こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回はHiFiMANより2021年に発売された人気モデル「Edition XS」の後継機モデル「Edition XV」が登場しました。

Edition XSとの違いはこちらの画像を見ていただいたの方が早いです。

今回のEDITION XVは、ドライバーユニットに上位モデル「HE600」と共通の「次世代Neo Supernano振動板」を採用。
初代に搭載されていたNeo Supernano振動板と比べて60%薄くなっているようです。
マグネットもレアアースを採用した永久磁石と同等、またはそれに近い感度を実現した強力なものになっているとのことです。
デザインも大きく刷新した次世代のEditionシリーズという感じですが、使ってみた感想としては、もはや「Edition XS」とは別物じゃね?と思うくらい進化(変化)していました。
今回はHiFiMANさんから紹介用に貸出いただいたので、比較用に買ってきたEdition XSや、以前紹介した価格帯の近いAnanda Nanoとも比べながらどれほどの実力か検証していきましょう。
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Edition XV 外観・付属品
それではEdition XVの外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ
Edition XVのパッケージはこちら。いつものHiFiMANらしいダンボール調のシンプルなデザイン。

付属品

- 3.5mmヘッドホンケーブル
- 3.5mm→6.3mm変換アダプター
- 簡易ヘッドホンスタンド
付属品はとてもシンプル。相変わらず緩衝材に模した簡易的なヘッドホンスタンドがついてきます。
本体・ケーブル
Edition XVの本体がこちら。Edition XSと比べて見た目が大きく変化しましたね。

Edition XSは焼肉プレートのようなハウジングでしたが。今回はシルバー蜂の巣のような見た目になっています。

イヤーパッドはEdition XSや同社の他のモデルと同様に大型で、外側はレザー、内側はスエード調の素材を採用したハイブリッドなイヤーパッドになっています。

ヘッドバンドも改良が加えられており、前作のヘッドパッド形式から今回はAnanda Nanoなどのミドル〜ハイクラスに搭載されるようなストラップ式のバンドを搭載。

通気性と軽量化を実現するために穴ボコデザインのバンドになっています。
ヘッドバンドとアームは連動したタイプではなく、アーム部分のみが独立して長さを調整できるようになっています。

着脱コネクタは3.5mm3極の両出しタイプを採用。

ケーブルはEdition XSからの変更はなしですかね。よくある汎用的なケーブルとなっています。

長さの表記はありませんが、おおよそ150cmほどとなっています。デスクトップでは問題なく使えますが、据置アンプの環境によっては短く感じるかも。
ちなみにケーブルは複数付属しておらず、こちらの3.5mmケーブルのみ付属となります。
重さはとなかなか重ため。

Edition XVのスペック
スペック比較
スペック一覧 | Edition XV | Edition XS | Ananda Nano |
---|---|---|---|
ドライバー | NEO”supernano”振動板 (NsD) 振動板が60%薄く | NEO”supernano”振動板 (NsD) | 平面磁界型ドライバー ナノメーター振動版 |
ステルスマグネット技術 | 搭載 | 搭載 | 搭載 |
インピーダンス | 12Ω | 18Ω | 14Ω |
再生周波数帯域 | 8Hz-65kHz | 8Hz – 50k Hz | 5Hz-55kHz |
音圧感度 | 94dB | 92dB | 94dB |
プラグ形状 | 3.5mm3極 | 3.5mm3極 | 3.5mm3極 |
着脱ケーブル | 3.5mm × 2(L / R) | 3.5mm × 2(L / R) | 3.5mm × 2(L / R) |
重量 | 452g | 405g | 419g |
発売日 | 2025/9/26 | 2022/02/11 | 2023/8/25 |
価格 | 63,800円 ポイント10% | 35,200円 ポイント10% | 63,800円 ポイント10% |
Edition XV レビュー
装着感|重さのわりに軽快!
Edition XVの装着感はなかなか軽快ですね。
ぱっと見はAnanda Nanoに似ていますが、Anandaシリーズほどアゴまで締め付けられるような感覚もなく丁度よい側圧です。
実際に装着してみるとこんな感じです。ANANDAシリーズのように側圧は強くなく、タッチが柔らかです。

前から見るとこんな感じです。

約450gもあるのにその重さを感じさせずに、頭頂部と耳どちらにも負担をかけない最適な装着感のように感じました。
ヘッドバンドも変更が加えられているおかげで頭頂部も痛くなりにくいですね。長時間の作業にも耐えられる軽快な装着感のように感じましたね。
装着感 | (4.5) |
音質|とても深みのある低音 & 滑らかな極上ボーカル
Edition XVの音質についてですが「お前ほんまにEditionシリーズか?」って感じるほど音の傾向が違うんだけど。
低域にめっちゃ深みが生ままれているし、ボーカルもかなり滑らかになっています。
音の傾向はことなれど、実力的にはAnanda Nanoに近いとは思います。
- DAC / アンプ:RME ADI-2/4 Pro SE
- アプリ:Apple Music
- 接続方式:6.3mmアンバランス
- エージング:50時間ほど

Edition XVの音の特長は次のとおりです。
※10万円以上〜20万円以下の有線ヘッドホンの評価軸です
4.6
高音
4.9
中音
5.0
低音
音の傾向
音の傾向は少し中低域寄りで、広がりのある低域をベースにしながら、しっとりとしたボーカルと刺激を抑えられたマイルドな高域を聴くようなバランスになっています。
Edition XSはHiFiMANらしさはありつつも、どこかポップでボーカルのフレッシュさやノリの良さを感じられるようなヘッドホンでした。
対してEdition XVは最近試した「Arya Unbeiled」や「ISVARNA」のようなハイエンド機と同様に、とても深みのある低音と滑らかなボーカルを生み出す上質なサウンドに変化しています。
もはや「これEditionシリーズとして出して良かったの?」と思うくらい違いを感じますね。
Ananda Nanoが明るめでフレッシュな音でしたが、Edition XVは暗めのしっとりとした音という印象を受けますね。
音場
音場はやや広めといったところでしょうか。抜け感よりも余韻を重視していますね。
Edition XSやAnanda Nanoのような迫ってくるような直線的でパワフルな音場ではなく、少し遠回りしてから余韻たっぷりに広げていくような音場感です。
低域は奥行きも感じられる立体的な広がりはありますが、中高域はわりと密閉型っぽい距離感のように感じますね。
高音
高域はとてもスムースかつマイルドな音で、刺激が少なくとても聴きやすいですね。Edition XSの少しキツく感じていた高域がかなり緩和されています。
ハイハットやシンバルの音も刺さりがほぼなく、金物の余韻の心地よい部分だけを抽出したかのように聴かせます。
クラップやハイハット、サックスなどの瞬発的な音に対するレスポンスはなかなか早いため、モタつきはあまりないですね。
ただ、Ananda NanoやEdition XSのようなシャープさはなく、ストリングスやアコースティックギターの音も価格と開放型ということを考えれば伸びが少し悪めには感じますね。
もっと高域の解像度重視しつつ、シャープで煌びやかな音が好みならAnanda Nanoを選んだ方が良いと思います。
中音
声の成分は吐息から余韻までく拾い上げるような情報量の濃密さがあります。
Edition XSと比べるとボーカルの距離感や量感はおおよそ同じで、ボーカルの雑味が少なくなってより声の繋がりが滑らかになって解像度もアップしていますね。
ただ、Ananda Nanoと比べると、高めの女性ボーカルは1枚ベールを挟んだかのように伸び切らない感じはありますね。
そこまで伸ばす必要のない男性ボーカルや、低めの女性ボーカルのAメロくらいがちょうど良いラインかも。
男性シンガーだと藤井風のような低めでしっとりとした声質の方が向いているかと思います。
低域
Edition XSとの大きな違いを感じたのはこの低音。
低域は素晴らしいものを持っていますよ。以前紹介した20万クラスの「Arya Unveiled」のようにどこまでも沈み込むような深い深〜い上質な低音を奏でます。
さすがに「Arya Unveiled」と同等というわけではないですけど傾向はとても近いですね。Edition XSと比べると低域の質感は2段階くらいアップしたような感覚があります。
スピーディーにズンズンと鳴らすタイプでもないですが、量感は多いのにも関わらず質感が高すぎてブーミーさを感じさせません。
もっとタイトさやレスポンスの良さを重視したい場合はAnanda Nanoの方が向いていると思いましたが、低域の質感自体はEdition XSの方が実力は上のように感じましたね。
おすすめジャンル
おすすめジャンルはバラードやスロージャズ、R&B系などでしょうか。
とにかく低音の質が高く、ボーカルも滑らかでしっとりと聴かせるタイプなので、藤井風などR&Bやソウルテイストの男性ボーカルや、全体的にメロウなサウンドのものが相性が良いですね。
ジャズボーカル系は最強ですよ。
ロックやポップスをメインに聴くならAnanda Nanoや、少し解像度が荒くてもOKなら前作のEdition XSの方が良いかと思いました。
Edition XV まとめ
Edition XVをまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.5/5
Edition XV

- 極リスニングサウンドでとにかく心地よい
- 深く沈み込む上質な低音
- 吐息から余韻まで拾い上げる濃密なボーカルの表現
- 聴き疲れしにくいマイルドな高域
- 重さをうまく分散したバランスの良い装着感
- 出力を確保しにくい
- 価格と開放型という構造にしては
高域はそこまで伸びない
4.6
高音
4.8
中音
5.0
低音
4.6
解像度
4.9
迫力
4.5
装着感
Edition XVはこんな人におすすめ
Edition XSの後継機として聴かない方がいいと思います。完全に別物ですわコレ。
5〜6万クラスで聴けるHiFiMANシリーズの新たなモデルと考えた方がよいかと。
ハイエンドモデル譲りの上質で深みのある低域と、しっとりとしたボーカルを楽しめるヘッドホンとなっていますので、バラードやスロージャズ、R&Bなどメロウな楽曲を好んで聴く方には特におすすめできる極リスニング向けヘッドホンのように感いましたね。
もっとロックやポップスに合うハツラツとした明るめの音が好みなら、今ならEdition XVと同価格で買えるAnanda Nanoがおすすめですかね。
暗めでしっとりとした音が好みならEdition XVを検討してみてください。
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