FiiO BT11 レビュー|iPhoneでもLDACが使える神アクセサリー……?

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お待たせしました。ようやくFiiO BT11のレビューをする時間を作れました。

購入したのは去年の11月末だったんですけど、新製品が多かったり、リアルでも引っ越しがあったりと全然時間が作れませんでしたが、ようやくです。

こちらはLDAC / aptX Losslessに対応したBluetoothトランスミッターなんですけど、小型でLDACが使えるトランスミッターって日本では今までなかったんですよ。

これ使えばiPhone(15以降)でついにLDAC / aptX Losslessを使えるようになるんじゃね?という夢のようなトランスミッターですよ。

各ECサイトでユーザーレビューも書き込まれていますが、ま〜〜〜色々と言われていますね。

今回はボクが実際にBT11を使ってみてどう感じたのか?使い方や音質レビューなども含めながら紹介していきます。

目次
かじかじ
元イヤホン専門店スタッフ
オーディオ販売歴9年。元々イヤホン専門店で店長やWEBマーケを担当してました。

イヤホンをレビューすることは空気を吸うようなものだと思ってます。


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FiiO BT11 外観・付属品

それでは外観からチェックしてみましょう。

パッケージはこんな感じ。

最近はこのミントグリーンみたいな配色がコーポレートカラーなのかな? パッケージはおしゃれなのよ、パッケージは。

付属品はUSB Type-A to Type-Cアダプターとクイックスタートガイドくらいですね。

本体はこのとおり、めちゃめちゃ小さいです。失くしそう!実際に一回失くした!

カラーはブラックとシルバーの2色がありますが、ブラックをなくしてシルバーを買い増ししました。

裏と表どちらもLEDが光るようになっています。

LEDのカラーでどのコーデックで接続されているか確認も可能で、コーデックごとのカラーは以下のようになっています。

  • SBC:青色(点滅)
  • aptX/aptX LL:紫色(点滅)
  • aptX HD:黄色(点滅)
  • LDAC:白色(点滅)
  • aptX Adaptive/aptX Lossless:緑色(点滅)
  • ペアリング中:赤色と青色(交互点滅)

※11月29日現在、インジケーターランプ色の一部が取扱説明書の説明と異なっている事象が確認されております。
・aptX HD:取扱説明書上「黄色」が「緑色」に。
・LDAC:取扱説明書上「白色」が「水色」に。

USB-Cの差し込み口には少し段差があるので、スマートフォンのケースに干渉することも少なそうです。ケースによっては干渉するかもですけど。

BTD600だとケースに干渉するし、USB-Cに変換してから装着する形になるのでちょんまげ風にもなるので使いにくいですが、BT11はその辺りの取り回しはいいですね!

ちなみに物理ボタンなどは一切ありません。

重さは3gとiPhoneに装着しても、ほぼ重さを感じない程度になっています。

FiiO BT11 スペック

Bluetooth バージョンBluetooth 5.4
対応コーデックSBC、aptX、aptX LL、aptX Adaptive、aptX Lossless、aptX HD、LDAC
BluetoothチップQCC5181
最大サンプリングレート96kHz/24bit
USBポートUSB Type-C USB1.0(充電/データ転送)
入力電力5V/1A
待機消費電力22mA未満
サイズ約28mm x 21mm x 9mm
重量約3g
付属品・USB Type-C保護プラグ×1(BT11に予め装着)
・USB Type-A to Type-Cアダプター

FiiO BT11 使い方

とりあえずiPhoneなどのスマートフォンにBT11を接続しましょう。

するとBT11が青と赤に点滅して、勝手にペアリングモードになります。接続先がない状態だと自動でペアリングモードになるみたいですね。

あとはBT11と接続したいワイヤレスイヤホンやBluetoothレシーバーなどをペアリングモードにすると、接続が自動で完了します。

他の機器に接続する際は、アプリでペアリングモードをONにすることで別の機器に接続することができます。

あとは再生アプリで、出力先を「FiiO BT11」になっていることを確認して楽曲を選択しましょう。多分流れるはず。

アプリについて

アプリはiPhoneからでも操作可能で、まずは「FiiO Control」をダウンロードしましょう。

BT11を接続している状態でアプリを立ち上げると、iPhoneとBT11を接続ができます。この際iPhone側はBluetoothをONにしておく必要があります。

うまく接続できない場合は、以下の公式手順動画を参考にしてみてください(英語なので字幕を日本語にしてご覧ください)

それ以外でできることは

  • ペアリングモードに入る / 離れる
  • コーデックの設定
    →aptX Adaptive、LDAC、aptX、aptX LL、aptX HD それぞれのON/OFFが可能
  • バージョンの確認
  • 更新ガイド(未実装)
  • ペアリング解除
  • 設定を初期化
  • ファームウェアアップデート

くらいになりますね。

ワイヤレスイヤホンと相性の検証

とりあえず手持ちのLDAC / aptX Adaptiveに対応しているワイヤレスイヤホンを使って、ちゃんと接続できるか? 音量はちゃんと取れるか?などザッと確認してみました。

ワイヤレスイヤホン接続の可否 / 音量の取りやすさ / 接続安定性
Technics EAH-AZ100 / 80◯ / △ / ◯
SENNHEISER MOMENTUM True Wireless 4△ / ◯ / ◯
DENON Perl Pro◯ / ◯ / ◯
WF-1000XM5◯ / ◯ / ◯
JBL TOUR PRO 3◯ / △ / ◯
B&W Pi8◯ / △(本体操作の音量調整が割り振りにくい) / △
HiFiMAN Svanar Wireless◯ / ◯ / ×〜△(家の中でギリギリ)
AVIOT ピヤホン7◯ / ◯ / △

接続に苦労することもありましたが、とりあえずどのイヤホンも接続できないということはなかったです。

ただ、MOMENTUM True Wireless 4だけはうまく接続できずに音が途切れ途切れになったりしましたね……。使えている人もいるので、どちらかの個体差の影響の可能性もあります。

ちなみにEarFun Air Pro 4などコスパ重視のイヤホンは検証していません。

あのあたりだと、AAC接続と比べてそこまで音質差は大きくは出ないと思うので、AAC接続で使った方がストレスが貯まらないと思いますよ。

接続は意外と安定している

接続はわりと安定している印象で、Xperia1Ⅵと比べても接続の安定性はそこまでかわらない印象でした。

ワイヤレスイヤホン側の接続が安定するかどうかの方が重要ですね。

BluetoothレシーバーだとBTR17だけ検証しましたが、FiiO同士ということもありさすがの安定性の高さ。LDAC接続でも音途切れがほとんどありませんでした。

ただ、LDACの場合だと96kHz / 24bit 990kbpsで固定になるみたいなので、組み合わせによっては不安定になることも多いですね。

マルチポイントも使えますけどLDACと併用したら不安定になることも多いので、基本単体で使った方がいいかも。

次回のファームウェアバージョン1.08で990kbps / 660kbps / 330kbpsの可変ができるようになるみたいなので、もう少し接続が安定するようになるかも。

接続が安定しない場合はファームウェアアップデートを待ちましょう。

FiiO BT11 レビュー

iPhoneでLDACを使えるのは一番の強み

BT11の一番の強みはiPhoneでLDACを使えること。ドングルタイプでLDACの送信ができるBluetoothレシーバーはBT11以外に日本市場には存在しません。

Shanling M0ProなどDAPを使えば無理やりLDACで運用もできますけど実用的ではありません。

今回は最近ベタ褒めしていたワイヤレスイヤホン「EAH-AZ100」で検証しました。

LDACの音質もXperia 1Ⅵでいつも聴いている時と変わらない印象で、LDACの990kbpsでの接続であればAAC接続よりも解像度が明らかに高く、緻密かつクッキリとした音像で鳴らしますね。

aptX Losslessでの接続もできるため、MOMENTUM True Wireless 4やPerL Proなど一部の対応機の場合だと、BTD600やBT-W5などaptX Adaptiveまでしか対応していないトランスミッターと比べても、明らかに緻密で有線に近い音で聴くことができましたね。ふつうに違いがわかるレベルです。

この音をiPhoneで体感できるのは最高ですよ! EAH-AZ100のLDAC990kbpsでノイキャンOFFにしたらめちゃめちゃ音質イイな!!!!!

AAC接続とLDAC接続で瞬時に聴き比べができたらいいんですけど、iPhoneとBT11にマルチポイント接続していると、iPhoneと直接接続した方の音は鳴らなくなってしまうんですよね。なにこの謎仕様。

ワイヤレスイヤホンでの音質の変化も大きいですが、BTR17のような音質重視のBluetoothレシーバーだとさらに音質差が顕著に感じられると思います。

ドングルの差し込み先を変えれば、他の機器でも聴ける

ワイヤレスイヤホンの接続先はスマホではなくBT11側なので、BT11を他のデバイスに接続してあげれば、イヤホンを再ペアリングしなくともそのまま聴けます。

たとえばiPhoneでBT11を使って音楽を聴いていて、途中からMacBookでも音楽を聴きたくなったら、MacbookのUSB-C端子に差し込んであげれば、そのままLDACで音楽を聴けるようになります。

ただBT11は横幅が広めなので、Macbookで使う場合は真隣のUSB-C端子が埋まって使えなくなってしまうので注意。

USB-C端子さえあればNintendo SwitchやPS5とも接続できますね。

はい、これでBT11のメリットの紹介は終わりです。ここからは全てデメリットです。

動作がちょいちょい不安定

接続というか動作がちょいちょい不安定なことがありますね。

BT11に接続しているのに音が出なかったり、たまにイヤホンとの接続が解除されて、勝手にペアリングモードに入ったりもしますね。

これでも初期ファームウェアよりは改善されている方なのかな? ユーザーレビューであったような不安定さはある程度は改善されているように感じましたね。

あと、ペアリングモードに入っているのに、イヤホンとうまく接続できないこともよくあります。これはBT11を再接続するかワイヤレスイヤホンを再起動すると接続されることが多いです。

ただ、MOMENTUM True Wireless 4と接続しようと思った時に、どちらも再起動させまくっても全然接続されなくてイラッときたこともありました。

ワイヤレスイヤホンやヘッドホンなど複数のオーディオ機器を所持していて、BT11で色々繋げて遊んでみたい!という方はめんどくさい思いをすることになると思います。

【要注意】音量設定がBT11とイヤホン側で別かれている

これ、けっこう惑わされる方が多いと思うんですけど、BT11側とイヤホン側で音量設定が分かれているんですよ。

iPhoneで音量を上げていくと音量バーが上がっていきますが、これは“BT11側”の音量が上がっているんですよ。

ワイヤレスイヤホン側の音量が上がっているわけではないので、イヤホン側の音量設定が小さくなっているとスマホの音量バーが最大でもめちゃめちゃ音が小さく感じることがあるんですよね。

対処法としては、BT11は常に音量を70%ほど、ワイヤレスイヤホンも音量を70%ほどにしておいて、どちらからでも音量調整ができるようにしておくことですかね。

BTD600やBT-W5など他社のBluetoothトランスミッターの場合だとイヤホンとスマホ側の音量が連動するので問題ないのですが、

ユーザーレビューで「音が小さい!」とおっしゃっている方は、この仕様を把握していないことがほとんどだと思われます。

イヤホンのアプリも使えなくなる

こちらも念のため注意喚起ですが、ワイヤレスイヤホンとの接続先はBT11側になるので、BT11と単体で接続している場合はワイヤレスイヤホンのアプリも使えなくなります。

アプリを使う場合は、ワイヤレスイヤホン側のマルチポイントを使って一つはiPhoneに、もう一つはBT11に繋げるとアプリを使えるようになります。

合わせるイヤホンによっては音量が小さめ

合わせるイヤホンによっては最大音量が小さめになってしまうこともありますね。

Technics EAH-AZ80 / 100はとくに注意が必要で、iPhone側の音量MAX、イヤホン側の音量MAXでちょうどいい〜やや大きいくらいの音量になってしまうんですよね。

これ以上音量を上げてしまうと耳に負担がかかってしまうので、ちょうどいいくらいではあるのですが、環境や聞こえ方によっては小さく感じることもあるかもしれません。

マルチペアリングに対応していない?

おそらくですが、マルチペアリングに対応していない気がしますね。

マルチポイントは過去に接続したイヤホンを記憶して、再度取り出した時に自動でBT11とイヤホンを接続してくれるようになる機能です。

BT11の場合、1台目のイヤホンと接続→2台目のイヤホンに接続→もう一度1台目のイヤホンに接続を戻そうとしても、自動で接続されずにペアリングモードになってしまいますね。

接続するイヤホンを切り替えるたびにペアリングするのはめんどくさいよ……。ただでさえBT11はペアリングがスムーズにいかないのに……。

BT11はマルチポイントよりもマルチペアリングの方が欲しかったよ……。

通話はできない

BT11を使っているときは通話はできなくなります。

なので、ワイヤレスイヤホンをつけた状態のままハンズフリー通話ができず、一度イヤホンを外してスマホを耳元に持っていく必要があります。

ここを不便と感じるかどうかは人次第ですね〜。ボクはスマホを自然と耳元に持っていってしまうタイプなので不便はないかも。

音の遅延がひどい

最近はLDACやaptX Adaptiveでも遅延が発生しにくいワイヤレスイヤホンが多くなってきていますけど、BT11経由で聴くとガッツリ遅延が発生します。

もうひどいってレベルじゃないよ? 動画でチェックしたら400〜500msくらい遅れが発生してるよ? ボクのYouTubeを見たら、いっこく堂レベルになってますよ。

aptX Adaptive接続の場合はまだマシですけど、それでも200msくらいは遅れている感じはありますね。

アップデートでLC3に接続対応予定とのことなので、そちらで接続できれば低遅延でゲームもできると思うんですけど、対応したとしても再接続するのがとても大変そうな気がする……。

ゲーム用途や動画鑑賞用途で使おうと思ってる方へ、ぜったいにやめておけ。

LEDが眩しい

使っていない間はスマホに接続しておけばいいやと思っていたのですが、ワイヤレスイヤホンを使っていない間はスマホに刺したままだとペアリングモードになっているのですよ。

これがけっこう眩しい!ムスカが叫ぶレベル。

外で使っていない間はスマホにつけっぱなしにしておきたいんですけど、それもできないので結局外す必要があるんですよね。

クセでワイヤレスイヤホンのUSB-C端子に刺しておけばいいんですけど、ズボラな私にとっては、それさえめんどくさい……。

無くさないようにスマホ側に付けっぱなしにしておきたいから、せめて電源ON/OFFボタンくらいは欲しいな〜とお思いました。

小さくて失くしやすい

あと、とにかく小さいので、めっちゃ失くしやすいです。現にボクは一つ紛失してしまってシルバーを買い足しました。

ストラップホールもついていないので、スマホやカバンにぶら下げて使うこともできないんですよね。

かといってスマホに接続しっぱなしだとLEDがペアリングモードになってしまい、点灯しっぱなしで眩しいですし……。

とりあえず使っていない間は、メインで使っているワイヤレスイヤホンのUSB端子に付けておくのがいいと思います。

ボクはこの運用方法で失くしました。

やっぱり、AKG N5 HYBRIDみたいにセットでケースの中にドングルを内蔵できるほうがありがたいですね〜。

FiiO BT11 まとめ

メリット
デメリット
  • iPhoneなどのデバイスで
    LDACやaptX Losslessなどの高音質コーデックが使えるようになる
  • USB-C端子さえあれば、他のデバイスでも差し込むだけで使える
  • 動作が不安定なことがある
  • イヤホンによっては
    最大音量が小さめになる
  • ペアリングがめんどくさい
  • マルチペアリング非対応
  • 物理ボタンがついていない
  • LDAC接続時は音と映像の遅延が
    とんでもなく多い
  • 通話はできないLEDが眩しい
  • 小さくて失くしやすい

まず、アリかナシかでいうと、ボクは”アリ”だと思いますよ。「神アクセサリー!絶対買え!」みたいなレベルではないですけど。

不満はいろいろあるけど、現状LDACで使えるBluetoothレシーバーがBT11しかないのでこの子に頼るしかないですし、LDACがiPhoneでも気軽に使えるのはふつうにありがたいですよ。

「不便でもいいから意地でもLDACで聴きたいんや!」って方にはおすすめできますね。ちゃんとBT11の仕様や挙動さえ覚えれば、めちゃくちゃ不便ってほどでもないです。

再接続がめんどくさかったり相性があったりもするので、いろいろなワイヤレスイヤホンで使い分けるよりも、一つのワイヤレスイヤホン(またはBluetoothレシーバー)を決めて、その機種専用で使った方がいいと思います。

aptX Adapriveしか使わず、利便性や安定性を重視する場合は、ゼンハイザーのBTD600や、クリエイティブのBT-W5あたりを使った方が幸せになれるとは思いますが

そもそも利便性を求めるならAAC接続でいいんだよ!!!! 不便でもいいからイイ音で聴きたいからこそBT11を使うんだろ!! 違うか!!!!

ちゃんとLDACで接続できれば、iPhoneでもLDAC対応のイヤホンの実力を余すことなく引き出せるので、多少使いにくくても音質を重視したい方はぜひ買ってみてください。

ユーザーレビューはかなり低評価が多いですけど、音はとても良く感じますし、ボク的にはアリだと思います。使いにくさは覚悟しろ。

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