こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回はワイヤレスでも劣化なし!無圧縮で聴けるポータブルDAC、「Shanling H5」をレビューします。
え、ワイヤレスでも劣化なしってどういうこと? って思うかもしれませんが、Wi-Fiを使うわけでも、Bluetoothを使うわけでもありません。
microSDカードに対応していて、iPhoneを含めたスマートフォンからアプリ経由で直接SDカード内の音源を流せるんですよ。
ちょっと操作しにくいところもありますが、これでいつもBluetoothで音源を聴いているような感覚で、完全無圧縮でハイレゾ音源とかを楽しめるというわけです。
それ以外の特徴としては
- 「AK4493SEQ」をデュアル構成で搭載
- TPA6120A2」をアンプ回路に採用
- Bluetoothレシーバー機能搭載でSBC、AAC、LDACまで対応
- 4.4mmバランス出力とゲインコントロールにも対応
- Optical、Coaxialデジタル入力RCA出力にも対応
とこんな感じで、SDカード音源を再生する以外にもポータブル環境から据え置き環境までなんでもできてしまう、オールインワンDACというわけです。
AK4493SEQといえば、同社のM6Ultra(129800円)にも搭載しているDACですね。約5万という価格で採用しているのはすごい。あっちはクワッドで搭載ですけど
今回はこちらのShanling H5をレビューしていきます。
ぜひ最後までご覧くださいませ。
総合評価
4.5/5
H5
- 音質が良いのに利便性もかなり高い
- SDカードでワイヤレスでも劣化なしで音楽を聴ける
- Bluetoothでもかなり高音質
- 有線から無線まであらゆる方法で音楽を聴ける
- 入出力端子がかなり豊富
- 本体のみでゲインやフィルターの設定などができる
- SyncLinkが途切れることが多い
- AACで接続されないことが多い
- ダイヤルがどちらも同じ形状で、どちらを操作すればいいか分かりにくい
4.5
音質
4.0
携帯性
5.0
拡張性
4.5
利便性
Shanling H5 外観・付属品
パッケージはこちら。
開封するとこんな感じ
- USB-A to USB-Cケーブル
- USB-C to USB-C OTGケーブル
- 3.5mm to coaxial(同軸)ケーブル
- ゴム足
- ポーチ
- マニュアル
で、本体はこちら。
本体はギリギリ手でグリップできるほどの大きさ。
厚みも他のDAPと同じくらいなので、ズボンのポケットにもギリギリ収まります。
ちなみにカラーバリエーションはブラックとチタニウムの2色。
上部には液晶画面がついていて、ここでゲインの変更値やボリューム値を確認できます。
サンプリングレートなども液晶したのLEDインジゲーターで確認できます。
背面はなんもなし
フロントパネルには、3.5mm端子と4.4mmバランス端子、そしてボリューム部と本体操作ができるマルチファンクションボタンが搭載。
ボリューム部はそれぞれ押し込んでクリック操作もできます。
バックパネルはこんな感じ
- 赤白のRCA
→音源をアナログで出力する用、アクティブスピーカーやヘッドホンアンプとかに繋げられる - DEGITAL IN(同軸入力端子)
→付属の3.5mm to 同軸ケーブルを使って、外部のデジタル信号を受けることができる - USB-C(USB/DAC)
→デジタル入力専用、スマートフォンやパソコンの音源を入力できる - USB-C(CHARGE)
→充電専用の端子 - SDカードスロット
→MAX2TBの容量まで対応
と、こんな感じで入力から出力端子までかなり豊富に備えているので、これ一台でポータブル環境から据え置き環境まで完結できます。
上位モデルのH7と比べるとこんな感じ。
横幅とか厚みは一緒だけど、縦幅がH7の2/3くらいコンパクトになっています。
フロントパネルはH7の場合だと6.3mmアンバランジャックも搭載していますね。
H7の方がより据置寄りと言った感じですね。
重さは
ちなみにレザーケースも別売りであります。
3960円しますが、質感はかなり良いので、外出先で本格的に使われる方はケースも購入されることをおすすめします。
Shanling H5 概要・スペック
スペックはこちら!
項目 | Shanling H5 | Shanling H7 |
---|---|---|
サイズ | 102×85×25mm | 142×85×25mm |
重量 | 270.4g | 352.5g |
画面サイズ | 0.87インチ モノクロ有機ELディスプレイ | 1.44インチ モノクロ有機ELディスプレイ |
DACチップ | AKM AK4493SEQ×2 | AKM AK4499EX + AKM AK4191EQ |
オーディオフォーマット | DSD(“.iso”,”.dsf”,”.dff”) / ISO / DXD APE / FLAC / WAV / AIFF / AlF / DTS MP3 / WMA / AAC / OGG / ALAC / MP2 M4A / AC3 / M3U / M3U8 / OPUS | DSD(“.iso”,”.dsf”,”.dff”) / ISO / DXD APE / FLAC / WAV / AIFF / AlF / DTS MP3 / WMA / AAC / OGG / ALAC / MP2 M4A / AC3 / M3U / M3U8 / OPUS |
音声対応形式 | USB-DAC:最大768kHz/32bitまでのPCM/ DSD 512 ローカル:最大384kHz/32bitまでのPCM / DSD 256 | 最大768kHz / 32bitまでのPCM<br>最大22.4MHz(DSD512) |
ゲイン設定 | Low、Medium、High | Low、Medium、High |
デジタルフィルター | 6種のデジタルフィルター | 6種のデジタルフィルター |
ストレージ | MicroSDカードスロット×1(2TBまでのMicroSDカード) | MicroSDカードスロット×1(2TBまでのMicroSDカード) |
Bluetooth バージョン | 5.0 | 5.0 |
Bluetooth コーデック | LDAC / AAC / SBC(受信のみ) | LDAC / AAC / SBC(受信のみ) |
シングルエンド出力 | 出力レベル:227mW@32Ω 周波数応答:20 Hz-40 kHz (-0.7 dB)THD+N:0.0014% チャンネルセパレーション:80dB@32Ω ダイナミックレンジ:118 dB S/N比:118dB 出力インピーダンス:4.7Ω | 出力レベル:450mW @32Ω 周波数応答:20Hz – 40 kHz(-0.2 dB) THD+N:0.0009% チャンネルセパレーション:75dB 32Ω ダイナミックレンジ:121dB S/N比:121dB 出力インピーダンス:<1Ω |
バランス出力 | 出力レベル:840mW@32Ω 周波数応答:20Hz -40kHz(-0.7dB) THD+N:0.0004% チャンネルセパレーション:105 dB @32Ω ダイナミックレンジ:121dB S/N比:121dB 出力インピーダンス:6.6Ω | 出力レベル:1300mW @32Ω 周波数応答:20Hz – 40kHz(-0.2dB) THD+N:0.0007% チャンネルセパレーション:115dB @ 32Ω ダイナミックレンジ:123dB S/N比:123dB 出力インピーダンス:<1Ω |
RCA出力 | ◯ | ◯ |
価格(税込) | 52,470円 | 108,900円 |
基本性能は一緒ですが、大きな違いは「サイズ」「DACチップ」「価格」といったところでしょうか。
やはりH7のほうがサイズが大きく、価格のグレードも高い分、出力レベルやノイズの少なさなどがスペック上は上ですが、H5もかなりのスペックの高さです。
それを約半額で、よりコンパクトに使えるのですから、H5のほうが買いやすいし使いやすいという人も多いかと思います。
Shanling H5で音楽を聴く方法はおもに3つ
Shanling H5の使い方は、大きく分けると3つです。
スマホで操作してSDカードの音源を聴く
ひとつめがSDカードを挿入して、スマホで操作して音楽を聴くという方法。
ボタンを押して「TF Card」に合わせて、専用アプリ「Eddict Player」を使って接続します。このアプリを使えばスマホからSDカード内の音源を選曲して再生ができるようになります。
おそらくH5のメインの運用方法がコレという方も多いと思います。
この使い方をすれば、ポータブルDACでありつつもスマホと直接接続する必要がなく、ワイヤレスで音源を圧縮せずに聴くことができます。
ただ、あくまでSDカード内の音源を再生するだけなので、YouTubeとかApple Musicなどのスマホで鳴らす音源を無圧縮で伝送できるわけではないのでご注意ください。
Apple Musicなどのストリーミングサービスはあまり使わないという方で、ポータブルDACで快適に音楽を高音質で楽しみたい人にはめちゃくちゃ良い方法です。
Bluetooth接続で聴く
次にBluetoothレシーバーとして使う方法です。
BTに合わせてあげればペアリングモードになるので、スマホのBluetoothリストから「Shanling H5」を選択すれば接続されます。
この方法は、スマホの音源をH5に伝送する方式のため、YouTubeもApple MusicでもH5経由で聴けます。
ただし、SDカードでの運用とは違いBluetooth接続のため、音質は劣化します。
LDACまでには対応しているので、対応のスマホやプレイヤーをお持ちであれば、極力劣化なく高音質で音楽を楽しめます。
音質面では最大限まで実力は発揮できませんが、一番利便性の高い方法ではありますね。
USB-DACとして使う
最後にUSB-DACとして使う方法があります。
この場合、付属のUSB-C to Cケーブルを使ってスマホやプレイヤーと接続したり、別売りのLightning to USB-Cケーブルを使ってiPhoneと接続したりします。
この方法であれば、音質の劣化なくストリーミングサービスを聴けます。
ただし、有線ケーブルで接続したままの状態になるため、スマホと繋げた場合はスマホ自体の取り回しが最悪になります。
自分の席でゆったりと好きな音楽を聴く時にはこの方法が良いと思います。
他にも同軸接続やRCA出力も
主な運用方法としては上記の3つですが、他のDAPから接続できる同軸デジタル入力や、アクティブスピーカーとかでも使えるRCA出力も備えています。
一見SDカードスロットに目が行きがちですが、さまざまな用途で使えるオールインワンDACとして使える点がH5の魅力とも言えるでしょう。
Shanling H5 レビュー
それではレビューしていきます。
音質|M6 Ultraに迫る音質の良さ
Shanling H5は、同社の約13万のDAP「M6 Ultra」にもせまる実力で、高い利便性にもかかわらずハイクオリティの音質の良さを持ち合わせています。
今回の接続環境は以下のとおりです。
- iPhone→Eddict Player
- Shanling H5 SDカードモード(音源はハイレゾやMQA)
音の特徴は次のとおりです。
4.5
音質
- 音質:機能性の高さに対して、しっかりと価格相応のDACとしての実力がある印象。ノイズ感も少なくつぶダチもよく、価格と使いやすさに対しての満足度はかなり高い。DAPで換算すれば8万〜9万レベルという感じ。
- 音場:やや広く感じる程度
- 傾向:Shanlingらしいナチュラルでありつつ、少し柔らかめでバランスの良いサウンド。クセが少なく聴きやすいので、どんなイヤホン・ヘッドホンでも合わせやすい。従来のShanlingの音が好きだったら、おそらく好みだと思います。
得意なジャンル
- オールジャンルOK
M6 Ultraと聴き比べをしてみると、クアッドDACを搭載している分M6 Ultraの方が少し音質が良く感じましたね。
ただ、音の傾向は同じで価格差ほどの音質差はありません。音質に対するコスパで言えばH5の方が上です。
あとM6 Ultraではできなかったギャップレス再生もちゃんとできているみたいです。
Shanling H7と比べると?
上位モデルのShanling H7と比べると、さすがに音質は負けますね。
H7の方が音の粒立ちがもっと良く、解像度も高く感じました。5万円以上の価格差だけはあって格が違います。
また、DACチップの違いによる影響か、音の傾向も少し異なるように感じました。
- Shanling H5
→従来のShanlingらしい少し柔らかめでナチュラルなサウンド - Shanling H7
→ナチュラルさはそのままに、味付けが少なくモニターに近い高解像度系のサウンド
どっちの音が好きか?と聞かれたら、そりゃ即答でH7ですけど、やはり予算とか運用のしやすさによって選択肢は変わるでしょう。
どちらを買うか?と聞かれたら、僕のリアルな予算感だとH5を選ぶと思います。
小さくてズボンのポケットに入れて運用しやすいからという理由もあります。
Bluetooth接続でも音が良い!
Bluetooth接続で聴いてみましたが、こちらでもかなりの音質の良さですね。
Bluetooth対応DACだと3万円台くらいのものが定番ですが、このサイズ感と5万という価格だけはあって3万円台の製品よりも音質は一歩上ですね。
LDACで接続すれば、単純にBluetoothDACアンプとして通勤用に使うのもアリだと思いました。
なぜかAACで接続されない
ただ、気になるのがAACに対応しているのにAACで接続されない事が多いことでしょうか。
iPhoneで接続した際も「SBC」で接続されていることが多く、音の粗が目立ってしまうことが多かったです。
iPhoneユーザーでBluetoothメインで使うのはおすすめしません。それでも音はいいですけどね。
操作は慣れが必要
操作方法については次のとおりです。
アプリを使わずとも、ゲイン設定からデジタルフィルターの設定、その他画面の明るさや画面表示の反転、接続デバイスの設定まであらゆる設定を本体のみで行えるのが強みです。
ただ、操作性については、ちょっと慣れが必要なように感じました。
というのも、電源・音量調整ダイヤルも、マルチファンクションダイヤルも、どちらも同じ形状で並列に並んでいるので、直感的にどっちがどっちのダイヤルかわからなくなることが多いんですよ。
音量調整をしようと思ったら操作するダイヤルを間違えて次の曲にいったり、本体設定をしようと思ったら電源を消してしまったりといったことが何度もありました。
2つ操作ダイヤルがあった方が操作はしやすいとは思いますが、どちらを操作すればいいかホントに分からなくなることが多いので、どうせだったらダイヤルを1つにして欲しかったです。
ダイヤルの代わりに上下レバーとか、とりあえず2つのダイヤルの形状を差別化してほしいです。
SyncLinkが途切れることが多い
そのほか気になる点ですが、SDカード内の楽曲をスマホから選曲する際、かなりの確率でスマートフォンとの接続が途切れているんですよね。
その度にEddict Playerの「SyncLink」から、一度接続しなおしが必要になります。
アルバムを通しで聴いている間は気にならないですが、選曲する機会が多いとその度に一度繋ぎなおしをしないといけないことが多いのでストレスが溜まります。
アプリがどうもまだ不安定ですねー。
あくまでスマートフォンのコントロールとしての機能が途切れるだけなので、音楽は途切れません。
Shanlingはわりとファームウェアアップデートが配信されることが多いので、今後解消されることに期待しましょう
Shanling H5 まとめ
総合評価
4.5/5
H5
- 音質が良いのに利便性もかなり高い
- SDカードでワイヤレスでも劣化なしで聴ける
- Bluetoothでもかなり高音質
- 有線から無線まであらゆる方法で聴ける
- 入出力端子がかなり豊富
- 本体のみでゲインやフィルターの設定ができる
- SyncLinkが途切れることが多い
- AACで接続されないことが多い
- ダイヤルがどちらも同じ形状で、どちらを操作すればいいか分かりにくい
4.5
音質
4.0
携帯性
5.0
拡張性
4.5
利便性
- 有線からワイヤレスまであらゆる用途に使えるDACが欲しい
- ワイヤレスでも劣化なく音楽を聴きたい
- ナチュラルでクセのない音が好み
デバイスと有線接続しなくても、SDカードの音源をスマートフォンで操作して聴けるのが一番の強みですね!
ドングル型DACも音に対するコスパはめちゃくちゃいいですが、スマホと有線接続してしまうと、スマホ自体の利便性が悪くなって結局使わなくなることが多いんですよ。
かといってBluetooth DACだと音が劣化するので音質を最大限まで引き出せないんですよね。
H5の場合、Bluetoothでも有線接続でも使えますし、デバイスと有線接続しなくても、SDカードの音源をスマートフォンで操作して聴けるのが一番の強みですね!
一台であらゆる場面で使いたい方におすすめのDACです!
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