こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
オーディオ界隈でも人気の高いDAPメーカー「HiBy」から、手軽に高音質を楽しめるポップなコンパクトDAP「R1」が登場しました。
主な特徴は次のとおり。
- シーラスロジック社のDACチップ「CS43131」を搭載
- DSD256・PCM384kHz / 32bit対応
- オーディオに特化した独自OS「HiBy OS」を採用
- 最大再生時間15時間
- AirPlayやQobuzにも対応
- LDACの送受信に対応
- 価格は16,800円
DAPで16800円って、ちゃんとしたメーカーのものだと最安クラスじゃないですかね? 円安じゃなかったらもっと安かったんかしら。
今回は代理店のミックスウェーブさんより紹介用に提供いただいたので、実機を使って紹介していきます。
YouTube版はこちら
HiBy R1 外観・付属品
HiBy R1のパッケージはこちら
開封するとこんな感じ。
- スクリーンプロテクター
- USB2.0 充電ケーブル
- ストラップ
- カードエクストラクションピン
- メッシュポーチ
- クイックガイド
価格にしてはスクリーンプロテクター、ストラップ、メッシュポーチなど付属品はなかなか充実しています。
本体はこちら
筐体にはポリカーポネートを採用したポップなデザイン
同社のM300やR4、そしてiPhone 15 Proと比べるとこんな感じ。M300よりもさらに一回りコンパクトです。
厚みはM300と大体同じくらいですね。
右側面には電源ボタン、音量ボタン、選曲ボタンが備わっています。
逆側にはストラップホールが備わっています
下部には充電兼データ伝送用のUSB-C端子、3.5mmイヤホンジャック、そして最大2TBまで対応したmicroSDカードスロットが備わっています。
重さは76.3gと100gを切る超軽量設計です。
iPhoneがケース込みで220gほどなので、スマホよりかなり軽めです。
HiBy R1 スペック
項目 | R1 | M300 | R4 |
---|---|---|---|
OS | HiBy OS | Android 13 | Android 12 |
SoC | X1600E | Qualcomm Snapdragon 665 | Qualcomm Snapdragon 665 |
DAC | CS43131 | CS43131 | ES9018C2M ×4 |
アンプ部 | – | – | OPA1652×4 OPA1612×2、 トライオード ×16 |
スピーカー | – | ◯ | – |
最大出力 | 3.5mm:101mW | 3.5mm:103mW | 3.5mm:165mW 4.4mm:525mW |
ダイナミックレンジ | 3.5mm:122dB | 3.5mm:119dB | 3.5mm:120dB 4.4mm:124dB |
S/N比 | 3.5mm:SNR 122.3dB(A) | 3.5mm:120dB | 3.5mm:120dB 4.4mm:123dB |
歪率 | 3.5mm:0.001% | 3.5mm:0.001% | 3.5mm:0.0007% 4.4mm:0.0005% |
オーディオフォーマット | DSD256、 PCM384kHz/32bit | DSD256、PCM768kHz/32bit | DSD256、 PCM768kHz/32bit、 MQA16X |
出力端子 | 3.5mm PO / USB out | 3.5mm PO / USB out | 3.5mm PO / 4.4mm BAL / USB out |
WiFi | 2.4GHz | 2.4GHz, 5GHz | 2.4GHz, 5GHz |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 |
Bluetooth codecs | LDAC / aptX( 送信のみ ) / AAC / SBC | LDAC / AAC / SBC / aptX HD / aptX Adaptive | UAT / LDAC / aptX / aptX HD / AAC / SBC |
ディスプレイ | 3 インチ IPS タッチスクリーン | 4.0 インチ タッチスクリーン | 4.7 インチ IPS タッチスクリーン |
ディスプレイ解像度 | 800×480 | 1280×640 | 1280×720 |
RAM | – | 3GB | 3GB |
内部ストレージ | – | 32GB | 32GB |
マイクロ SD | 2TB | 2TB | 2TB |
バッテリー容量 | 1150mAh/3.8V | 2000mAh/3.8V | 4500mAh/3.8V |
再生時間 | 最大約15時間 | 最大約29時間 | 最大約11時間 |
価格 | 16,800円 | 29,800円 | 45,800円 |
スペックを見比べてみると、R1はAndroidではなく独自OSにしてaptX Adaptiveは使えなくなったM300って感じですね。
Apple Musicなどのストリーミングサービスは使わず、内蔵音源のみでサクッと聴きたい方はR1でもいいかなーって感じですね。
HiBy R1 レビュー
起動が超早い
まず起動をしてみますが、さすが独自OS。電源ボタン長押しすれば、画面点灯してから4秒後には起動されます。
Android搭載DAPだとシステムの立ち上げに20〜30秒ほど掛かってしまうんですよね。
サクッと聴きたいときは独自OSは便利ですね。
音質|スマホよりは良くなる
HiBy R1の音質ですが、29800円のM300よりもやや下くらいですかね。M300の方がもう少し音の厚みがあって歯切れ良く鳴らすように感じます。
感覚的にはこんな感じ。
M300=Xperia 1Ⅵ > R1 > iPhone+純正変換アダプター
Xperia 1Ⅵは20万クラスで音質もかなり良いスマホなので、勝てないのは仕方ないとして……。
一般的なイヤホンジャック変換アダプターに刺して聴くよりは間違いなくいいですし、価格と操作性を考えれば十分って感じです。初めてDAPを購入しようと思っている方には良い選択肢だと思いますよ。
音の特徴は次のとおりです。
3.6
音質
M300と音の傾向は同じで、特別味付けをすることもなく、ニュートラルにイヤホンの特性を引き出すような感じですね。
ドングルDACだと大体7000〜9000円クラスの音って感じですかね。
音量調整もしやすく、スマホの利便性を欠けさせることもないので、ドングルDACよりは運用はしやすいと思います。
スマホよりも高い出力を得られるので、能率の悪いイヤホンでもそれなりに鳴らせますね。
final A5000のような3.5mm接続だと出力を確保しにくいイヤホンでも、割としっかり鳴らせていましたね。
MSEBで直感的に好みの音に変えられる
さらに純正アプリには「MSEB」という機能があります。これは直感的な操作で音の傾向を変えられる機能という感じでしょうか。
音の傾向ごとに10個ほどスライダーが用意されているのですが、このスライドを左右に振ることで、低域の量感や迫力を増やしたり、音を硬くしたり柔らかくしたり、明るくしたり暗くしたりと、直感的に好みの音に仕上げることができます。
Lightroomで写真を好みの色味に編集するような感覚に近いですね。気になっていたメリハリ感の少なさや、全体的な音のゆるさが解消されて、自分の好みの音に近づきましたね。
MSEBでカスタマイズする前提でチューニングしているから音がフラットになっているのかな?とも思いますね。
ちなみに「音場」という項目も別で用意されていまて、こちらを調整すると擬似的に音場が広がっていきます。
純正の再生アプリだけでなく、AirPlayやQobuz使用時もちゃんと反映されています。
ストリーミングサービス「Qobuz」が使える
R1は独自OSのため、基本的にはApple Musicなどのストリーミングサービスは利用できません。
ただし、「TIDAL」「Qobuz」のみプリインストールされており、Wi-Fiに接続することでストリーミングで自由に聴くことができます。
TIDALは海外サービスなので日本での利用は難しい(ややこしい)のですが、Qobuzは2024年11月24日に日本で正式にサービスを開始したので、気軽に使えるようになりました。
実際に使ってみましたけど、いろいろ文句はあるけど、独自OSでストリーミング使えるのは感動的ですね。
ふだん聴いている「YOASOBI」「米津玄師」「Eve」「ずっと真夜中でいいのに。」といったアーティストも最新アルバムまでちゃんと配信されていました。
ちなみに気になる点は以下のとおりです。
- 楽曲をローカルへのダウンロードができない
- 配信楽曲のビットレートがわからない
- アルバムアートなど画像情報が一切なし
- ローマ字入力のみのため楽曲が検索しにくい
- アーティスト→アルバムの検索がしにくい
- etc……
ぶっちゃけ気になる点は無限にありますけど、とりあえずストリーミングで聴けますって感じ。
本体のみで楽曲の検索はとにかくしにくいのですが、スマホ版のQobuzでふだん聴くアルバムやアーティスト、プレイリストをお気に入り登録しておけば、R1側も連動してくれるので選曲しやすくなりますよ。
ちなみにオンライン再生のみなので、通信が安定しない環境でテザリングで聴いていると、わりとブチブチ途切れます。ローカルにダウンロードしたいなぁ……。
iPhoneならAirPlayでストリーミング再生も可能
iPhoneユーザーならAirPlay経由でApple Music、Amazon MusicなどのストリーミングサービスもR1で利用できるようになります。
テザリングを使ってR1のWi-Fiを接続すれば、屋外でもAirPlayを使えるようになります。接続安定性はQobuzを使おうがAirPlayを使おうが変わらない印象でした。ネットが貧弱な場所だと音途切れが多くなります
音質は明らかにQobuzの方が良かったですね。AirPlayは音密度がやや薄く、ほんの少しシャリついている感じがあります。
対してQobuzで聴いた時は音密度が高く、各帯域のつながりも滑らかな上質な音で鳴らしてくれますね。
利便性を取るならAirPlay、音質を取るならQobuzで使うのがおすすめって感じですね。
さらにドングルDACへの出力もできるのですが、R1のバッテリー容量を考えるとすぐに電源が切れる可能性があるので、できれば単体で運用した方が良いとは思います。
LDACの送受信が可能
R1はLDACの送受信に対応しているため、ワイヤレスイヤホンとLDACで接続したり、逆にスマホからLDACで受信してBluetoothレシーバーとしても使うこともできます。
メインスマホがiPhoneの場合、対応コーデックがSBC・AACまでなので、R1があればiPhoneユーザーでもLDAC再生専用機として使うこともできますね。レシーバーとして使う場合はAACまでになりますけど。
ただスマホと比べると少し接続は安定しにくいのでご注意ください。
自動電源がOFFになる
地味にうれしいのが、自動で電源がOFFになる機能。たまにこの機能が搭載していないDAPがあるのですが、使おうと思っても気づいたら電源がOFFになっていることが多いんですよね。
設定で自動電源OFFになるまでの時間も調整できます。
USB-DAC機能は使えない
ドングルDACとの運用はできますが、パソコンとは接続しても出力先として表示されません。
パソコン用のUBS-DACとしては使えないので注意。
欲を言えば4.4mmバランス接続がほしかった
最後に気になる点ですが、欲を言えばですけど4.4mmバランス接続が欲しかったですかねー。
価格的には仕方ないんですけど、この価格で4.4mmバランス接続も可能であればコスパ超最強のDAPになっていましたね。
HiBy R1 まとめ
総合評価
4/5
R1
- DAPとしては価格がかなり安い
- 電源の立ち上がりが早い
- AirPlayやQobuzを使って
ストリーミングも聴ける - 胸ポケットサイズで携帯性抜群
- LDACの送受信ができる
- Apple Musicなど主要ストリーミングサービスは単体では使えない
- 4.4mmバランス端子が備わっていない
- パソコン用のUSB-DACとしては使えない
3.6
音質
4.8
携帯性
4.0
拡張性
4.0
利便性
- 初めてDAPを買おうと考えている
- スマホとは別で音楽再生機を専用で用意したい
- 内蔵音源メインで聴くことが多い
- Qobuzユーザー
- テザリングが使えるiPhoneユーザー
目立った機能は少ないですが、ちゃんとしたメーカーのDAPとしては16800円は最安クラス!
はじめてDAPを購入してみたいけど、予算はそこまで出せないという方は、R1を選択肢に入れてみてもいいかもしれないですね。
あとAirPlayかQobuzが使えばストリーミングサービスを聴けるのも強みですね。
もっと自由にストリーミングを使いたい方はM300、バランス接続対応でさらに高音質で聴きたい方はR4もおすすめです。
予算に合わせて検討してみてください。
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