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【これぞ中華イヤホン】KZのイヤホン11製品徹底比較!どれが一番おすすめ?

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今回は中華イヤホンの火付け役ブームを作り、中華イヤホンの代名詞とも言えるメーカー「KZ」の新製品をまとめてレビューします。

KZのまとめレビューは1年ぶりくらいですかね? 今回はKZさんからレビュー用に製品を提供いただきました。

今回は「定番」「比較的新しいもの」「以前紹介した少し古いもの」の3つのトピックに分けて紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

製品提供:KZ

目次
かじかじ
元イヤホン専門店スタッフ
オーディオ販売歴9年。元々イヤホン専門店で店長やWEBマーケを担当してました。

イヤホンをレビューすることは空気を吸うようなものだと思ってます。


2024年1月時点で月間100万PV。
YouTubeチャンネル登録者は7万人ほど

YouTube版はこちら

https://youtu.be/uDBVfKTzSio

KZ 定番モデル

ちなみに今回はDAAPにSONY NW-WM1AM2、イヤーピースは付属のシリコンで行っています。

ZSTx|まずはド定番モデルの紹介から

スペック一覧ZSTx
ドライバー10mmダイナミックドライバー + 1BA
インピーダンス 12Ω
再生周波数帯域20-40KHz
音圧感度107dB/mW
プラグ形状3.5mm
コード長約1.2m
リケーブル対応2Pin
リモコンマイクマイク付きモデルもあり
付属品シリコンイヤーピース 3ペア
フォームイヤーピース 1ペア
2pinケーブル
ユーザーガイド

まず新製品を紹介する前に、KZの定番でありベストセラーモデルである「ZSTx」を基準代わりに紹介します。

約2000円という価格で10mmドライバーと1BAを搭載したハイブリッドモデルで、発売当初の構成としてはかなりのコスパの高さを誇る製品です。

ケーブルは2pinを採用。最近はQDCタイプが多いKZですが、こちらは昔のKZによく見られる2pinですね。

音の特徴はこちらです。

音の特長

3.7

高音

3.7

中音

3.7

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
フラット
高域寄り

音質はKZのど真ん中のようなチューニングで、高解像度! 硬質! ドンシャリ!って感じです。

高域は鋭めでありつつも刺さるはギリギリなく、キラキラとした印象。2000円台だと音が団子になりがちな中域帯もボーカルや楽器隊の分離もなかなかにできていて、解像度感高く鳴らします。

低域はベースラインは少しスッキリとしつつも、バスドラムやサブベースは迫力のある音で鳴らすドンシャリサウンドです。

2000円台とは思えない高解像のサウンドを体感しつつも、音は硬いけど硬くなりすぎずロックやポップスを『音』ではなく『音楽』として楽しめますね。

今まで家電量販店で聴いてきた国内製の2000円台の有線イヤホンと比べると解像度の高さに驚かされると思います。

発売からしばらく経ちましたが、今でも2000円台としては高いコスパを誇る中華イヤホンだと思います。これぞ中華イヤホンって感じ。

ちなみにxのつかない「ZST」の方がもっとドンシャリ感が強くて剥き出しのKZ感があります。ボクは「ZSTx」の方がオススメだと感じました。

Castor|2バージョンを楽しめる2DDイヤホン

シルバーがノーマル、ブラックが低域バージョン
スペック一覧Castor
ドライバー10mmダイナミックドライバー
6mmダイナミックドライバー
インピーダンス ハーマン・ターゲットバージョン:31-35Ω
低域バージョン:16-20Ω
再生周波数帯域20Hz – 40kHz
音圧感度ハーマン・ターゲットバージョン:105±3dB
低域バージョン:103±2dB
プラグ形状3.5mm
ケーブル銀メッキケーブル 1.2m
リケーブル対応2Pin QDC
リモコンマイクマイク付きモデルもあり
付属品シリコンイヤーピース 3ペア
フォームイヤーピース 1ペア
2pinケーブル
ユーザーガイド

Castorは10mmダイナミックドライバーと6mmダイナミックドライバーの2DD構成となっています。

そのチューニングはイヤホンの周波数特性の定番である「ハーマンターゲットカーブ」に準拠して制作されているのですが、低域バージョン(ブラックカラー)はそこに低域をモリモリに盛ったチューニングになっています。

こちらも4つのスイッチイング機能があり、本体上部のスイッチを切り替えることで音の傾向を変えることができます。

とりあえずデフォルトで今回は検証しています。

ケーブルがCastorのみ、銅線感たっぷりの品質が悪そうなケーブルで、そこだけが残念。

着脱端子はQDCタイプの2pinを採用しています。

装着感はこんな感じ。悪くないですが、音漏れはやや多め。

音質についてですが、低価格帯の最近のKZのなかではCastorの低音モデルが一番好みかもしれません。

音の特徴はこちらの通り。

音の特長

3.9

高音

3.8

中音

4.0

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
設定次第
高域寄り

その音質ですが、2DDらしいモリモリの低音と、KZらしい高解像度でクリアなサウンドが組み合わさったような感覚ですね。

音の傾向はKZらしいドンシャリには変わりないのですが、BAを搭載していないため音が鋭くなりすぎず、全体的に豊かさを感じる音作りです。

低域がとにかくモリモリではあるのですが、かといって支配的な感覚はなく、中高域はそのままクリアなんですよね。

音場も少し広く、ダイナミックドライバーらしく中低域から豊かに広がっていくような感覚があります。

2DDと聴くとモッサリするような印象を受けるかもしれませんが、意外とBA搭載機のように粒立ちも良く、一音一音を把握しやすいんですよね。

低域を豊かに鳴らせることもあり、ヒップホップやEDM、エレクトロ系なんかとも相性が良いです。

昔DQ6という3ダイナミックドライバー構成のイヤホンがあったんですけど、そのイヤホンがとても好きだったので、ダイナミックドライバー複数機は好みに合いやすいのかもしれません。

低音派ではあるけど中高域が埋もれすぎるのは苦手!という方におすすめしたい中華イヤホンです。

ちなみにノーマルのCastorの評価はこんな感じ。

音の特長

3.9

高音

3.8

中音

3.8

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
設定次第
高域寄り

こちらはバランスの整った音ですが、低音バージョンのように豊かさが薄れて、KZらしくシャキッとした感覚ですね。

2DDらしい低音の臨場感や音の広がりを楽しむなら、やはり低音バージョンの方が良く感じました。

Castorのノーマルバージョンを買うなら、Krilaの方がおすすめかなー。

ZSN PRO 2|これぞ現代のKZ

スペック一覧ZSN PRO 2
ドライバー10mmスーパーリニアダイナミックドライバー×1
+バランスドアーマチュアドライバー×1
インピーダンス 32 Ω
再生周波数帯域20Hz-40KHz
音圧感度108dB
プラグ形状3.5mm
ケーブル銀メッキケーブル 1.25m
リケーブル対応2Pin QDC
リモコンマイクマイク付きモデルもあり
付属品シリコンイヤーピース 3ペア
フォームイヤーピース 1ペア
2pinケーブル
ユーザーガイド

ZSN PRO 2はKZの大人気モデル「ZSN PRO」の後継機種です。 デザイン的にはZN10 Proに近い気がする。

ただ、一昔前のKZよりもプレートのバリ感が抑えられて、シェルもキレイになっており、全体的に質感がアップしていることがわかります。

着脱端子はQDCタイプの2pinを採用しています。

装着してみたらこんな感じ。装着感も悪くないです。

そのZSN PRO 2の音ですが、最近のKZのなかでは一番KZをしている音だと思いました。

音の特長

3.9

高音

3.8

中音

3.8

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
フラット
高域寄り

KrilaはKZにしてはバランスが良くて上品、CastorはKZにしては豊かで、ZSN Pro 2はKZの原点回帰的な音作りですね。

音の傾向は硬質系で余韻感が少なめのTHE・ドンシャリサウンドという感じでしょうか。もはやKZドンシャリと名付けたいくらいKZらしい傾向。

かといってZSTXのような昔の荒々しいKZ感は控えめで、最近のKZらしい丁寧さも持ち合わせています。

高域は暴力的にカチッと硬めに鳴らしつつも、刺さりを感じさせないギリギリを攻めた感じ。

低域は一聴するとスッキリとした感じなのですが、楽曲によってはサブベースあたりで急にゴリゴリに攻めてくるような良い意味で下品な重低音を鳴らしてきます。

ボーカルラインもピークラインの表現がなかなか粋な感じで、フレッシュに聴かせてくれます。

ただ初代のZSN Proと比べるとまだ落ち着いた感覚はありますね。初代は高域はナイフ、低域はハンマーみたいなもっと頭が悪い音してたんで、あの頃と比べると大人になりました。

底抜けに明るく、そして低域の下限はゴリゴリと、これぞ現代のKZ!的な音を主張してくるので、KZらしい音に触れたい方にオススメの製品です。

ちなみにAmazonで買うより、アリエクで買った方が半値以上安いです。

KZ 最新モデル

定番モデルや前回高く評価したモデルを紹介したところで、次にわりと最近発売されたばかりの最新モデルを中心に紹介していきましょう。

Vader Pro|3DD!やはり3DDは正義!!

KZ Vader Proは、片側に3基のダイナミックドライバーを搭載したモデル。

KZの3DDといえば昔にDQ6というモデルがあったんですけど、それがめっちゃ好きだったんですよ。昔に作ったKZのおすすめランキングでは1位として紹介したくらい。

なので同じ3DD構成のVader Proにも期待しておりましたが、やはり3DDは正義でした!

AliExpressでは約4,000円、セールだと3000円台、Amazonでは約5,600円で販売しています。

製品名KZ Vader Pro
ドライバー3DD(低域用・中域用・高域用)
インピーダンス18Ω
再生周波数帯域5Hz – 45kHz
音圧感度106dB
プラグ形状3.5mm
ピン形状0.75mm 2pin
ケーブル高純度デュアルブレイド銀メッキケーブル
ケーブル長120±5cm
リケーブル対応
リモコン・マイク
付属品シリコンイヤーピース3ペア(S/M/L)、フォームイヤーピース1ペア、銀メッキケーブル、チューニングスイッチ用ツール(Tuning Editionのみ)、ユーザーガイド
装着方式カナル型(耳掛け式)

フェイスプレートはジグザグとした盾のような金属仕様。シェルとノズルは樹脂筐体となっています。デザインは好き。

着脱端子はQDCタイプの0.75mm 2pinの金メッキ端子を採用。

音の特徴はこちらの通り。

音の特長

4.0

高音

4.0

中音

4.0

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
設定次第
高域寄り

今回紹介するKZの最新モデルの中では一番好みでした! イイ意味でKZらしくない! 以前紹介した2DDのCastarと音の傾向はかなり似ていて、まさに上位版みたいな音。

音のバランス自体はKZらしいドンシャリ傾向をベースにしつつ、3DD構成の恩恵でCastarよりもさらにレンジが広く、BA非搭載でありつつも解像度も高いモデルです。

高域は倍音や金属系楽器の響きが自然かつクリア。耳に刺さらない程度の鋭さと、きらびやかな余韻を両立しています。

KZのBAモデルだと簡素な響きになることが多いですが、Vader Proは自然な抜け感と余韻の美しさがあります。ここがいい意味でKZらしくない!

中音域はやや引き気味ながら、ボーカルは息遣いや余韻までほどよく滑らかに描写。KZらしいシャキッとさはあるものの、艶感も感じられる歌声で、ここもKZっぽくない!

低域は3DDのレンジの広さのおかげで、かなり深く自然に沈み込んでいきます。KZ特有のせまいレンジで迫力だけで攻める感じではなく、ちゃんと深みや広がりがあるのですよ。ベースラインも自然に広がります。

音場も広めで、奥行きと高さの表現が優秀。定位は他のモデルと比べると少し甘め。

チューニングスイッチによる音色変化も楽しめますが、個人的にはデフォルトの全てONが好みでした。

総評して、KZのイヤホンの中ではかなり好みのモデルでした。価格の高いZARと比べても価格関係なくVader Proの方を選ぶくらい良かったです。

これは5000円以下のKZの中でも特におすすめしたい製品かも。

前回紹介したCastorも好みの音でしたし、ワイはマルチDD狂なのかもしれない。

ZAR|KZ定番の1DD+複数BA

KZ ZARは、1DD+7BA構成のハイブリッド型モデル。

価格はAliExpressで7000円〜8000円ほど、Amazonで11,000円前後と、KZラインナップではやや高めのポジション。

Vader Proが3DDならではのレンジが広く滑らかでKZらしくないサウンドだとすれば、ZARはKZのど真ん中を突いてきたかのようなジャキジャキサウンドです。

製品名KZ ZAR
ドライバー1DD(低域)+7BA(中高域・高域)
インピーダンス16.5±3Ω
再生周波数帯域20Hz – 40kHz
音圧感度109±3dB
プラグ形状3.5mm
ピン形状0.75mm 2pin
ケーブル8芯銀メッキケーブル
ケーブル長120±5cm
リケーブル対応
リモコン・マイク
付属品シリコンイヤーピース3ペア(S/M/L)、8芯銀メッキケーブル、ユーザーガイド
装着方式耳掛け式カナル型

フェイスプレートはメタリック調で質感が高く、筐体は軽量な樹脂製。このゴツゴツとしたデザイン好きよ。

着脱端子はqdcタイプの2pin。標準ケーブルは柔らかい8芯銀メッキで取り回しやすいで、他のモデルと比べても質感は高め。

内側が耳の形に沿った形状になっていて、今回検証した中では一番装着感は良かったです。

音の特徴はこちらの通り。

音の特長

4.2

高音

4.1

中音

4.2

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
設定次第
高域寄り

ZARのサウンドは低域寄りの寒色系ドンシャリサウンドでレスポンスも早め。つまりいつものKZ。

1BAごとの帯域が狭いのか、滑らかさを感じられない。この1BAごとに妙に分離している感じがKZらしいというかなんというか。

低域はしっかりと迫力と厚みがあり、サブベースがブンブンと鳴らすゴリラサウンド。

中音域はやや引き気味で、解像度は高いけど色っぽさは一切ありません。あと中音域の厚みも妙に少ない気がします。

高音域はジャキジャキとしつつも刺さりは意外少なめ。BAらしい分離感の良い音で、一音一音をクッキリと描くような感じ。

スネアやシンバルのアタック感が今回検証した中では一番良かったですね。低音域のバスドラムの迫力と合わせてドラムサウンドが引き立つぜ。

音場は特別広いこともないですが、定位は明確で音の前後関係もつかみやすいです。

ポップスやボーカルものをメインに聴くならVader Proの方が向いているように感じましたが、ロックやメタルをスピーディーにジャキジャキと聴きたい方はZARの方が良いと思います。

ZARをはじめ聴いた時はポップスだったので「なんじゃこの艶感をほとんど排除した音は……」と思ってましたが、ロックだと素っ気ない音がギターやベース、ドラムの音を逆に際立たせてくれましたね。

これぞKZなサウンドをより高解像度で楽しみたい方にはおすすめですね。ただボクの好み的にはVader ProやPRXかな〜。

PRX|KZらしさが増した平面駆動型

KZ PRXは、第4世代13.2mm平面駆動ドライバーを搭載したモデル。

前モデルPR3からドライバーの磁気回路やダンピング構造を最適化し、歯擦音の低減、解像感・透明感の向上、低域の量感アップを実現しています。

価格はAliExpressのセールで4,500~6,000円ほど、日本では8,000円~10,000円前後と、平面駆動モデルとしては手が届きやすい設定です。

製品名KZ PRX
ドライバー第4世代 13.2mm 平面駆動ドライバー
インピーダンス15Ω
再生周波数帯域20Hz – 40kHz
音圧感度94±3dB
プラグ形状3.5mm
ピン形状0.75mm 2pin
ケーブル高純度銀メッキケーブル
ケーブル長120±5cm
リケーブル対応○(Bluetoothモジュール対応)
リモコン・マイク○(有無選択可)
付属品シリコンイヤーピース3ペア、ウレタンイヤーピース1ペア(装着済)、銀メッキケーブル、ユーザーガイド
装着方式耳掛け式カナル型

PRシリーズのデザインを踏襲しつつ、中央部にブルーの差し色をあしらったデザイン。

金属フェイスプレート+樹脂ハウジングの組み合わせで、クリアシェル越しに平面駆動ドライバーが覗きます。

着脱端子はQDCタイプの0.75mm 2pinの金メッキ端子を採用。

音の特徴はこちらの通り。

音の特長

4.3

高音

4.2

中音

4.2

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
フラット
高域寄り

PRXの音質ですが、以前紹介したPR3と比べてKZらしい低音が加わりつつ、バランスを整えて聴きやすくしたモデルという印象です。

PRシリーズは相変わらず価格に対してのポテンシャルはクソ高いです。

高域はPR3と比べると伸びやかさはそのままに、少しマイルドになって聴きやすくなりました。PR3が剥き出しの高域でキツさを感じていましたが、PRXはキツさを感じさせる前に自然に伸びるような感覚。

中域はニュートラルで癖がなく、女性ボーカルは伸びやか、男性ボーカルにも深みが生まれています。分離感も高く定位もビシッと定まっている感覚

低域はPR3より量感が増し、締まりのあるミッドベースと深く沈む重低音を両立。平面駆動らしい歪みの少ないクリアな低域で、全体をしっかりと下支えします。

音場はPR3同様に左右に抜けの良い音で広がっていくような感覚。PR3と比べて奥行き側にも広がるようになりました。

総評して、PR3に比べて高域の伸びと低域の量感が向上し、全体のバランスも改善され透明感のあるサウンドと適度な温かみを両立した万能機になりましたね。

PR3と同様に価格に対してめちゃくちゃ音は良いんですけど、PR3と同様にスマホ直差しとかでは絶対おすすめしません。

最低でもDACは必要かと思います。スマホ直差しでもPR3と比べると低域はしっかり出るようになりましたが、高域が薄くキツくなります。

DACを前提としないのであればVader Proがおすすめですが、DACを前提とするならPRXの方がコスパは高いとは思います。

Gale|意外とバランスが良いUSB-C直結型ゲーミングイヤホン

KZ Galeは、KZとしてはめずらしいUSB-C直結型のゲーミングイヤホン

独自開発の「スーパーリニア・ダイナミックドライバー」を搭載し、ゲーム内の足音や銃声といった定位感重視のサウンドはもちろん、音楽鑑賞でも通用する解像度とバランスを実現しています。

価格はAmazonだと2500円ほどですが、3.5mmタイプのみの販売。AliExpressでは今回検証したUSB-C直結型のDSPタイプ2700円ほどで販売されています。

製品名KZ Gale
ドライバー独自スーパーリニア・ダイナミックドライバー
インピーダンス24Ω
再生周波数帯域10Hz – 20kHz
音圧感度107dB/mW(@1kHz)
プラグ形状3.5mm / USB-C(モデルによる)
ピン形状0.75mm 2pin
ケーブル銀メッキケーブル
ケーブル長120±5cm
リケーブル対応
リモコン・マイク
付属品シリコンイヤーピース 3ペア、フォームイヤーピース 1ペア、2pinケーブル、ユーザーガイド
装着方式カナル型(耳掛け式)

ハウジングはゲーミングらしいシャープな造形。EDXのゲーミングバージョンのような見た目ですね。

ケーブルはQDCタイプの2pinを採用。てかこのケーブルを他のKZのイヤホンに使えばUSB-Cで使えるんじゃね。

フィット感は少し浅め。もう少し奥まで挿入したい。

音の特徴はこちらの通り。

音の特長

3.8

高音

3.8

中音

3.8

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
設定次第
高域寄り

Galeの音質についてですが、思ったよりまともで驚きました。ZSTxよりふつうに良く聴こえました。

今回提供いただいたのは4つのEQが使えるタイプのものですが、Music Balanced Mode(紫)で検証しました。ちなみにUSB-Cの根本をクリックすることでEQを切り替えられます。

ゲーミングタイプということもあってMUSICモードでも定位もわかりやすい印象です。

高音域は音楽鑑賞用途でもわりと鋭めの音はでますが、かといってピーキーになりすぎず、耳に刺さらない程度に粒立ち良く鳴らしますね。ゲーミングタイプということもあって細かな音もひとつひとつ拾っていきますね。

中音域についてですが、ボーカルが意外と前に出てきます。おそらくこのボーカルの近さのおかげでバランス良く聴こえるのかも。

低音域は標準状態でもタイトで沈み込みが深く、必要以上に膨らまないため定位の邪魔をしません。ベースブースト(青)にすると、ゴリゴリとした低音が出るようになります。

ゲーミングモード(緑)にするとさらに中低域が引き締まってSEだけを強調するようなバランスに、イマーシブゲーミングモードはさらにそのバランスが強調されるような感じですね。

一見ゲーミングイヤホンと伝えられるとリスニング用途としては避けがちになりますが、Galeはリスニング用途でも全然OKだと思います。それくらいバランスが良かったというか今回使った中では一番クセが少なかったかも。

一つのイヤホンで4つの音を楽しめるので、ゲーミング用途も含めUSB-C直結でスマホで気軽に高音質で聴きたい時や、携帯ゲーム機で気軽にゲームしたい時なんかおすすめです。

ちなみにEQが使えないスタンダードバージョンは使っていないので、どのモードでチューニングされているかわからないんですよね……。仮にゲーミングモードを基準としていたら音楽観賞用にはおすすめしにくいから……。

音質の保証ができないからEQが使えるDSPバージョンの方がおすすめかも。

USB-C直結で気軽に使えるのでオーディオマニア以外の方にもおすすめですね! ただしAliExpressを使っている時点ですでにマニアの可能性が高い!

AM16|8BAの低音お化け

KZ AM16は、片側にBA8基(両側合計16基)を搭載した次世代フルバランスドアーマチュア構成のモデル。

価格はAliExpressだとセールで4000〜5000円ほどで売られています。Amazonだと10000円前後。価格差っ!

従来のAS16 Pro Xからドライバー構成が大きく変更され、低域用には新世代の22955ドライバー、中高域には4基のBA、高域には2基のBAを割り当てた三分割クロスオーバー設計です。

バランス版と低音強化版の2モデルがありますが、せっかくだから俺はこの低音強化版を選ぶぜ!

製品名KZ AM16
ドライバーフルBA構成(低域1基+中域1基+中高域4基+高域2基)
インピーダンス22Ω
再生周波数帯域5Hz – 45kHz
音圧感度104dB
プラグ形状3.5mm
ピン形状0.75mm 2pin
ケーブル高純度銀メッキケーブル
ケーブル長120±5cm
リケーブル対応
リモコン・マイク
付属品シリコンイヤーピース3ペア、銀メッキケーブル、ユーザーガイド
装着方式耳掛け式カナル型

フェイスプレート側に大きな開口部を持つセミオープン構造が特徴。ちょっとPRシリーズっぽい。

着脱端子はQDCタイプの0.75mm 2pin金メッキ端子を採用。

音の特徴はこちらの通り。

音の特長

4.1

高音

4.0

中音

4.2

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
設定次第
高域寄り

AM16のサウンドは、AS16シリーズの中域重視から一転、KZらしいドンシャリ寄りへ進化。

低域は超ゴリっゴリ。大阪の下品なくらいだしが濃い立ち食いうどん並みにゴリっゴリ。

キックはズンっと響き、ベースラインはうねるように力強く主張します。ただBAで低域を鳴らしている影響か、ダイナミック型のような立体感はあまりなく、解像度も並程度。キックやサブベースの迫力だけを重視したような感覚。

ただ、これだけ低域の量感が多いのにも関わらず、中高域の解像度も高く埋もれている感じもないんですよ。

中域は複数BAならではの解像度の高さがありつつも意外とマイルドで、キツさを感じにくい自然な表現です。

中高域は4基のBAが担当している影響か、女性ボーカルは良く伸び、シンバルなど金物系の響きやギターのジャキッとした刺激音までしっかり再現します。

超高域の伸びは控えめで、平面駆動型のPRシリーズのようなつき抜ける爽快感はありません。

音場はおおよそふつう程度。低域の主張が激しい分、奥行き側に低音が広がっていくような感覚はあります。中高域はわりとニアフィールドで定位良く鳴らすモニター的なアプローチになっています。

それにしてもAliExpressでは5,000〜6,000円ほどで買えますが、実力はなかなか高いと思います。

「ゴリゴリ低音好きだけど中高域の解像度感も捨てたくない!」という方にはぴったりだと思います。

KZの多BA機はAS24のせいでイイ思い出はなかったのですが、AM16はかなり好みでしたよ。

ZARと似たような傾向かもしれせんが、個人的にはAM16の方がもう少し音楽的な鳴り方で好みでしたね。ZARは素っ気ないから……。

KZ 少し古めのモデル


Krila|優しさを覚えたKZサウンド

スペック一覧Krila
ドライバー10mmダイナミックドライバー + 1BA
インピーダンス 28-36Ω±3Ω
再生周波数帯域20Hz-40KHz
音圧感度106±3dB
プラグ形状3.5mm
ケーブル銀メッキケーブル 1.2m
リケーブル対応2Pin QDC
リモコンマイクマイク付きモデルもあり
付属品シリコンイヤーピース 3ペア
フォームイヤーピース 1ペア
2pinケーブル
ユーザーガイド

$1000以下敵なし」という強烈な広告とともに現れたKZの新たなエントリーモデルですが、んなわけがない。

ボクとしては「3000円台なら結構おすすめ!」って感じでしょうか。

ドライバー構成は10mmダイナミックドライバー + 1BAとKZの定番構成となっています。

4つのスイッチイング機能があり、3つは低域ラインの調整、1つは高域ラインの調整が可能な仕様になっていて、音の傾向を変えることができます。

高域側はけっこう雰囲気が大きく変わるので、好みに合わせて調整してみると良いと思います。とりあえずデフォルトの全部ONの状態で評価しています。

着脱端子はQDCタイプの2Pinを採用。

装着してみるとこんな感じ。こちらも不満なし。

音の特徴はこちらの通り。

音の特長

3.9

高音

3.8

中音

3.8

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
設定次第
高域寄り

KZの1DD + 1BA構成の剥き出しのKZ感がなくなって、全体的にまとまりがありバランスが良いサウンドになりましたね。ZSTXよりも聴きやすい音になっているかと思います。

ただ、あくまで”KZにしては”という基準なので、相変わらずドンシャリであることには変わりありません。

高域は刺さりを全く感じさせずにKZらしく鋭く伸ばすような感覚、低域も暴力的には沈み込みすぎず、程よく豊かさもあるような感覚。

このあとに紹介するZSN Pro 2よりも聴きやすい仕上がりでしょう。ただ一聴した時のクリアさや解像度感の高さはZSN Pro 2に軍配があがるかもしれません。

解像度感の高さを感じつつ落ち着いて聴きたいならKrila、KZらしいドンシャリ感で高解像度サウンドを楽しみたいならZSN Pro 2という感じですかね。

過大広告で悪い意味で話題になってしまったけど、純粋に3000円台のイヤホンと考えればコスパはなかなか高い方だと思います。初めての中華イヤホンとしてもおすすめしやすいかと。

PR3|ポテンシャル最強!激安平面ドライバー

スペック一覧PR3
ドライバー13.2mm平面駆動ドライバー搭載
インピーダンス 15±3 Ω
再生周波数帯域20~80,000Hz
音圧感度94±3 dB
プラグ形状3.5mm
コード長1.2m
重量約50g(ケーブル・プラグ含む)
リケーブル対応2Pin QDC
リモコンマイク×
付属品シリコンイヤーピース 3ペア
フォームイヤーピース 1ペア
2pinケーブル
ユーザーガイド
保証期間1年

PR3は13.2mmの平面駆動ドライバーを1機採用したモデル。Amazonだと約1万円ほど、アリエクスプレスなら5000円以下くらいで買えますね。価格差っ!

そして平面駆動型で5000円以下はめちゃめちゃ安いですね。1万円台でもハイコスパって言われているのに。

インピーダンスは15±3 Ω、そして音圧感度は94±3 dBとエグい鳴らしにくさ。ヘッドホンかよ。

実際にふだん使ってるSONY NW-WM1AM2の3.5mm接続だと音がスカスカになって、高域もめっちゃ刺さります。

こちらはできればリケーブルでバランス化した方が良いかもしれません。

着脱端子はQDCタイプの2Pinを採用。

装着してみるとこんな感じ。装着感は特に不満なしですね。

その音質ですが、5000円という価格を考えればめちゃめちゃいいです! ただし、試聴環境は高出力環境を用意した方が良いと思います。

音の特徴はこちらの通り。

音の特長

4.3

高音

4.1

中音

4.0

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
フラット
高域寄り

音の傾向的には、剥き出しの平面ドライバーに対して、KZのチューニングをプラスした感じの音ですね。

高域は鋭めではありますが、1万円以下としてはトップクラスに伸びが良いですね。フォームイヤーピースである程度スポイルしてあげれば、ちょうど良い高域のキツさになります。

ボーカルラインもややスッキリとしつつ、価格に対して曇りを一切感じさせない超クリアなサウンドです。

低域は再生環境によっては立体的な音で豊かに鳴らしてくれるのですが、その環境を作るのがけっこう大変っていう……。

音場も平面ドライバーらしく広くて、上にスゥ〜っと自然に伸びていく感覚がありますね。

価格に対してめちゃくちゃ音は良いんですけど、スマホ直差しとかでは絶対おすすめしません。最低でも1万クラスのDACは必要かと思います。スマホ直差しだと音がスカスカになって、高域だけ刺さるような音になります。1

ただ思うことは、PR3を鳴らせる環境を使っている方は、多分1万円以下の有線イヤホンはメインで使ってないんじゃないかな……。マニア向け感が強い。

もしコスパ重視でPR3を使い切りたい場合は、リケーブル+DACの購入をおすすめします。Dawn ProかEarFun UA100あたりなら安くて出力も高いですよ。

リケーブルはフォロワーさんにおすすめいただいたJSHiFi-Hi8の4.4mmバージョンを購入してみましたが、いい感じに出力を確保できました。価格も1,650円ほどなのでおすすめです。

けど、今買うならPRXのほうがいいかな〜と。

AS24|脅威の片側12BA

スペック一覧AS24
ドライバー12BA
インピーダンス スタンダードバージョン 20Ω
再生周波数帯域20~40000Hz
音圧感度標準バージョン 112±3dB
プラグ形状3.5mm
ケーブル銀メッキケーブル 1.2m
リケーブル対応2Pin QDC
リモコンマイクマイク付きモデルもあり
付属品シリコンイヤーピース 3ペア
フォームイヤーピース 1ペア
2pinケーブル
ユーザーガイド

AS24は約17,000円という価格で片側12BAを搭載した変態機。

それだけではなく音質切り替えスイッチも片側に8つ付いているというバカみたいな構造。

8つもあると、さすがにどのスイッチにすればいいかわからない……。

インピーダンスは20 Ω、そして音圧感度は 112±3dBなんで、問題なく鳴らせるレベルかと。

着脱端子はQDCタイプの2Pinを採用。

装着してみるとこんな感じ。装着感は特に不満なしですね。

その音質ですが、正直PR3を聴いた後だと「?」ってなってしまいますね。これで17000円?これで12BA?って感じ。

音の特長

4.0

高音

4.0

中音

4.0

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
フラット
高域寄り

KZにしてはマイルドというか、なんだかモッサリさも感じるような音作りですね。

12BAということもあって全体的に情報量は多い気がするが、各帯域ごとのドライバーが邪魔している感覚で、さらに一音一音の伸びも悪め。

低音も価格に対して締まり感や迫力のようなものもそこまでなく、悪い意味でマイルドという感覚です。

中音も艶感がなくて分析的なのに柔らかめという感覚で、これらが全部合わさってモッサリ感につながっているような感覚です。

とりあえず12BA突っ込んだし、とりあえず8つスイッチつけたから、あとは好きに調理してくれ!と言わんばかりの丸投げ構成。こういう雑な状態で販売をGOするあたりもKZの醍醐味ですね。

ボクだったら17000円払うなら、間違いなくAS24以外のイヤホンを選ぶ。

KZ新製品レビューまとめ

スクロールできます
商品名
ZST X
ZST X
Vader Pro
ZAR

PRX

Gale
AM16
Krila
Castor
低域バージョン


Caster
ハーマンバージョン
ZSN PRO 2
PR3
AS24
総合
評価

(4.5)

(4.8)

(3.5)

(4.8)

(4.6)

(4.5)

(4.7)

(4.8)

(4.5)

(4.5)

(4.5)

(3.5)
ドライバー1BA +1DD3DD1DD+7BA1平面1DD8BA1BA +1DD1BA +1DD1BA +1DD1BA +1DD1平面12BA
高域
(3.7)

(4.0)

(4.2)

(4.3)

(3.8)

(4.1)

(3.9)

(3.9)

(3.9)

(3.9)

(4.3)

(4.0)
中域
(3.7)

(4.0)

(4.1)

(4.2)

(3.8)

(4.0)

(3.8)

(3.8)

(3.8)

(3.8)

(4.1)

(4.0)
低域
(3.7)

(4.0)

(4.2)

(4.2)

(3.8)

(4.2)

(3.8)

(4.0)

(3.8)

(3.9)

(4.0)

(4.0)
傾向KZらしいドンシャリサウンドKZらしからぬ滑らかで広がりのある自然な音KZらしい域寄りの寒色系ドンシャリの上位版PR3よりも進化した自然で抜けの良い高解像度サウンド意外とバランスが良い!ゲーミングでもリスニングでも可!低音ゴリゴリ+高解像度サウンドKZにしてはバランスが良く聴きやすい低域が豊かかつ高解像度なサウンドほどよく豊かで高解像度なサウンド現代の
KZドンシャリ
超伸びやかで立体的情報過多でモッサリ

ボクの好みで伝えると、ちゃんと再生できる環境があればPRXが一番よかったです。ただ、PRXは再生環境を選びすぎるんですよね……。もうすでに環境ができているマニア向けって感じなんですよ。

再生機器に捉われずにおすすめをするならVader ProやCasterですかねー。

もっとKZらしい音というか、中華イヤホンのスタンダードな音を味わいたいという方には「ZSTx」が一番わかりやすいと思います。

どれもAliExpressのセールだと5000円以下ほどで買えるものが多く良い音で鳴らしてくれるので、まだKZのイヤホンを買ったことがないという人は、この機会に一度買ってみてください!

ここが沼の入り口です。いらっしゃっせー。

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