こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
金属コア入りのイヤーピースなど「Pentaconn」ブランドで有名な「日本ディックス」から、新規ブランド「sloflo(スローフロー)」の第1弾モデル「MS001GM」が登場しました。

この「sloflo」名前の由来は「slow(ゆっくり)」+「flow(流れ)」の造語。音楽を急がず、初心に立ち返り、純粋に音楽を楽しむことをコンセプトにしています。
とても特徴的なデザインのイヤホンですが、ドライバーにはブランド独自開発の10.2mmダイナミック型「HB(Heavy Bass)ドライバー」を搭載。
大口径のDLC振動板とデュアル磁気回路、デュアルチャンバーを備え、クリアで繊細な中高音域、厚みのある低域を再現可能とするイヤホンとのことです。
また、ライブ音源に最適化したチューニングを施すことで、深みのある低音と臨場感が味わえるイヤホンとなっているとのこと。
以前紹介したPentaconnブランドの「Scyne α01」とはコンセプトが全く異なる製品となっています。
▼動画版はこちら▼
sloflo MS001GM 外観・付属品
それではsloflo MS001GMの外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ
sloflo MS001GMのパッケージは小型のダンボールにブルーのV字型のロゴが記されたおしゃれなデザイン。

開封してみてもおしゃれ。

付属品

- 8 芯 OFC 銀めっき、Pentaconn ear、4.4mm ケーブル
- シリコンイヤーピース3ペア
- Pentaconn COREIR AL ALLOY(MS サイズ、M サイズ各 1 セット)
- イヤホンケース
- クリーニングクロス
- 保証書
- マニュアル
イヤーピースはパステルカラーの質感の高いシリコンイヤーピースと、以前紹介した金属コア入りのイヤーピース「Pentaconn COREIR AL ALLOY」が付属。

以前紹介した「Scyne α01」だとシリコンイヤーピースの方が整った音のように感じましたが、今回は果たして。
イヤホンケースはよく見る汎用品のやつですね。

本体・ケーブル
本体は六角柱フォルムが特徴のとてもユニークなデザイン。金属筐体だと思いますが素材は不明。

内側はヘリクス部が凹み、ノズル部分が飛び出たこちらも特徴的なデザインとなっています。

ケーブルは着脱も可能で、着脱端子は安心と信頼のPentaconn earを採用。

耐久性が高く音の損失も少ない端子で、個人的にも一番信頼しているコネクタです。その代わり導入コストは高いと思う……。
ノズルは本体と同じく金属筐体となっています。ノズルの全長長くね?

ケーブルはPentaconn が誇る高度な技術により、4撚り8芯仕様の高品質リケーブルを付属。銀めっきOFC を採用したことにより、ダイナミックかつ繊細なオーディオを再現できます。
⾧野三洋化成製の高品質 PVC を採用した柔軟性と高機能性を兼ね備えたケーブルとなっています。

耳掛け部は形状固定型。

分岐部にはPentaconn ロゴ入りスライダーを搭載。

プラグはPentaconn独自の高品質4.4mm プラグ採用。マルチプラグには対応していないので3.5mm接続はできません。変換プラグが必要です。

本体とケーブルを装着するとこんな感じ。

「持つ喜び、自由を解き放つ」をテーマに独自開発の技術と革新的な設計が融合したこの製品は、すべての音楽愛好家へかつてない臨場感と高解像度のサウンドを提供し、細部までこだわり抜いた仕上がりで音場の奥行きと広がりを最大限に引き出す至高の音体験をお届けします。
sloflo MS001GMの概要・スペック
スペック一覧 | sloflo MS001GM |
---|---|
形式 | カナル型 |
ドライバー | 10.2mm ダイナミックドライバー(sloflo 開発) デュアル磁気回路・デュアルチャンバー設計 DLC 振動膜(軽量・高剛性・優れた減衰特性) |
インピーダンス | 16Ω |
音圧感度 | 112dB |
再生周波数帯域 | 20Hz~20kHz |
プラグ形状 | プラグ: 4.4mm Pentaconn ストレートタイプ(金メッキ) |
コード長 | 1.2m |
リケーブル対応 | Pentaconn ear |
リモコンマイク | × |
保証期間 | 1年 |
sloflo MS001GM レビュー
装着感について
sloflo MS001GMの装着感についてですが、これはシリコンイヤーピースかCOREIR、どちらを使うかによって大きく変わるように感じました。
まずシリコンイヤーピースの場合、イヤーピースを軸に支えつつ、耳のふちに添えるような装着感でほどほどに安定はしますね。ピッタリフィットって感じでもないですけど。


次にPentaconn COREIR AL ALLOYで試してみましたけど、ボクの耳だと完全にCOREIRだけで支えるような装着感になります。耳からの飛び出し感も強めで安定しにくいですね……。


音の好みはともかく、ただでさえノズルが長いのにCOREIRでさらに長くしちゃったらそりゃ安定しないよね……。
装着感のみを考慮するならシリコンイヤーピースで運用することをおすすめしたいところではありますが、耳の形にも個人差はありますのであくまで参考程度にご覧ください。
シリコンイヤーピースでの運用だと別に悪いとは思わなかったですよ。本体も思ったより軽いですしね。
装着感 | (4.3) |
音質|人力空間サウンド
sloflo MS001GMの音質についてですが、低域好きにはかなりハマる音だと思いますよ。現にボクもかなり好きな傾向です。
解像度や複数ドライバー至上主義の中華イヤホン界とは異なるアプローチで攻める臨場感と一体感で攻めるリスニングイヤホンという印象です。
- DAP:SONY NW-WM1AM2
- アプリ:Apple Music
- 接続方式:4.4mmバランス接続
- イヤーピース:付属シリコンイヤーピース
- エージング:50時間ほど

sloflo MS001GMの音の特長は次のとおりです。
※6万円〜10万円の有線イヤホンの評価軸です
4.6
高音
4.8
中音
5.0
低音
音の傾向
音の傾向は低域の割合が多めのW字型という印象でしょうか。曲線が緩やかな「ん」みたいなバランス。
全体的に重心は低く、低域が主食のようなバランスに感じるとは思います。フラット志向の方が聴くと重ための音に感じるかも。
ボクはオリジナルイヤホンの「ITO」が低音爆盛りのアレなので、全然問題なし。というかITOとサウンドコンセプトがすごく似ていますね。
他社の製品にはなりますけど、MadooのTyp512の傾向にかなり近い気がしますね。Typ512の低音をもっと立体的にして高域の硬質さを少し抑えた感じ。
よくみたら内側のシェルの作りもそっくり。
Typ512が点で攻めるサウンドだとすれば、MS001GMは面で広がるサウンドという感じでしょうかね。伝わります?
音場
音場はかなり広め。低域の奥行き側への広がりがエグいですね。人力空間サウンドですわこれ。
広い音場を満たしていくような余韻もあり、豊かな音を頭いっぱいに広げていきます。
その代わり定位は甘めで、ホールで聴いたライブかのように「ホワンホワン」と響くような感覚が強いです。
低音
低域の量感はけっこう多めで、基本低域が主食のようなバランスに案っています。
ゴリゴリと迫力で攻めるタイプではなく、「迫力」「立体感」「深み」「解像度」と低域に欲しい要素を全て含ませてくる極上の低域なのですよ。
バスドラムが「ドンッドンッ」と響くような締まりの良い音という感じではなく、ベースラインを豊かに響かせながら横揺れのリズムで聴くような感覚ですね。
ミッドベースの情報量がとても多く、ベースがフロアを響かせるような立体感、弦を弾いた時のうねり、そしてボヤけがちな輪郭までビシッと定めながら、ベースのあらゆる要素を漏らさず凝縮して鳴らします。
サブベースも「ドゥォォン」を地面を這うかのような深〜い迫力がとても心地よいですね。米津玄師の「BOW AND ARROW」を聴くと、その深みのある上質な低音をより体感できるかと思います。
普段は楽曲の下地を支える役目のベースですが、MS001GMがメイン、アクセントとしてギターやシンセサイザーが鳴っているような感覚になりますよ。
高音
高域は価格に対して「超伸びやか!」って感じでもないですが、その代わり小気味よく煌びやかに鳴らすようなレスポンスのよい高音のように感じました。
複数ドライバー機のように高音をキッチリわけて聴かせるタイプではないですが、ダイナミックドライバー一発にしては分離感もなかなか高く、中域への繋がりも滑らかに描きます。
また煌びやかとはいえキツさは感じにくく、硬質でありつつもウォームさも感じられるようなバランスに仕上がっています。
ストリングスやアコースティックギターよりも、金管楽器や電子音系のほうが相性は良く感じましたね。
ここにPentaconn COREIR AL ALLOYを装着すると高域はキツさが強調されるような感覚があったため、個人的にはシリコンイヤーピースがちょうど良かったですね。
中音
中域は量感が多くて広がる低域に埋もれず、かといって複数ドライバー機のように変に独立して聴かせるわけでもなく、他の帯域と調和しつつも主張する自然なボーカルを聴かせますね。
とくに低めのボーカルが深みがあってエロい!
低めの音だけでなく、ボーカルのピークもフォーカスを合わせているおかげで、男性・女性ボーカル問わずサビも気持ちよく聴けます。
解像度は価格を考えると並といったところでしょうか。同帯域の音をキッチリカッチリ分離するようなタイプではないです。
おすすめのジャンル
低域と男性ボーカルが得意ということもあって、普段聴いている「星野源」や「藤井風」、「サカナクション」、「米津さん」あたりとの相性はドンピシャですね。
Adoの「踊」や、YOASOBIの「UNDEAD」のような低音の臨場感たっぷりのエレクトロ系POPもかなりおすすめ。
上記の音源のライブ版を聴くと、有線イヤホンながらもホールの残響感を見事に再現できていて感動しますよ。デジタルの空間サウンド処理なしでこれはすごい。
また、低域に深みがあって高域も小気味よく鳴らすので、ジャズとも相性がとても良いです。
sloflo MS001GM まとめ
sloflo MS001GMをまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.8/5
sloflo MS001GM

- 立体的でとても上質な臨場感たっぷりの低音
- 深みとフレッシュさを両立したボーカルライン
- 小気味良く煌びやかに鳴らす高域
- 人力空間サウンド
- 付属ケーブルや端子の品質が高い
- デザインが現代アートかのようにユニーク
- COREIRを使うとイヤーピースだけで
支えているような装着感になる - 3.5mmプラグ非対応
- イヤホンケースがチープ
4.6
高音
4.8
中音
5.0
低音
4.6
解像度
5.0
迫力
4.0
装着感
sloflo MS001GMはこんな人におすすめ
MS001GMは有線イヤホンでもライブのような臨場感のあるサウンドを体感したいという方にはピッタリだと感じましたね。
全体的に重心は低めの音ではありますが、その代わり低音の臨場感や立体感、音場の広さがスゴイです。
まさに人力空間サウンド! 低音好きの方や音場が広いイヤホンが好みの方はMS001GMをぜひ検討してみてください。
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