こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
DACやDAPなどで有名なオーディオブランド「FiiO」から、BluetoothDACアンプのフラッグシップモデル「BTR17」が2024年11月に登場しました。

以前、音質が良すぎて「DAPいらん」と紹介したBTR7の後継機となりますね。

発売日に買っていたんですけど、12月〜1月が多忙でなかなかレビューできませんでしたが、ようやく時間が作れたのでレビューします。
主な特徴はこちら。
- DACチップ「ES9069Q」をデュアル搭載
- 「THX AAA 78+」アンプによる強力な出力と優れた音質
- QCC5181搭載による最新鋭のワイヤレス性能でロスレスオーディオにも対応
- 専用のデスクトップモードを搭載
- バランス出力で650mWという高出力を実現
- 価格は35000円ほど
この前コスパ最強のDAP「JM21」をレビューしたところですが「BTR17とどっちがええんや……」ってなっている人も多いと思うんですよ。

なので今回はBTR17を中心に紹介しつつ、JM21とどちらがおすすめなのかもお伝えできればと思います。
結論、どっちもめちゃめちゃいいんですけど、どちらか一つしか持てないとなったら、ボクだったらBTR17かな……。
YouTube版はこちら
FiiO BTR17 外観・付属品
FiiO BTR17のパッケージはこちら。最近のFiiOのようにスマートな感じではなく、ガジェット感の強いシンプルなデザイン。

開封するとこんな感じ。


- 専用レザーケース
- USB Type-C to Type-C ショートケーブル
- クイックスタートガイド
- PET保護フィルム(貼付済)
付属のType-C ショートケーブルには、アナログ電流伝送用に単結晶銅導体6芯、デジタル信号伝送用に結晶銅銀メッキ導体2芯を採用した高品質な特製8芯ケーブルが付属。

付属品にしてはこだわりすぎやろ。これでUSBの有線接続時も極力劣化のない音で伝送ができるというわけですな。
それだけではなくレザーケースも初めから付属しています。

BTR7のケースと比べてスポスポしすぎずガッシリとした質感になりました。別売りでもおかしくないレベル。
画面には保護フィルムも初めてから装着されているし、最近のFiiOの付属品の充実っぷりすごくね?
本体はいつものFiiOらしい装飾感のないシンプルなデザイン。

BTR7、BTR13、KA17、JM21とサイズを比べるとこんな感じ。

サイズ感はBTR7とほぼ同じですね。
右側面にはボリュームノブ兼マルチファンクションボタン、電源ボタン、上ボタン、下ボタン、モード切り替えスイッチ、デスクトップモードスイッチとボタン類が全て集約されています。

モード切り替えスイッチによって、Bluetooth接続、スマホとの有線接続、パソコンとの有線接続、それぞれワンアクションで切り替えられるようになります。
このモードスイッチとデスクトップモードスイッチはBTR7にはなかったので、音質だけでなく利便性もアップしていますね。
底面には2種類のUSB-C端子が搭載。片方はデータ通信用、片方は給電用になります。

このように2つのUSBを設けることで、有線接続時でもスマホのバッテリー消費を抑えつつ安定した電力を供給できたり、後ほど紹介するデスクトップモードも使えたりします。
天面には3.5mm / 4.4mmのイヤホンジャックが備わっています。

抜き差ししてもジャックがガリガリと削れる感じもなく、スルスルと挿入できます。

重さは71.2g。

BTR7の実測値が69.5gなので少しだけ重たくなっていますね。ちなみにJM21は148.1gと2倍以上重い。


FiiO BTR17 概要・スペック
FiiO BTR17の特徴はこちら。
スペック | BTR17![]() | BTR7![]() | JM21![]() | KA17![]() |
---|---|---|---|---|
Bluetoothチップ | QCC5181 | QCC5124 | – | – |
DACチップ | ES9069Q×2 | ES9219C x2 | CS43198×2 | ES9069Q×2 |
ヘッドホンアンプ | THX AAA 78+ | THX AAA-28 | – | THX AAA 78+ |
Bluetoothバージョン | 5.4 | 5.1 | 5.0 | – |
対応Bluetoothコーデック | AAC/SBC/aptX/aptX Adaptive/ aptXLossless/aptX HD/LDAC | SBC, AAC, aptX, aptX LL, aptX HD, aptX Adaptive, LDAC | 送信:SBC / AAC / aptX / aptX HD / LHDC / LDAC 受信:SBC / AAC / LDAC | – |
USB DAC対応サンプリングレート | PCM 768kHz/32bit、DSD512(Native) MQAフルデコード対応 | PCM 384KHz/32bit, DSD256(Native) | PCM 384KHz/32bit, DSD256(Native) | PCM768kHz/32bit,DSD512/1bit, MQAフルデコード |
ディスプレイ | 1.3インチ、40×240ピクセル、IPSパネル | 1.3インチIPSカラースクリーン | 4.7インチ(750×1334) | 0.91インチドットマトリックスディスプレイ |
出力 | 3.5mmシングルエンド + 4.4mmバランス | 3.5mmシングルエンド + 4.4mmバランス | 3.5mm/ライン/同軸出力 4.4mmバランス/ライン出力 USB Type-C | 3.5mmシングルエンド + 4.4mmバランス 3.5mm4極S/PDIF出力 |
連続再生時間 | 約8時間(LDAC使用時) | 3.5mm:約9時間, 4.4mm: 約8時間 | 3.5mm:最大12.5時間 4.4mm:最大9.5時間 | – |
出力 (32Ω) | 3.5mm:280mW, 4.4mm:650mW | 3.5mm:160mW, 4.4mm:320mW | 3.5mm:245mW 4.4mm:700mW | 3.5mm:320mW (16Ω) 4.4mm:650mW |
S/N比 | ≥126dB(USB入力時、デスクトップモード、A特性) | 3.5mm:118dB, 4.4mm:115dB | ≧130dB | ≥126dB(USB入力時、バランス接続、デスクトップモード、A特性) |
ノイズフロア | <0.00035% (USB入力時、デスクトップモード、バランス出力) | 3.5mm: 3μV以下 4.4mm:5.5μV以下 | <1.5μV | <2.2uV(バランス出力時、A特性) |
THD+N | <0.00035% (USB入力時、デスクトップモード、バランス出力) | 3.5mm: 0.00055%未満, 4.4mm: 0.00048%未満 | <0.0006% | <0.0004%(1kHz, 32kΩ) |
価格 | 35,172円 | 32,200円ほど | 29,700円 | 26,397円 |
FiiO BTR17 レビュー
音質|DAPいらんやん
FiiO BTR17の音質ですが、前作同様にDAPいらんやんって思えるような音質の良さです。
前作のBTR7と比べてもパワーアップしていますし、音の傾向も少し変わっていますね。
- スマホ:Xperia1Ⅵ
- 接続方式:Bluetooth LDAC(990kbps)
- アプリ:Apple Music
- イヤホン/ヘッドホン:DUNU Davinci(4.4mm) / T3-01
- デスクトップモード:OFF
- ゲイン:High

音の特徴は次のとおりです。
4.6
音質
音の傾向
音の傾向は中高域はFiiOらしいニュートラルで楽曲が持つ特性を率直に出すような印象なのですが、BTR7と比べて少し中低域寄りになっているように感じますね。
BTR7がFiiOらしい雑味のないクリーンな音で、THE・ニュートラル&ナチュラルって感じでしたけど、BTR17はニュートラルを軸にしつつダイナミック寄りの音になっていますね。
ボクはニュートラルすぎる音よりもメリハリ感のある音の方が好みなので、BTR17の音の方が好きですね。
音場
音場はBTR7と同様に少し広めなように感じます。低域が広がるようになっているためか、BTR17の方がよりダイナミックな広さを感じますね。
高域
高域はBTR7と同様にワイヤレスとは思えないほどの雑味のないクリーンな高音。
BTR7と比べても、高域の粒立ちが少し良くなって音圧も増しているように感じますね。
BTR7は「サラッ」と、BTR17「少しパキっと」って感じ。
他の記事だと「1枚ベールが剥がれたように感じる」という表現を見受けられましたが、ボク的には「ベールが厚くなって質感が若干硬くなった」って感じですね。
中域
中域はBTR7と同様に解像度が高く、ピアノやギター、ボーカルなど、同じ帯域の楽器を見事に分離して聴かせます。
また、BTR7で感じていた少し薄めでサラッとしすぎて楽器隊と同化するような感覚がなくなり、ボーカルにもハリの良さが加わりましたね。うん、BTR17の方が好み
低域
低域はBTR7と比べて豊かに広がるようなスケール感のある音のように感じます。BTR7と比べると低域寄りな気がする。
BTR7の方が全体域にわたりフラットな感覚でしたが、BTR17は低域の主張が少し強くなるので、この点でBTR7の方が好みだった!という人もいるかも。
低域の表現もボクはBTR17のほうが好みですけどね。
総評
総評すると、Bluetooth接続時の音質はBTR7と比べてややアップといったところでしょうかね。
それよりも音の傾向による違いのほうが大きいですね。より厚みのある音になっています。
ボクはBTR17のほうが好みよ?
有線接続すると?
有線接続でも聴いてみましたが、音質はかなりアップしますね。

aptX Lossless / LDACそれぞれで聴き比べてみましたが、中高域側で少し薄くなっていた解像度が高くなり、より密度のある音になりました。
ボーカルが薄くて少し上擦っていた感覚もなくなり、芯を感じる歌声になりましたね。
ただ、スマホに繋がった状態になってしまうので、スマホ自体の利便性が悪くなってしまうのが欠点。
屋外でスマホをフリーにしつつ、気軽に有線イヤホンを聴きたい時はBluetooth接続。
自宅やカフェなどゆったりできるところでは、有線接続で聴くといった二刀流で使える点がBTR17の魅力の一つかと思います。
パソコンに接続すれば、据え置きのDACアンプとしても役に立ってくれますよ!
切り替えスイッチでPCモードにして、サクッと据え置きDACアンプとして使えるのもいいですね。
JM21のUSB-DACモードと違って遅延もありません。
デスクトップモードの音良すぎやろ
デスクトップモードのスイッチをONにすると、明らかに音が変化するというか本領発揮できるようになりますね。ふつうに1ランクほど音質がアップしたように感じます。

OFF時と比べて出力がかなり向上してし、ヘッドホンもより余裕を持って駆動できるようになりますね。デスクトップモード時は前作のBTR7と比べても明らかに出力の違いを感じますね。
バランス接続であれば、TAGO STUDIO T3-01(インピーダンス:70Ω、音圧感度:100dB)は余裕で鳴らせます。HD 620S(インピーダンス:150Ω、音圧感度:110dB)クラスだとギリギリかな。
3.5mm接続時のHiFiMAN SUNDARAや、HD 800 Sクラスだとさすがに厳しいですね〜。
また、OFF時と比べて低域の量感はそのままに中高域が持ち上がるので、少し低域寄りだった傾向がフラット寄りになるんですよね。あと音が全体的に近くなるようにも感じます。
なにこれ、デスクトップモードを前提にチューニングでもしてるのかしら?
ノイズも低減し、ボヤッとしていた音像がビシッと定まって、音の輪郭をクッキリと感じられるように。俗にいうS/Nが良くなった感じ。
デスクトップモードであれば同価格帯のドングルDACも食い尽くすほどの音質の良さですよ。
やはり電力…!! 電力は全てを解決する…!!
ちなみにこのデスクトップモード、PCモード時にiPhone 15〜と有線接続をしても使えるのですが、音質と引き換えにスゴい勢いでiPhone側のバッテリーが減っていきます。

ちなみにBTモードでPOWER INに給電してあげれば、Bluetoothでもデスクトップモードでも使えます。「ほぼ有線接続じゃねえか」ってツッコミは受け付けません。
モバイルバッテリーを繋げてBluetoothでもデスクトップモードじゃ!! HAHAHAHAHAHAHA!!!!!!!!!!!!
これ罪なモードやで。デスクトップモードの音があまりに好みだから、どんな環境下でもデスクトップモードで使いたくなるんよ。
いくら良いとはいえ、7万円クラスのDC-Eliteにはさすがに勝てないですが、デスクトップモードだとけっこうイイ線まで対抗できているんですよね。この子スゴイわ。
KA17と比べると
KA17とも4.4mmバランス接続 / デスクトップモード / Highゲイン / デジタルフィルターも合わせて聴き比べてみましたが、音はかなり近いですね。

DACチップがES9069Q×2、THX AAA 78+、計測値もほぼ同じなので、音は同じでもおかしくないんですよね。
Bluetoothレシーバー機能とバッテリーを搭載したKA17みたいな感じですかね。
ただ、KA17の方が若干だけ一音一音の音が太くて、音の粒立ちが少しだけ良い気がしますかね〜。多分何回も聴きなおせるならブラインドテストをされてもわかるレベル。
Blueotoothなど余計な機能が備わっていない分、よりクリーンな音を出力できるのかしらね。
価格はBTR17の方が8000円ほど高いので、音質に対するコスパだけを考えればKA17の方がイイですね。
ただ、Bluetoothは便利ですし、バッテリー非搭載だとスマホのバッテリーがめっちゃ吸われるんで、ボクはBTR17でいいかな〜ってなりますかね。
Bluetoothだとスマホと物理的に話すことができるので、通信ノイズがDAC側に乗らないのがいいんですよね。「ジジジ」って音がイヤホンに入るとけっこう気になるんですよね。
コスパ最強DAP「JM21」と比べると?
そして本題である「JM21」と比べてみました。
両方ともバランス接続、BTR17はLDAC、JM21は有線接続で比べてみましたが、この条件でもBTR17の方が良く感じましたね。

なにを持って「良い音」とするか次第ですが、BTR17の方が中低域に広がりやスケール感があり、中域〜高域もより伸びやかな音のように感じましたね。解像度もBTR17の方が高いと思います。
JM21の方がニュートラルで、音も広げずに淡々と鳴らすような感覚です。
ただ、有線とワイヤレスの違いによるものなのか、JM21の方が中域のボーカルライン〜超高域にかけて密度のある音のように感じましたね。これはaptX Losslessで比較しても同じ結果になりました。
オーディオとしての性能はBTR17の方が優れているが、ワイヤレスによる劣化は免れないような感じがします。
なので、一概にBTR17の方がイイ!とも言いにくいんですよね。 ボクはBTR17の方がイイと思いましたけど。
ちなみにUSB接続で比較したら、BTR17の圧勝でした。この子USB接続時の音質めっちゃ良くない?
デスクトップモードで比較したらボロ勝ちです。
ドングルDACで例えると、JM21=KA13、BTR17=KA17くらいの音質だと思ってください。JM21はAndroidなどのOSや、SoCにコストを掛けられているので、音質ではどうしても勝てないんですよね。

操作性
操作性も特に問題なく、再生停止・音量調整・曲送りなど網羅的に操作を行えます。

メニュー画面での上下の移動も上下ボタンからボリュームノブ兼マルチファンクションボタンに変更されたことで、片手で直感的に操作しやすくなりましたね。
音量調整もスマホ側と独立して行えるので、感度の高いイヤホンと組み合わせても細かな音量調整もしやすいです。
ボリュームノブもコリコリ感があって回し心地が良きです。
なによりBTR7と比べてモードの切り替えスイッチがついたことで接続モードを簡単に切り替えられるようになったのがイイですね。
気になる点は?
気になる点ですが、USB接続時になぜか音途切れが発生することが多いんですよね。Bluetooth接続時は全然音途切れしないのに、なんで……。
音楽はちゃんと再生されたままでUSB接続も途切れるわけではないんですが、音が不定期にブチっブチっと途切れてしまいます。
電源を入れ直すと一度も音途切れなく再生できたり、また接続すると音途切れが頻繁に発生したりすることがあります。
バグなのかどうなのかわからず、原因不明……。再現性はないですが、けっこう頻繁に発生しますね……。
接続ケーブルの問題ではなく、付属ケーブルでも他のケーブルでも同じ現象が発生しました。
デスクトップモードと切り替えスイッチを周りが原因っぽい気がするんですけどね。
何か原因があると思うんですが、心当たりのある方教えてクレメンス。
あと地味にですけど、ワイヤレス充電が省かれています。あったらあったで便利が機能だった。
FiiO BTR17 まとめ
総合評価
5/5
BTR17

- DAPが必要ないほど高音質
- デスクトップモードの音質がとても良い
- 3.5mm / 4.4mmどちらも使える
- ヘッドホンも余裕で駆動できる出力の高さ
- Bluetooth / ドングル / 据え置きと
様々な用途で使える - LDAC/aptX Lossless両対応
- 本体のみでゲインやEQなど細かな設定が可能
- 付属品がとても充実している
- 操作性が高い
- USB接続時に原因不明の音途切れが発生する
4.6
音質
4.5
携帯性
4.8
拡張性
4.8
利便性
- 有線イヤホンをもっと高音質で聴きたい
- スマホ操作でサクサクとストリーミング音源を聴きたい
- DAPよりドングルDAC、Bluetoothレシーバー派
- Bluetooth / スマホ / PCなど様々な環境を一つのDACで運用したい
- 予算は3万ほど出せる
BTR17はBluetoothレシーバーじゃないですね。Bluetooth / ドングル / デスクトップ、全ての環境で使えるポータブル型オールインワンDACアンプですね!
BTR17とJM21、どちらかを買うならボクならBTR17かな!
やはりBTR17の方が音質は良いですし、デスクトップモードでさらに高出力・低ノイズ化にして据え置きDACアンプ代わりにも使えますし、Bluetooth接続でスマホ操作でサクサクストリーミングも聴けますし、総合的な満足度はBTR17の方が高いと感じました。
JM21の魅力はスマホやPCを介さずに使えるので、単体で聴くのはもちろん、ドングルDACのトランスポーターとして使ったり、iPhoneユーザーの方はLDACでワイヤレスイヤホンと接続するためのDAPとして使ったりするのもアリです。


コメント
コメント一覧 (1件)
HIFIMAN SVANAR WIRELESS定価が変わって新モデルになってから結構進化してますよ出来ればレビューしていただきたいです