ゼンハイザー HD 620S レビュー|コイツはいいぞ!! ゼンハイザーから密閉型なのに開放型のような音のヘッドホンが登場

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こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。

ゼンハイザーから大人気「HD 600」シリーズに、新たなモデル「HD 620S」が登場しました!

これね、個人的にはですけどめっちゃいいです。最近のゼンハイザーの有線ヘッドホンで多分一番好き。

HD 620Sの特徴をざっくり伝えると、HD 600シリーズとHD 500シリーズの良いとこどりをしつつ、密閉型を採用しつつも広い音場感を実現したリスニング向けヘッドホンという感じでしょうか。

今回は先行で紹介用に提供いただいたので、実機を使って今所持している「HD 660S2」や「HD 599 SE」あたりとの違いを伝えていきます。

製品提供:Sonova Consumer Hearing Japan

▼動画版はこちら▼

目次
かじかじ
元イヤホン専門店スタッフ
オーディオ販売歴9年。元々イヤホン専門店で店長やWEBマーケを担当してました。

イヤホンをレビューすることは空気を吸うようなものだと思ってます。


2024年1月時点で月間100万PV。
YouTubeチャンネル登録者は7万人ほど

HD 620S 外観・付属品

それではHD 620Sの外観や付属品をチェックしていきましょう。

パッケージ

パッケージはいつものゼンハイザーの高級ラインナップらしいシックなデザイン。

開封するとこんな感じ。

付属品

付属品一覧
  1. ポーチ
  2. 6.3mm変換プラグ(ネジ式)
  3. マニュアル

付属品の内容はめっちゃシンプル

本体・ケーブル

HD 620Sの本体は、形状的にはHD500シリーズに似たような感じ。ただ、各パーツの質感がHD 599SEと全然違いますね。

ハウジングは先にも伝えている通り、完全に密閉型。ややザラっとした質感で、ロゴ部分だけボコッと飛び出しているようなデザインです。

バンド部はSENNHEISERのロゴが左側にだけ小さく印字されたシンプルなデザイン。

アーム部は段階式で調整可能ですが、静かな音でコリコリと可動するような質感のよい調整具合。

イヤーパッドとヘッドパッドはポリウレタンベースの人工皮革を採用しておりまして、HD599 SEやHD 660S2のようなベロア素材とは全く異なる素材となっています。

かなり肉厚でほどよく低反発でモチモチとした質感です。触ってみた感じの装着感はとても良さそう。

振動版には42mm径トランスデューサーを搭載。このトランスデューサーは、「HD 660S2」にも使用されている振動板にラミネート加工が施された「Duo-Folテクノロジー」を採用。これにより、全帯域での歪みを極限まで抑え、生き生きとしたボーカルやバランスの取れた低音を実現しているようです。

振動版は柔軟に動くように設計されていて、これによって豊かでクリーンな低音を再生することに貢献しているようです。ボイスコイルには、従来の銅線コイルよりも軽量なアルミコイルが使用されており、繊細な高音の表現を可能にしているとのこと。

ドライバーの背面には音の反響を抑えるダンピング素材は使わず、その代わり設計の工夫でドライバーの応答性を高め、細かい音のニュアンスをしっかりと捉えることができるようになっています。バックプレートにはアコースティックフォームが配置。

ドライバーの前に設置されたバッフルは透明でオープンな素材を採用しており、ドライバーと耳との距離を最小限に抑えることで、純粋な音を直接耳に届ける設計になっています。また、イヤーパッドには小さな穴が開いたアコースティックフォームが使われており、柔らかな触感と音の反射を抑える機能を持っています。

これらの機構によって密閉型でありつつも、まるで開放型かのような広大で抜け感の良い音を実現しているようです。

HD 600と比較すると、特に低音域(100Hz以下)の再現性が改善されており、また高音域(4kHz以上)でもより滑らかに再生して、耳に優しいサウンドを実現しています。

ケーブルは着脱も可能で、HD 599にも採用されているロック機構付きの2.5mm端子になっています。

あれや、リケーブルの選択肢がめっちゃ少ないやつや。一応海外では4.4mmの純正バランスケーブルも販売されるようですが、日本ではまだ未定のようです。

ケーブル長は1.8mとやや長め。デスクの上で使うくらいであればちょうど良いくらいの長さ。外で無理やり使ってみましたけど、やはり長過ぎて取り回しは悪かった。

プラグは3.5mmを採用。ネジ式の変換プラグで6.3mmに切り替えられます。HD 660 S2のように付属で4.4mmバランスケーブルが付属してくれないのは残念。

HD 620Sの概要・スペック

スペック一覧HD 620 S
HD 660S2
HD 600
形式密閉型開放型開放型
ドライバー42mmトランスデューサー42mmトランスデューサー42mmトランスデューサー
インピーダンス 150Ω300Ω300Ω
再生周波数帯域6Hz〜30000Hz8Hz〜41500kHz12Hz〜40500 Hz
音圧感度105dB104dB97dB
プラグ形状3.5 mmステレオ6.3mmステレオ標準プラグ
4.4mmバランスプラグ
3.5 mmステレオ
コード長1.8m1.8m3m
重量326g260g(ケーブル除く)260g(ケーブル除く)
リケーブル対応
リモコンマイク×××
価格63,250円
ポイント10%
96,800円
ポイント10%
54,960円
ポイント10%
保証期間2年2年2年

スペック上での大きな違いはインピーダンス、再生周波数、音圧感度くらいではありますが、そもそも内部の構造がことなるため音質は聴いてみないとなんとも言えないですね。

HD 620S レビュー

装着感|密閉感が高くモチモチ

装着感はとても良いですね!イヤーパッドもヘッドパッドもモチモチで圧迫感が少なく、優しく包み込みつつしっかりと密閉してくれますね。

実際に装着してみるとこんな感じ。

前から見てるとこんな感じ。まあ据え置きがメインだと思いますので、デザイン性は気にしなくて良いかと。

はじめは側圧がちょっと強いかな?と思ったんですけど、意外と長時間装着していても耳が痛くなりにくいんですよね。側圧の強さと密閉感の高さのバランスが絶妙!

ただクローズタイプ+合成皮革のパッドということもあって密閉感がなかなかに凄いので、梅雨や夏場に使うと蒸れ蒸れになるかと。

もし群れ過ぎて気になるという方はEarTouchを検討してみてください。

装着感(4.5)

密閉型ということもあって音漏れが少ない

HD 600シリーズといえば今まで開放型を採用してきたため、ほぼスピーカーで流しているんじゃないかな?ってくらい音漏れがしていたんですけど、HD 620は密閉型なのでその心配がありません。

まあ、音漏れはある程度はしますけど、HD 660S2ほどではないです。

なので、家の中でアニメを見る時も、ある程度の音漏れは気にせずに見れますね! 頑張ればカフェで音楽鑑賞もできます。

音質|密閉型のようなアタック感と開放型のような広大さ

HD 620 Sの音質ですが、密閉型のようなアタック感を持ちつつ、まるで開放型のような広大な音場も持ち合わせたスケール感のあるサウンドのように感じましたね。

個人的な感想ですけど、これめっちゃ好きなやつや。最近のゼンハイザーの有線ヘッドホンの中ではとくに好きなやつや。

試聴環境
  • DAP:iBasso DX260
  • DAC:iBasso DC-Elite、ZEN DAC 3
  • アプリ:Apple Music
  • 接続方式:3.5mm接続
  • エージング:100時間ほど

HD 620Sの音の特長は次のとおりです。

音の特長

※10万円以下の有線ヘッドホンの評価軸です

4.7

高音

4.7

中音

4.8

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
フラット
高域寄り

音の傾向はHD 600のようなダークで繊細な感じではなく、ゼンハイザーにしてはわりと派手で歯切れも良い現代的な音のように感じました。 どちらかといえばHD 660S2のような性格に近いですね。昔のHD 600ファンにとっては少し音の性格が明るすぎるように感じるかも。

高域はとても伸びやかだけど、不快感を与えず鋭く伸ばし過ぎない角の取れたHD600シリーズらしい高音。その角が取れた柔らかな高音の中でも一音一音のレスポンスが良く、その結果、現代的な楽曲にも合うキレの良さにつながっているように感じます。

ストリングス系の外に抜けるような伸びやかな高音から、トランペットやサックス、シンバルなど弾けるような芯のある高音の表現力も高く、どんな音でもリスニングライクに再現しますね。

中域は程よく厚みがある音で、ボーカルラインもHD 600らしく艶やかにしっとりと聴かせるようなタイプ。宇多田ヒカルやMISIAのようなR&Bテイストのしっとり系女性ボーカルや、星野源や藤井風のような男性ボーカル系も得意ですね。

かといってYOASOBIやAdoといったハイトーン系ボイスもハリ良くフレッシュに聴かせるので、苦手なボーカルがないという感じですかね。どちらかといえばしっとり系ボーカルが得意って感じ。

低域の表現がとくに好みで、ゼンハイザーらしい中低域から支えるような豊かで広がるような音なのですが、バスドラムやサブベースあたりの低い周波数帯がとてもレスポンス良くズンズンと鳴らしてくれるのですよ。

ゼンハイザーのこの手のリスニング向けの有線ヘッドホンで、ここまで迫力のある音で鳴らすのもなかなか珍しいんですよね。

もちろんゼンハイザーらしくアコースティック楽器の表現も見事で、ウッドベースの弦が震えて床を伝わってフロアに広がっていく様までリアル。ジャズを聴くと超心地よいですね。ビル・エヴァンス・トリオの「Waltz for Debby」のベースだけで飯を食えるレベル。

音場はホント密閉型とは思えないくらい広大で、プラス低域の迫力もスゴイもんだから、めっちゃスケール感のある音なんですよ。ライブ感とはまた異なる壮大な感じでしょうか。

かといって、ただただ音を広げただけの迫力重視の音というわけではなく、定位感も意外に良くて、モニターヘッドホンかのように音の距離感や方向性もわかりやすいんですよ。ゲーミング用途やASMRにも向いていますね。

その音の特徴からロックやポップスなど最新チャート曲はもちろん、映画やアニメ、ゲームの壮大なサウンドトラック系との相性もとても良いんですよね。進撃の巨人の「紅蓮の弓矢」あたりとかめっちゃ壮大に鳴らしてくれますよ。

また、HD 600シリーズらしく、ジャズやクラシックなど生音系も相変わらず得意なんですよね。つまり苦手なジャンルがほとんどないんですよね。全部いけちゃう。

駆動力は必要

HD 620Sはインピーダンス150Ω、音圧感度は105dBということもあって、けっこう鳴らしにくいヘッドホンです。

HD 599 SEと同じような感覚でMacbookに直差しで使ってみましたけど、全然音量取れなくてスッカスカな音になりました。

DAPのiBasso DX260NW-WM1AM2のアンバランス接続でも出力が全然取れないので、最低でもポータブルヘッドホンアンプか、据え置きのDACアンプは必要になるかと思います。

iBasso DC-Eliteであれば3.5mm接続でも駆動力を十分確保できましたね。ドングルDACなのにこの出力の高さ、相変わらずやべぇ。

しかもHD 620Sのダイナミックで壮大なサウンドとめっちゃ相性が良いんですよ。DC-Eliteユーザーさんは、ぜひその組み合わせでe☆イヤホンとかで聴いてきてほしいです。

現実的なプランとしてはZEN DAC 3あたりがおすすめでしょうか。少し硬質な音になりますが、付属のケーブルで3.5mm接続でも十分音量が取れたので。

バランスケーブルで聴いてみると

後日、メーカーさんから純正の4.4mmケーブルを送ってもらいましたので、こちらで聴いてみました。

同じDC-Eliteで聴いても、3.5mm接続時と比べて出力を確保しやすいので、さらに低域の厚みや躍動感がアップしますね。

元々良かった定位がさらに定まったような感覚もあり、モニターらしさがでますね。ただ3.5mm(6.3mm)で聴いた方がナチュラルな音場感にはなります。

音の好みはともかく、HD 620Sをある程度の環境で慣らし切りたい場合は4.4mmで繋ぐことをおすすめしたいですね。

4.4mmバランスケーブルは後日発売予定です

HD 660S2と比べると

現在所持しているHD 600シリーズがHD 660S2のみなので、どれほどの音質差があるのか比べてみました。結論、実力的にはHD 660S2の方が上だとは思いますが、やはり予算や音の好み次第でどちらがイイかは変わるかと。

音の傾向はHD 660S2の方が開放型ということもあって、さらに高域の抜け感がよく、一聴してクリアだと感じるかと思います。ストリングスの自然に伸びていく様や、ハイハット小気味よく抜け感よく響く表現などは、あきらかにHD 660S2の方が上手で繊細な表現ができています。

対して、HD 620SはHD 660S2を聴いた後だと少し閉塞的に感じますが、低域を中心によりエネルギッシュで豊かに聴かせるような感覚ですね。

たとえばマイルスデイヴィスの「So What」で聴き比べた場合、ハイハットやピアノの表現力はHD 660S2が上。ベースの深みや迫力はHD 620Sが上。

サックスやハイハットはHD 660S2の方が自然、HD 620Sの方がパワフルって感じですかね。どっちの音もいいんですけど優劣はつけ難い感覚がありました。

ジャンル的にはどちらも基本オールジャンルに対応できますが、

  • ジャズやクラシックなど生音系をメインに聴く
    →HD 660S2
  • ロックやポップスなど低域の迫力などを重視するジャンルをメインに聴く
    →HD 620S

という印象でしたかね。

ボクもオーディオ好きとはいえ、HD 660S2のような8万〜9万クラスのヘッドホンを買うのはなかなか躊躇します。そこまで予算があるなら、逆に振り切ってしまって20万クラスまでいってしまいたいところはある。

対してHD 620Sは約6万円とちょうどミドルクラスくらいなので、予算的にも割り切って買いやすいところはありますね。

バーチャル試聴

YouTube版ではダミーヘッドによるバーチャル試聴も行っています。

HD 620S まとめ

総合評価

4.8/5

HD 620S

  • 密閉型とは思えない音場の広さ
  • 壮大でダイナミックなサウンド
  • 最新チャート曲から生音系までどんなジャンルでもこなせる
  • ゲーミングやASMR用途でも使える
  • 4.4mmバランスケーブルが付属していない

4.7

高音

4.7

中音

4.8

低音

4.5

解像度

4.8

迫力

4.5

装着感

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低音寄り
フラット
高音寄り

HD 620Sはこんな人におすすめ

こんな人におすすめ
  • 予算4〜6万クラスの自宅で使える有線ヘッドホンを探している
  • ロックやポップス、ジャズ・クラシックまで様々なジャンルを聴く
  • 音楽鑑賞からゲーミングまで様々な用途で使う
  • HD 600シリーズの音は好きだけど、音漏れを少なくして使いたい

個人的にはHD 660S2の時よりも感動した音でしたね! HD 660S2ももちろん音がいいんですど、その前に価格がネックになってしまうんですよね……。

HD 620Sはまだ現実的なミドルクラスとしての価格帯ですし、これくらいの予算で考えていた方も買いやすいかと!

個人めっちゃ気に入りましたし、メイン機の一つとして使おうと思います。同価格帯の他社製品と比べてもかなり好きでした。

DAPやドングルDAC単体でしっかり駆動したい場合は4.4mmバランスケーブルを導入することもおすすめします。

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