評価:4.8
こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
当ブログでは数々のスティック型(ドングル型)DACをレビューしてきましたが、今回は18,000円でありつつ3.5mmジャックのみを搭載したシンプル構成のDACを紹介します。
それがAudirect「Beam3Pro」です。
正直、18,000円という価格としてはバランス端子も付いておらず、アプリも対応していないこともあり、性能だけを見ればコスパが悪いのでは? と思っていました。
しかし、実際に聴いてみると、その感情は一瞬にして覆りましたね!
この小型サイズからは考えられない出力の高さと緻密なナチュラルサウンドに、思わず聴き入ってしまいました。
ということで今回は、「Beam3Pro」と、Lightning to USB-Cアダプター「LTOC OTG Adapter」をレビュー用にメーカー様より提供いただきましたので、実機を使ってレビューしていきます。
ぜひ最後までご覧ください。
総合評価
4.8/5
Beam3Pro
- 2万円以下のDACでかなりの実力
- ナチュラルで聴きなじみの良いサウンド
- ゲインの切り替えが1ボタンで簡単
- アンバランス接続でも高出力
- バランス端子がない
4.5
音質
4.5
携帯性
3.5
拡張性
4.5
利便性
Audirect Beam3Pro & LTOC OTG Adapter 概要・スペック
Audirect Beam3Pro
Beam3Proの特徴はこちら。
- DACチップ「ES9281AC」を採用
- PCM768kHz/ DSD512 / MQAをサポート
- オペアンプを2基搭載
- 3段階のゲイン調整が可能
小型でありつつも、「ES9281AC」やオペアンプ2基を採用したバスパワー駆動の超本格型USB-DACです。
パソコンのみならず、iPhoneやスマートフォンでも気軽に高音質化できます。
スペックはこちら!
スペック一覧 | Audirect Beam3Pro |
---|---|
DACチップ | ES9281AC PRO |
対応ビットレート | PCM:最大32Bit / 768kHz DSD:最大DSD512 |
オペアンプ | 2基 |
THD+N | <0.0003% |
出力レベル | L ゲイン:427mVms Mゲイン:1.65mVms Hゲイン:2.88mVms |
出力端子 | 3.5mmアンバランス端子 |
S/N比 | -118db |
ダイナミックレンジ | 3.5mm3極 |
周波数特性 | 20Hz - 40,000Hz |
本体サイズ(mm) | L53*W15*H10mm |
重量 | 23g |
保証期間 | 1年 |
PCM、DSD、MQAなどあらゆる音源に対応し、ゲインも3段階で調整可能。3.5mmアンバランスしか搭載していませんが、スペックはかなりの高さです。
LTOC OTG Adapter
LTOC OTG Adapterは日本国内では手に入れることが難しい「USB-C端子をLightning端子に変換するためのOTGアダプター」です。
価格も2,500円と海外から輸入することを考えればお手頃で、USB-C端子しか備わっていないUSB-DACを、iPhoneで聴けるようになります。
Audirect Beam3Pro & LTOC OTG Adapter 外観・付属品
それでは開封していきましょう。
Beam3Proのパッケージは、真ん中にロゴのみが掲載されたとてもシンプルなデザイン。
開封すると、いきなり本体がお目見えです。
LTOC OTG Adapterも開封するとこんな感じ。こちらのほうが高級感がある気がする。
- USB-C to USB-C ケーブル
- USB-C to Aアダプタ
- マニュアル
※LTOC OTG Adapterは別売り
USB-C to USB-C ケーブルは、白黒の皮膜で覆われた品質の高いケーブルが付属。
しなやかで取り回しも良い印象です。
パソコンなどに接続する用に、USB-C to Aアダプタも付属しています。
LTOC OTG Adapterは鏡面仕上げで、価格以上に高級感のあるデザインです。
いままでLightning to USB-Cアダプターは、DDHiFiの「TC28i」を使っていました。
しかし、LTOC OTG Adapterの方がグラつきが少なく品質も高そうなので、こちらに乗り換えようと思います。
本体は18,000円という価格で高品質なパーツを使っているのにもかかわらず、非常に小型で取り回しが良さそうです。
側面にはゲイン調整用のボタンが備わっています。
このボタンを1回押すことで、L→M→Hとゲインが調整されていく仕様なのですね。
天面には3.5mmのイヤホンジャックが備わっています。
バランス接続用の端子はありませんが、その分コンパクトな設計にできているのでしょうね。
普段、3.5mmジャックでしか聴かない方には、この仕様のほうがありがたいかもしれません。
底面には外部デバイスと接続するためのUSB-C端子が備わっています。
他のUSB-DACと比べると、同価格帯のなかでも比較的コンパクトな設計。
側面から見ると、やや厚みがあるように感じますが、とくに運用には問題ありません。
最後に重さですが、本体重量は18gです。
単3電池1個より軽いですね。
他のDACだとUA2が「12g」、KA3が「17g」なので、大きさを考えれば平均的な重さです。
Audirect Beam3Pro レビュー
音質|2万円以下としてはかなりの実力
Beam3Proの音質は、トゲを感じさせないウォームでナチュラルな音が特徴です。一聴して「音質がとても良い!」と感じるほどの実力で、2万円以下のDACのなかでも実力はとくに高いように感じました。
音の特徴は次のとおりです。
- 高音:高音の刺さりが一切ないスムースな高音。一聴すると中低域寄りの豊かなサウンドに感じましたが、高域も粒立ちが非常にいいですね。
- 中音:ボーカルラインが際立ちつつも、他の帯域と調和するような鳴らし方で、ナチュラルでとても聴き心地がいいですね。余韻を残しつつ、繊細に消えていくような鳴らし方で、ボーカルの再現力がすばらしいですね。
- 低音:重心が低く、深く沈み込む上質な低音。豊かに鳴らしつつ、勢いや迫力だけで誤魔化さない丁寧な低音という印象ですね。音の丸みがありつつも解像度が非常に高いベースラインがとても心地いいですよ。
- 音場:少し広めで、余韻を残しつつ横にも縦にも広がるような印象。
- 傾向:美音系のナチュラルサウンド。音の厚みと余韻感たっぷりで、ずっと聴いていたくなるような心地よさを持ちあわせています。
得意なジャンル
- ポップス
- バラード
- R&B
- ソウル
- 弾き語り
個人的な音の好みだけで言えばドンピシャな音作りで、角が立たない聴き心地のよいサウンドです。思わずうっとりとBGM感覚で聴いていたくなりますね。
「くるり」「星野源」などアコースティック編成を多用したポップスや、「藤井風」「宇多田ヒカル」などのR&B、バラードテイストの楽曲と相性がとても良いように感じました。
他社のDACと比べても2万円以下のなかで、とくに音質のよいAstell&Kern「PEE51」やQuestyle「M12」と比べても、一歩上の実力。
3.5mmアンバランス接続だけに限定すれば、2万円〜3万円クラスのDACと比べても渡りあえる音質の良さは持ちあわせているように感じましたよ。
ゲイン調整が便利すぎ
Beam3Proは側面にあるボタンを押すことで、「L」「M」「H」の3段階のゲイン調整が可能になります。
他のDACだと、アプリや液晶画面での操作が必要なのに対し、Beam3Proだと1ボタンで切り替えができるので超ラク。
「L」だと感度の高いイヤモニでも、細かな音量調整ができるほど出力が下がり、「H」だとSENNHEISER「HD599」やTAGO-STUDIO「T3−01」でも余裕で鳴らし切るほど出力が上がります。
ドングル型のDACは、イヤホンやヘッドホンに合わせた音量調整が難しいものが多いですが、Beam3Proはゲイン調整により幅広い製品に対応できる柔軟さがありますね。
携帯性|高音質・高出力なのにサイズも小さい!
Beam3Proは音質・出力の高さは一級品なのに対し、サイズもとてもコンパクトです。
他のDACと比べても、エントリークラスのShanling「UA2」や、FiiO「KA3」と比べても大きさはほぼ変わりません。
角の取れたデザインで、質感もマット調になっているため、ポケットやバッグ内で他の機器に干渉しても傷がつきにくそうですね。
実際に使ってみても取り回しが良く、気軽に高音質で音楽を聴けます。
LTOC OTG AdapterでiPhoneへの接続も簡単
同社の「LTOC OTG Adapter」を使えば、付属のUSB-C端子をLightning端子に変換できるため、iPhoneへの接続も可能になります。
このLTOC OTG Adapterは、国内では非常に珍しい「Lightning to USB-C OTGアダプター」で、同じタイプだとAliExplessで海外から取り寄せるしかありませんでした。
ボクも以前AliExplessからOTGアダプターを取り寄せましたが、海外サイトへの登録が必要になったり、到着が遅かったり、価格も高かったりと敷居が高い印象でした。
今ならAmazonなどで「LTOC OTG Adapter」を購入すれば、USB-Cしか備わっていないDACでも気軽にiPhoneで聴けますよ!
LTOC OTG Adapterは、全てのDACでiPhoneでの動作を保証するものではありません。
Audirect Beam3Pro まとめ
総合評価
4.8/5
Beam3Pro
- 2万円以下のDACでかなりの実力
- ナチュラルで聴きなじみの良いサウンド
- ゲインの切り替えが1ボタンで簡単
- アンバランス接続でも高出力
- バランス端子がない
4.5
音質
4.5
携帯性
3.5
拡張性
4.5
利便性
- 豊かでナチュラルなサウンドが好き
- 小さなサイズで高出力のDACが欲しい
- 3.5mmアンバランス接続をメインで使う
Beam3Proは2万円以下で買えるDACとしてはかなりの実力に感じました。音の好みだけで選ぶとすれば一番好みかもしれない。
バランス接続にこだわりがなく、全体域においてスムースでナチュラルなサウンドが好みの方にとっては、よい選択肢になると思いますよ!
普段2万円〜4万円クラスのDACを愛用している方も、一度は体感してほしいコストパフォーマンスにも優れたDACのように感じました。
コメント
コメント一覧 (3件)
恐れ入りますが、1つ質問があります。音質的に 、Fiio KA3と比較するとどのような評価になるでしょうか? KA3を持っているのですが、少し寒色系過ぎかなと感じていて、こちらのDACが気になっております。
寒色系が苦手ならお気に召すかと思いますよ!KA3とまったく逆の音です!
音質グレードもBeam3の方が上ですね!
お教えくださりありがとうございます。 公式ページを覗いてみると、Beam3PLUSが同じ仕様に追加で4.4mmとBluetoothが付いて価格差が4千円のようで、申し訳ありませんが今また改めて悩んでおります。
KA3の為に4.4mmケーブルをいくつか買ってしまっていますもので・・・