こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回は有線・ワイヤレス、二刀流!
老舗オーディオブランド「Nakamichi」から、有線接続もできるワイヤレスイヤホン「Elite TWS700ANC」が登場しました。
ありそうでなかった二刀流! 僕が知っているだけでも二刀流で使える機種は、Nakamichiの前作と今作を含め3製品しか知らないですね。 ちなみに前作は使ったことがないです。
便利であると同時にリスクもありそうな製品ですが、気になる製品ではあります。
Nakamichiは1948年創業の老舗オーディオブランドでカセットデッキなどでも有名だったみたいですね。それ以外にもレクサスの純正オーディオでも使用されていたりしたみたいですが、その時代はボク知らない……。
性能面でもけっこうガチで、aptX AdaptiveだけでなくaptX Losslessまで対応。BluetoothチップにはQCC3071を採用。さらにノイズキャンセリングや外音取り込みにも対応。
どれほどの実力があるのか、実機を使って良かった点やイマイチな点も含めて検証していきます。
▼動画版はこちら▼
Elite TWS700ANC 外観・付属品
それではElite TWS700ANCの外観や付属品をチェックしていきましょう。
まだパッケージはできていないみたいで、本体のみ預かりました。
充電ケース・本体
Elite TWS700ANCの充電ケースはやや大型で、革製のカバーが覆い被さったデザイン。下部はゴールド色で彩られています。
ちなみにカラーは3色あるようで、今回はアンモライトをお送りいただきました。ちなみにアンモライトだけ5000円ほど高いです。
厚みもそれなりにありますね。コンパクトという感じでもないです。
充電端子は側面に備わっており、USB-Cに対応。その下にはペアリング兼リセットボタンが備わっています。
ワイヤレス充電には残念ながら対応していません。
再生時間は本体最大7時間、そしてケース込みで120時間とかなり長めです。しばらく充電する必要がなさそう。
充電ケースを開けるとこんな感じ。
本体はケースからある程度飛び出しているので、取り出しやすさも問題なしですね。
こちらのカラーはアンモライトですが、本体はラメ感たっぷりのギャラクシーデザイン。
ドライバーは中高域にKnowles社製のBAドライバーを1基、低域には10mmのダイナミックドライバーを採用したハイブリッド構成。これらのドライバーを同軸上に配置しています。
耳の形に沿った形状になっているので、装着感は悪くなさそう。
金属ノズルで、おおよそ一般的な口径のものを採用しています。
そして一番の特徴であるケーブルの着脱端子。こちらはMMCXを採用しています。
ケーブルは通常のタイプと
銀線と銅線のハイブリッドである「Elite Cable」も支援プロジェクトで用意されています。こちらのケーブルは別途支援が必要なようです。
グレードの良いケーブルを使った方が音質は良いみたいですが、そのあたりは後半にお伝えします。
このように二刀流で使えることが一番の強みといえるでしょう。
一応防水性能はIPX4相当みたいですけど、MMCX剥き出しの部分は大丈夫なんかな……。できれば水に濡らさない方が良いと思います……。
最後に重さですが、総重量は64.9g、本体片耳の重量は6.5gです。
Elite TWS700ANC レビュー
装着感|見た目のゴツさに対して良い
装着感は見た目のゴツさに対してなかなか良いですね。
実際に装着してみるとこんな感じ。
前から見るとこんな感じ。
耳から落ちる心配もなく、割と安定して使えますね。ただ、筐体が大きいことには変わりはないので、耳が小さい人は合わない場合もあるかも。
イヤーフィンのようなものはついていないのでスポーツ時は使いにくいですが、通勤・通学用途であれば問題なく運用できます。
装着感 | (4.5) |
ワイヤレス接続時の音質|低域重視の分析的なサウンド
Elite TWS700ANCの音質ですが、かなり本格的ですね。まずはワイヤレスで試聴してみましたが、しっかり価格に見合った実力はあるかと思います。
今回はXperia 5ⅣでaptX Losslessで接続して検証しました。
Elite TWS700ANCの音の特長は次のとおりです。
4.7
高音
4.7
中音
4.7
低音
aptX Losslessに対応している影響か、音の破綻が少なく緻密な音が特徴のように感じました。aptX Losslessであれば有線接続とそこまで差を感じさせない情報量たっぷりの音で鳴らしてくれます。
音の傾向は低音の量感が多めの分析的なサウンドで、低域を除けばモニターっぽい傾向のようにも感じましたね。
低域の迫力はかなりのもので、この価格帯としてはめずらしいゴリゴリ系。深みや豊かさを重視するのではなく、迫力や勢い重視といった印象でしょうか。
ただ低域の量感が少し多く、中高域の音を若干阻害しているようにも感じますね。もう少しだけ低域を絞りたい。
高域は少しカチッとした硬質な音で、解像度はなかなかに高め。楽曲によっては一部帯域が刺さりますが、超キツイ音というわけでもありません。
ボーカルラインはとても明瞭で、支配的な低域に負けることなく、こもりのない音で厚みたっぷりの肉声を聴かせてくれます。
得意なジャンルはロックやポップス、EDMといったところ。低域ゴリゴリでボーカルラインが明瞭、高域もかっちり系ということもあって、YOASOBIの「祝福」「アイドル」やAdo「踊」「唱」などのエレクトロゴリゴリ系ポップスは特に相性が良いですね。
傾向的には某ウィザードの音質特化の変態ワイヤレスイヤホンに一番近いかも。
iPhoneでAACで聴いても極端に音質が落ちることもなく、上記のような特徴を維持したままカチッとゴリゴリに鳴らしますね。
有線で聴いてみると
有線ではiBasso DX260で試してみました。まず付属のブラックケーブルで検証。
こちらのケーブルで聴いた時の音の傾向はワイヤレスと大差がない印象でしたね。ただ、音の細部に至る解像度感が一気に向上します。aptX Lossless接続時と聴き比べてもハッキリとわかるレベルです。やっぱ有線はいいですね。
というかふつうに音質が良くて驚いた。ただ、スマホ直差しで聴き比べをすると、ワイヤレスと大きな差はでにくい印象でしたね。DAPの恩恵も大きそう。
次にアップグレードケーブルを使って聴いてみると、モニター的なアプローチだった音に華やかさが生まれましたね。こちらのケーブルの方がやはり音は良いですね。
他の有線イヤホンといろいろ聴き比べてみましたけど、さすがに有線の3万クラスの音質はでないですが、大体有線の1.5万〜2万円クラスの実力はありそうでした。想像以上に有線の音質が良いです。
有線とワイヤレスの音がミックスされる
ただ、有線接続時も本体の電源が切れず、デバイスとBluetooth接続されたままになってしまうので、ワイヤレスと有線の音の両方がミックスされて聴けてしまいます。
今まで体感したことがない面白い聴き方ができますが、タッチパネルに触れてしまった際にワイヤレス接続している側の音が流れてくるので、わりと煩わしいです。
有線とワイヤレスを無理やり合体したような仕様なんでしょうね。どうせだったら有線接続をした際は電源をOFFにするような仕様にしてほしかったです。
ちなみに右側のタッチパネルを五回連続でタップすると電源がOFFになる仕様です。
ノイズキャンセリングと外音取り込みについて
ノイズキャンセリングと外音取り込み機能も備わっていますが、あくまでおまけ程度といった印象でしたね。
ノイズキャンセリングは効いてはいるが弱めでオフとの差はそこまでなく、低域はある程度抑えられますが高域の遮音性はイマイチでタイピング音や電車の走行音の高い音などは耳に入ってきやすい印象でしたね。
外音取り込みも音楽を止めていればまあ会話はギリギリできるかな?といった感じですね。
どちらのモードも風切り音は多く入ってきてしまいます。どちらも性能がめちゃくちゃ悪いというわけでもなく、あくまで普通くらいの性能って感じ。
ちなみにノイズキャンセリングをONにすると低域がスッキリとします。音のバランスは良くなりますが、
評点 | |
ノイズキャンセリング | (3.0) |
外音取り込み | (3.8) |
操作性|誤操作が多すぎる
個人的に一番気になったのは操作性。タッチセンサーで操作をするのですが、タッチ面積が広く感度も高いので誤操作しまくりです。
操作方法以下の通りです。
イヤホンを耳の奥に挿入する際にタッチセンサーをどうしても触ってしまうので、外音モードのON,OFFが暴発してしまうことが何度も何度もありました。
またアプリも対応していないので操作のカスタマイズができず、タッチセンサーの操作OFFなどもできないのでお手上げ状態。ただ、本体操作のみで音量の調整できる点は良かった。
操作性の悪さについては次の製品開発の際の課題にしていただきたいです。
通話品質|ノイズは防げているがマイク感が強い
マイク音声も実際に録音してみました。以下の音声をよければチェックしてみてくださいね!
ノイズは防げているがマイク感が強い音という印象でしょうか。
短時間の通話であれば相手に声を伝えやすいですが、長時間通話しているとデジタル感の強い声が気になるかも……。
音の遅延|有線接続で隙なし
音の遅延に関しては、YouTubeやプライムビデオを見るくらいであれば問題ないレベル。
また有線でも接続できるので、いざFPSや音ゲーなど音の遅延が許されないようなゲームをする際も、MMCXケーブルをつければ遅延なくゲームを楽しめます。
動画編集でイヤホンが必要になった際も、遅延なく編集もできますね。この点がElite TWS700ANCのいちばんの魅力ではないかと。
音の定位感も良いので、このイヤホンゲーム用途がいちばん向いているかもしれない。
そのほか気になる点
その他に気になる点ですが、やはりMMCX端子が剥き出しという点でしょうか。
買ってすぐには影響はないかと思いますが、剥き出しだと錆びて音がでなくなったり、MMCX端子から本体が影響がないかが気になるところです。
使っていない間はMMCX部を塞ぐキャップみたいなものも付属してほしいですね。
2pin仕様ではないのでガバガバにはなりにくいと思いますが、MMCXも着脱しすぎると摩耗で接点が悪くなってしまい、ケーブル接続時に音途切れが発生する場合もあります。
2wayが強みではありますが、無意味に着脱を繰り返すことはおすすめしません。
Elite TWS700ANC まとめ
Elite TWS700ANCをまとめると以下のとおりです。
総合評価
4/5
Elite TWS700ANC
- ワイヤレス・有線の二刀流で使える
- 音質は本格的!
- 意外と装着感も良好
- ゲーム時は有線接続で遅延なくプレイできる
- アプリ非対応
- ノイズキャンセリング・外音取り込みはおまけ程度
- タッチセンサーの誤操作が多い
- aptX Losslessだと接続が安定しにくい
- MMCX端子が剥き出しになっている
4.7
高音
4.7
中音
4.7
低音
4.5
装着感
3.0
ノイズキャンセリング
3.8
外音取り込み
4.3
マイク性能
3.5
利便性
Bluetooth | 5.3 | 最大再生時間 ※ANC ON時 | 本体7時間/ ケース込み120時間 |
コーデック | SBC,AAC,aptX,aptX Adaptive aptX Lossless | 充電時間 | イヤホン本体:約2時間 充電ケース:約3.5時間 |
ドライバー | 1BA+10mmダイナミック | 充電端子 | Type C |
専用アプリ | ◯ | 防水 | IPX4 |
ノイズキャンセリング | ◯ | 質量 ※片耳/ケース込 | 7g/102g |
外音取り込み | ◯ | ゲームモード | ◯ |
自動装着検出 | – | 保証 | – |
マルチポイント | – | 公式サイト | こちら |
Elite TWS700ANCはこんな人におすすめ
- 予算3万円ほどでワイヤレスイヤホンを探している
- 利便性の良さより音質の良さで選びたい
- 迫力たっぷりのモニターサウンドが好み
- ワイヤレスメインで運用しているがゲームも遅延なく楽しみたい
荒削りな部分は多いですが、音質はたしかな実力です。二刀流をリスクなく安定して使えるなら理想の製品ですね。
いちばん気になる点は操作時の誤タップの多さ。ワイヤレス接続時は仕方ないとして、有線接続時は自動で電源が切れるようにしたり、せめてタップが反応したりしないようにしてほしいですね。あとアプリ対応と。
有線とワイヤレス、どちらも使える機種となると相応のデメリットはありますが、バッテリーが切れても有線で使えたりゲームでも遅延なく楽しめたりとメリットもあるので、そのような点に惹かれた方はElite TWS700ANCを検討してみてください。
コメント
コメント一覧 (1件)
当時のNakamichiを知っているものです。
元は、中道さんという方が創設、画期的で高級クラスのカセットデッキやCDプレーヤーを開発販売していた日本の会社でした。
αシリーズのプリメインアンプで人気だったサンスイ(山水)や、カセットデッキの名門アカイ(赤井)と並ぶ人気と信頼の日本メーカーでしたが、これらアナログデッキ専業だったため、時代の波に呑まれ、3社とも倒産。
現在、アカイは、AKAI プロフェッショナルとして、DTM機材のブランドとして有名ですが、アカイ、サンスイ、Nakamichiは、ブランド名だけが残っているだけの外資系(中国系)会社です。
ですので、残念ですが当時から継承されているNakamichiの音ではまったくもってありません。
おそらく、Nakamichiがイヤホン?えっ?というのが、昔からNakamichiを知っている方々の
ご意見だと思いますよ。
自分もその中の一人です。
なので、正直言ってしまえば、昔からのNakamichiファンにとっては、ブランド名が話題になって懐かしいと思われるでしょうが、
このレビューねか評価で、Nakamichiだから購入すると言う方はほぼいないと思います。
残念ですが、当方はこの商品について、影響力の大きいNakamichiブランドを利用した中華イヤホンという風にしか見えないです。へ