こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回はHiFiMANより、人気モデル「Arya」を素っ裸にした最新ヘッドホン「Arya Unveiled」を紹介します。

「Arya」といえば、初代モデルは2019年に発売され、 平面磁界駆動型の新振動板を搭載し、伸びやかかつシャープな音質で人気が出たモデルです。
そして2023年には以前ブログでも紹介した「Arya Organic」が登場。改良したナノ振動板を採用し、筐体の一部にウッドを使用することで、よりウォームでアコースティックの表現力がアップしたモデルになりました。
そして今回紹介する「Arya Unveiled」は、1,188,000円のハイエンドモデル「Susvara Unveiled」の技術を一部取り入たモデルです。
UNVEILEDには「ベールを剥がす」のような意味があるのですが、まさに元のAryaに対してドライバーを保護するグリルを取り除いて、 ハウジング内の不要な音の反射を抑えるようにしたモデルなんですよ。
グリルの開口率を上げ、反射・屈折の悪影響を減少させて、音質を飛躍的に向上させたようです。
価格は「Susvara Unveiled」よりも90万円以上安い、236,500円!!
安い! 嘘! 高い!!!!!!!!
ただ、20万クラスの有線ヘッドホンなら、ギリギリ現実的なレベルかな……?某ドイツのハイエンドモデルもそれくらいだし……。
ということでHiFiMANさんから紹介用に一時的にお借りしましたので、どんな音なのかチェックしていきましょう。
▼動画版はこちら▼
Arya Unveiled 外観・付属品
それではArya Unveiledの外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ
Arya Unveiledのパッケージはこちら。いつものHiFiMANらしいダンボール調のシンプルなデザイン。

付属品

- 6.3mmヘッドホンケーブル
- 磁気ベール
付属の磁気ベールは、Arya Unveiledは振動版が剥き出しになっているため保護するために付属しているようです。

決して密閉型と2ウェイで使うためのものではありません。音がめっちゃ変になります。
本体・ケーブル
Arya Unveiledの本体がこちら。ヘッドバンドやパッドの仕様などはAryaと変わりませんが、ハウジングの仕様は大きく変更が加えられています。

Susvara UnveiledやHE1000 Unveiledと同じく、鉄格子のような剥き出し感のあるハウジングに変更されました。
つーか、デザインめちゃめちゃカッコよくない? ただ縁はプラスチック感があるかな〜。

マグネットが剥き出しになっているので、取り扱いには注意が必要です。
あれです、よくある全身鎧で覆われたキャラクターが苦戦を強いられて、鎧を取り外してリミッター解除されるような展開です。
スピードは超絶上がるけど、耐久性はダウンするような感じ。あれをヘッドホンでやってます。
ドライバー構造は、従来のHiFiMAN同様にステルスマグネットを採用した平面磁界型のヘッドホンとなっています。
特許を取得した「ウィンドーシェード」システムも搭載し、ドライバーの保護とともにHiFiMANが目指した完璧な音を実現するための開放型デザインを採用しています。
また他のモデル同様にステルスマグネットを採用することで、淀みないピュアなサウンドの再生が可能にしています。
イヤーパッドは従来のArya同様に大型で、外側はレザー、内側はスエード調の素材を採用したハイブリッドなイヤーパッドになっています。

ヘッドバンドは従来のArya同様にクッション性が少しあり、接触面積も広めのものを採用しています。

アーム部にはラッチ方式というものを採用していて、アーム部ではなくヘッドバンドの位置ごとカチカチと上下させるような形式をとっています。

コネクタは3.5mm3極タイプを採用。

ケーブルはケブラー素材のようなもので保護された6.3mmケーブルが付属。

長さは150cmとなっています。デスクトップでは問題なく使えますが、据置アンプの環境によっては短く感じるかも。
ちなみにケーブルは複数付属しておらず、こちらの6.3mmケーブルのみ付属となります。
欲を言えば4.4mmバランスケーブルかXLRケーブルは欲しかったなー。
重さは 437gとなかなか重ため。

Arya Unveiledのスペック
スペック比較
スペック一覧 | Arya Unveiled | Arya Organic | Arya |
---|---|---|---|
ドライバー | 平面磁界型ドライバー ナノメーター振動版 | 平面磁界型ドライバー ナノメーター振動版 | 平面磁界型ドライバー ナノメーター振動版 |
材質 | 金属製 プラスチック | 金属製 ウッド | 金属製 プラスチック |
ステルスマグネット技術 | 搭載 | 搭載 | 搭載 |
ウィンドシェードシステム | 搭載 | 搭載 | 搭載 |
グリル | Unveiled | – | – |
インピーダンス | 27Ω | 16Ω | 32Ω |
再生周波数帯域 | 8Hz-65kHz | 8Hz-65kHz | 8Hz-65kHz |
音圧感度 | 94dB | 94dB | 94dB |
プラグ形状 | 6.3mm3極 | 6.3mm3極 | 6.3mm3極 |
着脱ケーブル | 3.5mm × 2(L / R) | 3.5mm × 2(L / R) | 3.5mm × 2(L / R) |
重量 | 413g | 440g | 430g |
発売日 | 2024/8/25 | 2023/8/25 | 2019/03/22 |
価格 | 236,500円 ポイント10% | 198,880円 ポイント10% | 145,200円 ポイント10% |
Arya Unveiled レビュー
装着感|重さのわりに軽快!
Arya Unveiledの装着感はとても良いですね!
HiFiMANにも様々なヘッドホンがありますが、その中でもAryaシリーズが一番装着感が良いと思います。
基本はヘッドバンド全体で重さを分散しつつ、イヤーパッドは耳に添えるだけのような感覚ですね。
実際に装着してみるとこんな感じです。ANANDAシリーズのように側圧は強くなく、タッチが柔らかです。

前から見るとこんな感じです。

400gもあるのにその重さを感じさせずに、頭頂部と耳どちらにも負担をかけない最適な装着感のように感じました。
長時間着けたまま作業していても耳も頭頂部も痛くなりにくいですね。
装着感 | (4.8) |
音質|極上のボーカルにうっとり
音質についてですが、従来のAryaよりもよりダイレクトかつ厚みのある音で、それでいてHiFiMANらしい極上のしっとりとしたサウンドを体感できます。
「コスパ」という意味ではどちらが良いと感じるかは人次第だと思いますけど、価格度外視で比較すれば、やはりAryaやArya Organicよりもワンランク上でありつつ、Aryaらしさもあるような音に感じますね。
- DAC / アンプ:HiFiMAN GoldenWave SERENADE / RME ADI-2/4 Pro SE
- アプリ:Apple Music
- 接続方式:6.3mmアンバランス
- エージング:50時間ほど

Arya Unveiledの音の特長は次のとおりです。
※10万円以上〜20万円以下の有線ヘッドホンの評価軸です
4.8
高音
5.0
中音
4.9
低音
音の傾向
ノーマルのAryaと比べると、まさに「Unveiled」の名の如く、一枚ベールが剥がれたかのような音です。
音がよりダイレクトに感じられるようになっていて、音の詰まり感をとっぱらい、高域の抜け、ボーカルの伸び、低域の広がり、全てのレベルが上がっています。
全体的に解像度が高く、細かな音のニュアンスまでしっかりと描写されますね。
レスポンスはそこまで早くはないですが、フワッと立ち上がる音の通り道に音情報がミチミチと詰まっているような感覚。
ただ、ウッドモデルのArya Organicと比べると、そちらにしか出せないアコースティックの表現力の高さや低域の深みなどもあるので、音の好み次第ではどちらが良いとは言いにくいですね。
音場
音場は横方向にはかなり広めで、楽器の定位感もHiFiMANにしては良いですね。
ただ、ポップスを聴くと近めで迫るように聴こえますし、ジャズやクラシックを聴くと遠めに抜けていくような感覚もあるし、両立しているかのような不思議な聴こえ方です。
HE1000やISVARNAと比較すると、縦方向への広さや奥行きの表現がやや控えめな印象を受けます。
高音
高域はとてもスムースかつ抜け感の良い音で、楽器が持つ特性をあるがままに伸ばしつつ余韻感を加えるようなナチュラルな音です。
Aryaのようなシャープさはなく、もっとナチュラルテイストで上に伸びますし、音圧もありますね。
また、Arya Organicのような木材を使用した楽器のボディから伝わる響きをリアルに再現するようなタイプでもないです。
シンバルやストリングスの表現力が高く、非常に滑らかでありつつも、そのフワッと広がっている高音の一つ一つに粒立ちの良さを感じられます。
遠くから見ても滑らかな美肌、超近くから見ても肌の繊維が細かすぎて毛穴が目立たない超美肌美人みたいな感じ。
そのお肌をファンデーションで隠さず、すっぴんのままキレイなお肌を再現するかのようなナチュラルさを持っています。
中音
全体域のなかでも中音域の表現力、とくにボーカルの表現が素晴らしいですね。
声の成分は吐息から余韻まで全てを余すことなく拾い上げるような圧倒的情報量の濃密さ。
AryaやArya Organicと比べても、中息はとても厚みのあるダイレクトな音になっています。
AryaやArya Organicもボーカルラインは前に出てきて、解像度高くシャープに聴かせますが、Arya Unveiledはさらに厚みが加わり、中低域〜中高域まで滑らかで歪みのない音を鳴らすようになりました。
男性ボーカルや低めの女性ボーカルには息遣いの細部まで感じられる深みのある声を再現してくれます。
ウィスパーボイスを聴いても、薄い歌声の消え入る最後の最後までも音情報を逃さず、どんなに線の細い音でも最後まで描写しきります。
色々伝えてますけど、とりあえず伝えたいのは「このヘッドホン、ボーカルの質感最高よ?」ってことです。
予算20万円台ほどでヘッドホンにボーカルの質を求めるなら、Arya Unveiledはかなり良い選択肢になると思います。
低域
低域は以前紹介した低域神「ISVARNA」のようにとても深みのある音。
あそこまでは沈み込みはしないですが、とても上質で深みのある滑らかな低音を鳴らします。
スピーディーにズンズンと鳴らすタイプでもないですが量感は多く、かといってモタつき感はなく、ハイテンポのロックやポップスも卒なくこなせますね。
ISVARNAがブーミーと感じるギリギリラインでしたが、Arya Unveiledの方が中高域とのバランスの取れた音ですね。
Arya Organicと比べても音が柔らかくなりすぎず、レスポンス良く聴かせます。
一部レビューでは量感が少ないという意見も見られますが、ボクはこれ以上増やすとブーミーになるから逆に増やさないで!と感じましたね。
ただ、DC-Eliteで聴くと出力が足りずに低域が沈み込まずに浅めの音には感じてしまいましたね。
といってもバランス接続必須になるほど鳴らしにくいわけではなく、ある程度出力のあるものであれば、6.3mm接続でも実力は発揮できると思います。
ただ、10万クラスの据え置きDAC・アンプを使ってあげた方が、Arya Unveiledの実力は引き出しやすいと思います。
当たり前かもしれませんけど、DC-EliteとRME ADI-2/4 Pro SEで聴き比べたら、かなり音質に差を感じました。
おすすめジャンル
おすすめジャンルはポップス、バラードなど歌モノ全般。
宇多田ヒカルはヤバいよ……。宇多田ヒカルでチューニングしたの? と思うくらい良い……。
藤井風などR&Bやソウルテイストの男性ボーカルもおすすめです。
といってもロックやポップスも苦手ではなく、どんなジャンルでも卒なくこなしてくれます。
アジカンのような中域に厚みを持たせたギターサウンドなんかもおすすめです。
弾き語りやジャズもモチロンおすすめですが、さらに特化させたいならArya Organicの方がイイかとは思いました。
Arya Unveiled まとめ
Arya Unveiledをまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.6/5
Arya Unveiled
※10万円以上〜20万円以下の有線ヘッドホンの評価軸です

- 極リスニングサウンドでとにかく心地よい
- ボーカルの表現力が極上
- 音がナチュラルでどんなジャンルにも合わせやすい
- 重さに対して装着感がとても良い
- 4.4mmバランスケーブルが付属しない
- マグネットが剥き出しのため取り扱いに注意が必要
4.8
高音
5.0
中音
4.9
低音
4.8
解像度
4.7
迫力
4.8
装着感
Arya Unveiledはこんな人におすすめ
総評すると、個性が強いHiFiMANの製品のなかでも、一際バランスの良い優等生のように感じましたね。
Aryaらしい解像度の高さやバランスの良さを持ちつつ、さらに音に厚みや解像度感がアップグレードされた上質なサウンドという印象です。
ボクは以前紹介したArya Organicよりも、Arya Unveiledの方が好みでしたね。深みと繊細さのある音よりも、厚みのある音の方が好みなので。
モニターとは正反対のしっとりリスニング系サウンドですが、その上質な音で長時間うっとりと聴いていたい方には良い選択肢になると思います。
とくにバラードなどしっとりとしたボーカルものを好んで聴く方には超おすすめです。宇多田ヒカルマジでいいよ。
もうここまでくると、なんでもUnveiled化させたくなりますね。HE400e Unveiledとか、ANANDA Unveiledとか見てみたい。
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