ACTIVO P1 レビュー|コンパクトでもサクサク!バランス接続対応のAndroid搭載DAP

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こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。

Astell&Kernのサブブランド「ACTIVO」から、約6年ぶりの新作DAP「ACTIVO P1」が2024年7月27日に発売されました!価格はe☆イヤホンで69,300円と最近だとエントリークラスくらいの価格帯ですね。

ACTIVO P1の特徴
  • ブランド初となるサードパーティー製アプリにも対応可能なAndroid OS搭載
  • 3.5mm / 4.4mmどちらも対応
  • ESS ES9219QデュアルDAC採用、Astell&Kernによるサウンドチューニング
  • デジタルオーディオリマスター(DAR)機能を搭載
  • スピーカーに近い音像を実現するクロスフィード機能を搭載
  • 約20時間の長時間再生とPD 3.0急速充電対応
  • DACフィルターの変更 / 20 bandパラメトリックイコライザーなどに対応
  • USBデジタルオーディオ出力機能

小型 / ストリーミング対応 / バランス出力対応 / 価格は約7万と、初めてDAPを買う人にとってはとてもバランス感覚の良い製品になっていますね。

発売前からも注目度の高い製品で、ボクも試すのを楽しみにしておりました。

どれほどの実力か検証していきましょう。

目次
かじかじ
元イヤホン専門店スタッフ
オーディオ販売歴9年。元々イヤホン専門店で店長やWEBマーケを担当してました。

イヤホンをレビューすることは空気を吸うようなものだと思ってます。


2024年1月時点で月間100万PV。
YouTubeチャンネル登録者は7万人ほど

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ACTIVO P1 外観・付属品

ACTIVO P1のパッケージは真っ白なスリーブに「ACTIVO」ロゴが凸凹とした加工が施されたオシャレなデザイン。

開封するとこんな感じ。

付属品一覧
  1. USB Type-C to Type-Cケーブル(約1m)
  2. USB Type-C to Type-Cショートケーブル(約10cm)
  3. 画面保護シート

本体は白とシルバーで配色された縦長ディスプレイが特徴。最近のDAPでこの縦長デザインはめずらしいですね。かつてのウォークマンZXシリーズみたいな感じ。

個人的にはDAPはコレくらいのサイズ感が一番カッコ良く見えるんですよね。

このサイズだから胸ポケットにも無理なく入れられるのですよ。4.4mmバランス端子が備わっていて胸ポケットにも余裕で入れられるDAPって最近だと少ないですよ。胸ポケットのサイズにもよりますけど。

ディスプレイには4.1インチHD(720×1280)を搭載しています。

背面は少し厚みのある白い樹脂筐体と、残りの下2/3はアルミ筐体のツートンデザインになっています。

右側面には電源ボタンと再生/停止ボタン。

左側面には音量の±ボタンが備わっています。

天面には3.5mmイヤホン端子 / 4.4mmバランス端子。

底面には充電兼データ転送用のUSB-C端子が備わっています。

同価格帯の他のDAPやSR35と比べるとこんな感じ。P1も大概コンパクトですけど、さらに縦幅がコンパクトなSR35もすごい。

左からSR35、P1、SP2000T、KANN ULTRA

重さは155.3gとこの価格帯のDAPとしては軽め。

ACTIVO P1 概要・スペック

スペックACTIVO P1SR35
内蔵メモリ64GB [NAND] ※システム領域を含む64GB [NAND] ※システム領域を含む
Wi-Fi802.11 a/b/g/n/ac (2.4/5GHz)802.11 a/b/g/n/ac (2.4GHz/5GHz)
BluetoothV5.3 (A2DP, AVRCP / SBC, AAC, Qualcomm® aptX™ HD, LDAC, LHDC)V5.0 (A2DP, AVRCP / SBC, AAC, Qualcomm® aptX™ HD, LDAC)
対応ファイル形式WAV, FLAC, WMA, MP3, OGG, APE, AAC, ALAC, AIFF, DFF, DSF, MQAWAV, FLAC, WMA, MP3, OGG, APE, AAC, ALAC, AIFF, DFF, DSF, MQA
CPUOcta-coreQuad-core
DACESS ES9219Q×2 (Dual-DAC)Ciruss Logic CS43198×4 (Quad-DAC)
対応サンプリングレートPCM最大 : 384KHz (16/24/32bit)
DSD最大 : DSD256 (11.2MHz/1bit)
PCM最大 : 384KHz (16/24/32bit),
DSD最大 : DSD256 (11.2MHz/1bit)
出力3.5mm3極アンバランス出力
4.4mm5極バランス出力 (5極GND結線)
3.5mm3極アンバランス出力
4.4mm5極バランス出力 (5極GND結線)
アウトプットレベルアンバランス 2Vrms / バランス 4.2Vrms (無負荷)アンバランス 3.1Vrms / バランス 6Vrms (無負荷)
S/N比120dB @ 1kHz, アンバランス
121dB @ 1kHz, バランス
127dB @ 1kHz, アンバランス
130dB @ 1kHz, バランス
クロストーク-139dB @ 1kHz, アンバランス /
-140dB @ 1kHz, バランス
-133dB @ 1kHz, アンバランス
-145dB @ 1kHz, バランス
THD+N0.0006% @ 1kHz, アンバランス /
0.0007% @ 1kHz, バランス
0.0005% @ 1kHz, アンバランス
0.0006% @ 1kHz, バランス
バッテリー2,700mAh 3.8V リチウムポリマー3,150mAh 3.7V リチウムポリマー
充電時間約1.5時間 (PD 3.0充電時)約2.5時間 (5V/2A充電時)
再生時間約20時間
(FLAC, 44.1KHz/16bit, Vol.50, LCDオフ, アンバランス出力)
約20時間
(FLAC, 44.1KHz/16bit, Vol.50, LCD Off, アンバランス出力, Normal Gain, Dual DAC)
価格(e☆イヤホン価格)69,300円116,980円

CPUもAstell&Kernの上位モデルと同じく「Octa-core」になっているので、も悪くなさそう!

ちなみにアユートの営業さんに確認してもらったのですが、Snapdragon 665クラスの性能 / メモリも4GB内蔵しているようです。DAPとしては十分な性能!

なにげにBluetooth5.3に対応でLDACにも対応しているので、ワイヤレスイヤホンとの運用にも良さそうな気がしますね。

測定値はSR35には敵わないですけど、操作性や利便性はSR35を上回っていそうです。

ACTIVO P1 レビュー

UIについて

電源を入れて立ち上げてみると、いつものAKシリーズのUIと異なり、カスタマイズされたAndroidメニューの操作が可能となっています。

下部には3つのアプリを並べることが可能で、ここにストリーミングアプリなどよく使うアプリを配置させられます。

右にスワイプすると内蔵音源にアクセスができます。

今までのAKシリーズで慣れている方は少し戸惑うかと思いますが、初めて使う方はむしろストリーミングアプリにアクセスしやすくて使いやすいかと思います。

ボクは95%くらいはストリーミングアプリで聴いているので、こちらのUIのほうがありがたいですね。

ちなみにApple Music、Amazon Music、Spotify、全部問題なく動きました。

動作の軽さについて

動作についてはOcta-coreを搭載しているおかげで、SR35よりもかなり良くなっています。

SR35はアップデートされていくストリーミングアプリについていけず、正直ストリーミングでは使いたくないくらい動作がモッサリしていたのですが、P1はまだキビキビと動いてくれますね。

スマホと比べるとそりゃ動作は重たいですけど、Amazon Musicでもわりとストレスを感じない程度に動いてくれるので不満なしですね。

自動電源OFFやギャップレス再生はもちろん搭載

自動電源OFFギャップレス再生はもちろん搭載しています。この2つはボクの中ではかなり重要。

自動電源OFFは搭載していないと、いざ使おうと思った時に電源が切れていることが多かったりするんですよ。

ギャップレス再生(曲の繋ぎでプツッと途切れるのをなくす)はストリーミングアプリメインで使うことが多くなるだろうからあまり気にしないですけど、いざ純正アプリを使おうと思った時に対応してなかったら絶望しますからね。

Astell&Kernということもあってソフト周りはちゃんとしています。

音質|明瞭なボーカルと柔らかなサウンド

ACTIVO P1の音質についてですが、大体価格相応くらいの実力のように感じましたね。

試聴環境
  • イヤホン:SUPERIOR EX
  • 接続方式:バランス接続
  • アプリ:Amazon MUSIC

音の特徴は次のとおりです。

音の特長

4.2

音質

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低音寄り
フラット
高音寄り

音の傾向はAstell&Kernのようなパキッとしたフラットで高解像度系のサウンドではなく、やや中低域寄りで全体的に角が取れたサウンド

ただ、他メディアのレビューだと「柔らかめ」「優しい音」という評価が多かった印象なのですが、想像よりはパキッとした解像度感はあるように感じました。

やや甘めの輪郭の中でも、Astell&Kernブランド特有のボーカルの再現度は健在で、とても明瞭な歌声を聴かせてくれます。

女性ボーカルを軸としたポップスやアニソンなどを中心に聴くなら良い選択だと思いますよ。

3.5mm接続で聴くと、さらに輪郭が甘くなりますが、定位が全体的に真ん中に寄ってボーカルラインがより自然に聴ける感じがありました。ただ、わりと音質差を感じたので4.4mm側にコストが寄っているように感じました

音質だけで評価するなら、同価格帯だとベストというわけではなく、他にも選択肢があるように感じました。

といっても、ACTIVO P1の強みは音質だけではなく、デザインやサイズ感を中心に操作性の良さや価格の安さなど、買いやすさや使いやすさを重視している点だと思います。

フィルターやDSDアップサンプリングなどさまざまな設定がある

画面上部から下方向にシュッとスライドしてあげると、上部にメニューバーが表示され、そこから様々な設定が可能です。

DARによるアップサンプリング

DAR(Digital Audio Remaster)によるアップサンプリングが可能です。

設定できる項目は以下の2つ。

DAR
  • Max.PCM rate(352.8kHz / 384kHz)
    →ONにすると不帯音が少なくなり、音の輪郭がわかりやすくなるように感じた
  • Max DSD Rate(11.2MHz / 12.2MHz)
    →ONにするとDSDらしいアナログライクな音に変わり、音に一体感が生まれたような感覚
     ジャズやクラシック向け

この手のアップサンプリングは解像度感は上がるが、音が薄くなることが多くてボクは基本的にONにしないんですよ。

ただP1のPCMアップサンプリングは音痩せ感が少なく、そのまま音のモヤ感を取っ払って高解像度にする感覚があったのでとても好みでした。DSDもいい感じ。

この音なら常時ONでもいいかもしれない。

クロスフィードでスピーカーっぽい鳴り方に

クロスフィードをONにすると、頭に対して左右から聴こえる音が前方方向に定位するようになり、スピーカーのような自然な音域で鳴らすようになります。

これはONが良いかどうかは好み次第ですが、面白い機能ではあります。

ちなみにこれらの機能はOS単位で行われるため、純正アプリ以外でもちゃんと反映されます。ただ、DACなどに接続すると反応しません。

他のDACと比べると?

価格が上なだけはありSR35の方がさらに解像度が高くキビキビとした音で、ボーカルラインももっと明瞭になります。これぞAstell&Kernらしい音って感じ。

対してP1は少し輪郭が柔らかくて中低域側に寄った音なので、解像度よりも聴き心地の良さを重視した音という感じですかね。

もちろんSR35の方が音が良く感じます。ただ操作性や使いやすさ、そして価格の安さはP1の方が上なんですよね。

ストリーミングメインなら使いやすさも含めてP1の方がいいと思います。

Astell&KernのドングルDAC「AK HC 2」や「AK HC 4」と比べた場合も、正直DAC達の方が音質が良く感じますが、これらのDACの弱点はスマホの利便性を阻害する点と、細かな音量調整がしにくい点。

細かな音量調整をしつつ、スマホと独立してストリーミングアプリを運用したい場合はP1がおすすめです。

USB-DACやBluetoothDACとしても使える

DAPとしてだけではなく、USB-DACやBluetoothDACとしても使用できます。

そのため、パソコンの音質を良くするために据え置きDACアンプとして使ったり、音の劣化はあるけどBluetoothで接続してスマホで遠隔で操作してサクッと高音質で聴くこともできます。

P1は音の傾向も含め、AK HB1にDAPの機能が備わった感じに近いでしょうね。

一番気になるところ

一番個人的に気になった点は、フリック操作による文字入力のしにくさ。

スマホのようにフリック操作をしようと思った際に、文字を一度長押ししてから上にスライドしないといけないんですよ。

たとえば「う」を入力したいと思った時に、スマホの場合だと「あ」を上にスライドしたらすぐに「う」を入力できますが、P1は「あ」を少し長押ししてから上にスライドして「う」を入力しないといけません。

文字入力のテンポが悪いんですよね……。この点がSR35の時から気になってる。

あとは左にスワイプしても前の画面に戻れなかったりと、スマホライクに使えない点には不満がありますね。

アユートの営業さんに教えてもらったのですが、Googleのキーボードアプリ「Gboard」を導入することで解決できます。

ACTIVO P1 まとめ

総合評価

4.5/5

ACTIVO P1

  • 筐体がコンパクトで携帯しやすい
  • DARなど音に関するカスタマイズの幅が広い
  • ストリーミングの動作がなかなか軽い
  • LDAC、aptX HDなどのコーデックに対応
  • USB-DAC、BluetoothDACとしても使える
  • フリック操作のテンポが悪い(対処法あり)
  • 今のところ保護ケースが販売されていない

4.2

音質

4.5

携帯性

4.0

拡張性

4.7

利便性

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低音寄り
フラット
高音寄り
こんな人におすすめ
  • 予算5〜7万円ほどでDAPを買いたい
  • ストリーミングアプリで聴くことが多い
  • 音質も重要だけど使いやすさにもこだわりたい
  • できるだけコンパクトなDAPが欲しい

音質だけにこだわりたいなら他にも選択肢はありますけど、ACTIVO P1の強みはストリーミングアプリの使いやすさやポータブルのしやすさ、そして価格の安さだと思いました。

いろいろとバランス感覚の良い製品なので、普段ストリーミングアプリを使われる方は、初めてのDAPとしておすすめです。

すでにDAPやDACをお持ちの方でも、屋外でサクッと使えるサブ機としてもおすすめですね。

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