令和のこの時代に、FiiOから超話題のポータブルカセットプレーヤー「CP13」がうちに届きました!2024年で一番発売を楽しみにしてたやつ!
価格は19,800円ほどで、発売日は4月26日だったんですけど、あまりに人気がありすぎて各店品切れ中です。
次の入荷が5月の中旬〜下旬になっているようです。ただボクも解禁日に即予約して、なんとか発売日に手に入れることができました。
その売れ行きから非常に注目度の高い製品みたいで、AV Watchさんの情報解禁記事をXに掲載しただけで、2000RP / 6000いいね とかいってましたからね。
CP13は簡単に伝えるとめちゃくちゃ音質にこだわって録音など余計な機能は排除した高音質ポータブルカセットプレーヤーという感じでしょうか。
今回は単純に「単体での音質がどれほどなのか?」「カセットってどんな音がするの?」 など、今所持しているスマホやDAP、DACと比べた音質などを中心にレビューをしていきます。
なんせカセットに触れてこなった世代なんで、DAPやDAC・ストリーミングをメインで聴いてきたユーザーのCP13ファーストインプレッション的な感じでご覧ください。
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CP13 外観・仕様
CP13のパッケージはこちら。シンプルかつかわいい感じ。
開封するとこんな感じ。
- ・取扱説明書
・製品保証書
・USB Type-A to Cケーブル
・保護フィルム
本体はアルミニウム合金製ダブルカラーケースを採用。サイズが意外と大きくて驚きました。
FiiOの表記のみのシンプルなデザインで超かわいい。
裏はシルバー。
カセットプレーヤーは電池式のものが多いなか、CP13はUSB-Cでの充電に対応。ここが令和のカセットプレーヤーっぽい。ちなみに、再生時間は単体で13時間持ちます。
ボタン部も再生・早送り・巻き戻し・停止のみと超シンプル。
内部には超大型の順動性フライホイールがあり、この再生時のテープのリールがスムーズに動いて、回転むらを示すワウフラッターを極めて低レベルに抑えることが可能。
モーター部には4.2Vの高電圧モーターを採用。一般的なカセットでは1.8Vや3Vが多いですが、この高電圧でモーターの速度安定化回路と連動して動作速度を安定させることができます
側面はボリュームと充電用USB-C端子、3.5mmヘッドフォンジャックが備わっています。ボリューム部もヌルヌルと動くような感じで質感もなかなかに高め。
出力レベルは250mV以上(32Ω)。バッテリーは1,800mAhのリチウム電池を搭載し、13時間の連続再生に対応。電池式の方が長持ちはするけど、バッテリーのほうがラクでいいですね。
カセットを開ける時は手動で開ける必要があり、指を引っ掛ける部分があるので、ここに引っ掛けて開けるような仕様です。
カセットプレーヤーによっては、停止ボタンを押すとパカっと開くタイプもありますが、CP13はそのようなタイプではありません。
中身はこんな感じ
最適な磁気ヘッド構造により外部干渉からの保護や耐摩耗性が向上。バランス回路設計による高S/N比、低歪みを実現しているようです。
オペアンプには「キング・オブ・オペアンプ」として知られるJRC5532を採用しているとのことです。
重さは実測値319.2g。iPhone 15 Proがケース込みで220gほどなので、スマホよりもかなりズッシリときます。
CP13 スペック
カラー | Black & White / Blue |
---|---|
出力端子 | 3.5mmステレオミニ |
出力レベル | 250mV以上 (32Ω) |
インピーダンス | 8-150Ω |
S/N比 | ≧55dB |
対応するテープの種類 | Type I ※ CP13にはテープの種類を判別する機能および種類ごとに規格上定められている再生イコライザを割り当てる機能がないため、常にType Iの再生イコライザが適用されます。そのため、非対応となるTypeⅡ/Ⅲ/Ⅳのテープを再生した場合、正常に再生することができません。非対応のテープを再生してもCP13本体やテープが破損することはございません。 |
対応するテープの長さ | 60分以下 ※ 60分を超える長時間テープは大変薄く伸びやすいため、メカに巻き込まれる虞があります。万が一60分を超えるテープを使用し、巻き込まれ等による破損が生じた場合、保証外となりますことを予めご承知おきください。 |
バッテリー容量 | 1800mAh |
電池寿命 | 13時間 @40mV |
スタンバイ | 268日間 |
サイズ | 約120×88.3×31.8mm |
重量 | 約310g |
付属品 | ・取扱説明書 ・製品保証書 ・USB Type-A to Cケーブル ・保護フィルム |
さっそく使ってみた
それでは早速CP13を使っていきましょう。今回は「cero」という日本のアーティストの購入特典でついてきた限定テープ「陸の上の晩餐」を使って検証します。購入から5年ほど経つけど、やっと聴ける……。
そしてカセットを使い慣れていなさすぎて、どの向きで入れたら良いのかはじめわからなかった……。
カセットのジャケットが窓から見えてとてもエモいですね。
ヘッドホンはとりあえずゼンハイザーのHD 599 SE(セールで15,000円くらいで買ったやつ)を使って検証します。カセットを初めてちゃんと聴くので楽しみ!
スイッチオン!
……
結論、音質を単純に求めるだけであれば今まで聴いてきたDAPやスマホでストリーミング音源を聴いた方が間違いなく良いですね。
同じ音源をiPhone 15 Pro +ドングルDACのShanling UA4(14,000円くらい)の組み合わせで聴いてみましたが、こちらの方かなりノイズが少なく、高域も低域もよく伸び、解像度も明らかにが高いです。
CP13はカセットプレイヤーの中ではとても高音質という感じでしょうか。ただ、スマホやDAPと比べると、カセットが回っている時のノイズやホワイトノイズがけっこう目立ちます。
高域にざらついた感じがありますし、低域はそれほど沈み込むわけでもなく、ダイナミックレンジは狭め。ただ、音質は非常に温かく、アナログレコードのような非常にアナログライクな温かみのあるサウンドです。
まさに一言で言うなら「レトロなサウンド」という感じでしょうか。DAPでストリーミングなどの現代的なサウンドに慣れている場合はモッサリとした印象を受けるかと思います。
CP13はロマンを求めるような感じですね。カセットプレーヤーとしては高音質であることは間違いないので、今所持しているカセットの音をポータブル環境で最大限に活かしたい方にはおすすめですね。
一般的なカセットプレーヤーと比べると
一応もう一つカセットプレーヤーを所持していまして、People In The Boxのアルバム「Camera Obscura」の限定カセット版についてきたカセットプレーヤーがあります。多分3000円くらいのやつ。
こちらと比べると、CP13の音質がカセットプレーヤーとしては明らかに良いことがわかりました。
カセット特有のチリチリノイズは避けられませんが、レンジが明らかに広く音に芯があり、カセットが持つ情報を最大限まで引き出せていることがわかります。
また、安いカセットプレーヤーだと再生速度が安定しないことがあって、音域がわずかに下がって不協和音のような音になることがチョイチョイあったのですが、CP13はストリーミングで聴いている時と同様にずっと安定した音域で聴かせてくれます。
安いカセットプレーヤーと比べることで、CP13がいかに音にこだわりを持って作られているかをわからされました。
操作をする過程すべてに惹かれる
操作性も非常にシンプル。カセットを入れて再生ボタンを押して音楽を聴き、片面が終了すると自動で再生が止まり、カセットを裏返してB面を聴くみたいな感じです。
録音機能やBluetooth機能などは一切なく、マジでカセットを聴くだけです。自動的に片面を再生を始めるオートリバース機能は欲しかった。
操作感はともかく、操作する過程がすべて新鮮で心がくすぶられる感覚があります。
再生ボタンを押した時の「カチャ」っという音や、巻き戻しをしているときの「キュルルル」とテープを巻く音、ストリーミングのように一瞬で頭出しなどができないめんどくささ、全てがエモいです。
そもそもなんでそんなに欲しかったの?
ボクはMDから音楽を聴き始めた世代なので、カセットは一度も使ったことがありません。ただ、2024年に発売するオーディオ製品のなかで一番楽しみにしていました。
別に音楽を聴くだけであればスマホでSpotifyなどのサブスクを使えばいい話なのですが、カセットはCDやサブスクのようなデータとは違い、完全にアナログで音楽を再生できるのですよ。感覚で伝えるなら”気軽に持ち運べるレコード”のような感覚。
CDのようにデジタルのデータを引き出して再生するのではなく、レコードのようにその媒体自体がアナログで音を鳴らせることに魅力を感じています。ボクの意見ですけどね。
便利な時代にアナログな不便さを楽しむオーディオ界のキャンプブームみたいなもんですよ。レコードも売り上げを伸ばしているみたいですしね。
「だったら普通に安いカセットプレーヤーで聴けばいいじゃん」って思うかもしれないですけど、音質には妥協したくないんですよ。
カセットで引き出せる最大限の音質で聴いてみたいからこそ、CP13を求めていたんですよね。
CP13 まとめ
正直、ふつうに高音質・高解像度で音楽を楽しみたいなら、DACやDAPを使ったほうが絶対にいいと思います。
ただ、令和のこの時代に「カセットを高音質で聴けるポータブルプレーヤー」はCP13くらいしかほぼ選択肢がないんですよね。とても貴重な存在。
他の選択肢だとwe are rewind Cassette Playerも気になっています。
全体を通してネガティブなレビューに見えるかもしれませんけど、ボクは購入してとても満足していますよ。なんだったら今すぐ中目黒のカセットテープ専門店「waltz」に行って、カセットを買い漁りたいくらいですもん。
昔のカセットをたくさん所持されている方や、これからカセットをコレクションしていきたい方にとってはこの上ない製品だと思います。というか売り切れてるくらいだから相当な需要があるんだと思いますけどね。
気になっていた方は、ぜひ購入してみてください。カセットで聴くと、一つひとつの音楽体験がキャンプかのように新鮮になります。
コメント
コメント一覧 (3件)
初コメです。
レビューを読んでいて、
ドンシャリとかポタプロの音は
元々カセット向きなのかもしれないと
ふと思いました。
ポタプロで聴いてみたいです。
CDが出たのが82年、MDが普及したのが90年代後半でしたが、ポータブルCDプレイヤーが出始めたのが88年頃でした。ただポータブルCDプレイヤーはディスクに傷がつく事もあって結局「良いカセットデッキで録音して」「携帯カセットプレイヤーで外で聞く」というのが携帯プレイヤー主流がMDやメモリーオーディオに移行する前でしたね。
カセットのライブラリーを持っている人を仮にMD時代に30代とすると、そろそろ還暦でリタイア前後の年齢ですから、外に持ち出して聞く時間は余りなさそうです…また当時のライブラリー(例えばFMエアチェック等、CDはサブスクで代替できない物) をお持ちなら、2000年頃までに買ったデッキをメンテしながらお使いかもですね。
なので本製品は全盛期を知る年代というよりは、昨年くらいからの若い世代の間での「ミニブーム」になっていることに目をつけた製品ではないでしょうか…
非常に的確なレビューです。解像感を全面に押し出した音作りでこれではハイレゾ音源に慣れた世代には「?」でしょう。残念ながらCP13はアナログ音源の良さを引き出してはいない。アナログの魅力のひとつである比較的ナロウな高域とリッチな中低域でボリュームをガッツリ上げて音圧を楽しむ事もできない。アナログ独特の空気感もカットされてCDを聴いているような感覚だ。カセットテープとしては高解像度、高音質なのは間違いがないが、それでスポイルされてしまった点も多い。
結論としてはこれで聴かされてもアナログの良さは全く分からないと思います。