こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回はSENNHEISER(ゼンハイザー)サウンドを手軽に楽しめるオープン型のワイヤレスイヤホン「ACCENTUM Open(アクセンタム・オープン)」を紹介します。

- ゼンハイザー独自チューニング+11mmドライバーによる上質サウンド
- チューニングはヘッドホンの名機「HD 650」をベースに作成
- オープン型採用で通気性のあるフィット感を実現
- 本体6時間、ケース込み28時間の再生に対応
- ポケットサイズのケース
- マルチポイントやスマートポーズにも対応
- 店頭想定価格は16,940円(税込)
最近のゼンハイザーとしては珍しく、めちゃめちゃシンプルなワイヤレスイヤホンなんですよ。
マルチポイントやスマートポーズ(自動装着検出)には対応していますが、それ以外はマジでふつうのオープン型のワイヤレスイヤホンなんですよ。
低価格(?)でゼンハイザーの音を気軽に楽しめるモデルって感じでしょうかね。マニア的には「HD 650をベースにしたチューニング」が一番気になるポイントですね。
さっそく試しましたけど、機能性はすっごい割り切っているんですけど、音がヘッドホンかのように壮大な音なんですよ。ハマる人はハマると思いますよ。
今回はゼンハイザーさんから紹介用に先行で提供いただいたので、実機を使ってどれほどの実力なのか検証していきましょう。
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ACCENTUM Open 外観・付属品
それではACCENTUM Openの外観や付属品をチェックしていきましょう。
パッケージ
パッケージはシンプル。いつものゼンハイザーらしい感じ。

付属品

- USB-C to A ケーブル
- マニュアル
オープン型のイヤホンなのでイヤーピースは付属しておらず、めちゃめちゃシンプルな構成になっています。
充電ケース・本体
充電ケースはこちら。真ん中にSENNHEISERのロゴが彫り込まれた超シンプルなデザインです。

サイズはかなりコンパクトかつ薄型で、胸ポケットにもスッと入るサイズ感です。

ACCENTUM True WirelessやMOMENTUM True Wireless 4と比べるとこんな感じ。


充電端子はUSB Type Cに対応。

ワイヤレス充電は残念ながら対応していません。
充電ケースは上部にパカっと開くような仕様。カチャっとした軽い感触があり、やや安っぽさを感じてしまいました。

本体はあまり飛び出した状態にはなっていないので、取り出しやすさは微妙。

本体はよくあるインナーイヤー型(イントラコンカ型)と呼ばれるオープンスタイルのイヤホンとなっています。

ハウジング表面のマットな素材感になっていたり、マグネットのゴールド色がアクセントになっていたりと、シンプルでありつつも少し高級感もあります。

内側はこんな感じです。

耳甲介に沿ってフィットする独特なステム(脚部)形状になっていて、重さが一点に集中せず、長時間でも痛くなりにくい設計になっているとのこと。

たしかに先端が斜めにシャっとブツ切りされたかのような設計になっていますね。
派手さはないけど、シンプルなSENNHEISERらしいデザインって感じですね。
重量は、イヤホン本体が片耳約8.7g、ケース込みで約38gと軽量。


ACCENTUM Open スペック
項目 | ACCENTUM Open |
---|---|
Bluetooth | 5.3(Class 1) |
コーデック | SBC / AAC |
ドライバー | 11mm ダイナミック型 |
連続再生時間 | 本体:最大6時間 / ケース併用:最大28時間 |
充電時間 | フル充電:約1時間 / 急速充電:10分で約90分再生 |
充電端子 | USB Type-C |
ワイヤレス充電 | 非対応 |
防水性能 | IPX4(生活防水) |
自動装着検出 | 対応(スマートポーズ) |
マルチポイント | 対応(2台同時接続) |
重量 | 片耳:約8.7g / ケース含む総重量:約38g |
保証期間 | 1年間 |
想定売価 | 税込16,940円(オープンプライス) |
ACCENTUM Open レビュー
装着感|軽快で長時間着けていても痛くなりにくい
ACCENTUM Openの装着感は、ふんわりと乗るような軽快な装着感のように感じました。
実際に装着してみるとこんな感じ。

横から見たときもイヤホンが大きく飛び出すことはなく、耳にスッと収まっていて目立ちにくい印象です。

本体が軽いこととオープン型を採用していることもあって、長時間装着していても耳が痛くなりにくいですね。
ガッシリ固定するようなタイプではないのでジョギングやワークアウト用途には向いていませんが、散歩中やオフィスでBGM感覚で音楽を聴くくらいであれば問題なしですね。
装着感 | (4.5) |
音質|古き良きSENNHEISERサウンド
ACCENTUM Openの音質についてですが、1万円台のインナーイヤー型としてはかなり良いと思いますよ。
最近違うオーディオメーカーの同じようなコンセプトのオープン型イヤホンを紹介しましたけど、そのイヤホンとは異なる特性を持った音質の良さのように感じましたね。
たしかにHD 650に近い感じはあると思います。さすがに同じ実力というわけではないですけど、音の方向性がかなり似ていますね。

ACCENTUM Openの音の特長は次のとおりです。
4.5
高音
4.5
中音
4.6
低音
音の傾向
音の傾向はHD 650のように全体的にウォームで、かつやや中域寄りのチューニング。全体的にダークさが漂う昔ながらのSENNHEISERらしい音をワイヤレスで気軽に体感できるような感覚ですね。
壮大で深みのある大人なサウンドという感じでしょうかね。決してモッサリとした感じではなく上品な印象です。
それにしてもオープン型とは思えないくらい緻密でブレのない音で聴かせますね。
音場
音場についてはけっこう広めで、オープン型らしい抜け感はあります。そしてけっこうダイナミックな音が出ます。
定位はビシッと定めるようなイヤモニ的なタイプではなく、各楽器隊の音が一つの部屋の中で広がっていくスピーカーのような感覚。
ジャズやクラシックを聴いている時だけは、まるでヘッドホンで聴いているかのようにめちゃめちゃ広大な音場に感じることもあります。
高音
高域については、弦楽器がスゥーと上まで伸び切る感じではなく、中高域に留めてハリのある音で鳴らすような感覚。
サックスやトランペット、ピアノ、ハイハットにフォーカスをしているかのようなチューニングで、オープン型でありつつも上擦ったりガサついたりもせず、とても芯のある高音で表現しますね。
粒立ちの良さや伸びやかさよりも、ハリの良さや滑らかさを重視した高音という印象を受けました。
低音
低音の質感はとてもいいですね。この点はさすがSENNHEISER。
重低音がズンドコと出るわけではないですが、とても深みのある低音を広げてくれます。
弦楽器の低音の表現がとても上手! アコースティックギターやチェロ、ウッドベースの表現が特に素晴らしく、弦から箱に伝わりフロアから耳に届くまでの低音の震え方がかなりリアルなんですよ。
この低音が強いからこそ楽曲に壮大さが生まれるような感じがありますね。
SENNHEISERはこの表現が得意だからこそジャズやクラシックに合うと言われているのでしょうね。
タイトには鳴らないのでポップスやEDMなどの打ち込み系の低音は苦手ですね。サブベースなのに自然に広げすぎてしまう感覚があります。
あと低音の量感がやや多いからこそ、カフェで聴いても周りの雑音に負けずにBGMに浸れるという利点もあります。
中音
中音のボーカル部の主張は控えめで、少し距離も遠く感じますね。
楽器隊を際立たせるようなチューニングのため、ボーカルも”メインではなく”ひとつの楽器”として楽曲の中に馴染んでいるかのような感覚になります。
このボーカルが少し遠くなるあたりもHD 650らしさがありますね。
かといって中域の解像度が悪いわけではなく距離が遠いだけなので、小編成時のボーカルの質感はとてもいいですよ。
低めの男性ボーカルの表現が素晴らしく、ACCENTUM Openが得意とする中低域にボーカルが乗ると、とても深みのある歌声で表現するようになりますよ。「藤井風」とか「米津玄師」とか良い感じ。
おすすめのジャンル
おすすめジャンルは大編成のオーケストラやジャズでしょうか。
低音の表現がとても壮大なので、できる限り大編成のアコースティック系の楽曲の方が合うかと思います。サウンドトラックも合いそうですね。
ジャズだとウッドベースを中心に聴きつつ、アクセント的にピアノやサックスの音を楽しむような感じになります。
リファレンスとしてよく使われる「マイルス・デイヴィス」「ビル・エヴァンス・トリオ」など古めの楽曲がおすすめです。
クラシックでもバイオリンソロのような中高域だけにフォーカスした小編成のクラシックは合わないというかACCENTUM Openの強みを活かせていないように感じました。ピアノソロは相性いいですよ。
ポップスだと藤井風の「HELP EVER HURT COVER」のようなピアノソロのカバー集が相性がよかったですね。
操作性|タッチポイントがややシビア
操作性についてですが、タッチポイントがややシビアで操作しにくいように感じました。

タッチしたと思ったら、やや上の方だったみたいで反応しなかったり、ハウジングの面積も狭いのでうまくタッチできなかったりすることが多かったですね。
操作方法一覧は次のとおりです。
項目 | 操作方法(デフォルト) |
---|---|
再生/停止 | L or R側を1回タップ |
曲送り | R側を2回タップ |
曲戻し | L側を2回タップ |
音量を上げる | R側を長押し |
音量を下げる | L側を長押し |
音声アシスタント | R側を3回タップ |
ペアリングモードへの移行 | LとRを同時に長押し |
「ピッ」「ピッポッ」「ピッポッパッ」とタッチの回数に応じてビープ音が鳴るので、自分が何回タッチしたかわかりやすくて良いんですよね。ここは良い。
あと音量調整で長押しで断続的に上げたり下げたりできたりする点も良かったですね。
操作のしやすさには少し不満は残りますが、主要な操作は網羅されているのはありがたいですね。
マルチポイントの挙動について
マルチポイントの挙動もチェックしてみましたが、問題なしですね。電源OFF後も自動的に2台に接続されますし、接続が不安定になることもないです。
通話品質|雑音がやや入りがち
マイク音声も実際に録音してみました。以下の音声をよければチェックしてみてくださいね!
ACCENTUM Open
雑音を流した状態で検証しましたが、音声は雑音が入ってくるのと、風切り音に結構弱いです。
マイク性能は普通かなと感じました。
音の遅延|動画を見るくらいなら問題なし
音の遅延については動画を見る分には問題なし。
ただ低遅延モードは搭載していないので、ゲーム用途で使うのは不向きです。
気になる点
最後に気になる点ですが、「アプリ非対応」「高音質コーデックに対応していない」この2点が一番気になりますね。
アプリに対応していないので、イコライザーや操作方法をカスタマイズできませんし、ファームウェアアップデートによる機能追加にも期待できません。
理由としては、誰でも気軽に良い音を楽しむというライトなユーザー層をターゲットにしているからとのことですが、そもそもライトユーザーはSENNHEISERのイヤホンを選ぶのかしら……。
あとは高音質コーデックについてですが、音質にかなりこだわりがあるモデルだからこそ「aptX Adaptive」には対応しておいてほしかったですね。
iPhoneのAAC接続は悪くないんですけど、AndroidのAAC接続は音がけっこうガサつきになるので、どうしても雑味が気になるんですよね……。なのでACCENTUM OpenはiPhoneユーザー向けかな〜とは思いましたね。
ACCENTUM Open まとめ
ACCENTUM True Wirelessをまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.5/5
ACCENTUM Open

- 2万円以下のオープン型としては音質はかなり良い
- 低音の深みや質感がすばらしい
- ジャズ、クラシックとの相性抜群
- 軽快で痛くなりにくい装着感
- 本体が小さく携帯性が良い
- マルチポイントやスマートポーズに対応
- アプリに対応していない
- aptX Adaptiveなど高音質コーデックは非対応
- マイク性能はそこまで良くない
4.5
高音
4.5
中音
4.6
低音
4.5
装着感
–
ノイズキャンセリング
–
外音取り込み
3.5
マイク性能
4.0
利便性
Bluetooth | 5.3 | 最大再生時間 | 本体6時間/ ケース込み28時間 |
コーデック | SBC,AAC | 充電時間 | フル充電:約1時間 急速充電:10分で約90分再生 |
ドライバー | 11mm ダイナミック型 | 充電端子 | Type C |
専用アプリ | ◯ | 防水 | IPX4 |
ノイズキャンセリング | – | 質量 ※片耳/ケース込 | 4.3g/38g |
外音取り込み | – | ゲームモード | ◯ |
自動装着検出 | ◯ | 保証 | 2年 |
マルチポイント | ◯ | 公式サイト | こちら |
ACCENTUM Openはこんな人におすすめ
- 音質重視のオープン型ワイヤレスイヤホンを探している
- HD 650のようなSENNHEISERの古き良きチューニングが好み
- ジャズやオーケストラが好み
アプリ非対応、コーデックもAACまでと機能性はかなり割り切ったイヤホンではありますが、その音質はホンモノ。
最近のSENNHEISERのモデルはロックやポップスにも合うような万能系のチューニングが多かったですが、ACCENTUM Openは昔ながらの古き良きSENNHESER感のある音のように感じましたね。
ジャズやクラシックなどアコースティック編成の楽曲をオープンスタイルで気軽に聴きたい方や、昔のSENNHEISERの音が好みという方にはとてもおすすめできるイヤホンだと思いますよ。
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