こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回は、TANCHJIM(タンジジム)から発売された26400円で買えるミドルクラスの有線イヤホン「FOLA」を紹介します。

「NORA」という1万円台のイヤホンの兄弟機的な立ち位置ながら、金属筐体やサファイアガラスを採用し、より高級感を増して登場したモデル。
デュアルチャンバー&デュアルマグネット回路のダイナミックドライバーを搭載したDMT5ドライバー構造のモデル。
この前紹介したORIGINも「第5世代DMTダイナミックドライバー」という表記でしたが、同じドライバーなのかしら?
ユニークなポイントとしてUSB-Cで接続時にアプリに対応しており、イコライザーやバーチャル7.1/5.1chの擬似的なバーチャルサウンドもサポートしているという点。
また、交換可能な3種類のノズル&プラグも搭載し、音の好みと再生デバイスに合わせて自由に交換ができるのも強みです。

交換可能なプラグやノズル、専用アプリなど、有線イヤホンながらも「全部入り」に仕上がっています。
今回はTANCHJIMさんより紹介用に提供いただいたので、実機を使ってどれほどの実力か検証していきましょう。
なお、兄弟機のNORAは所持していないため、4万円クラスのORIGINとの比較がメインとなります。何卒ご了承くださいませ。
動画版はこちら
TANCHJIM FOLA 外観・付属品
それではTANCHJIM FOLAの外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ
TANCHJIM FOLAのパッケージは、ブランドおなじみのキャラクター「浅野てんき」ちゃんが描かれた可愛らしいデザイン。いつもYouTubeでセクハラしてごめんね。

今回は1DD構成ということもあり、ボリュームが控えめですね(なにが)
開封すると、白を基調とした上品な内箱が現れ、イヤホン本体やケースがと収められています。

付属品|イヤーピース、ケーブル、交換用プラグ、ノズル、ケースなど

- イヤーピース(T-APBイヤーチップ)2種類
- 交換用ノズル(S/L/D)3ペア
- 交換用プラグ(3.5mm / 4.4mm / USB-C)
- レザー製キャリングポーチ
- マニュアル
イヤーピースは開口径の異なる2種類の「T-APBイヤーチップ」が付属。 単体だと1900円ほどで売っているやつですね。

開口部が広いタイプと狭いタイプの2種類が付属しており、低音寄りか高音寄りかを選べます。とりあえず今回は高音寄りのタイプを選びます。
ポーチはこんな感じ。中張りはファブリック素材で、留め具はマグネット式になっており使い勝手も良好。ただ少し大きめ。

また、3種類の交換用ノズルも付属しています。

スタンダード(S)、ブライト(L)、ダイナミック(D)と、好みに合わせ音質調整が可能です。
本体・ケーブル
TANCHJIM FOLAのイヤホン本体は、サファイアガラスと316Lステンレスを組み合わせたフェイスプレートを採用。

鏡面仕上げで非常に美しく、それでいて指紋や傷がつきやすそうで怖いデザインでもあります。
シェルはアルミ合金CNC加工シェルを採用し、アルマイト処理によって塗装剥がれの心配もないとのこと。

内側は人間工学に基づいた形状で、ノズル脇にはベント孔(空気穴)が確認できます。
ケーブルは着脱も可能で、コネクタは埋め込み式の2pinに対応しています。

ノズル部は交換式になっており、付属のノズルでチューニングの変更ができます。

ケーブルは高純度銅厚銀メッキ線を採用。とてもしなやかで絡みにくそうな素材感

コネクタ部は2pinを採用していますが、TANCHJIMの2pinって他社と比べて長いんですよね……。互換性がありそうでないことが多い。

耳掛け部は形状固定型。
分岐部にはケーブル長を調整するスライダーが付いています。こちらも鏡面仕上げで美しい。

プラグは差し込み式の交換プラグ(3.5mm / 4.4mm / Type-C)に対応! 上位モデルのORIGINが3.5mmのみでしたが、今回は交換式になってくれたのは嬉しい!

本体とケーブルを装着するとこんな感じ。

TANCHJIM FOLAの概要・スペック
TANCHJIM FOLAのスペックは以下のとおりです。
| スペック | |
|---|---|
| ドライバー構成 | DMT 5 10mmダイナミック |
| インピーダンス | 16Ω |
| 音圧感度 | 126dB |
| 再生周波数帯域 | 2~48,000Hz |
| ケーブル仕様 | OFC銀メッキ プラグ交換式(3.5mm / 4.4mm / Type-C) |
| 本体重量 | メーカー情報なし |
| 付属品 | ・交換可能プラグ(3.5mm / 4.4mm / Type-Cプラグ) ・T-APBイヤーピースx6ペア ・交換可能ノズル3ペア ・イヤホン収納ケース ・ユーザーマニュアル |
TANCHJIM FOLA レビュー
装着感|金属筐体にしては軽め
装着感についてですが、金属筐体にしては耳への負担も少なく、わりと安定していますね。
ORIGINほどズシっとくるような感覚はなく、長時間装着していても耳の痛みが感じにくい印象でした。
実際につけてみるとこんな感じ。

前から見てもそんなに飛び出しはないです。

TANCHJIMのロゴのせいでギラギラとした印象を受けますが、装着感自体は悪くないですね。
ただ、金属筐体なので冬場に使うと少しヒヤッとします。
| 装着感 | (4.3) |
音質|TANCHJIMの正統派美音系サウンド
TANCHJIM FOLAの音質についてですが、まさにTANCHJIMらしい正統派ナチュラル美音系サウンド。
4万円クラスの上位モデル「ORIGIN」の血を引き継いだ”ミニORIGIN”的なサウンドのように感じましたね。
- スマホ:Xperia 1Ⅵ
- DAC:LUNA
- 接続方式:3.5mm / 4.4mm / USB-C
- アプリ:Apple Music
- エージング:約50時間
TANCHJIM FOLAの音の特長は次のとおりです。
4.6
高音
4.7
中音
4.6
低音
音の傾向
音の傾向は基本フラットでクセがなく、その上で温かみを残した余韻感のあるサウンド。高域にはカチッとした硬質さもあり、上質な音作りになっています。
3.5mm接続だと従来のTANCHJIMらしい甘く広がる美しい余韻感が特徴ですが、4.4mm接続だとその美しい余韻はそのままに全体的に引き締まるタイトな音にも変化します。
ボクはある程度力強い音の方が好みなので、4.4mm接続派ですね。
USB-C接続時も音の傾向は変わらず、上流次第ではありますが3.5mm~4.4mm接続のちょうど間くらいの出力のようにも感じましたね。DACなしでスマホ直結でも全然いける音質の良さ。
さらにここからイヤーピースやノズル交換によるチューニングもできるので、まさに変幻自在な美音系サウンドといったころ。
音場
奥行きを感じやすく、とても立体的です。左右の広がりも適度にあり、窮屈さは感じさせないサウンドになっています。
Type-C接続でアプリを使えば、擬似的ではありますけどバーチャルサラウンドでさらに広大な音場を楽しめます。
高音
高域は性格的には硬質だけどキツさはなく、余韻たっぷりに聴かせるタイプ。1DD構成なので高域がピーキーにならず、ナチュラルかつ硬質に聴かせるような感じ。
女性ボーカルの艶っぽさもこの高域の表現のおかげで際立っている印象を受けます。
ORIGINの性格によく似ているように感じましたが、ORIGINと比べると粒立ちはやや甘めでレンジも狭め、そして少し柔らかめの印象を受けますが、4.4mm接続だと近いレベルまでレンジも粒立ちも向上するような印象です。
多BA機のようなバキバキ分離タイプではないですが、1DDでこの価格にしては分離感は高い方だと思います。
低音
タイトな迫力を加えるタイプではなく、自然に広がるようなナチュラルな中低域。スッキリ感はなく粘り気のある豊かな低音を提供してくれます。
3.5mm接続だと、バス〜サブベース〜ミッドベースが少しボヤけた感覚があり、「低域を耳で追う」ようなタイプではなく「低域を音で感じる」リスニングに振ったチューニングのように感じましたね。
バラードやジャズ、アンビエント系の雰囲気を味わうには最適な低音ですが、ロックやEDM・ヒップホップだとレスポンスの悪さを感じるかもしれません。
深みはしっかりと感じられる上質でリッチな低音という印象でしょうかね。
4.4mmバランス接続だとドライバーをしっかり駆動できるおかげか、タイトな迫力が加わった力強い低音に変化します。こちらであればベースラインのボヤけが緩和されて、ロックやEDMサウンドでもレスポンスよく聴かせるようになりますね。
中音
中音域はTANCHJIMの強みですね! 相変わらずボーカルの表現力が特に素晴らしいです。近すぎず遠すぎずの絶妙な距離感で、息遣いや抑揚がリアルに伝わってきます。
とてもナチュラルな質感ですが、そこに上記のような空気感や余韻の美しさがプラスされるような感覚で、吐息までも美しいしっとりとしたボーカルで聴かせてくれます。
この手のイヤホンって女性ボーカルだけが強いものが多いのですが、TANCHJIMは男性ボーカルの色っぽさや温かみを表現するのも得意なんですよね。
男性ボーカルもAメロの低めの歌声と、ファルセットの表現が最高です。
3.5mm接続だと甘く聴かせるしっとりとしたボーカルのように感じましたが、4.4mm接続だとそのボーカルに力強さが加わり、上質でありつつもハツラツとした歌声を聴かせるようになります。
奥行きのある音場の影響か、メインボーカルとコーラスの分離感も高く、それぞれのパートをしっかり聴き分けもできます。
おすすめのジャンル
ポップスやバラード、弾き語りなどボーカルものメインで聴くならかなりおすすめ!
個人的な趣味でよければ「Spangle call Lilli line」めっちゃ合いますよ。元々寒色系の音なので、ウィスパー系の儚げなボーカルとの相性がヤバイです。
ウィスパー系ならなんでもOKというわけでもないらしく、相対性理論(やくしまるえつこ)だとボーカルがオケに埋もれるような感覚がありました。
アニソン的なウィスパーボイスではなく、澄み渡るようにクリアで儚げなウィスパーボイスと合うのかも・
シンセバリバリのEDMやドンシャリロックも聴けなくはないですが、少しキレイめすぎるのと、レスポンスがそこまで早くないのでモタつきを感じかもしれません。
ボーカルの質感や音場感を活かせる音源でこそ真価を発揮するタイプです。
アプリ・機能性について
そしてTANCHJIM FOLAそして、有線、イヤホンとして珍しくアプリにも対応しています。これはUSB-C接続で接続した時のみ使用可能です。

付属のType-CプラグはDSP(デジタル信号処理)を内蔵しており、PCやAndroidで専用アプリを使用することで、EQを含めたさまざまな設定ができます。
ただしiPhoneでは認識しないのでご注意ください。ロイドユーザ向けです。
公式プリセット
公式プリセットでは、デフォルト、ナチュラル、バランス、ポップ、楽器の5つが用意されています

どれも自然に音が変更されるため、都度交換したときのような感覚で、自分好みの音に近づけることができますね。とても器用な変化です。
PEQ
アプリでは「ナチュラル」や「楽器強化」といったフィルター変更のほか、PEQ(パラメトリックイコライザー)の設定が可能です。

これはマニア向けの超細かく設定できるカスタムイコライザーみたいな感じですね。調整する周波数大から敷地まで細かく設定できるので、わかってる人が使えばほんとに好みの音に近づけることができます。
さらに素晴らしいのが、設定したEQ内容はType-Cプラグ側のメモリに保存される点です。
つまり、一度PCやAndroidで設定を書き込んでしまえば、アプリのないiPhoneやiPadに繋いでも好みの設定で音を聴くことができます。Androidスマホは必須ですけどね。
バーチャルサラウンド機能(7.1ch / 5.1ch)

そして有線イヤホンとしては珍しく「バーチャルサラウンド機能(7.1ch / 5.1ch)」という機能を搭載しています。
これがなかなか優秀で、加工感が割と少なくなく、自然に空間だけが拡張される感覚です。
FPSでの検証はしていませんが、ライブ音源を聴くだけでもホールのような自然な広がりを感じられました。
TANCHJIM FOLA まとめ
TANCHJIM FOLAをまとめると以下のとおりです。
総合評価
5/5
FOLA

- ボーカルの質感が一級品
- 中低域に厚みがあり、自然で心地よい音作り
- 高いビルドクオリティ
- マルチプラグ対応(3.5mm / 4.4mm / USB-C)
- フィルター交換で3つのサウンドモードを楽しめる
- USB-C直結時はアプリを使ってEQ設定ができる
(Androidのみ)
- 迫力は控えめでズンズンとノリ良く聴きたい方には
おすすめしない - フェイスプレート表面に指紋がつきやすい
4.6
高音
4.7
中音
4.6
低音
4.6
解像度
4.5
迫力
4.3
装着感
TANCHJIM FOLAはこんな人におすすめ
価格や仕様、そしてその音質を考えると、2〜3万円クラスの有線イヤホンならかなり高く評価できる有線イヤホンのように感じましたね。
ORIGINと比べてマルチプラグになったことで、4.4mm駆動によって出力も確保しやすく、TANCHJIMらしい美音系サウンドから力強いサウンドまでどちらも楽しめます。
ORIGIN価格差はあるので仕方ないですが、価格差ほどの音質の違いは感じにくいですよ。
またUSB-Cでの接続が思ったより良かったですね。DACなしでも気軽に聴けるので、スマホ直結で気軽に使いたい方にもおすすめですし、FPS向けのチューニングも用意されているのでゲーミング用途にもおすすめかとは思います。
以上! TANCHJIM FOLAのレビューをお送りしました。
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