こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
最近は耳を塞がないイヤホンがトレンドになっているオーディオ業界ですが、日本のメーカー「radius」から音質に本気すぎる骨伝導イヤホン「Beethoven(ベートーヴェン)」が登場しました。
骨伝導のパイオニアであるテムコジャパン共同開発したモデルで、骨伝導イヤホンでありつつもかなり珍しい完全ワイヤレスという方式を採用!
そして、骨伝導とは思えないほどの高音質を提供する、2024年最新の骨伝導ワイヤレスイヤホンとなります。
最近は大手メーカーもあえて骨伝導をやめて空気振動のイヤホンを採用したりしていましたが、「Beethoven」はあえての骨伝導を採用ですよ。
この骨伝導方式を採用したことにより様々なメリットがありましたので、それらも踏まえてこのBeethovenをたっぷり紹介していきます。
ただ、あくまでプロトタイプになりますので、ケースの外観や動作などが一部仕様が異なる箇所がありますのでご了承ください。
▼動画版はこちら▼
Beethovenの概要
- 革新的な骨伝導構造「リングフィットボーンコンダクション」
- 筐体が浮遊した状態でフィット「フローティングフィットシステム」
- リスニング時の音漏れを抑制する「リバーサルフェーズアンチリーク」
- 2台同時接続可能なマルチポイント機能対応
- 通話時にクリアな音声を届けるAIノイズリダクション性能
- 5分間の充電で1時間駆動する急速充電対応
- IPX5の防滴仕様
こだわったのは音質だけでなく機能性にもかなりこだわっているようで、マルチポイントや音漏れ防止機能もしっかり備わっていますね。
モデル名のとおり作曲家のベートーヴェンから名付けられて、彼も口に咥えたタクトをピアノに押し当てることで、顎の骨を通じてピアノの音を聴いていた「骨伝導」の原理を用いて数々の名曲を残したと言われています。
その骨伝導の原理をプロダクト・イノベーションを生み出すヒントをもたらしてくれた彼に敬意を込めて、「Beethoven(べートーヴェン)」と名付けられたようです。
スペック
通信方式 | Bluetooth標準規格 Ver5.3 |
出力 | Bluetooth標準規格 Power Class 2 |
対応Bluetooth プロファイル | A2DP、AVRCP、HFP、HSP |
コンテンツ 保護方式 | SCMS-T |
対応コーデック | AAC、SBC |
連続再生時間 | 最大5時間(実測値) 充電ケース使用時/最大17.5時間(実測値) ※ご使用時の電波状況や音量によっては 再生時間が短くなる場合があります。 |
ドライバーユニット | 骨伝導 |
ドライバーユニットサイズ | Φ14mm |
防水規格 | IPX5 |
Beethoven 外観・付属品
それではBeethovenの外観や付属品をチェックしていきましょう。
現状パッケージは未完成なので、本体のみ紹介していきます。
充電ケース・本体
Beethovenの充電ケースはメガネケースを少し小さくした程度の大きさ。
デザインや質感もブログ執筆時点では試作品となり、金型も完成していないみたいなので、質感は今のところ荒めです。
製品版はちゃんとした質感になっているかと思いますので、おおよそのサイズ感のみを参考にしてみてください。
充電端子はUSB Type Cに対応。
充電ケースを開けるとこんな感じ。
取り出しやすさも問題ないですね。
イヤホン本体は少し大きめで、マットな質感のシンプルなデザイン。
リングパーツが特徴的なデザインですが、このリングパーツを介して骨伝導ドライバーの音耳に伝達します。
また、骨伝導だけでは再現しきれない高音域は、筐体の音出孔から放出する「気導音(空気の振動による音)」で伝達する骨伝導+空気振動のハイブリッド方式を採用しています。
このリングパーツ部のシリコンは取り外せるようになっていて、付属のリングシリコンの自分の耳にあったサイズを取り替えることで、耳に対して最適なフィット感を得られるようになります。
ちなみにレンタルしているプロトタイプだと半透明のリングシリコンがついてきていますが、完成版には本体カラーにあわせたリングシリコンが付属してくるとのことです。
重さの実測値はケース込みだと99.2、本体は9.7g。
見た目の割に本体はなかなか軽めです。
Beethoven レビュー
装着感|とても軽快かつ安定した装着感
Beethovenの装着感ですが、とても軽快かつ安定した装着感のように感じました。
Beethovenは筐体から伸びるリングパーツと、シリコン製のイヤーフックで固定する「フローティングフィットシステム」を採用しており、この構成のおかげで完全ワイヤレスでありつつも耳負担をかけず安定した装着感を得られるようになります。
実際に装着しているとこんな感じ。
やや大きめですが、本体がマットな質感でゴテゴテとしすぎないのも良いですね。
耳掛け部と耳穴の2箇所から固定して重さを分散しているので、かなりの安定感と軽快さを持ち合わせているような感覚です。頭を振ったり走ったりしても装着位置が全然ブレないです。
ただ、少し圧迫感があるのか、3~4時間ほど装着していると耳穴のリング挿入部あたりが痛くなってきましたね。これは人によるかもしれません。
空気振動タイプと比べて骨伝導型は、スポーツ時など激しい揺れが伴う場合でも音がブレにくく、一定の音圧で聴かせてくれます。
IPX5相当の防滴仕様なので、ジョギングやワークアウトで汗だくになっても壊れる心配も少なく、防滴仕様安心して使えます。
装着感 | (4.5) |
音質|澄み渡るような高音が特徴
Beethovenの音質ですが、これは間違いなく記事を執筆している現時点では骨伝導イヤホンとして最高音質だと思います。
Beethovenの音の特長は次のとおりです。
4.4
高音
4.3
中音
4.0
低音
一番の特徴は高域の再現力と粒立ちの良さ。高域の実力は他の耳を塞がないイヤホンと比べてもレベルが一歩上のように感じましたね。音の破綻がなくめちゃくちゃ伸びます。
一番驚いたのはクラシックに対応できること。ストリングスによる超高域帯の細い音を一番上の帯域までしっかり伸びやかに鳴らしてくれるんですよ。骨伝導で!これが一番驚いた!
ボーカルラインも音像がぼやけることなく、他の帯域に埋もれることなくクリアな音で鳴らしますね。女性ボーカルのバラードとか聴いたらとくにヤバいです。
声の輪郭がとてもクッキリしているので、YouTubeや通話中に音声も聞き漏らすことなく相手の声をインプットできますね。
低域はけっこうスッキリ系の音で、はじめは少し物足りなさを感じます。ただ細部まで聴くと輪郭をクッキリとさせながらなかなか豊かに鳴っていることがわかります。
ただ、EDMのズンズンと響くキック音や、ジャズのウッドベースのフロアに広がるような表現をするのは苦手ですね。耳を塞がないイヤホンでもしっかりと迫力を感じたい場合は、他にも選択肢があるかなとは思いましたね。
Beethovenは、高域の伸びの良さや解像度感を楽しむ骨伝導イヤホンという感じですね。高域の表現力はホント耳を塞がないイヤホンの中でもトップクラスです。
おすすめのジャンルは女性バラードやアコギを多用したポップスや弾き語り、小編成のクラシックなどですかね。青葉市子、BUMP OF CHICKENや秦基博の弾き語り曲はとても心地よく聴けました。
YouTubeでアップされているBGM channelのCampfire With Nature Soundsを実際にキャンプしながらBeethovenでBGM感覚で聴いたら、極楽の境地になると思いますよ。
あとDE DE MOUSEやESNO、YMCKなどキラキラとしたエレクトロニカとの相性もなかなか良いですね。著名なアーティストで例えるとYOASOBIの「biri-biri」みたいな楽曲だと思ってください。
一番相性が最高に良く感じたのは宇多田ヒカルの「First Love」。この曲だけはながら聴きイヤホンの域を超えて、ふつうに感動レベルです。オーディオイベントや試聴の機会があれば、ぜひFirst Loveを聴いてみてほしいです。
騒がしい環境でも音楽を聴きやすい
ここまで音質にこだわった骨伝導イヤホンって今まで使ったことがないから気づかなかったんですが、空気振動タイプのイヤホンだと騒がしい環境だと音が環境音に埋もれてしまうのに対して、骨伝導だと騒がしい環境でも音楽の輪郭を感じ取りやすいんですね。
ジョギング時とかワークアウト時に使っても、環境音で聴いている音楽が阻害されずにしっかりBGM感覚で聴き取れました。
音楽を聴いていても相手の声が聞こえやすい
こちらも骨伝導方式を採用している影響ですが、他の耳を塞がないワイヤレスイヤホンと比べると、音楽を聴いていても相手の声をとても聞き取りやすいように感じました。
空気振動の場合だと、声と音楽の振動が交わって相手の声が聞き取りにくくなることが多いのですが、Beethovenは音楽を聴くための音域と、人の声を聴くための音域がしっかり分離されているような感覚です。
上質な音質で音楽をBGM感覚で聴きつつ、家族や会社の人の声も聞き漏らしたくない方にもおすすめしやすいですね。
音漏れについて
そして驚いたのが音漏れの少なさ。骨伝導イヤホンってその振動からけっこう音が漏れがちなんですけど、Beethovenはかなり音漏れを軽減できていますね。
筐体の表裏に発生する空気振動を利用して、逆位相の音を流して音漏れを抑制する「リバーサルフェーズアンチリーク」を採用しています。耳の外側に対して行うアクティブノイズキャンセリング的な機能ですね。
iPhone20%くらいの音量で大体BGMくらいの音量になるのですが、これくらいならほぼ音漏れなし。
音量40%くらいで本格的に音楽を聴くくらいの音量になりますが、これくらいでよく聞くとシャカシャカと聞こえてくるかな〜?程度の音漏れですね。
オフィスやリビングでBGMを聴くくらいであれば、周りの人にシャカシャカとした音を漏らすことなく、安心してBGMに浸りながら作業に取り組めます。
操作性|網羅的な操作が可能
Beethovenは筐体の突起部分に位置するセンサーにタッチするだけで、楽曲の再生/停止・曲送り/曲戻し、音量のUP/DOWN、受話/着信拒否/終話、音声アシスタントの起動といった操作が行えます。
とくに本体のみで音量調整ができるのはありがたいですね!しかも、押し続けることで断続的な音量調整が可能です。これは理想の操作感!
ただ1タップから操作が可能なので、誤操作で音楽を止めてしまうことが何度かありましたね。
操作性のしやすさは並程度ですが、断続的な音量調整ができる点はとても評価が高いです。
アプリは非対応
今回残念なポイントはアプリに非対応という点でしょうか。
イコライザーで好みの設定にしたり、操作方法をカスタマイズしたりなんてことができません。
まあ元の性能や音質に不満がなければ使わないですが、やはりアプリは対応であったほうがうれしいですかね〜。
マルチポイントにも対応!
2台のデバイスと同時に接続し、それぞれから通話や音楽を受信するマルチポイント機能に対応。
例えば、PCとスマートフォンに接続している場合、PCでの動画視聴中にスマートフォンに着信があり、受話することで自動的にデバイスが切り替わり、ハンズフリー通話を開始することができます。
または、スマートフォンで楽曲再生を開始した際には、そのまま音楽を聴くことができます。
音質だけでなく利便性も高いところも「Beethoven」の強みです。
通話品質|マイク性能もなかなか高い
Beethovenは左右の筐体に、それぞれ2つのマイクを内蔵。
通話中、ビームフォーミング技術により、話者の声の方向にマイクの指向性を持たせることで、周囲からの方向性の高いノイズを抑制し、さらにAI技術で人の声と環境音を自動的に識別してを抑制するようです。
このビームフォーミングと2つのノイズリダクション技術の組み合わせにより、相手にストレスを与えないクリアな音声通話を実現するとのことです。
ということで実際にマイク音声も録音してみました。以下の音声をよければチェックしてみてくださいね!
音声自体がクリアで聞きとりやすく、相手にも聞き返されることも少なそうです。またバックのノイズもなかなか軽減されていますね。
また耳を塞がないから自分の声もモゴモゴとしないですし、相手の声も骨伝導で聞き取りやすいですし、マルチポイントもついていますし、これ通話用としてはふつうに実用的です。
通話品質 | (4.4) |
音の遅延|動画を見るくらいなら問題なし
映像と音声のズレですが、こちらは動画を見る分には問題なしですね。
マルチポイント接続をしている状態でiPad Proで検証してみましたが、YouTubeやプライムビデオではほぼズレなく視聴できました。
低遅延モードは搭載していないので、ゲーム用途には不向きですね。
Beethoven まとめ
Beethovenをまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.5/5
Beethoven
- 骨伝導イヤホンとしては最高クラスの音質
- 騒がしい環境でも音の輪郭を聞き取りやすい
- 音楽を聴いていても相手の声が聞こえやすい
- 音漏れが少ない
- 軽快かつ安定した装着感
- 断続的な音量調整が可能
- マルチポイントに対応
- 通話もしやすい
- 充電ケースが大きい
- アプリ非対応
4.4
高音
4.2
中音
4.0
低音
4.5
装着感
–
ノイズキャンセリング
–
外音取り込み
4.4
マイク性能
4.7
利便性
Bluetooth | 5.2 | 最大再生時間 ※ANC ON時 | 本体5時間/ ケース込み17.5時間 |
コーデック | SBC,AAC | 充電時間 | 不明 |
ドライバー | 14mm 骨伝導 | 充電端子 | Type C |
専用アプリ | – | 防水 | IPX5 |
ノイズキャンセリング | – | 質量 ※片耳/ケース込 | 不明 |
外音取り込み | – | ゲームモード | – |
自動装着検出 | – | 保証 | 1年 |
マルチポイント | ◯ | 公式サイト | こちら |
Beethovenはこんな人におすすめ
- 骨伝導イヤホンで完全ワイヤレスタイプを探している
- 耳を塞がないタイプでありつつ音質も妥協したくない
- 弾き語りやクラシックをBGMとして好んで聴く
- 音漏れが少なく利便性が高いものが欲しい
Beethovenの一番の強みはやはり音質の良さ。とくに高域の表現力や伸びやかさは他の耳を塞がないイヤホンと比べても1レベル上の実力を見せつけてくれました。
音質だけでなく、音漏れの少なさや装着感の良さ、操作のしやすさやマルチポイント対応など、利便性も優れている点もBeethovenの強みです。
ズンズンとした低音でノリよく楽しく聴きたい場合は他にも選択肢があるように感じましたが、バラードや弾き語り、クラシックなどをBGM感覚で伸びやかな音で聴きたい場合にはとても良い選択肢だと思います。
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