こんにちは、元イヤホン屋のかじかじです。 イヤホン・オーディオの情報を発信していますので @kajet_jt ←よければフォローお願いします。
イギリスの名門オーディオブランド「Bowers & Wilkins」より、ワイヤレスヘッドホンのハイエンドモデル「Px8」を紹介します。
前回Px7 S2eを紹介しましたが、Px8はその上位モデル。
デザイン性の高さはそのままに、他のワイヤレスヘッドホンとは一線を画す音質で、まさに究極のワイヤレスヘッドホンです。
今回はPx8がどれほどの実力なのか、前回紹介したPx8と比較しつつ検証していきたいと思います。
▼動画版はこちら▼
Bowers & Wilkins Px8とPx7 S2eのスペックを比較
Px7 S2eと一番異なるポイントがドライバー。
PX7S2や最新作のPX7 S2eはB&Wがカスタム設計した40mm口径のバイオセルロース・ドライブユニットを搭載。
対して、Px8は専用設計の40mmカーボンコーン・ドライブユニットを採用しています。
同社のペアで70万〜100万クラスもするスピーカーの「700シリーズ」に搭載されたカーボンドーム・ツイーターから着想を得たユニットを採用しており、Px7 S2eより一つ上のレベルの音質を提供してくれます。
また、24bit対応DSPも搭載し、aptX AdaptiveやUSB接続で高品質なサウンドも楽しめるのも魅力です。
PX7 S2eのスペックを比較するとこんな感じ。
機能/仕様 | Px8 | Px7 S2e |
---|---|---|
Bluetoothバージョン | 5.2 | 5.2 |
連続再生時間 | 30時間 | 30時間 |
本体充電時間 | 2時間 | 2時間 |
ドライバー構成 | 40mm ダイナミック型フルレンジドライバー カーボンコーン | 40mm ダイナミック型フルレンジドライバー バイオセルロース |
DSP | 24bit DSPエンジン | 24bit DSPエンジン |
対応コーデック | SBC, AAC, aptX™, aptX™ HD, aptX™ Adaptive(48kHz/24bit) | SBC, AAC, aptX™, aptX™ HD, aptX™ Adaptive(48kHz/24bit) |
防水 | なし | なし |
ノイズキャンセリング | 対応 | 対応 |
外音取り込み | 対応 | 対応 |
アプリ | 対応 | 対応 |
マルチポイント | 対応 | 対応 |
重量(本体) | 320g | 307g |
カラーバリエーション | ブラック タン ロイヤル・バーガンディ | アンスラサイト・ブラック クラウド・グレー オーシャン・ブルー フォレスト・グリーン |
思った以上にスペックが一緒。
Bowers & Wilkins Px8 外観・付属品
それではPx8の外観をチェックしていきましょう。
パッケージ
Px8、パッケージはBowers & Wilkinsらしい白を基調としたシンプルかつ高級感のあるデザインです。
開封するとこんな感じ
付属品
- 1.2m USB-C – 3.5mmステレオミニプラグケーブル
- 1.2m USB-C – USB-Cケーブル
- キャリングケース
- マニュアル
Bowers & Wilkinsの付属品にはUSB-C to Cケーブルが付属するのが嬉しいんですよね。他のメーカーさんだと大体USB-A to Cケーブル。
これで直接iPhone 15やAndroid、パソコンと繋いでUSB接続で聴けます。
本体
そしてこちらが本体。このデザインの美しさがPxシリーズの魅力。
今回のカラーはタンと、新色のロイヤル・バーガンディをお借りしています。せっかくなのでロイヤルバーガンディを中心に紹介していきます。
Px7 S2eと比べると、サイズが一回り大きめかと思いきや、意外ほぼ同じサイズ感。勝手にPx8の方が大きいと思っていた。
ハウジングにはBowers & Wilkinsの印字がありますが、PX7 S2eと比べると非常に光沢感のある素材感になっています。
表面の素材感もそれぞれ異なりますね。
ハウジングとヘッドバンド部はPx7 S2eはファブリック素材でしたが、Px8はレザー素材になっています。
アーム部はPx7 S2eは樹脂素材でしたが、Px8はアルミニウム素材で光沢感のある仕上がりになっています。
アームは無段階で調整可能で、少し重めの挙動でヌルヌルと動いていきます。
イヤーパッドはメモリーフォーム・イヤーパッドを採用。
ヘッドパッドもイヤーパッド同様にフカフカで、こちらはPX7 S2eとの違いはなさそうです。
折りたたみはできませんが、180度にハウジングを半回転させることができます。
右側には再生・停止ボタン、音量ボタン、そして電源兼ペアリングスイッチが備わっています。
再生ボタンだけわかりやすくギザギザと波打つデザインになっていますね。
左側にはノイズキャンセリングや外音取り込みの切り替えボタンが備わっています。
最後に重さの実測値ですが約315g。
Px7 S2eが約306g
素材の質感がアップした分、Px8のほうが10gほど重たくなっていますね。
Bowers & Wilkins Px8 レビュー
Px7 S2eと比べるとガッツリ目の装着感
まず装着感ですが、PX7 S2e同様に快適ですね。
実際に装着してみるとこんな感じ。
ハウジングも薄めなので、前から見ても見た目はスマートです。
ハイエンド系のオーディオ機器はデザインを度外視しがちですが、Px8は外でも問題なく使えるほどのデザイン性を保っています。
ただ、PX7 S2eと比べると少し重たくなった印象で、軽快さが薄れてガッシリとした装着感のように感じました。
装着感 | (4.5) |
ワイヤレスイヤホンヘッドホンの最高峰サウンド
音質ですが、これはワイヤレスの域を超えているような感覚ですね。
今所持しているワイヤレスヘッドホンの中では、一番良いかと思います。
Px7 S2eと比べても、明らかにレベルが違うことがわかりますね。
今回は、Xperia 5ⅣでaptX Adaptive接続で検証しました。
4.9
高音
4.9
中音
5.0
低音
得意なジャンル
- ジャズ
- クラシック
- バラード
Px7 S2eと比べて、全体的にベールが一枚剥がれた感じの音というべきでしょうか。
音の傾向はPx7 S2e同様にBowers & Wilkinsらしい響きと艶感のある音。
Px7 S2eは楽器隊にフォーカスが当たったような感覚でしたが、Px8は全体域にフォーカスを当てたような感覚で、ボーカルラインも明瞭でバランスの良い距離感になっています。
音場もPx7 S2eよりも広がりがあり、全体的に見渡しが良くなったような感覚がありますね。
高音は管楽器の金属的な響きを表現するのが得意で、トランペットやサックスなどの音はワイヤレスとは思えないくらいの再現力の高さです。
特に特徴的なのが低音の表現力。
低域の量感はかなり多めでありつつも深みと解像度感をしっかりと感じられる低音なので、量感が多くても下品さは一切なく、騒がしい環境でも阻害されることのない豊かな低音を伝えてくれます。
ベースラインが豊かに、バスドラムには迫力があり、ウッドベースやコントラバスには広がりと臨場感があります。
ジャンルもPx7 S2eと比べてボーカルラインが前に出やすくなったので、ポップスやロックもより楽しめるようになりましたね。
やはり一番得意なジャンルはジャズやクラシックのように感じましたけどね。
有線だと高音質すぎてワイヤレスに戻れない……
こちらのPx8、USB-DAC機能も備えているので、有線で聴けばBluetoothよりもさらに高音質になります。
USB接続で聴く場合は付属のUSB-C to Cケーブル、イヤホンジャックで接続する場合はUSB-C to 3.5mmケーブルを使います。
USB接続時でも最大で48kHz / 24bitでの再生になるようですね。
今回はiPhone 15 ProでUSB-C to Cで接続して使っています。
Px7 S2eと比べてもドライバーユニットのポテンシャルが高い影響か、USB接続時の恩恵が大きくてワイヤレスヘッドホンなのにBluetooth接続に戻れなくなるという事態になってしまいました……。
音の雑味が消えて一音一音の解像度がより明瞭になり、密度感緻密で情報量の多い音を楽しめるようになりましたね。
ワイヤレスで使えることが強みなのに、このままだと有線メインで使ってしまう……。
ノイズキャンセリングもなかなかに高め
ノイズキャンセリング性能もなかなかに高めですね。
Px7 S2eと比べて側圧が強い分、ノイズキャンセリングもしっかり発揮できているように感じました。
ノイズキャンセリング最強クラスのヘッドホンと比べると負けますが、Px8でも十分実用的。
電車の中で使っても音楽が阻害されることもなく、Px8の超高音質サウンドを楽しめます。
キーボードのタイピング音や空調音のような高域に対する遮音性も高めで、「カチャカチャ」「ゴォォ」という音も耳に全然入ってきません。
音質の良さに対して、ノイズキャンセリング性能もかなり高い方だと思います。
ただ、一番音質を重視するならノイズキャンセリングOFFがおすすめ。
低域の膨れた感じやわずかに電気的に処理されたような感覚がなくなり、よりピュアなサウンドで楽しめるようになります。
ノイズキャンセリング | (4.6) |
有線接続時もノイズキャンセリングは使える
有線接続時でもノイズキャンセリングは使えます。
外出先でも有線接続で高音質で聴きつつ、周りの音もシャットアウトしながら音楽に浸れますね。
ワイヤレスヘッドホンではありますけど、USB接続時の音があまりに良いので、ボクの場合有線接続メインで使うかもしれないです。
外音取り込み機能も実用的
外音取り込みもなかなか実用的ですね。こちらはPx7 S2eと実力は変わりません。
小音量で音楽を流していても周りの音はわりと自然に聴こえてくるような感覚で、BGM感覚で音楽に浸ることもできます。
ただ、自分の声を発すると少しマイクで拾っているかのようなモゴモゴ感もあるので、超自然というわけでもないですね。
レジお会計のようなワンポイントでの使用では、ヘッドホンを外すことなく会話を進められます。
外音取り込み | (4.3) |
物理ボタンの配置が素晴らしい
操作性もなかなかに快適ですね。
全て物理ボタンで操作を行うのですが、このボタンの配置がとても操作しやすいですね。こちらもPx7S2eも同じ仕様です。
再生・停止ボタンはギザギザなデザインになっているので触感でわかりやすく、その感触を頼りに音量+、音量-ボタンもわかりやすいです。
電源とペアリングボタンはスライドスイッチになっているので、押し間違えることもありません。
外音モードの切り替えは左側のハウジングに配置されているので、こちらも押し間違える心配無し。
ヘッドホンによっては、電源から外音モードまで全て右側に集約されすぎて、手の感触だけではどのボタンかわからなくなってしまうものも多いですが、Px8はその心配がないように感じました。
ボクはヘッドホンはタッチパネルの操作が好きな方ですが、Px8はそれを凌駕する操作のしやすさのように感じました。
ただ、ノーマルモードを飛ばせない
気になるところですが、「ノイズキャンセリング」と「外音取り込み」の切り替え時に「ノーマルモード」をOFFにできないことですかね。
個人的にけっこう気にする部分です。
たとえば「ノイズキャンセリングモード」から「外音取り込みモード」に切り替える際
ノイズキャンセリングモード→ノーマルモード→外音取り込みモード
と2回の操作が必要になるので、コンビニで外音取り込みモードにしてお会計をしたいときとかに、結構切り替えがめんどくさいんですよね。
ただ、ノーマルモードだと音質も良くなるので、こちらも捨てがたいんですよね。
なので、「ノイズキャンセリングOFF→外音取り込みモード」とか「ノイズキャンセリングON→外音取り込みモード」など、自分で好きなモードに切り替えられるようにしてくれたらありがたいですね。
アプリについて
Px8はアプリに対応しています。
アプリでできることは次のとおりです。
- バッテリー残量の確認
- ノイズキャンセリングや外音取り込みモードなどの切り替え
- イコライザー
→高音と低音のみ調整可能 - 接続機器の切り替え
- クイックアクションの設定
→左ハウジングのボタンを外音モードの切り替えか音声アシスタントの切り替えかの2択で選べる - オートスタンバイのON/OFF
→15分後に省電力状態に移行 - 装着センサーのオン・オフ
→装着時の感度を「低」「標準」「高」から選べる - 名前の変更
- リセット
- ストリーミングサービスとの連携
→deezer,、tunein、SOUNDCLOUD、NTSに対応 - ファームウェアアップデート
装着センサーの感度を変更できるのは、なかなかユニークな機能ですね。
デフォルトではOFFになっているので、アプリでONにしておくと便利に使えます。
アプリを使ったからといって、特別できることが増えるということもないです。
こちらもできることはPx7 S2eとは変わらないですね。
マルチポイントの挙動
マルチポイントの挙動ですが、Px7 S2eと同じく残念な点が……。
2台同時接続はできるのですが、電源をOFFにすると自動的に2台目のデバイスに接続されません。
この自動接続がマルチポイントの良いところなのに、毎回Bluetoothリストから選択して接続となるともはやマルチポイントではないのでは?というレベル。
あらかじめペアリングさえしておけば、電源OFFにした後に再び電源ONにしても、自動的に2台のデバイスに接続されます。
2台目への接続は少しラグがありますね。
ちなみに、後から再生された方のデバイスを優先的に再生されるような挙動になりますね。
3台目への接続も毎回ペアリングにすることなく、Bluetoothリストからタップするだけで接続完了するので、切り替えも楽です。
通話品質|Px8はとてもキレイ
Px8のマイク性能はかなり高いように感じました。
マイク音声も実際に録音してみました。以下の音声をよければチェックしてみてくださいね!
Px8
Px7S2
Px8は声がとてもクリアな印象で、かつバックのノイズが入りにくいように感じました。
マイク性能はPx7 S2eとの差分は感じないように思いました。
音楽鑑賞だけでなく、通話用としても十分使えそうです。
通話品質 | |
Px8 | (4.5) |
音の遅延も問題無し
音の遅延も問題無し。
ゲームはストレスなくできるレベルではありませんが、YouTubeやPrime Videoを見るくらいなら問題無しです。
Bowers & Wilkins Px8 まとめ
Px8、Px7S2をまとめると以下のとおりです。
総合評価
4.5/5
Px8
- ワイヤレスヘッドホン最高峰の音質
- USB接続でさらに高音質に
- 高い音質に対してデザイン性も高い
- 装着感が良い
- 物理ボタンの配置が良い
- ノイズキャンセリングもなかなか強い
- 外音モードの切り替え時にノーマルモードを挟む
- マルチポイントは2台目のデバイスに自動で接続されない
4.9
高音
4.9
中音
5.0
低音
4,5
装着感
4.6
ノイズキャンセリング
4.3
外音取り込み
4.5
マイク性能
4.5
利便性
Bluetooth | 5.2 | 最大再生時間 ※ANC ON時 | 最大35時間 |
コーデック | SBC, AAC, aptX™, aptX™ HD, aptX™ Adaptive(48kHz/24bit) | 充電時間 | 2時間 |
ドライバー | 40mm ダイナミック型 | 充電端子 | Type C |
専用アプリ | ◯ | 防水 | – |
ノイズキャンセリング | ◯ | 質量 | 307g |
外音取り込み | ◯ | ゲームモード | – |
自動装着検出 | ◯ | 保証 | 2年 |
マルチポイント | ◯ | 公式サイト | こちら |
Bowers & Wilkins Px8、Px7S2はこんな人におすすめ
- 予算度外視で音質がとにかく良いワイヤレスヘッドホンを探している
- 自宅、外出先ともに同じヘッドホンで運用したい
- ジャズやクラシック、アコースティック編成の楽曲が好み
- B&Wのスピーカーの音をヘッドホンで再現したい
- デザイン性に惹かれた
Px8を持っていれば「家では有線ヘッドホンを使って、据え置きDACやアンプも買って、外ではノイズキャンセリングが使えるワイヤレスヘッドホンも買って……」といった使い分けが必要がなくなります。
Px8一台でいつでもどこでも最高品質の音質を気軽に楽しめるのが一番のポイントでしょう。
ちなみに価格は117,700円+ポイント10%※カジェログ調べ です。高いかどうか感じるのは人次第ですが、ボクは十分高く感じます。
Px7 S2eは半額以下で音質意外は同じ性能ですし、音質もPx8に近づいていますし、逆にコスパが高く感じますね。
ただ、Px7 S2eかPx8で迷っている方は、Px8を買った方が幸せになれると思います。
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