final A6000 / S4000 / S5000 レビュー|finalの最新ミドルクラスイヤホン徹底比較!

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こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。

いやはや大変おまたせしました。

今回はfinalの最新ミドルクラス有線イヤホン A6000 / S4000 / S5000 をまとめて紹介します。

A6000はレビュー用にfinalさんから提供いただき、S4000 / S500については貸出してもらってます。

A6000が新開発「ステンレスマウントフレーム」を搭載した特殊筐体を採用した有線イヤホンで価格は59,800円。以前紹介したA5000の上位モデルに当たりますかね。

SシリーズがBAドライバーの新たな可能性を引き出す独自開発の「トーンチャンバーシステム」を採用した有線イヤホンで、S4000がステレンス筐体の2BA構成で44,800円S5000が真鍮筐体の2BA構成で54,800円となっています。

どちらも50000円前後と激戦区となっている価格帯です。

それぞれどれほどの実力なのか、A5000や他の5万円前後の有線イヤホンと比較しながら検証していきましょう

製品貸出:final(A6000は提供)

目次
かじかじ
元イヤホン専門店スタッフ
オーディオ販売歴9年。元々イヤホン専門店で店長やWEBマーケを担当してました。

イヤホンをレビューすることは空気を吸うようなものだと思ってます。


2024年1月時点で月間100万PV。
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final A6000 / S4000 / S5000 外観・付属品

それではfinal A6000 / S4000 / S5000の外観や付属品をチェックしていきましょう。

パッケージ

final A6000 / S4000 / S5000のパッケージはそれぞれこんな感じ。いつものfinalらいし白地で高級感のあるデザインとなっています。

付属品

A6000 付属品一覧
  1. TYPE E 完全ワイヤレス専用仕様(5サイズ)
  2. イヤーピースケース
  3. シリコンキャリーケース
  4. イヤーフックTYPE B
A6000 付属品一覧
  1. FUSION-G(3サイズ)
  2. イヤーピースケース
  3. シリコンキャリーケース
  4. イヤーフックTYPE B

付属品は同じように見えて、イヤーピースだけ異なります。

まずA6000に付属するのはTYPE E 完全ワイヤレス専用仕様というワイヤレスイヤホン向けに制作された軸が短く開口部が広く開いたイヤーピースが5サイズ付属しています。

公式ページでも“あえてTYPE E 完全ワイヤレス専用仕様を付属”と書いていたので、おそらくチューニング的にこのイヤーピースがベストだったんでしょう。

対してS4000 / S5000は最新イヤーピース「FUSION-G」が3ペアも付属する豪華仕様。

こちらは「超密度フォーム」「柔らかシリコン」「高弾性シリコン」の3つの素材を組み合わせた独自の「トリプルハイブリッド構造」を採用したfinalの最新イヤーピースで、つい最近単品販売も開始されましたね。

この子、単品販売で3480円もするのに、それが3サイズも入っているから、付属品だけでもかなり豪華仕様になっていますね。

本体・ケーブル

final A6000 / S4000 / S5000のイヤホン本体を見比べるとこんな感じ。

左からA6000、S4000、S5000

A6000はA4000やA5000と同じ樹脂筐体を採用したイヤモニ型のミニマルなデザイン。このデザイン軽くて見た目もおしゃれで好きなんですよね〜。

A6000

ドライバーには自社開発ドライバーユニット「f-Core DU」を採用。A3000 / A4000 / A5000にも搭載されていたドライバーユニットですね。

ステンレスマウントフレーム

このドライバーユニットに対して、A6000から新たに開発された「ステンレスマウントフレーム」という特殊筐体で支えるような設計に変更されています。

見た目は樹脂筐体! 中身は金属筐体! その名はA6000! みたいな構成になっていると思ってください。

S4000 / S5000はE4000やE5000と同じく直線型の金属筐体を採用。S4000がステンレス、S5000が真鍮筐体になります。

左:S4000、右:S5000

ドライバーはフルレンジBAドライバー2基を搭載。この2基のBAを内部の振動がキャンセルされる「水平対向配置」にすることでドライバー自体の不要な共振を抑えているとのこと。

またドライバーのフロント部に特別な音響空間を設ける独自の「トーンチャンバーシステム」で、BAドライバー本来の音響特性を活かしつつ、筐体素材による響きを引き出せるようになったとのことです。

ノズルはくびれ部分の形状は異なりますが、長さや口径は同じですね。

ケーブルはS4000/S5000に関しては、A5000でも採用されていたソフトシルバーコートケーブルが付属しています。

S4000 / S5000のケーブル

A6000は新設計2PINソフト単結晶銅ケーブルを採用しています。

A6000のケーブル

プラグはどのモデルも3.5mmタイプのみになりますね。Aシリーズはけっこう鳴らしにくいんだから、価格的にも4.4mmバランスケーブルを付属でつけてほしいんだが……。

final A6000 / S4000 / S5000の概要・スペック

ModelA6000
S5000
S4000
ドライバー構成ダイナミック型
(f-Core DU)
フルレンジBAドライバー
2基 水平対向配置
フルレンジBAドライバー
2基 水平対向配置
インピーダンス18Ω47Ω48Ω
音圧感度101dB111dB112dB
再生周波数帯域メーカー情報なしメーカー情報なしメーカー情報なし
筐体情報なし真鍮/ブラスト仕上ステンレス/ブラスト仕上
ケーブル仕様長さ:1.2m、ソフト単結晶銅ケーブル、2PIN長さ:1.2m、ソフトシルバーコートケーブル、2PIN長さ:1.2m、ソフトシルバーコートケーブル、2PIN
本体重量24g28g28g
付属品イヤーピース(5サイズ)
イヤーピースケース
シリコンキャリーケース
イヤーフックTYPE B
イヤーピース(3サイズ)
シリコンキャリーケース
イヤーフックTYPE A
イヤーピース(3サイズ)
シリコンキャリーケース
イヤーフックTYPE A

final A6000 / S4000 / S5000 レビュー

装着感について

まず装着感について。

A6000は今までのAシリーズと同様になかなか素晴らしい装着感の良さです。

樹脂筐体のおかげで本体も軽く、耳への負担も少ない印象。それでいて耳内をしっかり密閉してくれるので遮音性も確保できています。

S4000 / S5000

S4000 / S5000に関しても悪くなく、イヤモニ型と違って耳の穴に真っ直ぐ挿入するだけなので、耳が小さい方でもフィットさせやすいかも。

またケーブルがしなやかなおかげか、耳掛けをしなくてもケーブルのタッチノイズはそこまで入らない印象。

耳掛けをして使えばタッチノイズはさらに少なくなりますし、装着感も安定するので、できれば耳掛け式で使うことをおすすめしたいですね。

装着感評点
A6000(4.8)
S4000 / S5000(4.0)

A6000の音質について

それでは音質について、今回は各モデル以下の環境で検証しました。

試聴環境
  • DAP:iBasso DX260
  • アプリ:Apple Music
  • 接続方式:3.5mmバランス接続
  • イヤーピース:付属イヤーピース
  • エージング:100時間ほど

いつもNW-WM1AM2を使っているのに、今回はDX260にしている理由は、NW-WM1AM2の3.5mm接続は出力が弱くて、A6000の音をしっかり鳴らしきれていない感があったからです。

だからバランスケーブルが欲しかったのだよ。

A6000の音質ですが、A5000に金属的な余韻感や煌びやかさ、彩りを加えた音という感じですね。

A5000の音が好きだけど、もう少し華やかさが欲しいという方にはピッタリだと思います。

おそらくステンレスマウントフレームと単結晶銅ケーブルの影響が大きいのかと思います。

A6000の音質

音の特長

4.8

高音

4.8

中音

4.8

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
フラット
高域寄り

音の傾向はA5000と同様にfinal特有の繊細な音に、歯切れの良さが加わったような煌びやかで上品な音作りでありつつ、全体的にパワー感も加わったような感覚ですね。

A5000よりも弱ドンシャリ寄りになっていると思います。

A4000→A5000で音に煌びやかさやパワー感が増しましたが、A6000になってその傾向をさらに強調させたような感じですね。といってもA8000ほどキラキラとした美しさはないです。

高域はfinalらしいサラっとさがありつつもキラキラとした余韻感のある高音。

中域のボーカルラインもA5000のようにしっかり前に出つつ、そこに金属筐体のような余韻感を纏った響きと抜け感の良い音に変化していますね。

より美しく伸びやかになったという印象です。ただ後述S4000 / S5000と比べると、女性ボーカルは少し上擦るような感覚はあります

低域はA5000よりもドッシリとした迫力が加わるようになっていて、よりスケール感がアップしたA5000のような感覚で聴けます。

音場はふつうかやや広めという印象でしょうか。

ジャンルは基本オールジャンルに対応できますが、女性ボーカル系のバラードやジャズなどが特に相性が良かったように感じますね。

とりあえずA5000が好みの方は、間違いなくA6000も好みの音だとは思います。

ただ価格はA5000よりも2倍近く跳ね上がっているのに対して、めちゃめちゃ音質が良くなった!って感じでもないですかね。

あくまでA5000の音に煌びやかさと響きが加わって華やかになった!って感じです。

59,800円と考えると”コスパ”という意味ではややイマイチな印象を受けましたかね。

感覚的にはこの前レビューした3万円台の「AFUL Performer 5+2」と実力は大体同じくらいのように感じました。なんだったらPerformer 5+2の方が解像度に余裕を感じますね。最近の中華イヤホンはコスパが高すぎる。

S5000の音質について

S5000の音質についてですが、こちらは変態final時代のHeavenシリーズを彷彿させるような個性的で豊潤なサウンドですね!

リケーブル対応で取り回しも良くなってレンジも広くなって解像度もアップした Heaven V agingって感じの音です。

あれ、A6000よりこっちの方が好み。

S5000の音質

音の特長

4.7

高音

5.0

中音

4.4

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
中域寄り
高域寄り

音の傾向は余韻感超たっぷりのTHE・真鍮サウンドという感じ。価格に対して解像度はひっくいですよ〜〜〜。ただ、それでイイのよ、それがイイのよ。

中〜高域の特定の帯域だけを超美しく余韻感たっぷりに鳴らすウォーム系サウンドですね。

高域は平面ドライバーのような自然に外に抜けていくような感じではなく、ある程度の帯域で抑えつつ、その音を真鍮筐体の中で豊潤に響かせるような感じですね。

低域はBAのみの構成の影響か、迫力や躍動感はイマイチ。レスポンスも悪めでロックやポップスを聴くとかなりモタついた感じになります。

YOASOBIの「アイドル」とか聴いたら、低域が全然沈みこまないボワンとした音で、悪い意味でびっくりしますよ。エレクトロベースのポップスをメインで聴く方は絶対買わない方がいい。

逆にMISIAの「SOUL JAZZ BEST 2020」を聴くと、1曲目の「Everthing」から音ヤッベ!!鳥肌っっ!!ってなりますよ。

見事なブラス系サウンドの再現力とMISIAの艶感たっぷりの美しい歌声に鳥肌スタンディングオベーションですよ。拍手しましたもん(してない)。

この音こそ、今まで5万円台前後で推し続けてきた「Davinci」や「Performer 8」にも出せないfinal独自のサウンドです。

ただ、ホントにジャンルを選びすぎるので、メインで運用するのはおすすめしないかも。

ブラスアレンジを多用したバラードやジャズ、あとはピアノソロなどできる限りアコースティック編成で構成されている楽曲をメインで聴く方におすすめという感じです。

得意なゾーンは超得意、苦手なゾーンは超苦手って感じの尖りまくったイヤホンですよ。

final懐古ファンとしては”これでいい!これぞfinalだ!”と思っています。

S4000の音質について

最後にS4000の音質についてですが、あ〜これ3つのなかでS4000が好みだわ。

S5000よりもバランスが良くてジャンルの対応幅もある程度は広く、

S4000の音質

音の特長

4.6

高音

5.0

中音

4.5

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
中域寄り
高域寄り

音の傾向はウォーム寄りのS5000と同様の余韻感たっぷりのサウンドです。

S5000と同様に価格に対して解像度は低めで、BPMが早くて音数の多い楽曲はモッサリとした印象を受けると思いますが、S5000よりはレスポンスは良いと思います。

高域は価格を考えると伸びや粒立ちの良さはイマイチですが、その代わり中高域を彩る美しい余韻感が特徴です。S5000と比べるとサックスやトランペット主張が控えめにはなっていますかね。

低域はS5000同様に迫力は控えめで、エレクトロを聴くとポワンとした芯のない音に感じると思います。ただウッドベースやピアノの低い音などアコースティック系の楽器に対する低域は自然に沈んでくれますね。

中域はS5000よりもボーカルにフォーカスが当たっているような印象で、他の楽器隊よりも一歩前に出た状態で歌声を聴かせるように感じますね。

ボーカルやピアノを中心とした艶感や余韻感がとにかく美しいんですよ。同価格帯の解像度重視の中華イヤホンでは、この音は再現できないと思います。

またS5000よりも重心が低めの音なので、女性ボーカルはもちろん、男性ボーカルもよりしっとりとエロく聴けるように感じますね。

MISIAの「SOUL JAZZ BEST 2020」を聴くと、S5000よりもMISIAの歌声に耳がいくとおもいます。

S5000よりもボーカルやピアノにフォーカスを当てた音作りなので、バラードやピアノソロなどがおすすめですね。宇多田ヒカルの「真夏の通り雨」「桜流し」とか最高ですよ。

あとレンジが狭いからこそ、90年代のポップスのような中域に旨みが集まっている楽曲とも相性が良いですよ。ドリカム、ZARD、竹内まりや あたり聴いてみてください。超イイから。

S5000よりも安いですけど筐体の違いや音の傾向の違いくらいなので、実力的には同じだと思います。音のバランス的にはS4000の方が好きという方も多いかと。

特定の楽曲を聴いた時の感動はS5000の方が大きいですけど、総合的なバランスを考えるとボクはS4000の方が好みですね。

final A6000 / S4000 / S5000 まとめ

製品名A6000
S5000
S4000
総合評価
(4.0)

(4.5)

(4.7)
高音
(4.8)

(4.7)

(4.6)
中音
(4.8)

(5.0)

(5.0)
低音
(4.8)

(4.4)

(4.5)
こんな人におすすめA5000の音が好き
A5000からステップアップしたい
さまざまなジャンルを聴く
バラードやジャズを好んで聴く
しっとりした曲が好み
昔のHeavenシリーズが好き
ボーカルやピアノを中心に聴く
80~90年代POPSを好んで聴く
昔のHeavenシリーズが好き
価格59,800円54,800円44,800円
5万円以下の有線イヤホンの評価軸です

この中で一番好きだったのはS4000でしたね。逆に個人的にですけど評価が一番低いのはA6000でした。意外すぎる結果。

A6000はもちろん悪くないですし、A5000の上位互換的な感じで良いと思うんですよ。ただ、この価格帯は他の中華イヤホンがコスパ面であまりに強いんですよね。

A6000もある程度独自の個性はありますけど、中華系と同じような万能高解像度系サウンドだと、どうしてもコスパ面では見劣りしてしまうんですよね……。せめて4.4mmバランスケーブルをつけて欲しい。

対してS4000~S5000は、他の中華系には真似できないようなfinal独自の強みを持っていて、中華系ともしっかり差別化できていると思います。

Heavenシリーズファンとしては、今回のS4000、S5000はとても良かったです。

最近のfinalの有線イヤホンはAシリーズをメイン商材としていた印象でしたが、独自の強みを活かしたSシリーズなどHENTAI的なイヤホンもぜひ力を入れていただきたいですね。

LAB IIの後継機お待ちしております。

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • s5000をsp3000mに噛ませようと思ったのですが、ハイエンドに挿すイヤホンじゃないような気がして悩ましい今日このごろです。

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