こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回はAcoustuneより、新たに登場したハイエンド有線イヤホン「HS1900X SHINOGI-鎬-」を紹介しま
先に言っておきますけど価格は、専門店価格で184,500円、量販店だと205,000円+ポイント10%となっています。ガチハイエンド向けなのでその点ご容赦ください。
最近高すぎるイヤホンの紹介多くないって思うかもしれないですけど、大丈夫!平常運転です。 まあこんな世界もあるんですよ〜くらいの感覚でご覧ください。
20万円前後は各有線イヤホンブランドのハイエンド帯が鎬を削る価格帯ですが、まさにそこに”SHINOGI-鎬-“の登場ですよ。
「”鎬”を削るの”SHINOGI-鎬-“とはまさにワタシのことです、こんにちは!!!!」 と言わんばかりのネーミングセンス。
“切削”をコンセプトに設計されており、本体は積層ドライカーボン素材で形成されており、まるで日本刀のように薄く、軽く、頑丈な筐体を実現したイヤホンとなっています。この鎬は簡単に削れません。
ドライバーユニットには、10mm口径のダイナミック型ドライバー「第3世代ミリンクスコンポジットドライバー」を一基搭載。こちらにもかなりのこだわりを持って作られているようです。
今回はHS1900X SHINOGI-鎬-をメーカーさんから紹介用に一時的にお借りしましたので、以前レビューした近い価格帯のMADOO Typ821とも比べながらどれほどの実力か検証していきましょう。
ぜひ、最後までご覧ください。
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Acoustune HS1900X SHINOGI-鎬- 外観・付属品
それではAcoustune HS1900X SHINOGI-鎬-の外観や付属品をチェックしていきましょう。
今回は本体のみをお送りいただいたので、パッケージや付属品の紹介はカットでお願いします。
付属品は公式サイトなどをご覧いただきたいですが、イヤーチップが2種類とアルミニウムケース、キャリングケース、ケーブルクリップなどが入っています。
本体・ケーブル
本体がこちらですが、いつも思うけどAcoustuneの筐体の造形がスゴイ。
その一つ一つのパーツが高音質と高耐久性・そして装着感の良さを実現するために作られていて、ゴテゴテとしつつも無駄のないデザインとなっています。
内側は耳内に負担をかけないように人間工学に基づいた流線形デザインとなっています。カーボンカラーがとても渋い。
本体には軽量化のために肉厚を抑えながらも強度を確保したチタン製チャンバーに、積層ドライカーボン切削ボディを採用し、非金属ながら軽量かつ高強度なボディを実現。
薄く、軽く、丈夫、この3つの要素を併せ持つ「SHINOGI-鎬-」の名に相応しいイヤホンとなっています。
本体ハウジングにはAcoustune独自のモジュラー構造を採用。音響チャンバー(ドライバー部)と機構ハウジング(コネクター部)を完全分離し、相互干渉による音質への影響を抑制しています。
ドライバーには医療用合成基材ミリンクスを薄膜成形した振動板、ならびに極薄膜加工を施したチタン製薄膜ドームを組み合わせた複合膜構成のダイナミックドライバーを採用。
筐体、チャンバー、ケーブルを含めたトータルのサウンド設計に合わせ、これまで実現困難だった領域まで「ミリンクスコンポジットドライバー」のポテンシャルを引き出すことができたようです。
ケーブルは着脱も可能で、コネクタは金属コア入りのイヤーピース「コレイル」で有名な日本ディックス社製の「Pentaconn Ear コネクター」を採用。
このPentaconn Ear コネクターは、あらゆる着脱端子の中でも耐久性が高くて音質への影響の少ない個人的にも信頼しているコネクタです。
汎用性は低いためリケーブルはしにくいですが、リケーブルしない派にとっては安心して使えます。
ノズルは金属筐体を採用で、口径もおおよそ一般的なものを採用。他社製のイヤーピースでも問題なく使えるかと。
フィルター部も縫い目の細かい金属フィルターが備わっています。
ケーブルは錫メッキコートOFC採用の新リファレンスケーブル「ARC93」を採用。
HS1900Xの開発の過程で生まれた全く新しいケーブルのようで、導体抵抗値を抑え、オーディオ信号のロスを防ぎつつ、軽量かつ音質的にも調和の取れたケーブルとなっているようです。
取り回しも悪くないですね。
分岐部もカーボン素材が採用されていてカッコイイ! Acoustuneロゴ入りのアジャスターも備わっています。
プラグはL字タイプの4.4mmバランスプラグを採用。こちらもカーボンを採用した渋いデザイン。
今回はマルチプラグには対応しておらず、付属品のみでは通常の3.5mmアンバランス接続はできないのでご注意ください。
本体とケーブルを装着するとこんな感じ。筐体からケーブルまでカーボンカラーで一貫された渋いデザインで素敵!男はカーボンに弱いのよ。
Acoustune HS1900X SHINOGI-鎬-の概要・スペック
スペック | HS1900X SHINOGI-鎬- |
---|---|
ドライバー構成 | 10mm径 第3世代ミリンクスコンポジットダイナミックドライバー |
インピーダンス | 24Ω |
音圧感度 | 110dB / 1mW |
再生周波数帯域 | 10Hz – 25KHz |
ケーブル仕様 | [名称] ARC93 Φ4.4mm Plug to Pentaconn Ear [仕様] 錫メッキコートOFC線、Pentaconn Earコネクター 4.4mm 5極 L字バランスプラグ、ケーブル長 約1.2m |
本体重量 | 約11g(左右本体のみ)/ 約48g(ケーブル含む) |
付属品 | ・イヤーチップ AEX50 S/M/L ・イヤーチップ AEX70 S/M/L ・アルミニウムケース ・キャリングケース ・ケーブルクリップ ・ケーブルタイ ・保証書、製品説明書 |
Acoustune HS1900X SHINOGI-鎬- レビュー
装着感|ゴツい見た目のわりに軽快!
装着感は見た目に反してなかなか良いですよ!
一見金属筐体で冬に使うとヒヤッとしそうな見た目をしていますけど、耳に触れる部分ははカーボンなのでヒヤッとせず、ふつうのイヤモニのような感覚で使えます。
実際に装着してみるとこんな感じ。遠目から見たらオシャレなアクセサリーを身につけている気がせんでも……いや、ないか。
前から見たらこんな感じ。そこまで飛び出し感もないかと。
見た目の割には本体も軽く、長時間使っていても耳が痛くなりにくくて圧迫感も少ないですね。
遮音性もなかなかに高く、音楽を聴いていれば周りの雑音はそこまで気にならなかった。
装着感 | (4.7) |
音質|刀のような鋭さと美しさ
HS1900X SHINOGI-鎬-の音質についてですが、高音域の表現力が素晴らしいですね!
いままでのAcoustuneらしいまさに日本刀のようなキレの良さを持ちつつ、なぜか斬られているのに斬れていないような、鋭くも艶感や優しさも併せ持つ音のように感じました。
レビューを見ていると「硬い」とか「カッチカチ」といった意見が見られますけど、ボクは硬質でありつつも聴きやすいバランスに整っているように感じましたよ? エージングされすぎたんかな?
- DAP:SONY NW-WM1AM2
- アプリ:Apple Music
- 接続方式:4.4mmバランス接続
- イヤーピース:付属シリコンイヤーピース(AEX50)
- エージング:100時間ほど(レンタル品だからもっと長時間エージングしてるかも)
Acoustune HS1900X SHINOGI-鎬-の音の特長は次のとおりです。
10万円以上〜のイヤホンを基準とした評価軸です
4.9
高音
4.8
中音
4.6
低音
音の傾向
音の傾向は今までのAcoustune同様に硬質でキレの良いサウンドに余韻感をスパイス的に加えたようなチューニングで、どちらかといえば高域寄りなように感じます。
Acoustuneの機種によっては高域がキツすぎて苦手な製品もあったんですけど、HS1900X SHINOGI-鎬-に関しては硬質なのに耳あたりがよくで聴きやすい感覚になりますね。
1ドライバーとは思えないくらい分離感が良くて、ドライバー構成を知らずに聴いたらBA5基くらい積んでるでしょ?と思うくらい幅広い帯域に対して一音一音をクッキリと鳴らしますね。
音場
Typ821のような広大な音場で自然に抜けていくような感じではなく、耳に対してストレートに攻めつつも、一音一音の余韻が少しずつ響く音場という印象です。
高域
一番の強みだと感じたのは高域の表現力の高さ。星空かのようにキラキラとした煌びやかで鮮明なサウンドが特徴です。
本当に1ドライバーなの?と思うくらい高域の粒立ちが良く、一音一音の輪郭もクッキリハッキリとしています。
アコギやハーブなどの弦を爪弾くような音も、一弦一弦の輪郭までクッキリと描くような解像度の高さ。その上でレスポンスもよくスピーディーに一音ずつ描くような感じですね。
シンセサイザーのキラキラとした表現もかなり得意で、最新チャート曲との相性も抜群です。
あとはサックスやトランペットなどブラス系全般の表現も得意で、パァァァ!と瑞々しく鳴らす炸裂音が心地よいですね。マイルス・デイヴィスとかも最高ですよ。
中域
中域はややハイ寄りで、中高域〜高域をメインディッシュにするために支えるよう厚みをほどよく持たせたような音のように感じました。
ボーカルのピークもHS1900X SHINOGI-鎬-の得意なラインに乗ってくれるので、高めの男性ボーカルのサビや女性のハイトーン系ボイスもとてもハリ良く聴かせてくれます。
fhánaやヨルシカあたりのボーカルはHS1900のちょうど得意な帯域のように感じましたね。ボーカルのピークを刺さるか刺さらないかのギリギリ気持ちいい感じがずっと続くような感じでスゴくイイですよ
低域
低域は縁の下の力持ちのような感覚で、ゴリゴリと主張はしすぎずに、かといって不足感なく楽曲を下支えするような程よく豊かな低音ですね。こちらもあくまで主役は中高域〜高域に譲っているような感覚。
サブベースも粘りと深みのある低音で鳴らすので、エレクトロを聴いていてもブイブイとノリ良く鳴らしてくれますね。
意外とジャズのウッドベースをフロアに響かせる空気を纏った低音の表現も得意ですよ。
得意なジャンル
得意なジャンルはキラキラとしたアニソンやポップス、エレクトロ系全般とジャズ全般が得意な感じましたね。
一番の強みは高域の煌びやかさと美しさのように感じたので、この高域のラインに乗せられる楽曲はとくに心地よく聴けるかと思います。
Typ821と比べると
近い価格帯だと以前紹介したMADOOのTyp821がありますが、こちらとHS1900X SHINOGI-鎬-を比較してみました。
TYP821はAcoustuneと同じくやや硬質でありつつも、ヘッドホンのような超広大な音場が特徴で、音が上にも下にも広がっていく極上キレイめサウンドという印象です。
ストリングスやブラスアレンジを加えたリッチなポップスや、クラシックやオーケストラ、サウンドトラックなど壮大な楽曲との相性がとくに良く感じますね。Mrs. GREEN APPLEの「ケセラセラ」あたりとかめちゃめちゃマッチします。
対して、HS1900X SHINOGI-鎬-はもっと直線的な音作りで、中高域の鋭さやキレの良さをダイレクトに耳に伝えるような感覚。女性ボーカルやシンセサイザー、ピアノなどのピークラインの音の作り方はHS1900X SHINOGI-鎬-の方が心地よく感じました。
総合的な音質の良さはTYP821の方が良く感じましたけど、まあ4万ほど高いので仕方ないのかなという感じ。ただ、アニソンやエレクトロ系ポップスをメインで聴くならHS1900X SHINOGI-鎬-の方がおすすめかなって感じですね。
ジャズで聴き比べるとTyp821はハイハット+楽器隊全般にフォーカスが当たるのに対して、HS1900X SHINOGI-鎬-はサックスやピアノにフォーカスが当たりますね。主旋律へのスポットライトの当て方はHS1900Xの方が上手なように感じます。
あと、TYP821は金属筐体なので冬場に使うと耳の中がヒヤッとしますが、HS1900X SHINOGI-鎬-はカーボンなのでヒヤッと感はかなり抑えられています。
どちらも超高価格帯なので、専門店やオーディオイベントなどで聴き比べてみてください。同じ代理店なので、イベントだったらその場で聴き比べとかもできると思います。
おすすめのイヤーピースを見つけた
最後におすすめのイヤーピースを見つけたんですが、それがMADOOブランドから最近出たばかりの「MDX30」というイヤーピース。
もともとMADOOのTYPシリーズに特化した新開発のイヤーピースで、耳穴の形状にあわせた楕円形設計と、他のイヤホンにも普通に使えるんですよね。
HS1900X SHINOGI-鎬-の直線的な鋭い音が上下に広がるようになり、高域には伸びの良さを、低域には躍動感を加えて、ボーカルはさらっとした抜けの良さを加えてくれるようになるように感じました。
まさにHS1900X SHINOGI-鎬-の音をMADOOのような伸びやかな音に寄らせるような感じ。純正イヤーピースと比べても明らかに音に変化を感じますよ。
装着感も耳穴の形に合わせた形状のため圧迫感も少なく安定している印象ですが、耳の穴に対してイヤーピースの角度を合わせないと、逆に圧迫感が増してしてしまうので注意。
もちろんTYP821やTYP622に使っても超絶良くて、TYPシリーズの強みをさらに伸ばしつつ、密閉感が高まることで高域のシャリつきも抑え、装着感も高めてくれます。
このイヤーピースすごいね。どんなイヤホンでもMADOOのイヤホンっぽい傾向に近づけてくれますね。
今回は関係ないですけどワイヤレスイヤホンのGEMINI IIとの組み合わせがとくに最高でした。
Gemini IIの広い音場や広域の伸び、低域の躍動感がさらに強調されてボーカルも前に出やすくなって、特徴を伸ばしてくれます。
ただケースに干渉させないためには根本の奥までグッと押し込む必要があります。
e☆イヤホンでも品切れしていたくらい売れているみたいなので、ぜひ1個買ってみてください。この子めちゃイイです。
Acoustune HS1900X SHINOGI-鎬- まとめ
Acoustune HS1900X SHINOGI-鎬-をまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.5/5
HS1900X SHINOGI-鎬-
- 煌びやかで美しさのある高音
- 見た目に対して本体が軽く装着感も良い
- ビルドクオリティがとても高い
- カーボンで統一されたデザインが美しい
- 3.5mmケーブルが付属していない
4.9
高音
4.8
中音
4.6
低音
4.8
解像度
4.6
迫力
4.7
装着感
20万円前後の有線イヤホンはさまざまな選択肢があるので迷うかと思いますが、HS1900X SHINOGI-鎬-はその中でも高域の煌びやかさやキレの良さに特化した硬質美音系サウンドのように感じましたね。
女性ボーカルやキラキラとしたエレクトロ系のサウンドが特に相性が良いので、アニソンやポップスをメインに聴かれる方にはとくにおすすめです。
あとはゴテゴテとした見た目に対して本体も軽く、装着感が良い点も評価が高いですね。
伸びやかさや壮大さ重視であればTYP821、キレの良さとスピーディーな音が好みならHS1900X SHINOGI-鎬-で検討してみてください。
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