こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回はイヤーピースの紹介なんですけど、パっと見は耳栓みたいなやつ。
こちらは日本の企業である「フロントソニック」さんが開発した前方定位イヤーピース「EPK10」というものになります。
ものすごくユニークな形状で、なんだったら前方に穴が空いておらず、先端の前方側に穴が空いている不思議な構造。
このような設計によって、その名のとおりイヤホンでありつつ前方側に音が広がる「前方定位」を実現したイヤーピースです。
ワイヤレスイヤホン市場は中華系がコスパ重視で攻めていますが、イヤーピース市場は日本ディックスさんのコレイルしかり、LIZER LABさんのJIJUしかり、国産は変態的なものが多いですね(笑)
価格もMサイズで1ペア3600円と高めに感じますが、最近は変態的なイヤーピースも多くて高く感じなくなってきた……。
こちらのEPK10を使ったらどのような音になるのか検証していきたいと思います。
EPK10 外観・付属品
パッケージ
パッケージは「THE・日本の中小オーディオ企業!」って感じのデザイン。
付属品などはなく、イヤーピースが1ペアだけ付属しています。
本体は蛍光色で超目立つカラーリング。
実際にイヤホンに装着してみたらこんな感じ。
サイズ
サイズはMサイズとLサイズの2種類が用意されていて、価格はMサイズが3,600円、Lサイズが4,400円とLサイズの方が800円も高いです。
後述しますが、ボクはふだんMサイズを使ってますけど、EPK10に関してはLサイズの方が良かったですね。
他社でも頭外定位を得られるイヤーピースはあるのですが、そちらは形状が特殊すぎてほとんどのワイヤレスイヤホンはケースに干渉してしまいます。
対してEPK10は軸調が一般的なイヤーピースほどの長さなので、一部のワイヤレスイヤホンではケースに干渉せずに使えるのですよ。ココが強み。
Technics EAH-AZ80、SONY WF-1000XM5、final ZE2000 / ZE3000、B&W Pi6 / Pi8はケースに干渉せず使えました。
EPK10 レビュー
音の変化について
有線イヤホンはfinal A5000、イヤホンはZE3000で検証しました。サイズはLサイズを使っています。
というのもfinalのこの2機種がEPK10との相性が特に良かったです。
音の変化は公式で謳われているとおり、やや前方から迫るようなニアフィールドスピーカーライクな定位感になります。
音の感じ方が従来のイヤホンで聴いている感覚と異なり、良いとか悪いとかではなく”新感覚!”って感じですね。
特殊な形状でありつつも、Lサイズであれば耳内をしっかり密閉できているので、低音の迫力を損なわせることもありません。むしろ迫力が増えているくらい。
ボーカルが左右の耳からではなく、鼻先聴こえるような感覚になり、スピーカーで聴いているかのようなナチュラルな定位感をイヤホンながら体感できます。この変化が一番の強み。
僕はイヤホンで聴いている音場が慣れているので違和感はないですけど、ふだんスピーカーメインで聴かれている方はイヤホンの頭の中で鳴るような感覚が苦手という方もいるかと。
そんな方向けにイヤホンでもスピーカーライクに鳴らせるようになるイヤーピースって感じですね。
最高の組み合わせはコレ
一番最高の組み合わせだったのは、B&Wの新フラッグシップモデルモデル「Pi8」です。
元々音のバランスが楽器隊よりのイヤホンなのですが、EPK10を使うことでボーカル寄りの距離感に変化します。
そのボーカルも前方に定位して自然な音場感で聴こえます。Pi8が持つポテンシャルをボーカルに注ぎ込むような感覚になりますね。このリアルなボーカルはなかなかクセになりますよ。
特にバラード系に合わせるのがおすすめ!
もちろんケースにも干渉しません。
Pi8はケースの収納部が深めなのでさまざまなイヤーピースを合わせることができますが、そのうちの選択肢のひとつとしてEPK10を選ぶのもふつうにアリ
装着感|特殊な形状にしては密閉できている
装着感は特殊な形状にしてはしっかり密閉ができています。
実際に装着してみても耳から浮くこともなく、ちゃんと耳内で収まっています。
耳栓効果としての遮音性も十分に確保できています。
はじめはMサイズで検証していましたが、小さすぎてちゃんと耳内が密閉できていない感覚がありました。Lサイズだとしっかり密閉できましたね。
ただ、構造が特殊なためノイズキャンセリングには悪影響があり、WF-1000XM5やEAH-AZ80に使うと、純正イヤーピースよりも遮音性が下がります。
また、外音取り込み機能も篭った感じの聞こえ方になってしまいます。
機能性重視のイヤホンとは相性がよくなさそうですね。
装着感 | (4.0) |
気になる点
イヤホンの相性は選ぶ
イヤホンの相性はかなり選ぶみたいで、EAH-AZ80やWF-1000XM5などは正直音質が悪くなったという印象しかありませんでした。
ノイズキャンセリングなどの機能性も悪くなります。
MOMENTUM True Wireless 4も、ノイズキャンセリングが変な挙動を起こして異音が鳴ったりするので微妙でしたね。
僕も全てのイヤホンで試したわけではないですけど、かなり相性は選ぶイヤーピースなので、音質や装着感の改善を求めて買うよりは、実験やお遊び程度に購入することをおすすめします。
Pi8のようにピッタリハマったときの音はクセになりますよ。
EPK10 まとめ
利便性は低くなりますが、今まで体感したことのないような音場をイヤホンで体感できるという点が一番のメリットかなと思います。
Pi6/Pi8との組み合わせがとくに面白かったので、購入された方でイヤーピース遊びが好きな方は実験的に買ってみてください。
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