こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
今回はイヤホンメーカー「Astrotec」より、14.8mmのプラナードライバー+9層ピエゾドライバーを採用したミドルクラス有線イヤホン「Archimedes ATS-01」を紹介します。

Astrotecはイヤホン好きの方以外はあまりご存知のない方も多いと思いますが、長年大手オーディオメーカーへのドライバー供給、OEM、ODMを行っている企業で、その培ったノウハウを活かし自社ブランドを設立。
自社オリジナルのダイナミックドライバー、平面駆動型ドライバー等を開発するなど、確かな技術を持っているメーカーです。
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Astrotec Archimedes 外観・付属品
それではAstrotec Archimedesの外観や付属品をチェックしていきましょう
パッケージ
Astrotec Archimedesのパッケージはこちら。

開封するとこんな感じ。

付属品

- イヤーピース(ブラック)3ペア
- イヤーピース(クリア)3ペア
- マルチプラグ対応ケーブル
- 3.5mm プラグ
- 4.4mm プラグ
- キャリングケース
- クリーニングブラシ
- マニュアル
イヤーピースがクリアとブラックの2種類が付属するのですが、どちらも質感はかなり高め。

ブラックは軸がガッシリとしていて傘部も厚みがしっかりとあります。クリアタイプは表面が滑り止めのような加工が施されていて吸着性がとても高いものになっています。
ブラックがやや低域寄り、クリアがやや高域寄りという印象でしたね。どちらを使うかは音と装着感の好みでいいと思います。
キャリングケースは、至ってシンプルなものが付属。これくらいのものが一番使いやすかったりする。

本体・ケーブル
Astrotec Archimedesのイヤホン本体はこちらですが、価格に対して筐体がめちゃめちゃ精巧に出来ているんですよ。

パッケージはミドルクラスっぽい感じですけど、本体だけ見せられたらハイエンド機と間違えそうなほどキレイ。
CNC加工されたステンレススチール製の筐体を採用しているようです。
内側は人間工学に基づいて、耳の形に合わせて凹凸のある形状になっています。

ケーブルの着脱部はほぼフラットですけど、ほんの少しだけ凹んだ0.78mm 2Pinを採用。

ノズルはくびれや凹凸のないノッペリ形状。

ケーブルはいただいた情報だと素材の詳細はわかりませんでしたが、質感はなかなか高く、取り回しも良好です。

コネクタは2pinのやや凸型設計になっていますね。

耳掛け部は形状固定方になっています。
分岐部はAstrotecのロゴとアジャスター付き。

プラグは3.5mm / 4.4mmの切り替えができるマルチプラグ形式になっています。

ねじ式になっているので、勝手に抜けてしまう心配も少ないですね。
本体とケーブルを装着するとこんな感じ。

Astrotec Archimedesの概要・スペック
項目 | スペック |
---|---|
形式 | カナル型 |
ドライバー | 14.8mm平面磁気ドライバー+9層圧電セラミック振動板 |
インピーダンス | 16Ω |
音圧感度 | 106dB |
再生周波数帯域 | 5Hz〜25kHz |
プラグ形状 | 3.5mm 3極 / 4.4mm 5極両対応 |
コード長 | 1.2m |
重量 | – |
リケーブル対応 | ○ |
リモコンマイク | × |
保証期間 | 1年 |
インピーダンスは低く音圧感度もそこまで低くないので、無理にバランス接続で使わなくてもよい気はしました。
DC-Eliteで接続するとややピーキーな音になってしまったので、DACで使う場合でもゲインを少し低くしても良いかと思います。
Astrotec Archimedes レビュー
装着感について
Astrotec Archimedesの装着感はなかなか良好です。
実際に装着してみるとこんな感じ。

耳への収まりも良く、飛び出し感も少なめです。

筐体がやや大きめのため、耳が小さい方だと少し圧迫感があったり耳に合わなかったりするかもしれません。
また、金属筐体なので寒い時期に使うと耳がヒヤッとします。
装着感 | (4.5) |
音質|価格にしては解像度が非常に高い
Astrotec Archimedesの音質についてですが、価格帯を考えれば高域が非常に伸びやかで解像度が高く感じますね。
一言で伝えるなら「キレイめスマートサウンド」という感じでしょうかね。
- DAP:SONY NW-WM1AM2
- アプリ:Apple Music
- 接続方式:4.4mmバランス接続
- イヤーピース:付属シリコンイヤーピース(ブラック)
- エージング:50時間ほど

Astrotec Archimedesの音の特長は次のとおりです。
4.6
高音
4.5
中音
4.4
低音
音の傾向
音の傾向はフラット〜やや中高域寄りのチューニングで、価格にしては全体域にわたり解像度が高めに感じます。
低域は柔らかめで、中域〜高域はニュートラル〜やや硬質。全体的にレスポンスが早めの現代的でスピーディーなサウンドのように感じました。
音場
音場はやや広めといった印象。アコースティックギターの弦を爪弾く音やピアノ、スネアやシンバルの音が3次元的に広がっていく自然でリアルな広がりがありますね。
この手の高解像度系イヤホンでは珍しく音が平面的にならないです。
高音
高音域の表現力は2万円以下のモデルの中では特にスゴイと感じられましたね。
価格にしてはストリングスやアコギが自然に伸びていきますし、高域だけに関しては2万円〜3万円クラスとふつう競り合えるほどの実力はあるように感じました。
キラキラとしているのに耳障りな刺激はなく、それでいて繊細に伸びていくようなクリスタルのような美しさを持つ華やかな高音ですね。
ハイハットやシンバルの音も耳をつんざくような刺激は抑えつつ、その弾ける音の粒子まで見えるかのように歪なく解像度高く表現します。
平面ドライバー+ピエゾセラミックツイーターの実力は伊達じゃないですね。
中音
高域の表現力が高いこともあってボーカルラインもとても伸びやかに鳴らしますね。
中高域ラインのボーカルは近めで、女性ボーカルや男性ボーカルのサビは他の楽器に埋もれることなく、その声の輪郭をクッキリと描くように表現しますね。Mrs. GREEN APPLEのボーカルとかちょうどいいライン。
エレキギターやシンセサイザーの音もボーカルから一歩引いた距離感ではありますが、後ろの方からとても分離感良く再現できていることが分かります。
高めのピアノ音も煌めくような打鍵感があって、瑞々しく弾けるような美しさがあります
低音
低域の音圧は控えめで、丸みの帯びた優しく広がる縁の下の力持ちのような鳴り方をします。
刺激は少なく迫力は控えめで、ベースやバスドラムは「ベンベン」「ズンドコ」とした圧はないので、エレクトロ系やラウド寄りのロックは物足りなく感じると思います。
といってもスカスカな音ではなく、小編成のクラシックやジャズを聴いてみれば低いところまで上質に鳴らせていることが分かります。
おすすめのジャンル
弾き語りなどアコースティック編成の楽曲や、小編成のクラシックやジャズ、女性ボーカルものなどがおすすめのように感じました。
ただジャズでも古い楽曲のスモーキーさを表現できるわけではなく、シャキッと現代的に鳴らしてしまうので、アコギを主体とした「bohemianvoodoo」やピアノを主体とした「fox capture plan」のような最近のジャズ系インストバンドの方が合うと思います。
ポップスはヘビーなものではなく中高域にフォーカスを当てたキラキラとした明るいものが合うように感じましたね。
「Mrs. GREEN APPLE」や「ヨルシカ」、「BUMP OF CHICKEN」あたりがおすすめ。色々聴いてみたけど、ミセスが一番しっくりきました。
Astrotec Archimedes まとめ
Astrotec Archimedesをまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.7/5
Astrotec Archimedes

- 非常に繊細で伸びやかな中高域
- 充実した付属品
- 3.5mm / 4.4mm プラグの切り替えが可能
- 筐体の質感がとても高い
- 低域の迫力は控えめ
4.6
高音
4.5
中音
4.4
低音
4.5
解像度
4.0
迫力
4.5
装着感
Astrotec Archimedesはこんな人におすすめ
Archimedesは価格に対して中高域〜高域がとてもクリアな有線イヤホンのように感じました。
低域は控えめなのでエレクトロやロック系には向いていませんが、アコースティック編成の楽曲やキラキラとしたポップスにはとても合うイヤホンなので、これくらいの予算で有線イヤホンを考えている方は候補の一つとして検討してみてください。
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