こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
以前紹介したHIBy M300ですが、28000円ほどで、このサイズでAndroidを搭載しストリーミングサービスを楽しめるDAPで、当時としてはまさに理想とも言えるようなエントリーDAPでした。

ただ、気になっていたことが、4.4mmバランス出力が搭載していないことでした。
これくらい手軽な価格帯で4.4mmバランス接続も使えるDAPが出れば最高なのにな〜とか思っていたら、なんと後継機のようなモデルがHiByから登場しました。
しかもコラボモデルで!
それが今回紹介する HiBy Digital M500 Hatsune Miku Editionです。

M500のオリジナルが登場する前に、まさかのコラボモデルが先に登場するという異常事態。これオリジナルは発売されるのかな?
- Android 14+Snapdragon 680を採用
- 4GB RAM+64GBストレージ/microSD最大2TB
- デュアルCS43198 DA
- 3.5mm+4.4mmバランスのデュアル出力
- 5インチ(1280×720)の大画面
- 最大約26時間再生
- 価格は54,800円
ざっくり言うと、M300の“便利さ”はそのままに、「4.4mmがない」「もう少し音の土台が欲しい」「画面が小さい」といった気になっているところを潰した上位モデルという感じですね。
なお、M500だけでなく「YUME」というオリジナルのコラボイヤホンも販売予定となります。
今回はM500がメインの紹介になりますので、YUMEはサラッとした紹介しかしませんが、それぞれどれほどの実力かチェックしていきましょう。
YouTube版はこちら
HiBy Digital M500 外観・付属品
HiBy Digital M500(初音ミクEdition)のパッケージはこちら。

著名イラストレーター「TID」氏により特別に書き下ろしたキービジュアルを採用した贅沢なパッケージとなっています。
開封するとこんな感じ。


- USB Type-C to C 充電用ケーブル(初音ミクコラボデザイン)
- 透明保護カバー
- スクリーン用保護フィルム
- ハンドストラップ(コラボ仕様)
- アクリル製タグ(コラボ仕様)
- クイックスタートガイド
- 保証書
- (初回限定)缶バッジ
- (初回限定)専用レザーケース
透明保護カバーも付属していますが、初回限定で専用のレザーケース(画像で表示)も付いてきます。スクリーン用の保護フィルムもついてくるので、追加投資なしで本体を保護できるのもありがたいですね。
※初回特典の「限定缶バッジ」2種類
・ダブルシマー・ホワイトポーセリン仕上げ
・ダブルシマー・シルバーグリッター仕上げ
のいずれかになります。
缶バッジの種類は選べません。
ちなみにYUMEには初回代数限定でアクリルスタンドがついてきます

本体がこちら。

M300と比べるとひとまわり厚みがあって、「小型スマホをちょっとだけ分厚くした」くらいのボリューム感です。
正面はベゼルの細いフルフラットなガラスパネルに、縦長のタッチディスプレイという構成。

解像度は1280×720のOGSフルフィットスクリーンで、発色もとても綺麗! アルバムアートやUIのアニメーションもくっきり表示されます。
M300より一回り大きい画面なので、ジャケット画像一覧やストリーミングアプリの画面も見やすく、タイムラインをスクロールしたり、検索で文字を打つ操作もかなり快適に感じました。

背面は、M500のデザインコンセプトである「CYBERCUBE」に沿った幾何学的なパターンと、AGマットガラスの質感が特徴。

ポリカーボネートとマットガラスを組み合わせたボディは、レトロフューチャーな雰囲気と、サイバーネオンっぽい世界観が同居したかなり攻めた見た目です。
初音ミクEditionでは、ミクをイメージしたペールブルーグリーン系の本体カラーに、差し色でピンクレッドの物理ボタンを配置。

このボタンがカセットプレーヤーのような配置でレトロおしゃれな。正面側からボタンが押せそうに見えますが、側面側からしか押せません。
電源ボタンや音量ボタンに加えて、ショートカット用のファンクションキーを搭載。録音機能をワンタッチで呼び出したり、よく使う機能を割り当てておけば、カバンからさっと取り出してすぐ操作できます。

底底面にはヘッドホン用の3.5mmシングルエンド端子と4.4mmバランス端子、USB Type-C端子、そしてDAPとしてはめずらしくデュアルスピーカーまで搭載。イヤホンなしでもそのまま音を鳴らせます。

さらに背面には約1300万画素クラスのカメラも搭載されていています。ほぼスマホやないか。
重量は207gとおおよそスマホほどの重さで、取り回しも悪くはないかと思います。

HiBy Digital M500 スペック
スペックはこちら!
| スペック項目 \ 製品名 | M500 Hatsune Miku Edition | R4 | M300 |
|---|---|---|---|
| OS | Android 14(HiByOSベース) | Android 12 | Android 13(カスタムOS) |
| SoC | Qualcomm Snapdragon 680 | Qualcomm Snapdragon 665 | Qualcomm Snapdragon 665 |
| DAC | CS43198 ×2基(デュアルDAC) | ES9018C2M ×4 | CS43131 |
| アンプ部 | SGM8261 ×4 | OPA1652×4 OPA1612×2、 | – |
| オーディオフォーマット | DSD512、PCM 768kHz/32bit | DSD256、 PCM768kHz/32bit、 MQA16X | DSD256、PCM 768kHz/32bit |
| 出力端子 | 3.5mm シングルエンド/4.4mm バランス/USB out | 3.5mm シングルエンド/4.4mm バランス/USB out | 3.5mm シングルエンド/USB out |
| ディスプレイ | 5.0インチ IPSタッチスクリーン | 4.7 インチ IPS タッチスクリーン | 4.0インチ IPSタッチスクリーン |
| ディスプレイ解像度 | 1280 × 720 | 1280×720 | 1280 × 640 |
| RAM | 4GB | 3GB | 3GB |
| 内部ストレージ | 64GB | 32GB | 32GB |
| microSD | 最大 2TB 対応 | 最大 2TB 対応 | 最大 2TB 対応 |
| Wi-Fi | 2.4GHz / 5GHz(デュアルバンド) | 2.4GHz / 5GHz(デュアルバンド) | 2.4GHz / 5GHz(デュアルバンド) |
| Bluetooth | Bluetooth 5.0(送信のみ) | Bluetooth 5.0(送信のみ) | Bluetooth 5.0(送信のみ) |
| Bluetoothコーデック | AAC / SBC / aptX / aptX HD / LDAC ※LDACはFWアップデートで実装予定 | AAC / SBC / aptX / aptX HD / LDAC / UAT | LDAC / AAC / SBC ※aptXはFWアップデートで対応予定 |
| バッテリー容量 | 3,100mAh / 3.8V | 4500mAh/3.8V | 2,000mAh / 3.8V |
| 再生時間 | 3.5mm PO 約 26.5 時間 3.5mm PO(高出力) 約 19 時間 4.4mm BAL 約19時間 4.4mm BAL(高出力) 約 11.5 時間 | 最大約 11 時間 | 最大約29時間 |
| 価格 | 54,800円 | 45,900円 | 29,800円 |
HiBy Digital M500の実力は?
動作がDAPとしてはとにかくサクサク
M300と比べて、SoCはSnapdragon 665からSnapdragon 680に、メモリも3GB → 4GBへ増量としたことで、より動作がサクサクになっています。
ホーム画面のスクロールやアプリ切り替えもわりとスルスルで、ストリーミングアプリの検索やライブラリの読み込みもDAPとしてはストレス少なめ。

スマホと比べると動作が重たかったり、アプリを立ち上げすぎるとスクロールに引っかかりがあったりと不便な点はありますが、Amazon Musicなどのストリーミングサービスを単体で使う程度であればストレスなく使えます。
初音ミク仕様のカスタムUIがガチで作り込まれてる
M500 Hatsune Miku Editionの一番の“コラボならではポイント”が、このフルカスタムUIです。
よくある”外観とプロンプトだけ変えた”お手軽コラボではなく、OS全体をミク仕様に作り込んでますよ。
コラボモデルにあまり興味がないボクですが、これ初音ミクファンじゃなくても普通にスゴイ!って思えるほど、細部に至るまでこだわりが詰め込まれていますよ。もはや愛を超えて狂気。採算取れてる?ってレベル。
まず、壁紙がコラボイラストレーターのものになっているでしょ?

そして一番スゴイのが100種類以上の「ちびミク」アニメーションを新規描き下ろし。

ホーム画面には自由に配置できる「ちびミク・ミニウィジェット」も用意されていて、「ここにもミク」「あそこにもミク」と、自分好みの“ミクホーム画面”を組めるのが楽しいところ。
システム起動・終了、充電、音量調整、ヘッドホンの抜き挿し、検索バーの表示など、日常のちょっとした操作のたびに“ちびミク”がぬるっと現れます。
しかも音声付きで。その音声も初音ミクにしてはとても発音がキレイっていう。
ホーム画面には自由に配置できる「ちびミク・ミニウィジェット」も用意されています。

音量バーを一気にいじれば、ちびキャラが反動でバウンドします。

さらにM500専用のコラボ版HiBy Musicアプリも用意されていて、アプリ内のスキンまでミク仕様。

UIそのものはベースがAndroidなので扱いやすいです。
今までコラボモデルってそこまで興味がないものが多かったですが、ここまでこだわってくれるとファンとしては嬉しいでしょうし、ファンじゃなくてもこだわりがすごすぎて普通に驚きますよ。
ストリーミングもOK
先ほど例に挙げたApple Musicはもちろん、Amazon Music、Spotifyなど基本ストリーミングはなんでも動作します。
それぞれGoogle Play Storeからダウンロード可能です。
ただ、どのDAPにも言えることなのですがアップデートによって対応しなくなる可能性もあるのでご注意ください。HiByはおそらく大丈夫かと思いますが。
音質|M300よりも余裕のあるサウンド
M500はデュアルCS43198+4.4mmバランス構成になったことで、M300と比べてちゃんとDAPとしての音質の良さを提供してくれるように感じました。
4.0
音質
音の方向性としてはニュートラル寄りでクセの少ないタイプで、DAP側で味付けをするというよりは、イヤホンやヘッドホン本来のキャラクターを素直に出してくれる系統。スマホよりは確実に良いです。
少し柔らかめで刺激を抑えた聴きやすい音になりますね。わりと高域がキツくなりがちなIE 900をバランス接続で聴いても刺激を抑えた落ち着いたニュートラルサウンドに聴こえますね。
あくまで“DAP側はフラット気味に、イヤホン側で味付けする”タイプなので、M300と同じくレビュー用のリファレンス機としても扱いやすいバランスだと思います。
実力的には、以前紹介したR4に近い感じかな?とは思いました。音の傾向はR4の方がもう少し瑞々しい音で、M500の方が味気を少なくしたニュートラル系という印象でしたかね。M300の直系の音という感じです。
YUMEの音質について
YUMEも簡単にではありますが紹介します。

M500のチューニングに併せた少しメリハリ感のあるサウンドで、このセットで聴いても一聴して「普通に良いやん!」と思えたほどのバランスの良さでしたね。
初音ミクをはじめとしたボーカロイド出身者系との相性がよく、エレクトロポップ系はとくにおすすめ。クセがない音なのに電子音系めっちゃ得意。
以前紹介したProject Ace JP Editionをもう少しポップにしたようなイメージですかね。価格差はあるのでさすがに同レベルというわけでもないですけど、コラボモデルだから高いというわけでもなく、しっかり価格相応の実力はあると思います。
単体でも評価できるほど好みの音でしたが、デザイン的にもどうせ買うならM500とセットの方が良いかとは思いましたね。
MSEBで直感的に好みの音に変えられる
HiBy Musicには「MSEB」という機能があります。簡単に伝えると、直感的な操作で音の傾向を変えられる機能という感じでしょうか。

音の傾向ごとに10個ほどスライダーが用意されているのですが、このスライドを左右に振ることで、低域の量感や迫力を増やしたり、音を硬くしたり柔らかくしたり、明るくしたり暗くしたりと、直感的に好みの音に仕上げることができます。
Lightroomで写真を好みの色味に編集するような感覚に近いですね。気になっていたメリハリ感の少なさや、全体的な音のゆるさが解消されて、自分の好みの音に近づきましたね。
ただし、R4とは異なり、OS単位でのMSEBの変更はできません。つまりストリーミングサービスなど純正アプリ以外ではカスタマイズした音が反映されないということです。
ストリーミングをメインで使われるユーザーはこの仕様について把握しておきましょう。
SRCまわり|HiBy Music前提で考えるのが無難
ここはM300と同じく、「純正のHiBy Musicならビットパーフェクト再生が狙える」「サードパーティ製アプリは基本的にAndroid標準のSRC経由」という使い分けになると考えておくのが安全です。
M300では「Exclusive HQ USB」をONにすることでUSB出力がビットパーフェクトになり、他アプリはスピーカーや内蔵DACからの出力になる仕様でしたが、M500も基本思想は同じと見てよさそうです。
ストリーミングをメインで使う場合は、厳密なビットパーフェクトよりも利便性優先、ローカル再生やハイレゾ音源はHiBy Musicで試聴、みたいな住み分けが現実的ですね。
ビットパーフェクトかどうか気にしない場合は、ふつうにUSB-DACを接続して試聴してOKです。
HiBy Digital M500 総合評価・まとめ
総合評価
4.5/5
HiBy Digital M500

- ニュートラルでイヤホンの特性を引き出す音作り
- Snapdragon 680&4GB RAMで動作がサクサク
- デュアルCS43198+4.4mmバランスで
DAPらしい音作り - 5インチ高解像度ディスプレイで
操作性・視認性が高い - Android 14ベースでストリーミングアプリも
一通り使える(現時点では) - 初音ミクファンにはたまらない外観・UI・付属品
- 充実した付属品
- HiBY CastやOSベースでの
MSEBなどに対応していない - ビットパーフェクトでUSB-DACに伝送できない
4.0
音質
4.0
携帯性
4.0
拡張性
4.5
利便性
- スマホとは別に、ワイヤレスも有線も1台で完結するDAPが欲しい
- 4.4mmバランスで本格的に鳴らしたい
- 複数のイヤホン・ヘッドホンの比較試聴用に、クセの少ないDAPが欲しい
- 初音ミクファン
M500はM300の利便性は残したまま、4.4mmバランスとデュアルDACで“ちゃんとDAP”に寄せた一台という感じでしょうかね。
音の方向性はHiByらしくニュートラル寄りですが、M500の方が出力の余裕や音場の見通しにゆとりがあって、さまざまなイヤホンやヘッドホンとの相性が良いですね。
やはり一番の強みは「初音ミクとのコラボ」という点ですかね。外観からUIまでものすごいこだわり。むしろHiBYの創業者の趣味やろこれ。


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