こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
はい〜今回紹介するのは、42万円の有線イヤホンです。
バチクソ高すぎてバカじゃねえの?って思うかもしれないですけど、大丈夫! ボクも思ってるから。
こういう世界もあるよ〜くらいの感覚でご覧ください。
今回紹介するのはMELODIC ARTIFICATION の「ALTER EGO(オルター・エゴ)」というイヤホン。パッと見のデザインすごいでしょ。
今回は01Diverseという代理店さんから、紹介用に一時的に借りています。イヤホン界隈でも最近話題になっているSvgaなどのブランドを取り扱う代理店さんですね。
ボクも以前、TIMSOK『TS-316』というなかなか衝撃的なサウンドだった7万円台の有線イヤホンを紹介しましたけど、元はTIMSOKと同じブランドのようですね。
どうやら代理店さんの方で先行販売しているイヤホンのようで、あまりに工数がかかりすぎるから大量生産は難しく、2024年9月20日まで限定で16個だけ販売しているようです。
この約42万円の有線イヤホンがどれほどのものなのか、検証していきましょう。
alter ego 外観・付属品
それではalter egoの外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ
パッケージはTHE・立方体! 48万もするから、さすがにブランドロゴの印字などは高級感のある演出になっていますね。
開封するとこんな感じ。
付属品
- ALTER EGO本体 x1
- ケーブル x1
- イヤホンケース x1
- イヤホン保護ポーチ x2
- イヤピース
- マニュアル
イヤーピースは日本のオーディオブランド「Final」の E Type (M) 1ペアと、E Type TWS (XS/S/M/L/XL) 各1ペア付属するという珍しい構成。
ケースはベロア調のめちゃくちゃ高級感あるデザイン。
中を開くとこんな感じ。これだとイヤホン本体がぶつかりあって傷がつきそうだから、他のケースを使ったほうがいいかも……。
本体・ケーブル
本体がこちら。工学的かつ、どこかアンティークさもあるようなデザインでめちゃんこカッコイイ!
筐体にはTC-4チタン合金を採用。優れた強度、耐腐食性能や生体適合性を持ち、これらの特性を生かして航空機の部品や歯科治療のインプラントにも使用される素材です。
軽量で肌にも優しく、長時間の装着時も耳に負担がかかりにくい仕様となっています。金属筐体なのにズッシリとした重さも感じにくいですね。
切削加工の難易度の高いTC-4チタン合金を、職人の技術によって仕上げられています。この素材と切削加工だけですでに10万くらい使ってそう。
ドライバーユニットには、自社カスタム設計の10.5mmダイナミックドライバー、Sonion製BAドライバー4つ、ESTドライバー4つで構成された「1DD+4BA+4EST」の9ドライバー構成となっています。
特徴的なのはシェルのスイッチング機能。こちらを操作することで「ニュートラルモード」と「ベースモード」にチューニングを変換することができます。
特許を取得している自社開発のオリジナル技術で、「1つの体に2つの人格」である「オルター・エゴ」という商品名の由来となっているとのこと。
スイッチングも筐体からそこまで飛び出していないので、スイッチ部分が折れてしまう心配も少ないですね。
ただ、このスイッチの切り替えがけっこう硬めで力がいります。
それ以外の説明はブランドページには記載がありませんでしたが、筐体は開放型かな?
内側は耳の形に沿った流線型デザインで、シンプルだけど美しさも感じられるデザインになっています。
ケーブル着脱部は2pinフラット仕様。
ノズルは筐体と同じ素材で、開口部は金属メッシュ仕様になっています。
ケーブルには高純度無酸素銅線を採用、標準的な0.78mm 2PINを採用しているため、ケーブルの交換やアップグレードにも対応しています。
コネクタ部は埋め込みにも対応した2pin仕様。
筐体側はフラットなのにケーブル側は埋め込みタイプなのは見た目的にも耐久性的にもあまり好きじゃない。
耳掛け部は形状固定型。
アジャスター部もチタン合金を使っているのかな? イヤホン本体と同じ素材っぽい感じがする。
プラグは4.4mm固定ですね。この価格帯だとマルチプラグに対応しているものが多いのに、逆に固定は珍しい気がする。
alter egoの概要・スペック
スペック一覧 | alter ego |
---|---|
形式 | カナル型 |
ドライバー | ・10.5mmダイナミックドライバー x1 ・Sonion BAドライバー x4 ・Sonion ESTドライバー x4 |
筐体素材 | TC4チタン |
インピーダンス | 25Ω |
再生周波数帯域 | 5Hz – 40kHz |
音圧感度 | 104dB |
プラグ形状 | 4.4mm5極 |
コード長 | 1.2m |
リケーブル対応 | 0.78mm 2PIN |
alter ego レビュー
装着感|耳馴染みがとても良い
alter egoの装着感ですが、とても良いと思います。
チタン合金のおかげか耳馴染みが良く、そして軽くて異物感が少ないように感じましたね。
実際に装着してみるとこんな感じ。デザインかっけぇ。
前から見てもこんな感じ。
筐体も大きすぎず小さすぎずちょうど良い塩梅です。
本体が軽いから負担もかかりにくいですし、装着感周りは全然不満なしでした。
冬に使うとヒヤッとするかもしれないですけどね。
装着感 | (4.5) |
開放型にしては遮音性は高いが……
開放型のデザインにしては遮音性はそれなりには高めではあります。なので屋外で使っても音楽を聴いていれば周りの雑音はそこまで気になりません。
ただ、それ以上に音漏れがけっこう激しいです。
ある程度の音量でも聴いていても音漏れがするので、カフェでの使用についても音量を注意して聴く必要がありそうです。
なので自宅で聴く「据え置き型のイヤホン」というポジションになるかもしれません。せいぜい散歩で使えるくらいでしょうかね。
音質|これが48万の音
alter egoの音質についてですが、いや〜さすがに今までレビューしてきた20万クラスと比べても格の違いを見せつける実力です。
音が良すぎて怖いというか、慣れてしまうと他のイヤホンのレビューに支障がでそう……。
逆に言えば、使い分けはせず1本のイヤホンで超至高音質に浸っていたいという方にはおすすめしたい逸品です。
- DAP:SONY NW-WM1AM2
- アプリ:Apple Music
- 接続方式:4.4mmバランス接続
- イヤーピース:final Type E
- エージング:100時間ほど
- スイッチ:ニュートラルモード
alter egoの音の特長は次のとおりです。
10万〜20万円クラスの有線イヤホンの評価軸
5.3
高音
5.4
中音
5.3
低音
10万〜20万クラスの評価軸までしか用意していないので、評価を振り切るしかなかった……。
一聴して感じたことは、全体的にとてもナチュラルでクセが少なく、それでいて解像度が顕微鏡レベルで高いという印象でしょうか。
やや分析的にも聴こえますが、モニター系のイヤホンのように音を硬質にして輪郭をクッキリと粗探しのように鳴らすタイプではなく、全ての音が聴こえるのにナチュラルに調和し合っているような感覚ですね。
開放型設計のためか音場もかなり広く、外に抜けていくような自然な音場感を演出してくれます。
高音
開放型を採用している影響か、とても抜け感が良く非常に伸びやかでありつつもピーキーにならない聴きやすいサウンドです。
金属筐体特有の余韻感のようなものは少なめで、楽曲が持つ音情報を率直に引き出すような感覚がありますね。
煌びやかさやキレではなく”抜けの良さ””ナチュラルさ”を重視した高音という印象ですね。
中域
alter egoの一番の強みはボーカルを中心とした中域の再現性の高さのように感じました。
ボーカルのピーク表現が絶妙で、とてもハリが良くキツく感じるギリギリラインまで伸びるのに、高域の抜けの良さのおかげで”キツさ”としては耳にインプットされず、気持ちいいラインだけを抽出してくれるような感覚です。
ボーカルと同じ帯域のギターやピアノなどの音も、ある程度の価格帯のイヤホンでもサビでは音が団子になりがちですが、alter egoの場合は特別意識せずとも耳で余裕で追えます。
かといって楽器隊に目移り(耳移り?)することはなく、ボーカルはメインとして据えさせる絶妙な距離感がGood。
写真で例えると、ボケがなくて背景にもピントが当たっているのに、写っている人がすんげぇカワイイから結局そっちに目がいってしまうような感じ(伝われ)。
低域
低域の表現力もエグいですね。
ビル・エヴァンス・トリオの「Waltz for Debby」を聴いたら、もはや左側からウッドベースをリアルに鳴らされている感覚になります。
5畳の作業部屋でイヤホン聴きながらレビューを書いているのに、なぜか左側だけジャズのステージが出来上がっていて、そのステージ上から空気を揺らしながらウッドベースをボンボンとフロアを響かせながら鳴らしている様が情景として浮かび上がってきます。
イヤホンで聴いているので、スピーカーのように「目の前で弾いているみたい!」って感じにはなりませんが、そのかわり耳にウッドベースが住んでくれる寄生型です。ちなみに右耳にはピアノが住んでます。
それくらいリアルな低域の表現をしてくれますね。
ドラムやエレキベースでも無理やりアコースティックな表現にする感じでもなく、楽曲が持つ躍動感をそのままに引き出してくれるような感覚です。
スイッチを切り替えると
ここまで「ニュートラルモード」で聴いてきましたが、スイッチを切り替えて「ベースモード」に切り替えてみました。
低域が増えただけではなく音の性格も若干変化があるような感覚で、やや分析的で歯切れの良さもあった音が、優しく包み込むようなウォームな質感になりました。
メーカーが謳うとおり、まさに二重人格なサウンドといった感じです。
ボクは最近聴く楽曲だと、「ニュートラルモード」の歯切れの良い音の方が好みでしたね。ジャズやバラードをしっとりと聴きたいときは「ベースモード」かなといったところ。
得意なジャンル
特別得意なジャンルなんてものはありません。全部得意です。
ロック・ポップス・ジャズ・クラシック・ヒップホップ・EDM・メタル、なんでもいけます。
卒なくこなすとかそういうレベルじゃ〜ありません、マジで全部得意です。
総評
さすがに価格だけはあって、10万〜20万クラスと比べても格の違いを見せつける実力を持っていますね。
海外のイヤホンフォーラムサイト「Head-Fi」のイヤホンニキ達の評価も覗きましたけど、みなさん概ね同じ意見で好評のようです。
ここまでくると、良いとか悪いとかではなくて”怖い”になるんですよね。良すぎて怖いというか、慣れたらもう他のイヤホンに満足できなくなりそうで怖いというか……。
15万クラスのDAP「NW-WM1AM2」を使ってこの評価なんで、SP3000Tのような40〜50万クラスのDAPと合わせれば、さらにエグい実力になるかと思います。総額100万コースだねっ!
alter ego まとめ
alter egoをまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.5/5
alter ego
- 格の違いを見せつける圧倒的音質
- オールジャンルに対応できる表現力の高さ
- スイッチング機能で2つのサウンドを楽しめる
- 良好な装着感
- 金属筐体なのに耳馴染みが良い
- スイッチ部が硬い
- 音漏れが大きめ
- マルチプラグ対応ではない
- 価格は言わずもがな
5.3
高音
5.4
中音
5.3
低音
5.4
解像度
5.0
迫力
4.5
装着感
alter egoはこんな人におすすめ
他にも40万円クラスのイヤホンを試してきたことがありますけど、以前うちのブログで紹介したものよりは全然良かったですね。
超高解像度サウンドが調和しあうナチュラルなサウンドです。オーディオイベントくらいでしか聴けない製品だとは思いますけど、ぜひ機会があれば体感してみてください。
為替に合わせて価格改定したみたいで、約41万後半まで値下げしたそうです。いただいたクーポンコードでさらに3万円値引きになるので、今なら約39万円で買えます!!
あと日本限定でイヤホンケースもついてくるみたいです!超お買い得(?)ですね!!!!!!!
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