これがAstell&Kernの完全体ドングル型DAC「AK HC4」をレビュー!デュアル端子&ケーブル着脱、アップサンプリングなど対応

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こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。

今回はAstell&Kern!

ケーブルの着脱と3.5mm / 4.4mm デュアル出力を搭載し、リアルタイムアップサンプリング機能を採用した同ブランド最上位クラスのドングル型DAC「AK HC4」を紹介します。

AK HC4の特徴
  • AKM社製の最新32bit DAC AK4493Sを搭載
  • 3.5mm / 4.4mmの両端子を搭載
  • PCM384KHz/32bit、DSD256のネイティブ再生対応
  • リアルタイムアップサンプリング機能「DAR」(Digital Audio Remaster)を搭載
  • 着脱式USBケーブル対応
  • UAC2.0/UAC1.0切替機能搭載で家庭用ゲーム機との接続にも対応

今まで発売してきたAK HC2AK HC3はケーブルの着脱はできず、3.5mmまたは4.4mmどちらかしか使えないモデルでしたが、今回はケーブルも着脱可能で3.5mm / 4.4mmどちらも搭載!

サイズは少し大きくなりましたが、利便性は大きく向上しました!

なによりリアルタイムアップサンプリング機能を搭載しているとのことなので、その音質もどれほどのものか気になります。

今回は代理店のアユートさんからレビュー用に製品を提供いただいたので、実機を使ってAK HC2、AK HC3、AK HB1などと比較しながら紹介していきます。

製品提供:アユート

目次
かじかじ
元イヤホン専門店スタッフ
オーディオ販売歴9年。元々イヤホン専門店で店長やWEBマーケを担当してました。

イヤホンをレビューすることは空気を吸うようなものだと思ってます。


2024年1月時点で月間100万PV。
YouTubeチャンネル登録者は7万人ほど

AK HC4をHC2、HC3、HB1と比較すると?

スペックはこちら!

スクロールできます
項目AK HC4AK HC2AK HC3AK HB1
DACAKM AK4493SCirrus Logic CS43198×2 (Dual-DAC)ESS Technology ES9219MQ×2 (Dual-DAC)ESS ES9281AC PRO
Bluetooth対応
対応
サンプリングレート
PCM最大 : 384KHz/32bit,
DSD最大 : DSD256(11.2MHz/1bit) ステレオ
PCM最大 : 384KHz/32bit,
DSD最大 : DSD256(11.2MHz/1bit) ステレオ
PCM最大 : 384KHz/32bit, DSD最大 : DSD256(11.2MHz/1bit) ステレオPCM : 384KHz/32bit
DSD : DSD256(11.2MHz/1bit) ステレオ
入力USB Type-C
Lightning(付属変換コネクター使用)
USB Type-C
Lightning(付属変換コネクター使用)
USB Type-C
Lightning(付属変換コネクター使用)
USB Type-C
Lightning(付属変換コネクター使用)
出力3.5mmアンバランス出力, 4.4mmバランス出力4.4mm5極バランス出力 (GND接続あり)3.5mmアンバランス出力
(CTIA規格4極マイク・コントローラー入力対応)
3.5mmアンバランス出力, 4.4mmバランス出力
アウトプット
レベル(無負荷)
2Vrms(アンバランス) 3Vrms(バランス)バランス 4Vrms (無負荷)2Vrms (無負荷)2Vrms(アンバランス)
4Vrms(バランス)
出力
インピーダンス
0.9Ω(アンバランス 3.5mm)
1.6Ω(バランス 4.4mm)
1.5Ω2.5Ω(アンバランス 3.5mm)
2Ω(バランス 4.4mm)
周波数特性±0.062dB (20Hz~20KHz), アンバランス / ±0.063dB (20Hz~20KHz), バランス
±0.066dB (20Hz~70KHz), アンバランス / ±0.067dB (20Hz~70KHz), バランス
±0.011dB (20Hz20kHz) バランス,
±0.145dB (20Hz70kHz) バランス
±0.013dB (20Hz20kHz), ±0.020dB (20Hz70kHz)±0.135dB (20Hz20kHz), アンバランス
±0.136dB (20Hz20kHz), バランス
S/N比118dB @ 1KHz, アンバランス
118dB @ 1KHz, バランス
122dB @ 1kHz, バランス118dB @ 1kHz117dB @ 1kHz, アンバランス
118dB @ 1kHz, バランス
クロストーク-134dB @ 1KHz, アンバランス
-136dB @ 1KHz, バランス
-146dB @ 1kHz, バランス-130dB @ 1kHz-112dB @ 1kHz, アンバランス
-112dB @ 1kHz, バランス
THD+N0.0005% 800Hz 10KHz (4:1), アンバランス
0.0004% 800Hz 10KHz (4:1), バランス
0.0004% @ 1kHz, バランス0.0005% @ 1kHz0.0005% @ 1kHz, アンバランス
0.0005% @ 1kHz, バランス
IMD0.0005% 800Hz 10KHz (4:1), アンバランス
0.0004% 800Hz 10KHz (4:1), バランス
0.0003% 800Hz 10kHz (4:1) バランス0.0002% 800Hz 10kHz (4:1)0.0003% 800Hz 10kHz (4:1), アンバランス
0.0003% 800Hz 10kHz (4:1), バランス
メーカー保証本体1年 / 付属品90日本体1年 / 付属品90日本体1年 / 付属品90日本体1年 / 付属品90日

AK HC4 外観・付属品

AK HC4のパッケージはいつものAstell&Kernらしい感じ。

開封するとこんな感じ。

付属品一覧

Type-Cデュアルノイズシールドケーブル

Lightningデュアルノイズシールドケーブル

マニュアル

ケーブルはType CとLightning、2本のショートケーブルが付属します。

このケーブルはノイズを最小限に抑え、より鮮明なサウンドを提供するデュアルノイズシールドケーブルを採用しています。

ケーブル全体をアルミフィルムで包むことでノイズを遮断し、電源ケーブルの周囲にもシールドを施し錫メッキ銅線を編み込むことでノイズ耐性を高めています。

付属品でありつつ、かなり質感は高そうです。

本体はこちら。

素材はアルミニウムを採用しており、カラーは「Moon Silver」という配色を採用しています。

Astell&Kernにしてはめずらしく、左右のデザインが統一されたシンメトリー設計になっています。

裏には「Astell&Kern」のロゴが.

天面には3.5mm / 4.4mmのイヤホン端子。

底面にはUSB-C端子、今回はケーブルが着脱できるようになりました。

側面には音量ボタンとDARのON・OFF切り替えスイッチ

音量は独立ボリュームといわけではなく、デバイスと連動して調整されますね。

AK HC 2やHC3 HB1と比べるとこんな感じ。

左からAK HC4、AK HC2、AK HC3、AK HB1

3.5mm / 4.4mmどちらも備えたことによって、サイズも一回り大きくなっていますね。

重さは37g。

AK HC2が229gほどなので8gほど重たくなっています。

ただ、見た目ほどズシっとくる感じはないですね。

AK HC4 レビュー

音質|HC2とHC3のいいとこ取り

AK HC4の音質ですが、AK HC2のノイズ感が少なく分離感の高いパワフルな音と、AK HC3のナチュラルでやや優しさのある音をいいとこ取りをしたような感覚ですね。

この2機種よりも解像度感や音の繊細さは確実にパワーアップしているようにも感じました。

音の特徴は次のとおりです。

音の特長

4.7

音質

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低音寄り
フラット
高音寄り

得意なジャンル

  • ポップス
  • アニソン
  • ロック

音の傾向はAstell&Kernらしく非常に高解像度で少し硬質な音ではありますが、AK HC2のように「右・左・分離!」のような左右の音が全然混じらないような音ではなく、ナチュラルにステレオ音源を再現しますね。

かといってAK HC3のようなナチュラルさに寄り過ぎているような感覚もなく、”ちょうど間”って感じの傾向。

ボーカルラインはAstell&Kernらしくとても明瞭な音ですが、かといってボーカルだけを際立たせるような感じもなくフラットに鳴らしますね。

クラシックを聴いて感じたのは、AK HC2よりも低音側へのレンジが広いこと。

ストリングスが下までグっと下がってから高域ラインまで伸びていく様をAK HC2よりもリアルに表現できています。

全体的なノイズの少なさや一音一音のパワフルさはAK HC2の方が上のように感じましたが、AK HC4はHC2のようなパワーを持ちつつ、硬質で繊細さもありつつもナチュラルさも感じる音作りです。

音のレスポンスも良いので、ロックやメタルなどスピード感のある楽曲も問題なくこなせます。基本オールジャンルOKかと思います。

楽曲の持つ特性やイヤホンの特性をニュートラルに引き出せるのでしょうね。

アンバランス接続での運用もふつうにアリ

4.4mmバランス端子が備わっていると、ついそちらで運用しがちですが、3.5mm接続で運用するのもふつうにアリなように感じました。

3.5mm側、4.4mm側どちらもAFUL Performer8で試しましたが、どちらを使ったとしても音質差はないように感じました。

3.5mmの方がAK HC4のナチュラルな音をより自然に引き出せているような感覚ですが、3.5mmであっても4.4mmで接続しているかのように解像度感も非常に高いです。

特に出力を必要としない限りはイヤホンでの運用は3.5mmでも良いように感じました。

リアルタイムアップサンプリング機能「DAR」を使ってみると

DARをONにして使ってみると、音の輪郭に付帯する音がなくなり、全体的にスッキリとした印象を受けますね。

一音ごとの厚みはやや減少しますが、全体的に繊細な音になり、細かな描写まで感じやすくなったような気がしますね。

アップサンプリングをしたからといって音が良くなるというわけではなく、音の構成の仕方が変わるような感覚に近いですね。

オフにすると一音ごとにわずかな付帯音が付いてくるような感覚で、アナログ感のある音のように感じます。

どちらがいいかどうかは好み次第ですね!

ボクはAK PA10のようなアナログ感のある音の方が好きなので、OFFで使います。

出力もなかなか高め

このサイズに対して出力もかなり高く、ゼンハイザー HD660S2であれば問題なく、欲を言えばもう少し出力が欲しいかな〜くらいのレベル感。

ただ、スペック値的にはAK HC4バランス出力は3Vrms、AK HC2は4VrmsとAK HC2の方が高いです。

それぞれ聴き比べをすると、スペック値通りAK HC2の方がHD 660S2をしっかり駆動できているような感覚はありましたね。

イヤホンであればどちらでも問題ありませんが、ヘッドホンでバランス接続でより高出力が欲しい場合はAK HC2の方がいいかもしれません。

UACの切り替えでゲーム機でも使える

AK HC4は家庭用ゲーム機と接続が可能です。ただしAK HB1と違って3.5mm4極インラインマイクには対応しません。

デバイスに接続した状態でボリュームボタン「+」と「-」を同時に3秒間押すとLEDが緑色に変わり、UAC 1.0モードに切り替わります。

あとは好きなイヤホンやヘッドホンを繋げれば、AK HC4からゲームの音が流れるようになります。

実際にNintendo Switchのゼルダの伝説 ティアーズ オブ キングダムをAK HC4+TAGO STUDIO T3-01の組み合わせで使ってみましたが、想像以上の音質の良さで驚きました。

Switchってこんなに音の情報量あったの?ってレベル。

細かな音まで繊細に拾えるようになったので、音の方向性や足音もハッキリと把握できるようになりました。ゲーミングアンプが流行る理由がわかったような気がする……。

切り替えはUAC 2.0からUAC 1.0へのみ可能で、一度UAC 1.0で接続するとUAC 1.0からUAC 2.0への切り替えはできません。

UAC 2.0モードに戻すには、デバイスと再接続する必要があります。

また、AK HB1と違って3.5mm4極インラインマイクには対応しませんのでご注意ください。

携帯性|やや大きめ

AK HC4は本体がそれなりに大きいため、携帯性は良いというわけでもないです。

本体は軽いため、スマートフォンとあわせて使ってもそこまでズシっとはきませんが、やはりスマートフォンとしての利便性は悪くなりますね。

見た目の高級感がすごいだけに角ばったデザインのため、傷がつきそうで怖いです。専用ケースなどもないのでラフには使え無さそうですね。

音質は本当の良いので、パソコンなど据え置き環境でミニマルなヘッドホンアンプ環境を作るのもおすすめです。

カラーリングもMacbookとマッチして美しいですよ。

発熱も少なめ

この手のドングル型DACとしては発熱も少なく、1時間ほど使い続けてもずっと「ぬるい」と感じる程度の温度です。

気になる点

ゲイン調整ができない

気になる点として、AK HC4はアプリに対応していないのでゲインの調整やデジタルフィルターの調整はできません。

バランス接続時は特に出力が高くなりがちなので、イヤホンを使っていると細かな音量調整がむずかしくなってきます。

このデメリットもあってアンバランス接続もおすすめしている点もあります。

音質的には、DAPのSR35レベルほどのように感じましたが、イヤホンでも細かな出力の調整をしたい場合はSR35の方が向いているように感じました。

イヤホンによってはホワイトノイズが気になる

こちらも出力が高い影響か、イヤホンで使うとホワイトノイズが少し目立つように感じました。

SR35と聴き比べをしていると、AK HC4のほうが「サー」という音が目立つような感覚がありました。

高感度系のイヤホンを使っている方は要注意。

スマホのバッテリーを吸われる

あとはAK HC4に限らずドングル型DACにも言えることですが、スマホのバッテリーが結構吸われます。

1時間ほど使ってましたが、iPhone 15 Proのバッテリーが音楽再生だけで70%→50%ほどになっていました。

はじめてドングル型DACを導入しようと考えている方は、この点だけ注意してください。

AK HC4 まとめ

総合評価

4.5/5

AK HC4

  • AK HC2やHC3よりも
    さらにパワーアップした音質
  • ジャンルを選ばない
  • 3.5mm / 4.4mmどちらも使える
  • ケーブルの着脱が可能に
  • 発熱が少ない
  • 「AK HC4」が登場!
  • ゲインの調整ができない
  • ホワイトノイズが少し気になる
  • 本体がやや大型

4.7

音質

3.5

携帯性

4.3

拡張性

4.0

利便性

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低音寄り
フラット
高音寄り
こんな人におすすめ
  • スマホやパソコンの音を気軽に高音質化させたい
  • 3.5mm / 4.4mmどちらも使うことがある
  • ナチュラルでありつつ高解像度で分離感の良い音が好き

単純なコスパだけを求めるならAK HC2の方が高いと思いますが、実力はやはりAK HC4の方が上ですね。

AK HC2のような高解像度でパワフルな音とAK HC3のナチュラルな音、どちらも兼ね備えた音作りで、イヤホンの特性も選ばず、あらゆる環境・あらゆるジャンルで使いやすいドングル型DACだと思います。

「AK HC2を使っていてるけど、もう少し音質をグレードアップさせて3.5mmも使いたいんだよなー」という方や

「AK HC3を使っているけど、もう少し解像度感を高めてバランス接続でも使いたいんだよなー」って方にはピッタリだと思います。

スマホを高音質化させたいユーザーだけでなく、ノートパソコンなど据え置き環境を気軽に高音質化させたい方におすすめです。

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