こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
スマートフォンでの音楽鑑賞が主流になるいま、より高音質で聴くためのデバイスが「音楽プレイヤー(DAP)」から「スマートフォン直結型のポタアン」に少しずつ移行しているような気がします。
直結型DACはスマートフォン1台で完結できるから便利なんだよね
今回はスマートフォン直結型のUSB-DACの大定番、iBasso(アイバッソ)より「DC03」をご紹介します。
シーラスロジック社のDAC「CS43131」を2台搭載し、PCMは最大384kHz/32bit、DSDは11.2MHzをいずれもネイティブ再生に対応。
バッテリーいらずのバスパワー駆動で80mWの高出力で機能性と利便性に優れたUSB-DACです。
果たして実力はどれほどのものなのか?
購入してきましたので実機を使ってレビューしていきましょう!
記事後半ではiPhoneで使う方法を解説するよ!
総合評価
4.5/5
- 気軽にスマートフォンの音質を向上できる
- イヤホンケーブルの一部のように使える
- 充電いらず
- 6000円台とコスパが高い
- 音量調整が難しい
3.9
高音
3.8
中音
3.9
低音
4.0
解像度
3.7
迫力
4.8
利便性
他の小型DAC、アンプとの比較はこちらの記事をご覧ください。
iBasso DC03 概要
iBasso DC03 の特徴はこちら。
- USB-Cを採用したスマートフォン向け小型ポタアン
- シーラス・ロジック社 CS43131×2を搭載
- 透明感のある高解像サウンド
- 優れたオーディオ特性とサウンドチューニング
- ノイズレスでピュアなサウンド
- スリムなボディにパワフルなエネルギー
ざっくり伝えると安価かつ小型で高音質化の期待できるスマートフォン直結型のUSB-DACって感じです。
スペックはこちら!
スペック一覧 | DC03 |
---|---|
本体サイズ | 約105mm |
重量 | 11g |
DACチップ | CS43131×2 |
THD+N | <0.00028% (32Ω負荷時, 1.2Vrms) |
出力電圧 | 2Vrms (300Ω負荷時) / 1.61Vrms (32Ω負荷時) |
出力レベル | 80mW@32Ω |
S/N比 | 127dB |
周波数特性 | 20Hz~40kHz +/-0.5dB |
ノイズフロア | <0.9µV |
出力インピーダンス | 0.12Ω |
対応ビットレート | PCM:最高384kHz/32bitまでのネイティブ再生に対応 DSD:最高11.2MHzまでのネイティブ再生に対応 |
iBasso DC03 のカラーバリエーションはシルバーと後から発売されたブラックの2色です。
今回はブラックを選びました。
さっそく開封していきましょう!
iBasso DC03 パッケージ・付属品
iBasso DC03の外箱。中華感満載のめちゃめちゃ簡素なパッケージです。
付属品はこちら。
- USB-TypeC to A コネクタ×1
- クイックスタートガイド
付属品は実質こちらのUSB-TypeC to Aコネクタのみ。USB-Aしか搭載していないパソコンとの接続に使用します。
余計な付属品がついて価格が上がるのなら必要最小限のパッケージングのほうがありがたいですね。
続いて本体をチェックしていきましょう。
iBasso DC03 本体
DC03の本体は金属加工を採用し、価格以上に高級感のあるデザイン。
サイズも非常にコンパクトかつ軽量。
イヤホンに装着しても、まるでケーブルの一部かのような取り回しで使うことができますね。
実際に重さを測ってみると8.6gと完全ワイヤレスイヤホン1個分程度の軽さ。
本体側のサイズは41.6×15.3×8.0(mm)
単3電池1個分より小さくて軽いですよ。
イヤホンケースにイヤホンと一緒に入れても全然かさばりませんね。
この小さな筐体で80mW(32Ω時)の高出力とDual DAC構成を実現します。
小型のヘッドホンや鳴らしにくいイヤホンを十分すぎるくらいドライブできるほどの出力の高さです。
DACチップはシーラス・ロジック社の「CS43131」を採用。
CS43131はPCM:384kHz/32bit、DSD256まで対応したDACチップで、ざっくり伝えると低電力、低ノイズ、高出力を実現したチップです。
他にCS43131を搭載している製品は少なく、DC03が代表的な機種ですね。
DC03を使えばハイレゾ非対応のスマートフォンでハイレゾ音源が聴けるようになるよ!
CS43131技術情報の詳細はシーラスロジック社の公式ページをご覧ください。
ケーブルは4芯の銀メッキ銅ケーブルを採用。見た目以上にしなやかで取り回しの良い材質です。
ケーブルの材質にこだわっていれば音質にも悪影響が少なそうで気持ち的に安心できます。
Xiaomi Redmi Note 9sに装着するとこんな感じです。
あまりに小さいのでiPhoneのイヤホンジャック変換アダプターくらいの感覚で使えます。
ここまでまとめると、軽くて小さく、それでいて高出力でハイレゾ音源も聴けるといったところ。
次に音質のチェックをしていきましょう。
iBasso DC03 レビュー
音質|ニュートラル高解像系サウンド
試聴環境は以下の通りです。
- スマートフォン:Redmi Note 9s
- 再生アプリ:Amazon Music HD
- イヤホン:カナルワークス CW-L52
iBasso DC03経由で試聴するとイヤホンの音の特性はそのままに、音像を定め解像度を向上したように感じました。
音源はYOASOBIのハルジオン(24bit/48kHz)で試聴しました。
直差しで聴くと音が団子になって潰れていたアコースティックギターの音を耳で追うことができ、サビでもか細い音の存在感が消えることはありません。
他の楽器にも一音一音に情報量がたっぷりと詰まっており、瑞々しく生感のある音で奏でくれます。
低域〜高域間で特に主張される帯域もなく、イヤホンの特性をニュートラルに引き出してくれますね。
得意なジャンルもイヤホン次第のような印象を受けます。
音場はそこまで広いというわけでもないですが、ニアフィールド内で伸びやかに鳴らしてくれます。
DC03とDC04や他のポタアンと比較すると?
DC03の音の傾向は、他のスティック型のポタアンと比べると硬めのようにも感じますが、むしろDC03が1番味付けが少ないようにも感じます。
4.4mmバランス版であるDC04と比べると、音の分離や出力の高さはDC04が上ですが、DC03は音のまとまりの良さや自然さがあるため個人的にはDC03の方が好みでしたね。
より深みのある純度の高い音が好みの方はLotoo PAW S1、低域の量感や音の厚みが欲しい方はIKKOのITM03がおすすめです。
ちなみにAstell&Kernから発売するUSB-DACのPEE51はDC03をよりパワフルにして、音の芯を強くしたような印象でした。ロックを臨場感のあるサウンドで聴きたい方におすすめですね。
DC03は6000円台でありつつも、1万円台のITM03と同等以上の実力を持ち合わせています。PEE51ともそこまで大きな差はありません。
ポタアンデビューをしたい方やスマートフォンでもっと高音質で聴きたい方にとってはこの上のない製品のように感じました。
初心者の方にイチオシのポタアン!
ポータブルヘッドホンは余裕で鳴らしきる
DC03は小型で低電力ながらも80mW(32Ω時)とそれなりに高出力です。
イヤホンであれば多数ドライバーの入った製品やインピーダンスの高い製品でもドライブしきります。
ヘッドホンだと、SONYのMDR-1AM2であれば余裕で鳴らしますが、インピーダンスの高いSENNHEISERのHD25やHD599だとギリギリでもう少し出力が欲しいところ。
据え置きヘッドホンだと厳しいですが、イヤホンやポータブルヘッドホンの運用メインであれば十分すぎる出力の高さですね。
熱もそこまでもたない
前作のDC01、DC02は本体に熱をかなり帯び、長時間駆動したあとに触ると「あつっ!」と感じるほど高温でした。
DC03は電気効率がよくなったのか熱処理がうまくなったのかわかりませんが、ほとんど熱くなりません。
熱くなるだけで動作が不安定になったり、将来的な運用が心配になることもあるので、ここを改善してくれたのはありがたいですね。
アプリを使えば細かな音量調整ができる
DC03は1ボリュームを上げることによる音量の振れ幅が大きく、細かな音量調整ができません。
そんな方のために専用アプリが用意されており、64段階の細かな音量調整が可能になります。
アプリは以下よりダウンロードできます。
実際に使ってみると本当に音量調整のみですね。
基本は音量MAXで音量が大きいと感じたらその分だけアプリで調整するのが良いでしょう。
ちなみにiOSではアプリは配信されていません。
iBasso DC03をiPhoneで使う方法
DC03はUSB-C端子のため、Lightning端子であるiPhoneとそのままでは使うことができません。
Apple純正のLightning to USB Camera Adapterと付属のUSB-Aアダプタを使えば無理やり使うことはできましたが、アダプタを経由しすぎて取り回しが最悪に…。
DC03の「まるでケーブルの一部として使える」特徴を台無しにしてしまいます。
いいものはないかと色々探っていると、AliExpressでLightning to USB-CのOTGアダプタを見つけました!
それがこちらのDDHiFi「TC28i」です。
TC28iがあれば、iPhoneでも一つのアダプタ経由でコンパクトにDC03を使うことができます。
Amazon Music HDでもこの通りハイレゾ音源を認識し、再生できています。
ただ、先ほど紹介した音量調整アプリは使うことができず、細かな音量調整が難しくなります。
他のアプリを起動したタイミングで音途切れが少し発生することもあり、やや不安定なこともありますが兼ね満足して運用しています。
ちなみにこのアダプターで他のUSB-C対応ポタアンも使えたよ!
AliExpressはアリババが運営する中国の楽天のようなサイトで、日本では販売していないようなケーブルやイヤホンなどが安く手に入れることができます。
到着まで時間がかかりますが、日本にはないOTGとかも発売しているので色々見てみると面白いですよ。
iBasso DC03 まとめ
総合評価
4.5/5
- 気軽にスマートフォンの音質を向上できる
- イヤホンケーブルの一部のように使える
- 充電いらず
- 6000円台とコスパが高い
- 音量調整が難しい
3.9
高音
3.8
中音
3.9
低音
4.0
解像度
3.7
迫力
4.8
利便性
- スマートフォンで高音質で聴きたい方
- ポタアンデビューしたい方
- 安価でコスパの高いポタアンを探している方
iBasso DC03はスマートフォンで高音質で聴きたいと考えているオーディオ初心者の方から、
音楽プレイヤーを持ち歩かずサブシステムで気軽に使いたい中級者の方まで幅広くおすすめできるポタアンです。
充電いらずでイヤホンケーブルの一部のような感覚で使えるし、スマートフォン直差しに比べればかなり高音質なので1台もっていれば超絶便利ですよ。
お金を掛けなくても高音質は手に入れられる!
iPhoneで使いたいと考えている方はTC28iも併せてみるのもおすすめですよ。
コメント