは使える状態になっています。

こちらが本体ですが、今までのM3シリーズのような丸っとしたデザインではなく、全体的に角張ったデザインに変更されていますね。

パッと見だとM3シリーズとはわからないくらい。
ディスプレイは4.7インチ。U3 Ultraが4.2インチだったので少し大きくなっていますね。

筐体には航空機グレードのアルミニウム合金から成形された、堅牢性の高いメインシャーシを採用。
カラーバリエーションは、モカ・ブラック・グレーの3色。


M3Ultra、DX180と比べるとこんな感じ。DX180ほどは大きくはないけど、M3 Ultraよりは少し大きくなったかな?という印象です。

持った時のグリップ感はM3Ultraが一番好みでしたね。

側面はShanlingのハイエンドモデルから踏襲したようなウェーブデザインを採用しており、カジュアル路線から高級路線に変更されたような設計になっています。

ボリューム部はM3Ultraは回した時に「カリカリ」とした質感でしたが、M3 Plusは「コリコリ」とした挙動になっていますね。回し心地はやや軽め。

左側面のボタン部もM3Ultraの丸型ボタンから長細い高級感のあるデザインになりましたね。

上部は3.5mmの一般的なイヤホンジャックと、4.4mmバランス端子が備わっていますが、なんだその位置は!?
真ん中にスペースがあるのに、え〜〜〜らい端っこに端子があるやないか……。内部構成的に何か理由があるのだとは思うけど、ちょっと不細工……。
底面は充電兼データ転送用のUSB-C端子とmicroSDカードが備わっています。

今回はmicroSDカードスロットのカバーが省かれていますね……。ここも継続してほしかった。
今回も別売りのケースも販売予定となっておりまして、こちらも提供いただいています。

見た目はこんな感じ。
重さは205gとおおよそスマホと同じ重さとなっています。

M3 Plus 概要・スペック
スペックはこちら!
スペック一覧 | M3 Plus | M3 Ultra | DX180 |
---|---|---|---|
CPU | Snapdragon 665 | Snapdragon665 | Snapdragon665 |
OS | Android 13 | Android 10 | Android 13 / Mango OS |
内蔵メモリ | 4GB | 3GB | 4GB |
ストレージ | 64GB + MicroSDカード | 32GB + MicroSDカード | 128GB+ MicroSDカード |
再生時間 | 3.5mm:14時間 4.4mm:11時間 | 3.5mm:20.5時間 4.4mm:14.5時間 | 4.4mm (Low Gain):約15.5時間 4.4mm(HighGain):約13時間 |
Bluetoothバージョン | 5.0 | 5.0 | 5.0 |
Bluetoothコーデック | LDAC / SBC(送受信) aptX HD / aptX LHDC(送信のみ) | LDAC / SBC(送受信) aptX HD / aptX LHDC(送信のみ) | SBC / AAC(送受信) aptX HD / aptX LDAC(送信のみ) |
Wi-Fi | 2.4GHz / 5GHz | 2.4GHz / 5GHz | 2.4GHz / 5GHz |
DACチップ | CS43198×4 | ES9219C DAC×2 | CS43131×4 |
出力レベル(3.5mmアンバランス) | 最大200mW@32Ω | 最大140mW @32Ω | 最大281mW@32Ω |
出力レベル(4.4mmバランス) | 最大800mW@32Ω | 最大260mW@32Ω | 最大690mW@32Ω |
THD+N | 3.5mm:0.0007% 4.4mm:0.0007% | 3.5mm:0.0007% 4.4mm:0.0005% | 3.5mm:-116dB(A特性 600Ω負荷) 4.4mm:-121dB (A特性 600Ω負荷) |
ダイナミックレンジ | 3.5mm:127dB 4.4mm:130dB | 3.5mm:121dB 4.4mm:124dB | 3.5mm:127dB 4.4mm:133dB |
S/N比 | 3.5mm:127dB 4.4mm:130dB | 3.5mm:121dB 4.4mm:124dB | 3.5mm:127dB 4.4mm:133dB |
出力インピーダンス | 3.5mm:1Ω未満 4.4mm:1.5Ω未満 | 3.5mm:<1Ω 4.4mm:<1Ω | 3.5mm:<0.6Ω 4.4mm:<1.1Ω |
ノイズフロア | 3.5mm:<1.1μV 4.4mm:<1.6μV | 3.5mm:<1.5uV 4.4mm:<1.8uV | 3.5mm:<1.1μV (High Gain) 4.4mm:<1.1μV (High Gain) |
価格 | 62,370円 | 65,340円 | 78,210円 |
M3 Plus レビュー
M3 Plusの音質について
音の特徴は次のとおりです。
4.3
音質
音質はShanlingらしいナチュラルさと繊細さがありつつ、全体的にバランスの取れたサウンドのように感じました。
完全にニュートラルという感じではなく、スパイス的に温かみや優しさを加えられたチューニングという印象ですね。
M3 Ultraと比べると、音が少し遠めになり俯瞰的になったような落ち着きのある鳴らし方のように感じますね。
M3 Ultraはもう少しパワー寄りで、M3 Plusの方が上品さがあるように感じます。
また楽曲の雰囲気を包み込むようなアナログ感溢れるサウンドに変化しているように感じました。
苦手なジャンルもなく、ロックやポップス、ジャズ・クラシックなど、イヤホンの特性に合わせてさまざまなジャンルに対応できるような印象です。
イヤホン側に味付けを加えすぎたくないけど、かといって簡素でニュートラルすぎる音は嫌だって方はM3 Plusはちょうど良いと思いますよ。
DX180と比べると
この2社は価格帯も近いことが多いので比較することが多いですが、Shanlingがナチュラル系、iBassoがソリッド or フレッシュ系と感じることが多いですね。
どちらの音が良いと感じるかは好み次第だとは思いますが、粒立ちの良さや音のブレの少なさなど解像度は全体的にDX180の方が半歩ほど上のように感じましたね。
ただ、Shanlingと比べると一音一音が元気になりすぎる感覚もあるので、シティポップやジャズなどをしっとり聴きたい時はM3 Plusの方が良く聴こえたりしますね。
評価的には以前紹介したドングルDACの「UA6」vs「DC07PRO」と同じような感じになりましたね。あの比較のDAPバージョンみたいな感じ。
UA6音の傾向は同じでありつつも、M3 Plusの方がほんの少しだけ厚みがあり密度の高い音のように感じましたが、ほぼ同じ実力と考えてよいと感じました。

出力がかなり高い
スペック上では4.4mmバランス接続時で最大800mWなので出力もかなり高めなんですよ。イヤホンはもちろんのこと、ある程度の鳴らしにくい有線ヘッドホンでもバランス接続であれば鳴らし切れます。

TAGO STUDIO T3-01くらいのヘッドホンであればM3 Ultraとそこまでドライブ力は変わらないように感じましたが、SENNHEISERのHD 620S(インピーダンス150Ω、音圧感度が110dB)はバランスケーブルを追加すれば余裕で駆動できるほどの出力の高さを持っています。
ある程度出力が必要な有線ヘッドホンで比べれば、その高出力っぷりを感じることができるかと。iBasso DX180より出力高いですもんね。
ストリーミングの対応は?
ストリーミングの対応もチェックしてみましたが、Apple Music、Amazon Music、Spotify、どれも対応していましたね。
Amazon Music でも192kHz/24bitの音源も問題なく再生できていました。

ちなみにシステムレベルでSRC回避ができているため、Amazon Music HDなどサードパーティーアプリでも192kHz / 24bitで再生できていました。
ただ公式では、「サードパーティー製のアプリの動作を保証するものではない」とは謳っているので注意が必要ですが、まあ今のところは問題ないかとは思います。
操作性は?
操作性は”DAPとしては”という枕詞は入りますが、ある程度サクサクには動きます。

Amazon Musicはジャケットが読み込まれた瞬間は重くなりますが、読み込まれた後は引っかかりなくサクサクスクロールできますね。ただ、検索バーに入力しているときはカクつきますね。
その他、ゲイン設定やフィルターの設定を変更したいときは、画面上部から下にスライドするとメニューバーが表示されて、1タップで設定の変更も可能です。

ゲインやフィルターは変えがちなので、メニューバーへのアクセスが良いのはありがたいです。
オートシャットダウン機能が便利
あとオートシャットダウン機能が便利で、任意に選んだ時間が経てば自動的に電源をオフにしてくれるんですよね。
DAPは電源を切り忘れることが多くて、いざ使おうと思った時に電源が切れていることが多いんですよね。
DX180をはじめiBasso製品にはオートシャットダウン機能がなくて、何度か泣かされたことがあります。
個人的にはDAPで必須の機能です。
気になる点
最後に気になる点ですが、純正再生アプリだとギャップレス再生ができないという点でしょうか。
ギャップレス再生とは、トラック間をシームレスに繋ぐ機能のことなんですが、対応していないと次のトラックに行った時に一度ブツっと途切れてしまうんですよね。
Android非搭載のM1 Plusだとギャップレス再生できてたのに、なんでAndroid搭載機になるとできなくなるんだよ……。
ちなみにギャップレス再生ができないのは純正再生アプリを使った時だけなので、ボクみたいにストリーミングメインで使っている方であれば気にならないポイントでもあります。
M3 Plus まとめ
総合評価
4.9/5
M3 Plus

- Shanlingらしいナチュラルなサウンド
- 出力が最大800mW@32Ωとかなり高い
- オートパワーオフ機能が便利
- 本体も軽くてちょうどいい大きさ
- スペックに対して価格もそこまで高くない
- 純正アプリでギャップレス再生ができない
4.3
音質
4.4
携帯性
4.0
拡張性
4.5
利便性
- 予算5〜6万程度でDAPを探している
- ストリーミングサービスを使うことが多い
- ナチュラルでクセのないサウンドが好み
エントリークラスでDAPを探している方は、いまはM3 Plusを候補に入れても良いと思います。このM3シリーズはマジでハズレがない。
もう少しシャッキリとした高解像度サウンドが好みならiBasso DX180もおすすめですが、もう少し安くてコンパクトでナチュラルなサウンドならM3 Plusがおすすめです。
DX180は自動で電源が切れるスリープタイマー機能がついていないので、自動で電源が切れておいて欲しいという方もM3 Plusがおすすめですよ。
コメント
コメント一覧 (1件)
はじめまして
時折記事を拝見させていただいておりますが、誤情報が含まれているかと思われますので、
以下、再度ご確認の上、情報の修正を検討いただけますと幸いです。
①ibasso DX1xxシリーズのOS情報にMango OSの表記があること
→Mango OSはDX2xxシリーズ以降にのみ搭載されている認識です
なお、このページ以外にも誤記載ありますので、併せて確認ください。
②ibassoの製品にオートシャットダウン機能が無いと書かれていること
→少なくとも私の手元にある機器のMango OS稼働時にはオートシャットダウン機能があり、実際に助けられております。