こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回はイギリスの名門オーディオブランド「Bowers & Wilkins」から、大人気ヘッドホンシリーズの最新作「Px7 S2e」を紹介します。
ボクこのPシリーズが昔からめっちゃ好きで、P5、P7、P7 Wireless、P9 Signatureと買ったり乗り換えたりずっとしてきました。
なにが良いかって言われると、やはり音質の良さとデザイン性のバランス。
とにかく見た目がシックでカッコいいのですが、かといってBowers & Wilkinsということもあってデザイン重視というわけではなくメインは音質。
同価格帯のワイヤレスヘッドホンの中でも、音質の良さは頭ひとつ抜けた実力があります。
今回はこちらのBowers & Wilkinsをメーカーさんに提供いただいたので、実機を使って紹介していきます。
▼動画版はこちら▼
Bowers & Wilkins Px7 S2eはPx7S2からどう変わった?
まず、Px7 S2eの概要についてお伝えします。
主な特徴は次のとおりです。
- Px8大幅にアップグレードされた24bit DSPエンジン
- カスタム設計の40mmバイオセルロース・ドライブユニット
- aptX Adaptive(48kHz/24bit)に対応
- USB-DAC機能搭載で、有線でさらに高音質に
- 6つの高性能マイクを搭載したイズキャンセリングに対応
- 2台同時接続可能なマルチポイントに対応
前作のスペックを比較するとこんな感じ。
機能/仕様 | PX7 S2e | PX7S2 |
---|---|---|
Bluetoothバージョン | 5.2 | 5.2 |
連続再生時間 | 30時間 | 30時間 |
本体充電時間 | 2時間 | 2時間 |
ドライバー構成 | 40mm ダイナミック型フルレンジドライバー バイオセルロース | 40mm ダイナミック型フルレンジドライバー バイオセルロース |
DSP | 24bit DSPエンジン Px8と同様のチューニング | 24bit DSPエンジン |
対応コーデック | SBC, AAC, aptX™, aptX™ HD, aptX™ Adaptive(48kHz/24bit) | SBC, AAC, aptX™, aptX™ HD, aptX™ Adaptive(48kHz/24bit) |
防水 | なし | なし |
ノイズキャンセリング | 対応 | 対応 |
外音取り込み | 対応 | 対応 |
アプリ | 対応 | 対応 |
マルチポイント | 対応 | 対応 |
重量(本体) | 307g | 307g(キャリングケースを除く) |
カラーバリエーション | アンスラサイト・ブラック クラウド・グレー オーシャン・ブルー フォレスト・グリーン | ブラック グレー ブルー |
正直スペックは大きくは変わってはいませんが、10万円以上するモデル「Px8」を元にDSPが大幅に進化したとのことなので、音質は良くなっているはず!
あとは、グリーンが追加されたくらいですかね。
Bowers & Wilkins Px7 S2e、Px7S2 外観・付属品
それではPx7 S2eの外観をチェックしていきましょう。
パッケージ
Px7 S2e、パッケージはBowers & Wilkinsらしい白を基調としたシンプルかつ高級感のあるデザインです。
付属品
- 1.2m USB-C – 3.5mmステレオミニプラグケーブル
- 1.2m USB-C – USB-Cケーブル
- キャリングケース
- マニュアル
Bowers & Wilkinsの付属品にはUSB-C to Cケーブルが付属するのが嬉しいんですよね。他のメーカーさんだと大体USB-A to Cケーブル。
これで直接iPhone 15やAndroid、パソコンと繋いでUSB接続で聴けます。
本体
そしてこちらが本体。やはりこのデザイン性の高さがPx7 S2eの2番目くらいの魅力。美しい。
男女問わずにファッションアイテムとしても使えるレベルなのに、音質もオーディオマニアも納得の実力だからすごい。
前作と比較するとこんな感じ。ブラック同士で比べると違いがわからん。
ハウジングにはBowers & Wilkinsの印字が。もはやロゴだけでも美しい。
ハウジング部とヘッドバンドはファブリック素材を採用。
イヤーパッドとハウジングを繋ぐメッキリング部だけPX7S2と違いがあり、Px7 S2eは少し暗めのシルバー、Px7S2は光沢感のあるシルバーになっています。
アーム部は樹脂素材ではありますが、まるで金属かのような光沢感のある上質な素材感です。美しい。
アームは無段階で調整可能で、少し重めの挙動でヌルヌルと動いていきます。この動きさえも美しい()
イヤーパッドはメモリーフォーム・イヤーパッドを採用していて、耳にあわせてピッタリと密閉してくれます。もはやパッドの造形でさえ美しい。
ヘッドパッドもイヤーパッド同様にフカフカ。
折りたたみはできず、水平に回転させることしかできません。
ただ、アーム部は180度曲がるので、ハウジングをどちらの方向にも向けることができます。
右側には再生・停止ボタン、音量ボタン、そして電源兼ペアリングスイッチが備わっています。
再生ボタンだけわかりやすくギザギザと波打つデザインになっていますが、その造形でさえも美(ry。
左側にはノイズキャンセリングや外音取り込みの切り替えボタンが備わっています。
最後に重さの実測値ですが306g。
ワイヤレスヘッドホンとしては普通くらいの重さ。
Bowers & Wilkins Px7 S2e、Px7S2 レビュー
見た目もいいし装着感も最高!
まず装着感ですが、こちらはかなり快適ですね。
ボクはメガネ歴25年で、ヘッドホン装着時に耳の痛みに悩まされてきた民ですが、そのボクでもかなり耳が痛くなりにくい印象でした。
ハウジングも薄めなので、前から見ても見た目はスマートです。
ヘッドホンのデザインが美しすぎて自分のファッションセンスが上がった気さえします。(錯覚)
デザインが良すぎてボクではこのデザインを活かしきれないので、外資系のスマートなIT戦士か、ヘッドホン女子を連れてきて欲しいです。
装着した状態でしばらく聴いていましたが、3時間くらい装着しっぱなしでも耳が痛くならなかったですね。コレはすごい。
装着感にはなんの不満もなしです。
装着感 | (4.8) |
さすがの音質
次にPx7S2の音質ですが、これはもうさすがの一言。
5万円台のワイヤレスヘッドホンと比べても、上位クラスの実力を持っています。
今回は、Xperia 5ⅣでaptX Adaptive接続で検証しました。
4.8
高音
4.8
中音
4.8
低音
得意なジャンル
- ジャズ
- クラシック
- バラード
音の傾向はBowers & Wilkinsらしい楽器にフォーカスを当てた響きと艶感のある音。
バランスは少し低域に寄りつつも、中高域にも伸ばしたような感じでしょうか。音も硬すぎず柔らかすぎずちょうどいい塩梅。
音場は特別広いというわけでも無いですが、響きの良い音で音を広げてくれます。
高音は管楽器の金属的な響きを表現するのが得意で、トランペットやサックスなどの音の再現力が特に素晴らしいですね。
マイルス・デイヴィスのようなトランペットを多用した楽曲との相性は特に良いですね。
中域も厚みのある音で鳴らしますが、楽器隊の方が音が際立つような感覚で、ボーカルは一歩引いた場所から聴こえるような感覚ですね。
ただ、女性ボーカルのピークラインはしっかり前面に出るように鳴らしてくれますね。
低域の量感もなかなか多めで、高域同様に余韻感をまといながら豊かに広げるような鳴り方ですね。
ジャンルは「ジャズ」「クラシック」「バラード」系などのしっとりとした楽曲との相性が特に良く感じましたね。
同価格帯のヘッドホンだと解像度やクリアさなどを重視するなか、PX7 S2eは音の味気やムーディーさを重視した音作りのように感じましたね。
Px7S2との音質の違いは?
目隠しされてPx7S2とPX7 S2e両方聞かされても、どちらの音かハッキリと答えられる自信がある。それくらい音質はパワーアップしています。
「めーっちゃパワーアップしてる!」って感じではないです。
「けっこうパワーアップしてる」って感じです。
従来のPxシリーズらしいパワフルな低音が抑えられ、Px8のような最高級ラインの系譜を受け継いだかのような感覚ですね。
Px7S2はPX7 S2eよりも全体的に音が近い感覚で低域の量感が多く、音が前面に迫ってくるようなパワフルさを感じる音のように感じました。
対して、PX7 S2eは低域の量感を少し抑えて全体的に締まりのある音。また中高域ラインの見渡しも良くなり、ハイハットなどの細かな音もより明瞭に感じ取れるようになりましたね。
個人的には傾向の違いのみという感じではなく、しっかりと音質もパワーアップしているように感じました。
どちらの音が好きかと言われたら、もちろんPX7 S2eでしたね。
有線で接続すれば、さらに高音質
こちらのPX7 S2e、USB-DAC機能も備えているので、有線で聴けばBluetoothよりもさらに高音質になります。
USB接続で聴く場合は付属のUSB-C to Cケーブル、イヤホンジャックで接続する場合はUSB-C to 3.5mmケーブルを使います。
USB接続時でも最大で48kHz / 24bitでの再生になるようですね。
今回はiPhone 15 ProでUSB-C to Cで接続して使いました。
有線接続にすると音の傾向自体は変わりませんが、その代わり音の描写がよりクッキリとして緻密で情報量の多い音を楽しめるようになりましたね。
Bluetooth接続時と比べても結構なレベルで音質が良くなっているような感覚ですね。明らかなレベルでUSB接続の方が音質は良いです。
とくにiPhoneユーザーの場合だと圧縮率の高いAAC接続になってしまうので、有線接続で聴くメリットは特に大きいと思います。
が、AACでの処理も上手なのか、意外とiPhoneでもaptX Adaptive並みにスムースな音を楽しめるように感じましたね。
ノイズキャンセリングもなかなかに高め
ノイズキャンセリング性能もなかなかに高めですね。
同価格帯のノイズキャンセリング最強クラスのヘッドホンと比べると負けますが、PX7 S2eでも普通に実用的。
電車の中で使っても音楽が阻害されることもなく、しっとりとした美しい音に浸れます。
キーボードのタイピング音や空調音のような高域に対する遮音性も高めで、「カチャカチャ」「ゴォォ」という音も耳に全然入ってきません。
音質の良さに対して、ノイズキャンセリング性能も高い方だと思います。
ただ、一番音質を重視するならノイズキャンセリングOFFがおすすめ。
低域の膨れた感じやわずかに電気的に処理されたような感覚がなくなり、よりピュアなサウンドで楽しめるようになります。
ノイズキャンセリング | (4.5) |
こちらも参考にしてくださいね
【最強はこれ!】ノイズキャンセリング対応完全ワイヤレスイヤホンおすすめランキングTOP10
有線接続時もノイズキャンセリングは使える
しかもこれ、有線接続もちゃんとノイズキャンセリングも使えるのですよ。
つまり外出先でも有線接続で高音質で聴きつつ、周りの音もシャットアウトしながら音楽に浸れるというわけですよ。
ワイヤレスヘッドホンではありますけど、USB接続時の音が気に入りすぎたので、ボクの場合有線接続メインで使うかもしれないです。
外音取り込み機能も実用的。
外音取り込みもなかなか実用的ですね。
こちらも最強クラスというわけではないですが、同価格帯のヘッドホンと比べても平均レベルの実力は持っているように感じました。
小音量で音楽を流していても周りの音はわりと自然に聴こえてくるような感覚で、BGM感覚で音楽に浸ることもできます。
ただ、自分の声を発すると少しマイクで拾っているかのようなモゴモゴ感もあるので、超自然というわけでもないですね。
レジお会計のようなワンポイントでの使用では、ヘッドホンを外すことなく会話を進められます。
外音取り込み | (4.3) |
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物理ボタンの配置が素晴らしい
操作性もなかなかに快適ですね。
全て物理ボタンで操作を行うのですが、このボタンの配置がとても操作しやすい。
再生・停止ボタンはギザギザなデザインになっているので触感でわかりやすく、その感触を頼りに音量+、音量-ボタンもわかりやすいです。
電源とペアリングボタンはスライドスイッチになっているので、押し間違えることもありません。
外音モードの切り替えは左側のハウジングに配置されているので、こちらも押し間違える心配無し。
ヘッドホンによっては、電源から外音モードまで全て右側に集約されすぎて、手の感触だけではどのボタンかわからなくなってしまうものも多いですが、PX7 S2eはその心配がないように感じました。
ボクはヘッドホンはタッチパネルの操作が好きな方ですが、Px7 S2eはそれを凌駕する操作のしやすさのように感じました。
ただ、ノーマルモードを飛ばせない
気になるところですが、「ノイズキャンセリング」と「外音取り込み」の切り替え時に「ノーマルモード」をOFFにできないことですかね。
個人的にけっこう気にする部分です。
たとえば「ノイズキャンセリングモード」から「外音取り込みモード」に切り替える際
ノイズキャンセリングモード→ノーマルモード→外音取り込みモード
と2回の操作が必要になるので、コンビニで外音取り込みモードにしてお会計をしたいときとかに、結構切り替えがめんどくさいんですよね。
ただ、ノーマルモードだと音質も良くなるので、こちらも捨てがたいんですよね。
なので、「ノイズキャンセリングOFF→外音取り込みモード」とか「ノイズキャンセリングON→外音取り込みモード」など、自分で好きなモードに切り替えられるようにしてくれたらありがたいですね。
アプリについて
Px7 S2eはアプリに対応しています。
アプリでできることは次のとおりです。
- バッテリー残量の確認
- ノイズキャンセリングや外音取り込みモードなどの切り替え
- イコライザー
→高音と低音のみ調整可能 - 接続機器の切り替え
- クイックアクションの設定
→左ハウジングのボタンを外音モードの切り替えか音声アシスタントの切り替えかの2択で選べる - オートスタンバイのON/OFF
→15分後に省電力状態に移行 - 装着センサーのオン・オフ
→装着時の感度を「低」「標準」「高」から選べる - 名前の変更
- リセット
- ストリーミングサービスとの連携
→deezer,、tunein、SOUNDCLOUD、NTSに対応 - ファームウェアアップデート
装着センサーの感度を変更できるのは、なかなかユニークな機能ですね。
デフォルトではOFFになっているので、アプリでONにしておくと便利に使えます。
アプリを使ったからといって、特別できることが増えるということもないです。
マルチポイントの挙動は残念……
マルチポイントは2台同時接続はできるのですが、電源をOFFにすると自動的に2台目のデバイスに接続されません。
この自動接続がマルチポイントの良いところなのに、毎回Bluetoothリストから選択して接続となるともはやマルチポイントではないのでは?というレベル。
2台目への接続は少しラグがありますね。
ちなみに、後から再生された方のデバイスを優先的に再生されるような挙動になりますね。
3台目への接続も毎回ペアリングにすることなく、Bluetoothリストからタップするだけで接続完了するので、切り替えは楽です。
通話品質|Px7 S2eはとてもキレイ
Px7 S2eのマイク性能はかなり高いように感じました。
マイク音声も実際に録音してみました。以下の音声をよければチェックしてみてくださいね!
Px7 S2e
Px声がとてもクリアな印象で、かつバックのノイズが入りにくいように感じました。
音楽鑑賞だけでなく、通話用としても十分使えそうです。
通話品質 | |
PI7S2 | (4.5) |
こちらも参考にしてくださいね
音の遅延も問題無し
音の遅延も問題無し。
ゲームはストレスなくできるレベルではありませんが、YouTubeやPrime Videoを見るくらいなら問題無しです。
音の遅延 | (3.5) |
Px7 S2e まとめ
Px7 S2e、Px7S2をまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.5/5
Px7 S2e
- 音質は同価格帯でもかなりの性能
- 豊かで響きの良いサウンドが心地良い
- デザイン性が同価格帯でも特に素晴らしい
- 装着感が良く耳が痛くなりにくい
- ノイズキャンセリングもなかなか強い
- マルチポイントにも対応
- 外音モードの切り替え時にノーマルモードを挟む
- Px7S2と比べると音質意外の進化は少ない
- マルチポイントが2台目のデバイスに自動的に接続されない
4,8
高音
4,8
中音
4,8
低音
4,8
装着感
4.5
ノイズキャンセリング
4.3
外音取り込み
4.5
マイク性能
4.5
利便性
Bluetooth | 5.2 | 最大再生時間 ※ANC ON時 | 最大35時間 |
コーデック | SBC, AAC, aptX™, aptX™ HD, aptX™ Adaptive(48kHz/24bit) | 充電時間 | 2時間 |
ドライバー | 40mm ダイナミック型 | 充電端子 | Type C |
専用アプリ | ◯ | 防水 | – |
ノイズキャンセリング | ◯ | 質量 | 307g |
外音取り込み | ◯ | ゲームモード | – |
自動装着検出 | ◯ | 保証 | 2年 |
マルチポイント | ◯ | 公式サイト | こちら |
Bowers & Wilkins Px7 S2e、Px7S2はこんな人におすすめ
- 予算5万〜6万円くらいまででワイヤレスヘッドホンを探している
- 余韻感たっぷりの響きの良いサウンドが好み
- ジャズやクラシック、アコースティック編成の楽曲が好み
- B&Wのスピーカーの音をヘッドホンで再現したい
- デザイン性に惹かれた
ロックやポップスを聴く上では他の選択肢がありますが、ジャズやクラシック系の相性はやはりヤバいですね。
トランペットのパァーッ!と炸裂するような瑞々しい音は、同価格帯のワイヤレスヘッドホンだとBowers & Wilkinsでしか出せないような再現性を持っていますね。
あとはデザイン性の高さ。所有欲を満たすデザインで、身につけているだけでもなんだか優越感に浸れるような感覚さえあります。
ただ、Px7S2を所持している方は無理に買い替えるまでは行かないかなと思いますね。グレードアップを狙うならPx8まで行った方がいいです。
ただこれから買おうと考えている人はPx7 S2eの方をおすすめします。
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