HiBy × FAudioの名作イヤホンがJ-Pop向けに魔改造!? 「Project Ace JP Edition」を試す|オリジナルやSEモデルとの比較も

当ページのリンクには広告が含まれています。

今回は以前紹介してなかなか話題になった「HiBy」と「FAudio」のコラボイヤホン「Project Ace」の数量限定の特別仕様版「Project Ace JP Edition(プロジェクト エース)」を紹介します。

HiByといえば、「M300」や「R4」をはじめ、価格・音質・機能性のバランスがとれたDAPを多く販売する中国のオーディオブランドです。

対してFAudioは最安でも50,000円クラスなど、ハイエンド系の有線イヤホンを多く開発してきたブランドで、ボクもe☆イヤホン時代に独断と偏見でFAudioコーナーを作ったほどめちゃくちゃ好きなブランドです。

その2つの人気オーディオブランドがタッグを組んで生まれたのが、以前紹介した「HiBy Project Ace」。

オリジナルも39800円という価格でありつつハイエンドのエッセンスを感じられる素晴らしいイヤホンでしたが、今回紹介するJP Editionは世界800台限定で「J-POP」向けに再チューニングされた特別仕様のイヤホンとなっています。

ただただチューニングを変えただけではなくドライバーやイヤーピースまで変更が加わっていますよ。

価格はオープンではありますが、47,800円となっています。

今回はこちらの「Project Ace JP Edition」とオリジナルの「Project Ace」、そして先に発売された「Project Ace Special Edition」の3製品で徹底比較していきましょう。

製品提供:ミックスウェーブ

目次
かじかじ
元イヤホン専門店スタッフ
オーディオ販売歴9年。元々イヤホン専門店で店長やWEBマーケを担当してました。

イヤホンをレビューすることは空気を吸うようなものだと思ってます。


2024年1月時点で月間100万PV。
YouTubeチャンネル登録者は7万人ほど

動画版はこちら

Project Ace JP Edition 外観・付属品

それではProject Ace JP Editionの外観や付属品をチェックしていきましょう。

パッケージ

Project Ace JP Editionのパッケージはこちら。オリジナルモデルのロゴのかっこよさはそのままに、花びらを散らした日本っぽいデザインに仕上がっています。

開封するとこんな感じ。貫禄が相変わらずハイエンドイヤホンのそれ。

付属品

付属品一覧
  1. Litz Type5 Coaxial Copper & Silver-plated Balanced Cable
  2. イヤホンケース
  3. クリーニングツール
  4. イヤーチップ(WG02 リキッドシリコン x3、フォーム x3)
  5. イヤーチップケース
  6. 保証書

付属のイヤーピースには新開発のWG02 ウェーブガイドリキッドシリコンイヤーチップが付属。

リキッドシリコン特有の柔軟性と低刺激性により、快適な装着感と優れた遮音性を実現。更に、ウェーブガイド構造により音の伝達を最適化し、繊細で没入感のあるリスニング体験を実現したとのこと。

イヤホンケースもオリジナル版同様に上質で堅牢な作りで、中の仕切り位置も動かせる贅沢仕様になっています。

本体カラーに合わせてブラックカラーに変更されていますね。

本体・ケーブル

Project Ace JP Editionのイヤホン本体は五角形が特徴的なデザインで、パッケージデザインと同じく桜が散らされた特別仕様となっています。

Moonlightをコンセプトとしており、均衡のとれた五角形に音質、バランス、サウンドステージ、ダイナミクス、音楽性の5つの要素を一つに融合させたデザインとなっています。

筐体には高強度、高塑性、高耐食性、軽量性を兼ね備えたT6063 アル ミニウム合金を採用。この筐体によってダイナミックドライバーの高調波振動を減らして、歪みを大幅に低減できたようです。

内側はこんな感じ。相変わらず装着感よりもデザイン性とコンセプトを重視した設計になっています。

Project Ace をベースにダイナミックドライバーの振動板材料が再開発されています。

オリジナル版とSE版はマグネシウム合金ドームとベリリウムメッキ振動板を融合した12mmダイナミックドライバーを1基搭載。

対してJP版は新たに採用した高剛性チタンメッキ振動板に、PEEK 素材の上に60層以上のチタン化合物粒子を精密にコーティングした「マルチ PVD+プロセス」によって製造されました。

これによって、振動板の強度が大幅に向上し、音の一貫性も強化され、中高域の伸びやかさと滑らかさが格段に向上し、J-POPならではの繊細な表現や複雑な音の重なりも細部まで余すことなく再現するとのことです。

また、振動板をより効率よく駆動するためにドライバーの磁気コアとエアギャップを新たに設計。

デュアル磁気コアによって、1.2T(テスラ)もの強力な磁力を発生させ、Project Ace JP が電気信号を音に変換する効率を大幅に向上させましたようです。

そしてFAudioの特許技術 「T.B.A.C(Triple Built-in Acoustic Chamber)」 も新たなエアフローモデルへと進化。JP Editionのために三つのアコースティックチャンバー構造と空気の導き方を見直し、より効率的に空気の流れをコントロールできるようになったみたいですね。

コネクタは0.78mmのフラット2pinを採用しています。差し込み具合もキツ過ぎずゆる過ぎずちょうどいい感じ。

ノズル部はこんな感じ。筐体と一体成型されたツルンとした素材感になっています。

ケーブルにはLitz Type5 Coaxial Copper & Silver-plated Balanced Cableが付属。銅と銀メッキ銅のコアを 1:1.6 で混合した8芯構造のケーブルを採用。ケーブルはオリジナル版との違いはなさそう。

太めのケーブルですが取り回しも良好です。分岐部はかなりゴツゴツとした感じ。アジャスターもちゃんとついています。

耳掛け部は形状固定型。

プラグもちゃんと交換可能で、3.5mmシングルエンドから4.4mmバランス接続に簡単に切り替えることができます。

ロック機構付きで簡単に取れてしまうこともありません、相変わらずプラグ周りの質感めっちゃ高くてかっこいい。

本体とケーブルを装着するとこんな感じ。

デザイン性・付属品・マルチプラグ仕様など、外観・付属品周りなど、質感がとても高いですね。

Project Ace JP Editionの概要・スペック

Project Ace JP EditionProject AceProject Ace Special Edition
ドライバー12mm チタンメッキ振動板(60層以上PVD) 1DD12mm Mg合金ドーム+Beメッキ 1DD12mm Mg合金ドーム+Beメッキ 1DD(SE向けに最適化)
磁気回路1.2Tデュアル磁気コア(効率向上)
音響構造進化T.B.A.C(JP用再設計)T.B.A.C(三重チャンバー)進化T.B.A.C(SE用再設計)
周波数帯域20Hz–40kHz20Hz–20kHz20Hz–20kHz
インピーダンス24Ω32Ω32Ω
感度115dB@1kHz115dB@1kHz115dB@1kHz
端子3.5/4.4mmマルチプラグ3.5/4.4mmマルチプラグ4.4mm固定
付属イヤピWG02リキッドシリコンシリコン/フォームシリコン/フォーム
価格(税込)47,800円39,800円44,900円

大きな違いとしてはドライバーとチューニング周りの変更、そしてイヤーピースの追加といったところでしょうか。

インピーダンスは低くなって、周波数帯域は高域側に広がるようになりましたね。

あとは他の2モデルと比べて音質にどこまで違いがあるか次第かと。

Project Ace JP Edition レビュー

装着感|イヤーピースのおかげで大幅に改善されている

Project Ace JP Editionの装着感ですが、筐体自体はオリジナル版と変わりはないですが、イヤーピースのおかげでかなり改善されているように感じました。

実際に装着してみるとこんな感じ。

前から見るとこんな感じです。

特殊な形状のためイヤホン本体のみでの装着感は安定しませんが、イヤーピースが滑り止めのような素材で耳の内側にピッタリと張り付くような装着感になっており、とても安定してくれます。

イヤーピースだけで支えるような装着感には変わりありませんが、付属イヤーピースが上質なおかげで不満を感じさせませんでしたね。

装着感(4.3)

音質|確かにJ-Popに特化している

Project Ace JP Editionの音質についてですが、これはオリジナルのProject Aceと比べて”大きな進化”という感じではなく、どちらかといえば”変化”の方が大きいように感じました。

低域とボーカルの表現はオリジナル版と比べて結構変わっています。

試聴環境
  • DAP:HiByMusic R4
  • アプリ:Apple Music
  • エージング:50時間ほど
  • イヤーピース:純正シリコンタイプ

Project Ace JP Editionの音の特長は次のとおりです。

音の特長

※6万円以下の有線イヤホンを基準とした評価軸です

4.9

高音

4.9

中音

4.8

低音

音の傾向
狭い
広い
硬め
柔らかめ
分析的
余韻重視
繊細
迫力
楽器寄り
ボーカル寄り
低域寄り
フラット
高域寄り

音の傾向

音の傾向はFAudioらしい刺激感が抑えつつも非常に伸びの良い繊細さと、HiByのチューニングによってスパイス的にキレや迫力を加えられているようなバランス。

オリジナル版はその伸びの良さと繊細さを重視したフラットなチューニングでしたが、JP Editionはキレやレスポンスの良さを重視したスピーディーで弱W字型のようなチューニングに変化していますね。

J-POP向けになっていることがよくわかるチューニングです。

それにしてもオリジナル同様に1ドライバーとは思えないくらい分離感が良いです。

高域

高域はオリジナル版の場合、サラッとした繊細で伸びやかな音でした。

特にアコースティックギターの表現力は凄まじく、サビで複数の楽器隊が重なるシーンでも、絡まった糸を解くように一弦一弦の音をクッキリハッキリと高精細に描きます。どれだけ音圧があがろうとも弦楽器の音はずっと耳で追い続けられます。

シンセサイザーやエレキギターの音も丁寧に表現しますが、勢いや鋭さがそこまでなく、いい意味でも悪い意味でも繊細でした。

対してJP Editionは繊細で伸びやかな高域に力強さとキレの良さが加わっています。スネアやシンバルのアタック感もバシッとした刺激が加わるようになりましたね。

より華やかでフレッシュに、繊細な高域にも音圧を感じるようなパワフルさも持ち合わせるようになりました。

ただ、高域のキレを重視した影響か、オリジナル版にあった突き抜けるような繊細で超伸びやかな高域が少し抑えられているように感じましたね。

弾き語りやストリングスに合うサラッとした繊細な高域が好みならオリジナル版でも良いかとは思いました。

中域

JP Editionの一番わかりやすい変化がボーカルの質感。

オリジナル版はボーカルも同価格帯としては非常に明瞭で、楽器隊との距離感もフラットな印象。

アニソンのようなハイトーン系から宇多田ヒカルのようなR&Bテイストのボーカルまで、他の楽器隊も埋もれることなくサラッとした繊細な歌声を伝えてくれますが、ボーカルを芯で捉えてはなく、少し上の帯域で上擦りながら聴かせる感覚がありました。

対してJP Editionはオリジナルと比べるとボーカルも一歩に前に出てきて真芯で捉えつつ、同帯域のピアノやシンセサイザー、エレキギターなどのメロディラインにもグッと迫るような圧が加わりました。

またオリジナル版で感じていた一部帯域のボーカルの刺さりも抑えられ、ハリよくも歯擦音は抑えられたフレッシュで聴き心地のよい歌声を聴かせてくれます。

ただ、オリジナルの他の楽器帯の調和した伸びやかで繊細なボーカルも捨てがたい……。

低域

低域は音の変化ではなく”進化“という印象を受けました。

オリジナル同様にスッキリとしているように聴こえて、サブベースなど低い周波数帯ではレスポンスよく迫力のあるサウンドで躍動感高く鳴らしてくれます。ミッドベースの量感は控えめですね。

迫力たっぷりに攻めるようなタイプではないですが、上質かつ深みのある低音に仕上がっています。

そしてオリジナル版と比べると、低域の量感はそのままに奥行き側に広がるようになり、より立体的で躍動感を感じる低音になりましたね。バスドラムの立体感が全然違います。

苦手だったヒップホップやEDMでも低音に物足りなさは感じず、繊細さは少し残りつつもノリのよい音で楽しめるようになりました。

おすすめのジャンル

オリジナルはアコギやストリングスアレンジを多用したバンドサウンドやポップスが得意で、ロックやポップスだとヨルシカやBUMP OF CHICKEN、TK from 凛として時雨あたりがおすすめでした。

その他、押尾コータローや青葉市子など、ギター一本で楽曲を構成する弾き語りアーティストとの相性も良かったですね。

対してProject Ace JP Editionはボーカルの距離が近くなって少しパワフルな音になっているため、J-POPであれば基本アーティストを選ばなくなりましたね。

星野源で例えると、オリジナルは「1st〜3rd」あたりの弾き語りを主体とした楽曲特化でしたが、Project Ace JP Editionは最新の「GEN」のようなブラックミュージックやチップチューンなどさまざまなジャンルを取り入れた楽曲との相性が良くなった感じですね。

イヤホン単体としての音はオリジナルも魅力的ですが、ボクの好んで聴くアーティストを前提に考えるとProject Ace JP Editionの方が好みに感じることが多いですね。

Project Ace Special Editionと比較すると?

ここまでオリジナルのProject Aceをメインに聴き比べてきましたが、次にProject Ace Special Editionと比べてみました。

Project Ace Special Editionも普通に良くね?

Project Aceが繊細でフラット、Project Ace JP Editionがオリジナルよりも少しパワフルでボーカル中心のチューニングだとすれば、Project Ace Special Editionは一番エモい音という印象を受けました。

Project Aceよりもスッキリしすぎず、Project Ace JP Editionよりもメリハリを加えすぎず、Project Aceの音はそのままに低域の量感をアップさせて中高域も滑らかにしたような感覚でしょうか。

今回比べた3製品のなかでは一番「聴き心地の良いしっとりとした音」という印象でした。想像以上に中低域の量感が増えているし、その低域も元のProject Ace同様に深みがあってとても上質なんですよね……こっちもアリ……。

ただ、Project Ace Special Editionはプラグはマルチプラグではなく4.4mm固定なのと、あとケーブルの発色が良すぎるのが気になりますかね。

シンジくん聴きなさい。

Project Ace JP Edition まとめ

製品名Project Ace JP Edition
Project Ace
Project Ace Special Edition
総合評価
(4.8)

(4.8)

(4.7)
高音
(4.8)

(4.9)

(4.8)
中音
(4.9)

(4.8)

(4.8)
低音
(4.8)

(4.7)

(4.9)
装着感
(4.3)

(4.0)

(4.0)
端子3.5/4.4mmマルチプラグ3.5/4.4mmマルチプラグ4.4mmオンリー
価格47,800円39,800円44,900円
音の傾向オリジナル版よりメリハリ感と
ボーカルの距離を近くした
J-POP向けのサウンド
繊細かつ伸びやかな
フラットサウンド
オリジナル版よりも中低域の量感を太くした
エモいサウンド

音質に関する評価はどの製品もおおよそ同じくらいで、どれも甲乙つけがたいですね。

ボーカルを軸にしつつJ-POPを好んで聴くならProject Ace JP Editionですし、高域の伸びやかさと繊細さを重視するならオリジナルのProject Aceですし、低域の量感や深みを重視するならProject Ace Special Editionって感じです。

ボクは最近J-POPを好んで聴くのでProject Ace JP Editionが良かったですが、楽曲によっては他の2機種の方が相性が良く感じることもあるんですよね。

「限定で新しいモデルだしJP Editionを選ぼう!」という安直な選び方はせず、音の傾向や聴くジャンルが好みに合うかどうか記事を見て判断していただいたり、店頭やイベントで実際に聴いていただいたりするのが良いかと思います。

おすすめ記事

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次