こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回は激戦区のミドルクラスのイヤモニ界隈から、ニューチャレンジャーが登場しました。
それが今回紹介するCTM「CE110」「CE220」「CE320」となります。
CE110は1ダイナミックドライバー構成で14,850円、CE220はバランスアーマチュアドライバー2基構成で価格は37,400 円、CE320はバランスアーマチュアドライバー3基構成で52,800円となっています。
元々イヤホン・ヘッドホン専門店「e☆イヤホン」でも耳型をとってオーダーメイドで制作するカスタムIEMとして取り扱いをしていましたが、今回はヒビノ株式会社が取り扱いとなります。
今回はヒビノ株式会社さんからレビュー用に3製品提供いただいたので、実機を使ってそれぞれ紹介していきます。
▼動画版はこちら▼
CTM CE Seriesの概要
CTMとは?
2010年、CTM(Clear Tune Monitors)はアメリカのフロリダ州オーランドにて、サウンドエンジニア兼ドラムプレイヤーであったCesar Milano(シーザー・ミラノ)氏により設立されました。
耳型を採取してオーダーメイドで製作されるイヤーモニター製品(通称カスタムインイヤーモニター、以下カスタムIEM)を中心に、製造および販売を行っています。
原音に忠実な音質、長時間使用していても快適な装着感など、CTM製品の高い品質が多くのプロから信頼される理由です。
世界的ロックバンドTOTOのPAエンジニア「Ken Freeman(ケン・フリーマン)」とツアーメンバーである「Robert “Sput” Searight(ロバート “スパット” シーライト)」。
Lady Gagaなどのバックで活躍するドラマー「Aaron Spears(アーロン・スピアーズ)」、グラミー賞の受賞に選出歴のあるラテン・トラップアーティスト「Bad Bunny(バッド・バニー)」などの世界中のプロミュージシャンやサウンドエンジニアが CTM 製品を愛用しています。
新シリーズ「CE Series」について
CE Seriesは、世界のプロミュージシャンやサウンドエンジニアから支持を集めるカスタムIEMメーカー「CTM」が、お求めやすい価格で高い品質を実現したユニバーサルIEMシリーズです。
ユニバーサルIEMとは、カスタムIEMとは違って耳型を取らずに制作されたイヤモニのことですね。有名なイヤホンだとSHURE SE215などが挙げられます。
高価格帯のカスタムIEMに匹敵する高解像度のサウンドと、独自開発デザインによる快適な装着感を実現しています。
スペック比較
仕様 | CE110 | CE220 | CE320 |
---|---|---|---|
商品名 | CE110 | CE220 | CE320 |
ドライバー構成 | ダイナミック型ドライバー x 1 | バランスドアーマチュア型 ドライバー x 2 | バランスドアーマチュア型 ドライバー x 3 |
入力感度 | 115dB SPL @ 1mW | 124dB SPL @ 1mW | 124dB SPL @ 1mW |
周波数特性 | 20Hz ~ 14.5kHz | 20Hz ~ 16kHz | 20Hz ~ 16kHz |
インピーダンス | 17.5Ω @ 1kHz | 20Ω @ 1kHz | 20Ω @ 1kHz |
接続端子 | 3.5mmステレオミニプラグ (金メッキ) | 3.5mmステレオミニプラグ (金メッキ) | 3.5mmステレオミニプラグ (金メッキ) |
ノイズ減衰量 (最大) | -26dB | -26dB | -26dB |
本体重量 (片耳) | 5g | 5g | 5g |
カラー | クリア | クリア / スモーク | クリア / スモーク |
付属品 | イヤーチップ (シリコン/ウレタンフォーム S/M/L 計6ペア) 0.78mm 2-Pinケーブル (127cm) CTMロゴ入りジッパーケース | イヤーチップ (シリコン/ウレタンフォーム S/M/L 計6ペア) 0.78mm 2-Pinケーブル (127cm) 標準プラグ変換アダプター CTMロゴ入りジッパーケース | イヤーチップ (シリコン/ウレタンフォーム S/M/L 計6ペア) 0.78mm 2-Pinケーブル (127cm) 標準プラグ変換アダプター CTMロゴ入りジッパーケース |
CTM CE Seriesの外観・付属品
それではCE Seriesの外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ
3製品のパッケージはこんな感じ。
イエローカラーがアクセントになってオシャレな感じですね。
開封するとこんな感じです。
付属品
- イヤーチップ (シリコン/ウレタンフォーム S/M/L 計6ペア)
- 0.78mm 2-Pinケーブル (127cm)
- CTMロゴ入りジッパーケース
- 標準プラグ変換アダプター(CE110は付属なし)
- THANK YOU カード
ケースのCTMロゴがかっこいい……。ナイン・インチ・ネイルズっぽい
本体・ケーブル
本体3製品を並べるとこんな感じ。CE110、CE220はクリア、CE320はスモークを送っていただきました。
クリアカラーはマジでクリアで、中のドライバー構成までスケスケです。
やはりCTMのロゴはかっこいい。e☆イヤホン時代にシャツをもらって普段着としてずっと着ていました。
内側はカスタムIEMのように耳型に沿った形状というわけではなく、ペタッとしたフラットな構成
ケーブルは3製品とも着脱も可能で、コネクタは2pinの埋め込み型。
埋め込み部の凹がかなり深いので、他のリケーブルは使えなさそう。実質独自規格と思った方が良さそうですね。
ノズルは金属筐体となっていて、網目の細かいフィルターも搭載しています。
ケーブルは純度 99.99% 無酸素銅導体を使用した4芯ケーブルが付属。
取り回しは普通といったところで、若干癖がつきやすそうな気がします。
本体カラーにあわせてケーブルカラーも異なります。
耳掛け部は形状固定型になっています。
分岐部にはCTMのロゴとアジャスター付き
プラグはどのモデルもL字タイプになっています。
CTM CE110、CE220、CE320の装着感について
装着感はさすがイヤモニメーカーということもあって、なかなかの装着感の良さです。
装着感は3製品とも同じ印象でしたね。
実際に装着してみたらこんな感じ。
耳への収まりがいいので、前から見ても飛び出しも少なめ。
ステージモニターを想定していることもあって、動いても耳から落ちる心配もなく、安定した装着感のように感じました。
遮音性もなかなかに高く、ステージモニターとしてはもちろん、普段使い用で通勤中に電車で使ったとしても問題なさそうです。
装着感 | (4.5) |
CTM CE110、CE220、CE320の音質について
それでは各モデルの音質についてお伝えしていきます。
今回の検証は以下の環境で検証しました。
- DAP:SONY NW-WM1AM2
- エージング:200時間以上
CE110の音質について
まず、ダイナミックドライバー1基搭載のエントリーモデルのCE110から。
音の特長は次のとおりです。
3.8
高音
3.8
中音
4.0
低音
イヤモニにありがちな超フラットで高解像度な音という感じではないですが、イヤモニらしく味付けが少なく分析的な印象で、全体的に少し低域寄りという印象です。
CTMといえばカスタムIEMモデルの印象からスッキリモニター系の音を想像していましたが、低域が豊かでリスニング・モニタリング用途、どちらも兼ね備えたチューニングのように感じました。
一音一音にフォーカスして聴くと、細かな描写や輪郭まで感じ取れるような印象ですね。
味付けが少なく、低域の輪郭を迫力も纏いながらクッキリと鳴らすので、ベースラインは特に追いやすいですね。
NirvanaのSmells Like Teen Spiritを聴こうものなら、ベースラインをサビに入っても耳で完全に追い続けられます。
高域には透き通るようなクリアさはあまりないので、最新チャート曲だとハイまで鳴らし切っていない感は少しありますね。
どちらかといえば80〜90年代の楽曲を分析的に聴くのに向いているような感覚がありました。
CE220の音質について
次に、BA2基搭載したミドルクラスCE220の音質について。
音の特徴はこちらの通りです。
4.4
高音
4.4
中音
4.3
低音
今回紹介する中では、このCE220が一番好きな音でしたね!
味付けはとにかく加えず、楽曲を構成する一音一音をその情報通りに整列させていくだけ。
そこには音の響きも艶感も、情景の美しさも何もありません。「ただ、そこに音があるだけ」そんな感じの音作りです。
ただ、イヤモニはそれでいいんですよ。なにも足さないミニマリズムの境地のようなサウンドです。
これがカスタムIEM時代に聴いていたCTMのチューニングに一番近い感覚ですね。
ただ、低域の量感は少ないのでリズムを追う場合は集中して聴く必要がありそうです。この辺りはCE110の方が向いていそうですね。
リスニング用途でもあらゆるジャンルをこなせますが、ホントに”The・モニターサウンド”という感じなので、艶感や響きの良さなどを求める方には一切おすすめしません。
逆に無機質なギターロックや、アレンジの多い楽曲をパートごとに分析的に聴くのが一番楽しいですね。
極モニターサウンドのイヤホンって割と少なくて、カスタムIEMのように極端に高いか、1万円前後かの二極化しているような印象なので、ミドルクラスでこの音作りははとても貴重なように感じますね。
CE320の音質について
最後にBA3基搭載した上位モデルCE320の音質について。
音の特徴はこちらの通りです。
4.4
高音
4.4
中音
4.5
低音
CE220同様に味付けが非常に少なく、非常にフラットで味付けの少ない音作り。
CE220と比べてドライバーが一つ増えた分、全体的に情報量が増して各帯域ごとに追いやすくなったような感覚です。
また低域の量感もアップしていて、より低めの周波数帯までしっかりと鳴らせているので、リズム隊もより追いやすくなっていますね。
CE220とCE110の良いところ取りという感じです。
一聴するとCE220の方がクリアに聴こえますが、CE320の方がより分析的で細かな音まで追いやすいような印象です。
こちらも音の響きや艶感など”リスニング”としての用途で使うには味気が少なすぎるかもしれませんが、ステージモニターやサウンドチェックなどモニタリング用途なら使いやすいチューニングです。
CTM CE110、CE220、CE320 まとめ
製品名 | CE110 | CE220 | CE320 |
高音 | (3.8) | (4.4) | (4.4) |
中音 | (3.8) | (4.4) | (4.4) |
低音 | (4.0) | (4.3) | (4.5) |
特徴 | 低域重視でリズム隊を追いやすい | フラット系極モニターサウンド | CE110とCE220の良いとこ取り |
この3つの中では、ボクはCE220が好みでしたね。といってもリスニング用途で使う場合の評価ですけど。
どれもモニター系で味付けの少ない音作りですが、CE220はその中でも高解像度でフラットな特性を保ちつつ、一音一音をとても分析的に聴ける優等生でしたね。
装着感はどれも良いので、ステージモニターからDTM、リスニング用途までストレスなく使えると思います。
またイベントなどでも試聴の機会があると思いますので、手軽に使えるイヤモニを探している方は、ぜひCTMを検討してみてください。
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